「スギ」の版間の差分

提供: Bellis Wiki3
ナビゲーションに移動 検索に移動
 
(同じ利用者による、間の11版が非表示)
1行目: 1行目:
'''スギ'''([[学名]]: ''Cryptomeria japonica'')は、ヒノキ科スギ亜科スギ属で常緑針葉樹である。主に本州以南の山地に生え、広く植林されている。
+
'''スギ'''(学名: ''Cryptomeria japonica'')は、ヒノキ科スギ亜科スギ属で常緑針葉樹である。主に本州以南の山地に生え、広く植林されている。
  
 
== 名前と分類 ==
 
== 名前と分類 ==
15行目: 15行目:
 
中国浙江省の天目山に分布するヤナギスギ''Cryptomeria fortunei'' が日本のスギと同種であるという研究もある<ref>和書, 佐橋紀男, 渡辺幹男, 三好彰, 程雷, 殷敏, 1999, 中国の天目山と日本の屋久島・伊豆大島産のスギの遺伝的特性, https://doi.org/10.11334/jibi1954.45.6supplement2_630, 耳鼻と臨床, ISSN:0447-7227, 耳鼻と臨床会, volume45, issue:6Supplement2, pages630-634, doi:10.11334/jibi1954.45.6supplement2_630, CRID:1390282680477923456</ref>。スギの変種の一つカワイスギ''Cryptomeria japonica var. sinensis''ともされる<ref>スギ Cryptomeria japonica ヒノキ科 Cupressaceae スギ属 三河の植物観察, https://mikawanoyasou.org/data/sugi.htm, mikawanoyasou.org, 2022-03-17</ref><ref>河合杉はどんな植物?Weblio辞書, https://www.weblio.jp/content/%E6%B2%B3%E5%90%88%E6%9D%89, www.weblio.jp, 2022-03-17</ref>。
 
中国浙江省の天目山に分布するヤナギスギ''Cryptomeria fortunei'' が日本のスギと同種であるという研究もある<ref>和書, 佐橋紀男, 渡辺幹男, 三好彰, 程雷, 殷敏, 1999, 中国の天目山と日本の屋久島・伊豆大島産のスギの遺伝的特性, https://doi.org/10.11334/jibi1954.45.6supplement2_630, 耳鼻と臨床, ISSN:0447-7227, 耳鼻と臨床会, volume45, issue:6Supplement2, pages630-634, doi:10.11334/jibi1954.45.6supplement2_630, CRID:1390282680477923456</ref>。スギの変種の一つカワイスギ''Cryptomeria japonica var. sinensis''ともされる<ref>スギ Cryptomeria japonica ヒノキ科 Cupressaceae スギ属 三河の植物観察, https://mikawanoyasou.org/data/sugi.htm, mikawanoyasou.org, 2022-03-17</ref><ref>河合杉はどんな植物?Weblio辞書, https://www.weblio.jp/content/%E6%B2%B3%E5%90%88%E6%9D%89, www.weblio.jp, 2022-03-17</ref>。
  
[[第二次世界大戦]]以前には[[台湾]]と[[朝鮮半島]]で植林されていたが、戦後は[[アゾレス諸島]]、[[レユニオン|レユニオン島]]、[[インド]]、[[ネパール]]で植林が続けられており、主に木材や[[防風林]]として利用されている<ref>{{Cite web |date=2016-03-09 |url=https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20160309-00055234 |title=スギ花粉は世界中に舞っていた! |publisher=田中淳夫 |accessdate=2016-03-12 |deadlinkdate= }}</ref><ref>{{Cite web |date=2002-05-01 |url=https://www.ffpri.affrc.go.jp/ftbc/research/kakonokouhousi/documents/22.pdf |title=林木育種センターだより(2000年1月) |format=PDF |page=1 |publisher=林野庁・林木育種センター |accessdate=2016-03-12 |deadlinkdate= }}</ref>。
+
第二次世界大戦以前には台湾と朝鮮半島で植林されていたが、戦後はアゾレス諸島、レユニオン島、インド、ネパールで植林が続けられており、主に木材や防風林として利用されている<ref>2016-03-09, https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20160309-00055234, スギ花粉は世界中に舞っていた!, 田中淳夫, 2016-03-12</ref><ref>2002-05-01, https://www.ffpri.affrc.go.jp/ftbc/research/kakonokouhousi/documents/22.pdf, 林木育種センターだより(2000年1月), page1, 林野庁・林木育種センター, 2016-03-12</ref>。
  
