「荒船山」の版間の差分
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* 南総里見八犬伝 | * 南総里見八犬伝 |
2024年12月3日 (火) 08:11時点における版
荒船山(あらふねやま)は、群馬県甘楽郡下仁田町と長野県佐久市に跨る標高1,423 mの山である。妙義荒船佐久高原国定公園に属している。日本二百名山のひとつ。
概説
周囲の険しい山々の中に平坦な頂上部をもつ山がそびえ、荒波を進む軍艦を思わせることから、その名が付けられたといわれている[1]。
荒船山は妙義山とともに第三紀にできた本宿カルデラの一部である。地学用語でいうところの溶岩台地ではなく、浸食によって固い部分が残ったもので、こうした差別浸食でできた地形のことをメサという。
登山道は長野県佐久市、群馬県南牧村、下仁田町からのルートがあるが、このうち内山峠登山道は下仁田ジオパークのモデルコースになっている[2]。
荒船山の北端にある艫岩は荒船山を船に見立てたとき船尾にあたる。頂上部は笹原が続き、緩やかな道が最高地点の経塚山(京塚山とも書く 標高1,422 m)へ続いている。
艫岩は垂直に切り立った岸壁で、崖下をのぞき込むなどした際に誤って転落する事故が絶えない[4]。漫画家の臼井儀人が2009年に命を落としたのもこの場所である[5]。
麓には世界遺産で史跡の荒船・東谷風穴蚕種貯蔵所跡(荒船風穴)がある[1]。
伝承と信仰
- 貫前神社に関する伝承
- 上野国抜鉾大明神の美しい末娘が父親の敵から逃げて荒船山に着いて住んでいた。そこに諏訪大明神(諏訪神社の神様)が日光にいる母神に会いに行く際に出会い夫婦になったという[6]。
- 南総里見八犬伝
- 曲亭馬琴の伝奇小説である南総里見八犬伝に荒芽山という山が登場するが、地理的描写から荒船山に比定される。作中、この荒芽山には音音の庵があり、巨田助友が襲撃を仕掛け、五犬士(犬塚、犬川、犬飼、犬田、犬山)の会同と離散の舞台となった。そして彼らは再会までに約5年の歳月をかけることになる。
- 荒船信仰
- 群馬県、長野県には、荒船山の名を冠した社寺等がいくつもある。中でも「荒船山出世不動尊」は特に有名だ。川中島合戦のとき武田信玄が、戦場にあった空海作と言われる不動尊を信州側の荒船山麓に遷した。これが「荒船山出世不動尊」であり、長野、群馬、埼玉の人々が中心となり、広く信仰し、「荒船講」を結成し、荒船山や関係社寺など信仰をしている[7]。
- 荒船山の十四郎
- 江戸時代、荒船山に十四郎という「ニセ金作り」が住んでいた。ある年の大晦日の夜、佐久地方の貧しい家々に真新しい銭が投げ込まれた。この話が役人の耳に入り、十四郎は捕まり、処刑された。村人は十四郎の死を悲しみ冥福を祈った。十四郎のニセ金は見分けがつかぬまま明治まで使用されたという[8]。
- 荒船山の亀松
- 荒船山麓の内山には明治時代の修身の教科書にものった「孝子亀松」の実話がある。天明8年(1788年)当時11歳の亀松(かめまつ)少年は、父親を襲うオオカミに対し、鎌一本で立ち向かい、オオカミの口に鎌を突き立て、父の危急を救った。この話は江戸にも聞こえ、幕府から呼び出され、褒美を貰ったというものである[9]。
参考文献
- 降旗和夫編『長野県 地学のガイド―長野県の地質とそのおいたち』コロナ社、ISBN 9784339075427
関連項目
外部リンク
- 荒船山と兜岩層 - 長野県理化学会地学部会
- たび重なる火山活動「本宿陥没」と「妙義火山」 - 下仁田ジオパーク
- 荒船山の登山道など - 佐久商工会議所
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 荒船山、下仁田町自然史館、2022年9月25日閲覧。
- ↑ 2.0 2.1 関谷友彦、磯田喜義、中村由克「荒船山山頂の表層地形・植生および遺跡分布調査予察」、下仁田町自然史館研究報告 第4号(2019年3月)、2022年9月25日閲覧。
- ↑ 3.0 3.1 荒船山安全登山マップ、群馬県富岡警察署、2022年9月25日閲覧。
- ↑ https://www.sankei.com/article/20191117-EOWMZFBYYJKG7MQU2O2HM2KNOQ/, 荒船山岩壁で転落死 男性の遺体を収容, 産経ニュース, 産業経済新聞社, 2019-11-17, 2024-04-13
- ↑ https://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20090920-545887.html, 「しんちゃん」作者、荒船山で滑落死か?, 日刊スポーツ, 日刊スポーツNEWS, 2009-09-20, 2024-04-13
- ↑ 荒船山と古代の信仰のはなし その3 、内山のワクワク音符見つけ隊(最終閲覧日:24-2-03)
- ↑ 『佐久市志民俗編上』全1706頁中285頁、発行者長野県佐久市、1990年2月20日発行。
- ↑ 『佐久特集千曲川とその支流』全87頁中83頁、佐久市観光課発行、1976年4月20日。
- ↑ 佐久市志編纂委員会編纂『佐久市志 民俗編 下』佐久市志刊行会、1990年、1119ページ。