「スメルトリオス」の版間の差分

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ガロ・ローマ時代の宗教では、'''スメルトリオス'''(Smertrios)または'''スメルトリウス'''(Smertrius)はガリアとノリクム<ref>現代のオーストリアとスロベニアの領域に位置したケルト人の王国。</ref>で崇拝された軍神であった<ref>Nicole Jufer & Thierry Luginbühl. 2001. ''Les dieux gaulois : répertoire des noms de divinités celtiques connus par l'épigraphie, les textes antiques et la toponymie.'' Editions Errance, Paris.</ref>。ローマ時代にはマールスと同一視されていた。彼の名前は女神[[ロスメルタ]]と同じ語源を持ち、「供給者」または「提供者」を意味すると思われ、真の名前というよりはむしろ肩書きといえる。'''スメルトゥリタヌス'''(Smertulitanus)は、同じ神の異名かもしれない。
 
ガロ・ローマ時代の宗教では、'''スメルトリオス'''(Smertrios)または'''スメルトリウス'''(Smertrius)はガリアとノリクム<ref>現代のオーストリアとスロベニアの領域に位置したケルト人の王国。</ref>で崇拝された軍神であった<ref>Nicole Jufer & Thierry Luginbühl. 2001. ''Les dieux gaulois : répertoire des noms de divinités celtiques connus par l'épigraphie, les textes antiques et la toponymie.'' Editions Errance, Paris.</ref>。ローマ時代にはマールスと同一視されていた。彼の名前は女神[[ロスメルタ]]と同じ語源を持ち、「供給者」または「提供者」を意味すると思われ、真の名前というよりはむしろ肩書きといえる。'''スメルトゥリタヌス'''(Smertulitanus)は、同じ神の異名かもしれない。
  
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スメルトリウスは、パリで発見された「船乗りの柱」に描かれたガリアの神々の一柱である。ここでは、筋骨隆々の髭面の男が、目の前に立ちはだかる蛇に立ち向かっている姿が描かれている。この神は、通常、棍棒と解釈されるものを振り回しているが、これはむしろ松明や火の粉のようなものに似ている。
  
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神の属性が棍棒であるとする通常の解釈により、現代の学者たちはスメルトリウスとヘーラクレースを同一視している。トリーア<ref>ドイツの地名。</ref>近郊のメーンでは、泉の聖域がマールス・スメリトリウスとその妃アンカンマ(Ancamna)に捧げられていた。コインが発見されたことから、ローマ時代以前には神殿があったことがわかる。また、トレヴェラン(Treveran)の碑文は、マールスとスメルトリウスを結びつけている。スメルトリウス自身は、オーストリアのグロスバッハにある断片的な碑文などで、ガリア地方以外でも知られている。
  
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== 私的注釈 ==
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スメルトリオスがギリシア神話のヘーラクレースに相当するのであれば、ヘーラーに対応するのはロスメルタといえるのではないだろうか。ヘーラクレースはおおむね黄帝型神といえるが、啓型神の性質が入り交じっているように思う。
  
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== 参考文献 ==
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* Wikipedia:[https://en.wikipedia.org/wiki/Smertrios Smertrios](最終閲覧日:22-11-24)
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** ''Dictionary of Celtic Myth and Legend''. Miranda Green. Thames and Hudson Ltd. London. 1997
  
 
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== 関連項目 ==
Smertrius is one of the Gaulish gods depicted on the [[Pillar of the Boatmen]], discovered in [[Paris]]. Here is depicted as a well-muscled bearded man confronting a snake which rears up in front of him. The god brandishes an object which has usually been interpreted as a club but which rather resembles a torch or firebrand.
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* ヘーラクレース
 
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* [[ロスメルタ]]:ガリア神話の女神。スメルトリオスの母神といえるか。
The normal interpretation of the god's attribute as a club has led to the identification, by modern scholars, of Smertrius and [[Hercules]]. Other evidence links Smertrius with the Celtic version of [[Mars (mythology)|Mars]]: at [[Möhn]] near [[Trier]], a spring sanctuary was dedicated to Mars Smertrius and his consort [[Ancamna]]. Coins found here indicate that there was a shrine here before the [[Ancient Rome|Roman]] period. Another [[Treveri|Treveran]] inscription links Mars and Smertrius. Smertrius himself is known outside Gaul, for example on a fragmentary inscription at [[Grossbach (Austria)|Grossbach]] in [[Austria]].
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* シュカレトゥダ:シュメール神話の庭師。子音構成がスメルトリオスに近い気がする。
 
 
==References==
 
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* ''Dictionary of Celtic Myth and Legend''. Miranda Green. Thames and Hudson Ltd. London. 1997
 
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== 参照 ==
 
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[[Category:啓型神]]
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[[Category:棍棒]]

2022年12月9日 (金) 18:25時点における最新版

「船乗りの柱」に描かれたスメルトリウスのレリーフ(パリ)。

ガロ・ローマ時代の宗教では、スメルトリオス(Smertrios)またはスメルトリウス(Smertrius)はガリアとノリクム[1]で崇拝された軍神であった[2]。ローマ時代にはマールスと同一視されていた。彼の名前は女神ロスメルタと同じ語源を持ち、「供給者」または「提供者」を意味すると思われ、真の名前というよりはむしろ肩書きといえる。スメルトゥリタヌス(Smertulitanus)は、同じ神の異名かもしれない。

スメルトリウスは、パリで発見された「船乗りの柱」に描かれたガリアの神々の一柱である。ここでは、筋骨隆々の髭面の男が、目の前に立ちはだかる蛇に立ち向かっている姿が描かれている。この神は、通常、棍棒と解釈されるものを振り回しているが、これはむしろ松明や火の粉のようなものに似ている。

神の属性が棍棒であるとする通常の解釈により、現代の学者たちはスメルトリウスとヘーラクレースを同一視している。トリーア[3]近郊のメーンでは、泉の聖域がマールス・スメリトリウスとその妃アンカンマ(Ancamna)に捧げられていた。コインが発見されたことから、ローマ時代以前には神殿があったことがわかる。また、トレヴェラン(Treveran)の碑文は、マールスとスメルトリウスを結びつけている。スメルトリウス自身は、オーストリアのグロスバッハにある断片的な碑文などで、ガリア地方以外でも知られている。

私的注釈[編集]

スメルトリオスがギリシア神話のヘーラクレースに相当するのであれば、ヘーラーに対応するのはロスメルタといえるのではないだろうか。ヘーラクレースはおおむね黄帝型神といえるが、啓型神の性質が入り交じっているように思う。

参考文献[編集]

  • Wikipedia:Smertrios(最終閲覧日:22-11-24)
    • Dictionary of Celtic Myth and Legend. Miranda Green. Thames and Hudson Ltd. London. 1997

関連項目[編集]

  • ヘーラクレース
  • ロスメルタ:ガリア神話の女神。スメルトリオスの母神といえるか。
  • シュカレトゥダ:シュメール神話の庭師。子音構成がスメルトリオスに近い気がする。

参照[編集]

  1. 現代のオーストリアとスロベニアの領域に位置したケルト人の王国。
  2. Nicole Jufer & Thierry Luginbühl. 2001. Les dieux gaulois : répertoire des noms de divinités celtiques connus par l'épigraphie, les textes antiques et la toponymie. Editions Errance, Paris.
  3. ドイツの地名。