 
== 形態 ==
 
== 形態 ==
常緑針葉樹の高木{{sfn|田中潔|2011|p=109}}。最大樹高は60[[メートル]] (m) 近くに達する{{sfn|田中潔|2011|p=108}}。典型的には明瞭な主幹を持ち樹形は[[円錐]]形、ただし株立ちするものもある。樹形はふつう細長く直立し、高さ50 mに達するものもあるが、生育条件などによっては幹が太くなる。[[屋久島]]の[[縄文杉]]は樹高25.3 m、胸高周囲16.4 mに達し、推定樹齢は2000 - 7200年とされている<ref name="yakusugi">{{Cite web |date=2015-04-26 |url=http://www.yakusugi-museum.com/data-yakushima-yakusugi/204-kyojyu.html |title=屋久杉巨樹・著名木 |publisher=屋久杉自然館 |accessdate=2016-03-12 |deadlinkdate= }}</ref>。
+
常緑針葉樹の高木<ref>田中潔, 2011, p109</ref>。最大樹高は60 (m) 近くに達する<ref>田中潔, 2011, p108</ref>。典型的には明瞭な主幹を持ち樹形は円錐形、ただし株立ちするものもある。樹形はふつう細長く直立し、高さ50 mに達するものもあるが、生育条件などによっては幹が太くなる。屋久島の縄文杉は樹高25.3 m、胸高周囲16.4 mに達し、推定樹齢は2000 - 7200年とされている<ref name="yakusugi">2015-04-26, http://www.yakusugi-museum.com/data-yakushima-yakusugi/204-kyojyu.html, 屋久杉巨樹・著名木, 屋久杉自然館, 2016-03-12</ref>。
 +
 
 
また大王杉は樹高24.7 m、胸高周囲11.1 m、推定樹齢3000年とされている<ref name="yakusugi" />。
 
また大王杉は樹高24.7 m、胸高周囲11.1 m、推定樹齢3000年とされている<ref name="yakusugi" />。
  
[[樹皮]]は赤褐色で、成長した幹の樹皮は縦に長く裂け、帯状に剥げやすい{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=286}}{{efn2|この生態を利用した皮むき[[間伐]]は、表皮を剥がすことで樹木中の水分を抜いて1年ほどで枯れさせる山林整備の手法である。}}。若枝は褐色で無毛である{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=245}}
+
樹皮は赤褐色で、成長した幹の樹皮は縦に長く裂け、帯状に剥げやすい<ref>平野隆久監修 永岡書店編, 1997, p286</ref><ref>この生態を利用した皮むき間伐は、表皮を剥がすことで樹木中の水分を抜いて1年ほどで枯れさせる山林整備の手法である。</ref>。若枝は褐色で無毛である<ref>鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文, 2014, p245</ref>
  
[[雌雄同株]]。3月から4月に開花する{{sfn|田中潔|2011|p=109}}。[[雄花]]は長さ5[[ミリメートル]] (mm) くらいの[[楕円]]形で前年の枝先に密生する{{sfn|田中潔|2011|p=109}}。[[雌花]]はほぼ球形で鱗片が密着し表面に小さな棘が出る。果期は10月{{sfn|田中潔|2011|p=109}}。雄花の冬芽は楕円形の裸芽で、枝先に多数つく{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=245}}。雌花の冬芽は球形で多数の鱗片に包まれ、1個ずつつく{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=245}}
+
雌雄同株。3月から4月に開花する<ref>田中潔, 2011, p109</ref>。雄花は長さ5(mm) くらいの楕円形で前年の枝先に密生する<ref>田中潔, 2011, p109</ref>。雌花はほぼ球形で鱗片が密着し表面に小さな棘が出る。果期は10月<ref>田中潔, 2011, p109</ref>。雄花の冬芽は楕円形の裸芽で、枝先に多数つく<ref>鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文, 2014, p245</ref>。雌花の冬芽は球形で多数の鱗片に包まれ、1個ずつつく<ef>鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文, 2014, p245</ref>
  
[[葉]]は基部が枝に密着してらせんを描いてつき、葉身は先端が尖った鎌状の針形で{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=286}}、枝全体としては一面に上向きの針を並べたようになる。[[表日本]]([[太平洋]]側)に分布する個体群と[[裏日本]]([[日本海]]側)に分布する針葉をはじめとする各部の形態が違うことはしばしば指摘され<ref>[[四手井綱英]] (1957) 大阪営林局管内の天然生スギの系統の分布について. 日本林学会誌39(7), pp. 270 - 273. {{doi|10.11519/jjfs1953.39.7_270}}</ref>、分布地からそれぞれオモテスギ(表杉)、ウラスギ(裏杉)などと呼ばれる。ウラスギについては植物学者の[[中井猛之進]] (1882 - 1952) が名付けたアシウスギ(芦生杉)という名前もよく使われる。これは[[京都大学]]の[[京都大学フィールド科学教育研究センター森林ステーション芦生研究林|芦生研究林]]で標本を採取したことに由来する。両者は別種ではないが変種程度の差があるとされ、中井はアシウスギに対し ''Cryptomeria japonica'' (L.fil.) D.Don var. ''radicans'' Nakai と変種名を与えている。
+
葉は基部が枝に密着してらせんを描いてつき、葉身は先端が尖った鎌状の針形で<ref>平野隆久監修 永岡書店編, 1997, p286</ref>、枝全体としては一面に上向きの針を並べたようになる。表日本(太平洋側)に分布する個体群と裏日本(日本海側)に分布する針葉をはじめとする各部の形態が違うことはしばしば指摘され<ref>四手井綱英 (1957) 大阪営林局管内の天然生スギの系統の分布について. 日本林学会誌39(7), pp. 270 - 273. , doi:10.11519/jjfs1953.39.7_270</ref>、分布地からそれぞれオモテスギ(表杉)、ウラスギ(裏杉)などと呼ばれる。ウラスギについては植物学者の中井猛之進 (1882 - 1952) が名付けたアシウスギ(芦生杉)という名前もよく使われる。これは京都大学の芦生研究林で標本を採取したことに由来する。両者は別種ではないが変種程度の差があるとされ、中井はアシウスギに対し ''Cryptomeria japonica'' (L.fil.) D.Don var. ''radicans'' Nakai と変種名を与えている。
  
