「アペプ」の版間の差分
12行目: | 12行目: | ||
神話におけるアペプの起源に関する記述は少ないが、通常はラーの後に、通常はラーのへその緒から生まれたとされている。アペプは太古の混沌の[[ヌン]]の水の中で太古の昔から存在していたと一般に信じられている<ref>[https://archive-org.translate.goog/details/TheCompleteGodsAndGoddessesOfAncientEgypt/Encyclopedia%20of%20Ancient%20Egypt/?_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=wapp&_x_tr_hist=true The Complete Gods And Goddesses Of Ancient Egypt]</ref>。 | 神話におけるアペプの起源に関する記述は少ないが、通常はラーの後に、通常はラーのへその緒から生まれたとされている。アペプは太古の混沌の[[ヌン]]の水の中で太古の昔から存在していたと一般に信じられている<ref>[https://archive-org.translate.goog/details/TheCompleteGodsAndGoddessesOfAncientEgypt/Encyclopedia%20of%20Ancient%20Egypt/?_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=wapp&_x_tr_hist=true The Complete Gods And Goddesses Of Ancient Egypt]</ref>。 | ||
+ | |||
+ | == ラーとの戦い == | ||
+ | アペプとラーの戦いの物語は、新王国時代に詳しく語られた<ref>J. Assmann, ''Egyptian Solar Religion in the New Kingdom'', transl. by A. Alcock (London, 1995), 49-57.</ref>。アペプは毎日地平線の下に横たわり、人間の王国に留まってはならないという。このことから、彼は冥界の一部とされた。いくつかの物語では、アペプは太陽が沈む西のマヌという山でラーを待ち、他の物語では、アペプは夜明け前の夜の第10の領域に潜んでいた。アペプの居場所の可能性のある範囲が広いことから、彼は世界包囲者という称号を得た。彼の恐ろしい咆哮は冥界を震撼させると考えられていた。神話では、アペプがそこに閉じ込められているのは、彼がラーに倒された前の主神であったためか、彼が邪悪であったために投獄されたためであると時々言われている。 | ||
+ | |||
+ | コフィン・テキストは、アペプが魔法の視線を使ってラーとその取り巻きを圧倒したことを示唆している。[ 8 ] ラーは、セトやおそらくラーの目を含む、彼と一緒に旅した多くの守備兵の助けを受けた。[ 9 ]アペプの動きは地震を引き起こすと考えられており、セトとの戦いは雷雨の起源を説明することを意図していた可能性がある。[ 10 ]ある物語では、ラー自身が猫の姿でアペプを倒している。 | ||
+ | |||
+ | == コフィン・テキスト == | ||
+ | '''コフィン・テキスト'''(Coffin Texts)また'''棺柩文'''(かんきゅうぶん)は、古代エジプトにおいて[[エジプト第1中間期|第1中間期]](紀元前22世紀頃)以降に作られた、[[棺]](コフィン)に刻まれた葬礼文書のこと<ref>{{Cite web | url=https://www.oldest.org/religion/religious-texts/ | title=10 Oldest Religious Texts in the World | date=28 November 2017 |accessdate =2023/11/4}}</ref>{{sfn|コトバンク|loc=世界大百科事典(旧版)「死者の書」より}}。前代における王族のための葬礼文書である「[[ピラミッド・テキスト]]」から発展したものだが、王族に限らず、棺を買うことができた富裕層の間でも広く用いられた。 | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
− | * | + | * Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9A%E3%83%97 アペプ](最終閲覧日:25-01-01) |
+ | * Wikipedia:[https://en.wikipedia.org/wiki/Apep Apep](最終閲覧日:25-01-03) | ||
+ | * Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88 コフィン・テキスト](最終閲覧日:25-01-03) | ||
== 関連項目 == | == 関連項目 == |
2025年1月3日 (金) 11:28時点における版
アペプ(Apep)は、エジプト神話における悪の化身。古代エジプト語での名は他に、アーペプ(アアペプ、Aapep)、アペピ(Apepi)、アピペ(Apipe)、アポペ(Apope)などが挙げられる。古代エジプト語のヒエログリフは、母音を明確に記述しないため本来の発音は、はっきりしない。古典ギリシア語転記であるアポピス(Αποφις, Apophis)でもよく知られる。
概要
闇と混沌を象徴し、その姿は、主に大蛇として描かれる。蛇は、古代エジプト人にとって身近で畏怖される存在であった。太陽の運行を邪魔するのでラーの最大の敵とされる。ラーはマアトの擁護者であったため、アペプには「混沌の主」という称号が与えられた。「混沌の王」は巨大な蛇または大蛇とみなされ、ナイル川の蛇や邪悪な竜などの称号が付けられた。一部の説では、彼の体長は16ヤードで、頭は火打ち石でできていたとされている。
アポピスは、世界が誕生する前のヌンに象徴される原始の水の中から生まれた。世界の秩序が定まる前に生まれたので秩序(マアト)を破壊しようとすると考えられた。あるいは、元は太陽神としての役割を担っていたが、それをラーに奪われたため彼を非常に憎み、敵対するようになった。ここからラーの乗る太陽の船の運航を邪魔し、日食を起こすと考えられた。
冥界に捕えられており、ここを死者の魂が通ると襲う。死者の書は、アポピスから身を守る方法が描かれているとされた。またラーの乗る太陽の船が通過する時にセトが船を守りアポピスを打ち倒すため、天敵といわれている。しかし時代が下ると、その邪悪さのためにセトと同一視された。
歴史
ナカダI期(紀元前4000年頃~紀元前3550年頃)のC陶器のボウル(現在はカイロ所蔵)には、内縁に蛇が描かれており、他の砂漠や水生動物と組み合わされている。太陽神と思われる神が大きな手漕ぎ船で目に見えない形で狩りをしており、蛇は彼の敵である[1]。内縁の蛇はアペプであると考えられています。
神話におけるアペプの起源に関する記述は少ないが、通常はラーの後に、通常はラーのへその緒から生まれたとされている。アペプは太古の混沌のヌンの水の中で太古の昔から存在していたと一般に信じられている[2]。
ラーとの戦い
アペプとラーの戦いの物語は、新王国時代に詳しく語られた[3]。アペプは毎日地平線の下に横たわり、人間の王国に留まってはならないという。このことから、彼は冥界の一部とされた。いくつかの物語では、アペプは太陽が沈む西のマヌという山でラーを待ち、他の物語では、アペプは夜明け前の夜の第10の領域に潜んでいた。アペプの居場所の可能性のある範囲が広いことから、彼は世界包囲者という称号を得た。彼の恐ろしい咆哮は冥界を震撼させると考えられていた。神話では、アペプがそこに閉じ込められているのは、彼がラーに倒された前の主神であったためか、彼が邪悪であったために投獄されたためであると時々言われている。
コフィン・テキストは、アペプが魔法の視線を使ってラーとその取り巻きを圧倒したことを示唆している。[ 8 ] ラーは、セトやおそらくラーの目を含む、彼と一緒に旅した多くの守備兵の助けを受けた。[ 9 ]アペプの動きは地震を引き起こすと考えられており、セトとの戦いは雷雨の起源を説明することを意図していた可能性がある。[ 10 ]ある物語では、ラー自身が猫の姿でアペプを倒している。
コフィン・テキスト
コフィン・テキスト(Coffin Texts)また棺柩文(かんきゅうぶん)は、古代エジプトにおいて第1中間期(紀元前22世紀頃)以降に作られた、棺(コフィン)に刻まれた葬礼文書のこと[4]テンプレート:Sfn。前代における王族のための葬礼文書である「ピラミッド・テキスト」から発展したものだが、王族に限らず、棺を買うことができた富裕層の間でも広く用いられた。
参考文献
関連項目
- アポフィス (小惑星) - 命名の由来となった
脚注
- ↑ C. Wolterman, in Jaarbericht van Ex Oriente Lux, Leiden Nr.37 (2002).
- ↑ The Complete Gods And Goddesses Of Ancient Egypt
- ↑ J. Assmann, Egyptian Solar Religion in the New Kingdom, transl. by A. Alcock (London, 1995), 49-57.
- ↑ 10 Oldest Religious Texts in the World.28 November 2017 - via {{{via}}}.