「アドーニス」の版間の差分

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== 参考文献 ==
 
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* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%82%B9 アドーニス](最終閲覧日:24-12-07)
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** 松村一男、平藤喜久子、山田仁史編, 2013-02, 神の文化史事典, 白水社, 978-4-560-08265-2
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** コッテル, アーサー, アーサー・コットレル, 左近司祥子、宮元啓一、瀬戸井厚子、伊藤克巳、山口拓夢、左近司彩子訳, 世界神話辞典, 1993-09, 柏書房, 978-4-7601-0922-7
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== 関連項目 ==
 
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2024年12月7日 (土) 10:58時点における版

アドーニスἌδωνις, ラテン文字表記:Adōnis)は、ギリシア神話に登場する、美と愛の女神アプロディーテーに愛された美少年。フェニキアの王キニュラースとその王女であるミュラーの息子[1]

長母音を省略してアドニスとも表記される[1][2]。彼の名は、美しい男性の代名詞としてしばしば用いられる[3]

解説

アドーニスという名はセム語起源で、旧約聖書のマソラ学者による読みであるアドナイ(ヤハウェの呼び名「主」)と関係があるとされる。さらに神話の舞台となる場所がギリシア以外であり、元来は非ギリシア系の神話の人物である[1]。元はビュブロスとパポスにおいて信仰されていた[2][4]フェニキア神話の植物の神であった。アドーニスは収穫の秋に死んで、また春に甦って来る。アプロディーテーが冥府の女王ペルセポネーとアドーニスを頒つのは、植物の栄える春夏と、枯れて死ぬ冬との区別である[5]

神話

禁忌破りの婚姻

キニュラースの家系は代々、アプロディーテーを信仰していた。しかし、王女ミュラーはとても美しく、一族の誰かが「ミュラーは女神アプロディーテーよりも美しい」と言ってしまった。これを聞いたアプロディーテーは激怒し、ミュラーが実の父であるキニュラースに恋するように仕向けた。父親を愛してしまい、思い悩んだミュラーは、自分の乳母に気持ちを打ち明けた。

彼女を哀れんだ乳母は、祭りの夜に二人を引き合わせた。顔を隠した女性が、まさか自分の娘だとは知らないキニュラースは、彼女と一夜を共にした。しかし、その後、明かりの下で彼女の顔を見たキニュラースは、それが自分の娘のミュラーだと知ってしまった。怒った彼はミュラーを殺そうとしたが、彼女はアラビアまで逃げ延びた。彼女を哀れに思った神々は、ミュラーをミルラ(没薬)の木に変えた。

アドーニスの誕生と成長

やがて、その木に猪がぶつかり、木は裂け、その中からアドーニスが生まれた。そのアドーニスにアプロディーテーが恋をした。やがてアプロディーテーは赤ん坊のアドーニスを箱の中に入れると、冥府の王ハーデースの妻で、冥府の女王のペルセポネーの所に預けた。彼女はペルセポネーに、けっして箱の中を見るなと注意しておいた。しかし、ペルセポネーは好奇心に負け、箱を開けてしまった。すると、その中には美しい男の赤ん坊のアドーニスが入れられていて、彼を見たペルセポネーもアドーニスに恋してしまった。こうしてアドーニスはしばらくペルセポネーが養育することになった。

アドーニスが少年に成長し、アプロディーテーが迎えにやって来た。しかし、ペルセポネーはアドーニスを渡したくなくなっていた。2人の女神は争いになり、ついに天界の裁判所に審判(ゼウスあるいはカリオペー)を委ねることにした。その結果、1年の3分の1はアドーニスはアプロディーテーと過ごし、3分の1はペルセポネーと過ごし、残りの3分の1はアドーニス自身の自由にさせるということとなった。

しかし、アドーニスは自分の自由になる期間も、アプロディーテーと共に過ごすことを望んだ。ペルセポネーは、アドーニスのこの態度に、大いに不満だった。

アドーニスの死

アドーニスは狩りが好きで、毎日狩りに熱中していた。アプロディーテーは狩りは危険だから止めるようにといつも言っていたが、アドーニスはこれを聞き入れなかった。アドーニスが自分よりもアプロディーテーを選んだことが気に入らなかったペルセポネーは、アプロディーテーの恋人である軍神アレースに、「あなたの恋人は、あなたを差し置いて、たかが人間に夢中になっている」と告げ口をした。これに腹を立てたアレースは、アドーニスが狩りをしている最中、に化けて彼を殺してしまった。

アプロディーテーはアドーニスの死を、大変に悲しんだ。やがてアドーニスの流した血から、アネモネの花が咲いたという。

アドーニスの園

古代ギリシャでは, アテネでアドニス祝祭が女性により壮厳に行なわれた。それが, いまもギリシャの所々でアドニス・ガーデンの風習として生き続け, とくにセェレェー村では復活祭にこの行事が盛んである。文献によればアドニス祝祭は紀元前5世記に遡る。美男アドニス神の若い逝去を悼んで, 若い女性らが, こわれたエムプラ (ギリシャの壺) を逆にして, なかに土を埋め草花を栽培した。草花の枯死はアドニス神の死と復活を象徴するもので, 植物の再生と成長を促進する呪術的な行為とされた。とくに注目すべきことは, こわれたエムプラの残りを逆さにして, それを鉢として使用した点である。この風習はギリシャ人の生活に深くしみ込み, 形こそ変わったが, いまでもいたるところでアドニス・ガーデンがみられるし, ポット・ガーデンのオリジンとみることもできる。なおアドニス・ガーデンは豪華な造園ではなく, 庶民の情緒的な小庭園であるところに, 大きな意味があると思われる。(アドニス園について、金 龍沫、1979(最終閲覧日:24-12-07))

参考文献

  • Wikipedia:アドーニス(最終閲覧日:24-12-07)
    • 松村一男、平藤喜久子、山田仁史編, 2013-02, 神の文化史事典, 白水社, 978-4-560-08265-2
    • マルタン, ルネ監修、松村一男訳, 1997-07, 図説ギリシア・ローマ神話文化事典, 原書房, 978-4-562-02963-1
    • コッテル, アーサー, アーサー・コットレル, 左近司祥子、宮元啓一、瀬戸井厚子、伊藤克巳、山口拓夢、左近司彩子訳, 世界神話辞典, 1993-09, 柏書房, 978-4-7601-0922-7

関連項目

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 『神の文化史事典』41頁(「アドニス」の項)。
  2. 2.0 2.1 『図説ギリシア・ローマ神話文化事典』14頁(「アドニス」の項)。
  3. 『図説ギリシア・ローマ神話文化事典』15頁(「アドニス」の項)。
  4. 『世界神話辞典』27頁(「アドーニス」の項)。
  5. 呉茂一『ギリシア神話 上巻』新潮社、1956年、140頁。