針葉の形状以外では樹形、樹冠の形状、葉横断面の形状<ref>高桑進・米澤信道・綱本逸雄・宮本水文 (2010) 日本列島におけるスギの分布状況と針葉の形態変化について. 京都女子大学宗教・文化研究所研究紀要23 {{hdl|11173/1936}}</ref>、花粉重量<ref>齋藤秀樹・竹岡政治 (1987) 裏日本系スギ林の生殖器官生産量および花粉と種子生産の関係. 日本生態学会誌37(3), pp. 183 - 185. {{doi|10.18960/seitai.37.3_183}}</ref>など様々な違い<ref>遠山富太郎 (1960) オモテスギとウラスギについて. 島根農科大学研究報告8, pp. 141 - 149. {{naid|120005584288}}</ref>
+
針葉の形状以外では樹形、樹冠の形状、葉横断面の形状<ref>高桑進・米澤信道・綱本逸雄・宮本水文 (2010) 日本列島におけるスギの分布状況と針葉の形態変化について. 京都女子大学宗教・文化研究所研究紀要23 hdl:11173/1936</ref>、花粉重量<ref>齋藤秀樹・竹岡政治 (1987) 裏日本系スギ林の生殖器官生産量および花粉と種子生産の関係. 日本生態学会誌37(3), pp. 183 - 185. doi:10.18960/seitai.37.3_183</ref>など様々な違い<ref>遠山富太郎 (1960) オモテスギとウラスギについて. 島根農科大学研究報告8, pp. 141 - 149. naid:120005584288</ref>が指摘されている。また、後述のように生態面の違いも指摘されている。両者に現れる様々な形態の違いは日本海側の多雪環境に適応したものと解釈されることが多い。
が指摘されている。また、後述のように生態面の違いも指摘されている。両者に現れる様々な形態の違いは日本海側の多雪環境に適応したものと解釈されることが多い。
 
  
深根性であり、根を深くまで伸ばす<ref>苅住昇一『樹木根系図鑑』誠文堂新光社、1979年</ref>。根系直径10[[ミリメートル]] (mm) の引き抜き抵抗力は、スギ、ヒノキと広葉樹(ナラ類)は100kgf程度、アカマツはその半分、カラマツは4割程度であり、スギは土砂災害に強い森林づくりに好ましい<ref name="nagano-ringyo">{{Cite web |date=2002-05-01 |url=http://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/seika/gijyutsu/documents/126-1.pdf |title=土砂災害に強い森林づくりに向けて |format=PDF |page=2 |publisher=[[長野県]] |author=信州大学農学部森林科学科教授 北原曜 |accessdate=2016-03-12 |deadlinkdate= }}</ref>。しかし、植林するスギやヒノキの苗は挿し木によるクローン栽培が多く、{{要出典|範囲=挿し木は地中深くに伸びる直根が出てこないため(種から生産する[[実生]]苗には直根がある)、台風や大雨などによって簡単に倒れやすい|date=2016年3月}}。20世紀末頃からスギ山林の土砂崩れが多く聞かれるようになったことで、スギは根が浅いとの風説が語られるようになったが、これは戦後復興期から高度成長期にかけての木材供給不足時代に、元来崩れやすい急斜面や岩層上の表土が薄い箇所にまで植林を行ったことが原因であるともいわれる。
+
深根性であり、根を深くまで伸ばす<ref>苅住昇一『樹木根系図鑑』誠文堂新光社、1979年</ref>。根系直径10mmの引き抜き抵抗力は、スギ、ヒノキと広葉樹(ナラ類)は100kgf程度、アカマツはその半分、カラマツは4割程度であり、スギは土砂災害に強い森林づくりに好ましい<ref name="nagano-ringyo">2002-05-01, http://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/seika/gijyutsu/documents/126-1.pdf, 土砂災害に強い森林づくりに向けて, page2, 長野県, 信州大学農学部森林科学科教授 北原曜, 2016-03-12</ref>。しかし、植林するスギやヒノキの苗は挿し木によるクローン栽培が多く、<sup>''(要出典、挿し木は地中深くに伸びる直根が出てこないため(種から生産する実生苗には直根がある)、台風や大雨などによって簡単に倒れやすい、2016年3月)''</sup>。20世紀末頃からスギ山林の土砂崩れが多く聞かれるようになったことで、スギは根が浅いとの風説が語られるようになったが、これは戦後復興期から高度成長期にかけての木材供給不足時代に、元来崩れやすい急斜面や岩層上の表土が薄い箇所にまで植林を行ったことが原因であるともいわれる。
  
