「猿神退治」の版間の差分
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2022年4月13日 (水) 19:08時点における版
猿神退治とは、人身御供を求める猿神を人や犬が退治する、という物語である。世界的に分布する「怪物退治」の一型といえる。中国の盤瓠の伝承と起源を同じくする物語群と個人的には考える。
妖怪の猿神
中世の日本の説話集『今昔物語集』『宇治拾遺物語』などには、猿神は人間に害を為す妖怪として登場しており、中でも『今昔物語集』巻26「美作國神依猟師謀止生贄語」がよく知られている。 テンプレート:Indent
動物神としての性格を失った後の猿神は、人間から軽侮される傾向にあり、それをよく表す話に室町時代の御伽草子『藤袋の草子』がある[1]。 テンプレート:Indent これらの他にも日本各地に猿神退治の伝説があるが、内容は同様に、サルが人間の女性を生贄を求め、通りすがりの猟師や僧侶が身代りとなって退治するというものである[2]。これらの説話は、同様に生贄を求めた末に退治されたというヤマタノオロチの神話を彷彿させるが、『今昔物語集』の猿神もヤマタノオロチも、神と巫女との結婚儀礼をもとにして生まれたものと考えられている[1]。また、これらのように猿神退治の説話には必ずといって良いほど犬が登場することも特徴である。退治話の犬に固有の名前がついていることも多く、長野県の光前寺に伝わる霊犬・早太郎も狒々退治の伝説として知られている[2]。
享保時代の怪談集『太平百物語』では、猿神退治の説話が怪談風に脚色されている。 テンプレート:Indent このサルには人を食べるという獰猛な性格に加え、尻を撫でるという滑稽な面があるが、サルはもともと人間に似ているにもかかわらず人間ほど進化していない動物のため、サルを小馬鹿にしたり、道化と見なす感情が人々の中に生まれたものと見られている[1]。