 
== 生態 ==
 
== 生態 ==
スギは常緑樹であるが、一般に葉の色は常に緑ではなく冬季には葉の色が赤褐色に変化し{{sfn|田中潔|2011|p=108}}、春には緑に戻るということを繰り返す。これは[[ロドキサンチン]]という色素によるものだとされており、[[光合成]]機能が低下する低温条件下で太陽光による障害(光阻害)を防ぐ効果があると見られている<ref>向井譲 (2004) 低温条件下で樹木が受ける光ストレスとその防御機能. 日本林学会誌86(1), pp. 48 - 53. {{doi|10.11519/jjfs1953.86.1_48}}</ref>。このような低温条件下での光阻害とその対応が種の分布を決める一因となっているとして、高山帯に分布する[[マツ科]]や[[ツツジ科]]を中心に研究が進んでいるという<ref>丸田恵美子・中野隆志 (1999) 中部山岳地域の亜高山帯針葉樹と環境ストレス (<特集>中部山岳地域の高山・亜高山帯における植物群落の現状と将来). 日本生態学会誌49(3), pp. 293 - 300. {{doi|10.18960/seitai.49.3_293}}</ref><ref>宇梶徳史・原登志彦 (2007) Expressed sequence tags (EST)から見た樹木の越冬戦略. 日本生態学会誌57(1), pp. 89 - 99. {{doi|10.18960/seitai.57.1_89}}</ref>。なお、スギの針葉の変色については冬でも変化せず緑色を保つものや、黄白色に変色するものなども知られる。緑色のままのものや黄白色に変化するという[[形質]]は赤褐色に変化するものに対して劣性形質であるとされる<ref>大庭喜八郎 (1972) メアサ,キリシマメアサおよびアオスギのミドリスギ劣性遺伝子. 日本林学会誌54(1), pp. 1 - 5. {{doi|10.11519/jjfs1953.54.1_1}}</ref>
+
スギは常緑樹であるが、一般に葉の色は常に緑ではなく冬季には葉の色が赤褐色に変化し<ref>田中潔, 2011, p108</ref>、春には緑に戻るということを繰り返す。これはロドキサンチンという色素によるものだとされており、光合成機能が低下する低温条件下で太陽光による障害(光阻害)を防ぐ効果があると見られている<ref>向井譲 (2004) 低温条件下で樹木が受ける光ストレスとその防御機能. 日本林学会誌86(1), pp. 48 - 53. doi:10.11519/jjfs1953.86.1_48</ref>。このような低温条件下での光阻害とその対応が種の分布を決める一因となっているとして、高山帯に分布するマツ科やツツジ科を中心に研究が進んでいるという<ref>丸田恵美子・中野隆志 (1999) 中部山岳地域の亜高山帯針葉樹と環境ストレス (<特集>中部山岳地域の高山・亜高山帯における植物群落の現状と将来). 日本生態学会誌49(3), pp. 293 - 300. doi:10.18960/seitai.49.3_293</ref><ref>宇梶徳史・原登志彦 (2007) Expressed sequence tags (EST)から見た樹木の越冬戦略. 日本生態学会誌57(1), pp. 89 - 99. doi:10.18960/seitai.57.1_89</ref>。なお、スギの針葉の変色については冬でも変化せず緑色を保つものや、黄白色に変色するものなども知られる。緑色のままのものや黄白色に変化するという[[形質]]は赤褐色に変化するものに対して劣性形質であるとされる<ref>大庭喜八郎 (1972) メアサ,キリシマメアサおよびアオスギのミドリスギ劣性遺伝子. 日本林学会誌54(1), pp. 1 - 5. doi:10.11519/jjfs1953.54.1_1</ref>
  
スギの[[根]]は[[菌類]]と共生し[[菌根]](mycorrhiza)を形成している。スギが形成する菌根は草本植物や熱帯の樹木に多いといわれる[[アーバスキュラー菌根]](arbuscular mycorrhiza, AM)と呼ばれるもので、温帯域で繁栄しているマツ科針葉樹や[[ブナ科]]広葉樹が形成する外生菌根(ectomycorrhiza)とは異なるものである。同一個体における菌根菌への感染率は季節を通じて常に一定ではなく変動があるという<ref>畑邦彦・木本遼太郎・曽根晃一 (2018) スギ成木および実生におけるアーバスキュラー菌根菌の感染率の季節変化. 日本林学会誌100(1), pp. 3 - 7. {{doi|10.4005/jjfs.100.3}}</ref>。マツ科針葉樹ではしばしば[[アレロパシー]](他感作用)を持ちほかの植物の生育を阻害しているする報告がしばしばある<ref>Il Koo LEE, Masami MONSI. (1963) Ecological Studies on ''Pinus densiflora'' Forest 1 -Effects of Plant Substances on the Floristic Composition of the Undergrowth-.  The Botanical Society of Japan 76(905), pp. 400 - 413. {{doi|10.15281/jplantres1887.76.400}}</ref><ref>高橋輝昌・鷲辺章宏・浅野義人・小林達明, (1998) 木本類における他感作用. ランドスケープ研究62(5), pp. 525 - 528. {{doi|10.5632/jila.62.525}} </ref>が、スギでは特に知られていない。ただし、スギが混交するブナ科森林では[[外菌根|外生菌根]]を形成する菌根菌の種類が減少するという報告がある<ref>岡部宏秋,(1994) 外生菌根菌の生活様式(共生土壌菌類と植物の生育). 土と微生物24, pp. 15 - 24.{{doi|10.18946/jssm.44.0_15}}</ref>
+
スギの根は菌類と共生し菌根(mycorrhiza)を形成している。スギが形成する菌根は草本植物や熱帯の樹木に多いといわれるアーバスキュラー菌根(arbuscular mycorrhiza, AM)と呼ばれるもので、温帯域で繁栄しているマツ科針葉樹やブナ科広葉樹が形成する外生菌根(ectomycorrhiza)とは異なるものである。同一個体における菌根菌への感染率は季節を通じて常に一定ではなく変動があるという<ref>畑邦彦・木本遼太郎・曽根晃一 (2018) スギ成木および実生におけるアーバスキュラー菌根菌の感染率の季節変化. 日本林学会誌100(1), pp. 3 - 7. doi:10.4005/jjfs.100.3</ref>。マツ科針葉樹ではしばしばアレロパシー(他感作用)を持ちほかの植物の生育を阻害しているする報告がしばしばある<ref>Il Koo LEE, Masami MONSI. (1963) Ecological Studies on ''Pinus densiflora'' Forest 1 -Effects of Plant Substances on the Floristic Composition of the Undergrowth-.  The Botanical Society of Japan 76(905), pp. 400 - 413. doi:10.15281/jplantres1887.76.400</ref><ref>高橋輝昌・鷲辺章宏・浅野義人・小林達明, (1998) 木本類における他感作用. ランドスケープ研究62(5), pp. 525 - 528. doi:10.5632/jila.62.525</ref>が、スギでは特に知られていない。ただし、スギが混交するブナ科森林では外生菌根を形成する菌根菌の種類が減少するという報告がある<ref>岡部宏秋,(1994) 外生菌根菌の生活様式(共生土壌菌類と植物の生育). 土と微生物24, pp. 15 - 24.doi:10.18946/jssm.44.0_15</ref>
スギが植えられた場所は[[カルシウム]]などの塩基が蓄積し土壌は塩基性に傾くという<ref>澤田智志・加藤秀正 (1991) スギおよびヒノキ林の林齢と土壌中の塩基の蓄積との関係. 日本土壌肥料学雑誌62(1), pp. 49 - 58. {{doi|10.20710/dojo.62.1_49}}</ref>。
 
  
スギは雪に強いのも生態的な特徴の一つになっている。特に多雪環境で進化したウラスギの系統は[[ブナ]](''Fagus crenata'')と並び日本のの樹木では最も多雪環境に対応したものの一つとされる<ref> 酒井昭 (1977) 植物の積雪に対する適応. 低温科学生物編34, pp. 47 - 78. {{hdl|2115/17828}}</ref>。更新は種子によるものの他に枝が接地したところから発根し個体を増やす[[取り木]]的な伏条更新を取ることで知られ、特にウラスギ系統は伏条更新の報告が多い<ref>平英彰, (1994) タテヤマスギの更新形態について. 日本林学会誌76(6), pp. 547 - 552. {{doi|10.11519/jjfs1953.76.6_547}}</ref><ref>川尻秀樹・安江保民・大橋英雄・中川一 (1989) 岐阜県板取村のカブスギ集団の実態. 日本林学会誌71(5), pp. 204 - 208. {{doi|10.11519/jjfs1953.71.5_204}}</ref>。これも多雪環境に対する適応とみられる。その反面冬季の低温と乾燥に対し日本海側のスギは太平洋側のものよりも弱いことが指摘されている<ref>武藤惇・堀内孝雄 (1974)スギ種子産地と寒害抵抗性. 日本林学会誌56(6), pp. 210 - 215. {{doi|10.11519/jjfs1953.56.6_210}}</ref>。多雪に適応するが乾燥や低温に弱く分布が限られるという事例はほかの植物であっても[[ユキツバキ]](''Camellia rusticana'')と[[ヤブツバキ]](''C. japonica'')の関係<ref>石沢進 (1985) 植物の分布と積雪―新潟県およびその周辺地域について―. 芝草研究14(1), pp. 10 - 23. {{doi|10.11275/turfgrass1972.14.10}}</ref>、[[ブナ属]]と[[コナラ属]]の関係<ref>[[中静透]] (2003) 冷温帯林の背腹性と中間温帯論. 植生史研究11(2), pp. 39 - 43. {{doi|10.34596/hisbot.11.2_39}}</ref>などでもしばしば指摘される。
+
スギが植えられた場所はカルシウムなどの塩基が蓄積し土壌は塩基性に傾くという<ref>澤田智志・加藤秀正 (1991) スギおよびヒノキ林の林齢と土壌中の塩基の蓄積との関係. 日本土壌肥料学雑誌62(1), pp. 49 - 58. doi:10.20710/dojo.62.1_49</ref>
  
土壌の表層があるような個所では実生の定着が悪く、秋までにほとんど死滅してしまうという<ref>冨沢日出夫・丸山幸平 (1993) 佐渡島のスギ天然林における実生更新の可能性. 日本林学会誌75(5), pp. 460 - 462, {{doi|10.11519/jjfs1953.75.5_460}}</ref>。特に屋久島や積雪地の個体群では実生の生存には倒木の存在が重要であることがしばしば指摘され<ref>Eizi SUZUKI (1996) The dynamics of old ''Cryptomeria japonica'' forest on Yakushima Island. Tropics 6(4), pp. 421 - 428. {{doi|10.3759/tropics.6.421}}</ref><ref>太田敬之・杉田久志・金指達郎・正木隆 (2015) スギ天然生林におけるスギ実生の分布と生存―出現基質間の比較―. 日本森林学会誌.97(1), pp. 10 - 18. {{doi|10.4005/jjfs.97.10}}</ref>、実生で更新する場合はいわゆる[[倒木更新]](nurse log)・切株更新を採る樹種であると見られている。
+
スギは雪に強いのも生態的な特徴の一つになっている。特に多雪環境で進化したウラスギの系統は[[ブナ]](''Fagus crenata'')と並び日本のの樹木では最も多雪環境に対応したものの一つとされる<ref> 酒井昭 (1977) 植物の積雪に対する適応. 低温科学生物編34, pp. 47 - 78. hdl:2115/17828</ref>。更新は種子によるものの他に枝が接地したところから発根し個体を増やす取り木的な伏条更新を取ることで知られ、特にウラスギ系統は伏条更新の報告が多い<ref>平英彰, (1994) タテヤマスギの更新形態について. 日本林学会誌76(6), pp. 547 - 552. doi:10.11519/jjfs1953.76.6_547</ref><ref>川尻秀樹・安江保民・大橋英雄・中川一 (1989) 岐阜県板取村のカブスギ集団の実態. 日本林学会誌71(5), pp. 204 - 208. doi:10.11519/jjfs1953.71.5_204</ref>。これも多雪環境に対する適応とみられる。その反面冬季の低温と乾燥に対し日本海側のスギは太平洋側のものよりも弱いことが指摘されている<ref>武藤惇・堀内孝雄 (1974)スギ種子産地と寒害抵抗性. 日本林学会誌56(6), pp. 210 - 215. doi:10.11519/jjfs1953.56.6_210</ref>。多雪に適応するが乾燥や低温に弱く分布が限られるという事例はほかの植物であっても[[ユキツバキ]](''Camellia rusticana'')と[[ヤブツバキ]](''C. japonica'')の関係<ref>石沢進 (1985) 植物の分布と積雪―新潟県およびその周辺地域について―. 芝草研究14(1), pp. 10 - 23. doi:10.11275/turfgrass1972.14.10</ref>、ブナ属とコナラ属の関係<ref>中静透 (2003) 冷温帯林の背腹性と中間温帯論. 植生史研究11(2), pp. 39 - 43. doi:10.34596/hisbot.11.2_39</ref>などでもしばしば指摘される。
  
人工的には[[挿し木]]で増やすことも比較的容易とされておりスギの林業が盛んな地域は苗木生産の方法として実生によるものが盛んな地域と挿し木が盛んな地域に二分される。さし穂の発根率や生存率は品種によって異なる<ref>榎本善夫 (1949) 挿スギに見られた根及び癒傷組織発達の林業品種による差異に就いて. 東京大学農学部演習林報告37, pp. 11 - 18. {{hdl|2261/23336}}</ref><ref>宮島寛 (1951) スギの挿木に於ける発根と品種との関係に就て. 九州大學農學部學藝雜誌13(1/4) p.277-281. {{doi|10.15017/21238}}</ref>。発根困難種でも薬剤処理によってある程度改善されるという<ref>石川広隆・田中郁太郎 (1970) 発根困難なスギ精英樹のさし木に及ぼすインドール酪酸の効果. 日本林学会誌52(3), pp. 99 - 101. {{doi|10.11519/jjfs1953.52.3_99}}</ref><ref>大山浪雄・上中久子 (1970) 発根困難なスギ,ヒノキの精英樹のさし木に対するエクベロン(インドール酪酸)の効果. 日本林学会誌52(12), pp. 374 - 376. {{doi|10.11519/jjfs1953.52.12_374}}</ref>
+
土壌の表層があるような個所では実生の定着が悪く、秋までにほとんど死滅してしまうという<ref>冨沢日出夫・丸山幸平 (1993) 佐渡島のスギ天然林における実生更新の可能性. 日本林学会誌75(5), pp. 460 - 462, {{doi|10.11519/jjfs1953.75.5_460}}</ref>。特に屋久島や積雪地の個体群では実生の生存には倒木の存在が重要であることがしばしば指摘され<ref>Eizi SUZUKI (1996) The dynamics of old ''Cryptomeria japonica'' forest on Yakushima Island. Tropics 6(4), pp. 421 - 428. doi:10.3759/tropics.6.421</ref><ref>太田敬之・杉田久志・金指達郎・正木隆 (2015) スギ天然生林におけるスギ実生の分布と生存―出現基質間の比較―. 日本森林学会誌.97(1), pp. 10 - 18. doi:10.4005/jjfs.97.10</ref>、実生で更新する場合はいわゆる倒木更新(nurse log)・切株更新を採る樹種であると見られている。
。また、挿し床や挿し穂切り口付近の加温で発根率が向上するという報告がある<ref>阿部正博・今井元政・島田一美 (1957) 電熱温床によるスギ老令樹さし木試験. 日本林学会誌39(6), pp. 245 - 248. {{doi|10.11519/jjfs1953.39.6_245}}</ref><ref>武田英文 (1971) 伝熱温床による秋田スギさし木試験(会員研究発表講演). 日本林學會北海道支部講演集19, pp. 99 - 102. {{doi|10.24494/jfshc.19.0_99}}</ref>。
 
挿し木苗と実生苗では特に初期の成長に差が出ることがしばしば指摘されており、実生苗の方が成長が良いというものが多い。成長の差から積雪地では挿し木苗が不利であるとするものもある<ref>宮下智弘 (2007) 多雪地帯に植栽されたスギ挿し木苗と実生苗の幼齢期における成育特性の比較. 日本森林学会誌89(6), pp. 369 - 373, {{doi|10.4005/jjfs.89.369}}</ref>。挿し木林業が盛んなところは九州や千葉県など比較的雪の少ない所に多い。
 
  
耐塩性については品種、及び樹齢によって異なるとされる<ref>青木正則・石川春彦 (1971) スギ品種の耐塩性の差異について. 日本林学会誌53(4), pp. 108 - 112. {{doi|10.11519/jjfs1953.53.4_108}}</ref>。
+
人工的には挿し木で増やすことも比較的容易とされておりスギの林業が盛んな地域は苗木生産の方法として実生によるものが盛んな地域と挿し木が盛んな地域に二分される。さし穂の発根率や生存率は品種によって異なる<ref>榎本善夫 (1949) 挿スギに見られた根及び癒傷組織発達の林業品種による差異に就いて. 東京大学農学部演習林報告37, pp. 11 - 18. hdl:2261/23336</ref><ref>宮島寛 (1951) スギの挿木に於ける発根と品種との関係に就て. 九州大學農學部學藝雜誌13(1/4) p.277-281. doi:10.15017/21238</ref>。発根困難種でも薬剤処理によってある程度改善されるという<ref>石川広隆・田中郁太郎 (1970) 発根困難なスギ精英樹のさし木に及ぼすインドール酪酸の効果. 日本林学会誌52(3), pp. 99 - 101. doi:10.11519/jjfs1953.52.3_99</ref><ref>大山浪雄・上中久子 (1970) 発根困難なスギ,ヒノキの精英樹のさし木に対するエクベロン(インドール酪酸)の効果. 日本林学会誌52(12), pp. 374 - 376. doi:10.11519/jjfs1953.52.12_374</ref>。また、挿し床や挿し穂切り口付近の加温で発根率が向上するという報告がある<ref>阿部正博・今井元政・島田一美 (1957) 電熱温床によるスギ老令樹さし木試験. 日本林学会誌39(6), pp. 245 - 248. doi:10.11519/jjfs1953.39.6_245</ref><ref>武田英文 (1971) 伝熱温床による秋田スギさし木試験(会員研究発表講演). 日本林學會北海道支部講演集19, pp. 99 - 102. doi:10.24494/jfshc.19.0_99</ref>。
 +
挿し木苗と実生苗では特に初期の成長に差が出ることがしばしば指摘されており、実生苗の方が成長が良いというものが多い。成長の差から積雪地では挿し木苗が不利であるとするものもある<ref>宮下智弘 (2007) 多雪地帯に植栽されたスギ挿し木苗と実生苗の幼齢期における成育特性の比較. 日本森林学会誌89(6), pp. 369 - 373, doi:10.4005/jjfs.89.369</ref>。挿し木林業が盛んなところは九州や千葉県など比較的雪の少ない所に多い。
  
スギの葉を好んで食べる昆虫はあまり知られていないが、[[スギドクガ]](''Calliteara argentata'')の幼虫が時に大発生し被害が大きい場合は成木でも枯死に至ることがあるという<ref>古野東洲・中井勇・里見武志 (1993)スギドクガに食害されたスギの生育. 日本林学会関西支部論文集2, pp. 193 - 196. {{doi|10.20660/safskansai.2.0_193}}</ref>。スギドクガは新葉より旧葉を好んで食べるという<ref>柴田叡弌・西口陽康 (1980) 大発生時のスギドクガ幼虫密度と被害葉量について. 日本林学会誌60(2), pp. 398 - 401. {{doi|10.11519/jjfs1953.62.10_398}}</ref>。シカやウサギなどもスギの葉を食べ、特に苗木に関しては問題になる。クマやシカが樹皮をはいでしまうことがある。
+
耐塩性については品種、及び樹齢によって異なるとされる<ref>青木正則・石川春彦 (1971) スギ品種の耐塩性の差異について. 日本林学会誌53(4), pp. 108 - 112. doi:10.11519/jjfs1953.53.4_108</ref>
  
スギは長寿の樹木である。寿命について[[屋久島]]に存在する[[縄文杉]]が樹齢7200年という説がしばしばいわれるが{{sfn|辻井達一|1995|p=44}}、縄文杉は中心部分が腐って消失しており年輪による測定ができないために推定値に留まる。
+
スギの葉を好んで食べる昆虫はあまり知られていないが、スギドクガ(''Calliteara argentata'')の幼虫が時に大発生し被害が大きい場合は成木でも枯死に至ることがあるという<ref>古野東洲・中井勇・里見武志 (1993)スギドクガに食害されたスギの生育. 日本林学会関西支部論文集2, pp. 193 - 196. doi:10.20660/safskansai.2.0_193</ref>。スギドクガは新葉より旧葉を好んで食べるという<ref>柴田叡弌・西口陽康 (1980) 大発生時のスギドクガ幼虫密度と被害葉量について. 日本林学会誌60(2), pp. 398 - 401. doi:10.11519/jjfs1953.62.10_398</ref>。'''シカやウサギなどもスギの葉を食べ'''、特に苗木に関しては問題になる。クマやシカが樹皮をはいでしまうことがある。
  
<gallery>
+
スギは長寿の樹木である。寿命について屋久島に存在する縄文杉が樹齢7200年という説がしばしばいわれるが<ref>辻井達一, 1995, p44</ref>、縄文杉は中心部分が腐って消失しており年輪による測定ができないために推定値に留まる。
Cryptomeria japonica seedling in early spring.jpg|冬季は褐色に変色するスギの葉
 
Swamps in Kitayama Sugi forestry in Seryō ravine 06.jpg|沢沿いに成立したスギ林
 
New breed Dai Sugi 01.jpg|[[萌芽更新]]能力を活かした京都の「台杉」林業
 
Kazo Aino River Natural Levee And Riparian Dune 2.JPG|参考:アカマツ林の林床。アレロパシーがあるとされ林床に植生が乏しい
 
Arbuscular mycorrhiza microscope.jpg|アーバスキュラー菌根
 
Positive effects of arbuscular mycorrhizal (AM) colonization.png|アーバスキュラー菌根による効果の模式図
 
</gallery>
 
  
スギは[[風媒花]]で、3 - 4月の開花期は大量の[[花粉]]を飛散させる{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=286}}。スギ花粉が長距離を飛ぶために遠くの産地のものを植えることは天然林の遺伝子汚染を引き起こしやすいとされる<ref>津村義彦(2012)日本の森林樹木の地理的遺伝構造(1)スギ(ヒノキ科スギ属). 森林遺伝育種1(1), pp. 17 - 22 {{doi|10.32135/fgtb.1.1_17}}</ref>。
+
スギは風媒花で、3 - 4月の開花期は大量の花粉を飛散させる<ref>平野隆久監修 永岡書店編, 1997, p286</ref>。スギ花粉が長距離を飛ぶために遠くの産地のものを植えることは天然林の遺伝子汚染を引き起こしやすいとされる<ref>津村義彦(2012)日本の森林樹木の地理的遺伝構造(1)スギ(ヒノキ科スギ属). 森林遺伝育種1(1), pp. 17 - 22 doi:10.32135/fgtb.1.1_17</ref>。
  
人工林においては過密に植えられた後、十分な間伐をせずに放置されたものも多い。理由としては商業用の需要の低下や材木としての搬出が困難な場合等による価値の低下によるコストの増加等が上げられる。この場合、密に広がった[[樹冠]]で光が遮られ、林床にはほとんどの植物が生存できなくなる。このような森林は遠目には緑に覆われているものの、実態は生物多様性に乏しいことから「[[緑の砂漠]]」などと呼ばれたりする。密に植えられているため他の樹種が容易に侵入できず、そのままの状態となりやすい(ただし竹は侵入する)。
+
人工林においては過密に植えられた後、十分な間伐をせずに放置されたものも多い。理由としては商業用の需要の低下や材木としての搬出が困難な場合等による価値の低下によるコストの増加等が上げられる。この場合、密に広がった樹冠で光が遮られ、林床にはほとんどの植物が生存できなくなる。このような森林は遠目には緑に覆われているものの、実態は生物多様性に乏しいことから「緑の砂漠」などと呼ばれたりする。密に植えられているため他の樹種が容易に侵入できず、そのままの状態となりやすい(ただし竹は侵入する)。
  
 
=== 赤枯病と溝腐病 ===
 
=== 赤枯病と溝腐病 ===
赤枯病とそれに引き続いて発生する[[杉の溝腐病|溝腐病]]はスギの重要な病害である。溝腐病は致命的ではないものの、病変部に著しい変形をもたらすために、木材としての価値を著しく落とす。''Cercospora sequoiae''が関与しない溝腐病も報告されており、非赤枯性溝腐病と呼ばれる。原因菌は''Phellinus punctatus''であり、[[千葉県]]特産の山武杉が特に感受性の強いことで知られている{{要出典|date=2012年1月|}}
+
赤枯病とそれに引き続いて発生する[[杉の溝腐病|溝腐病]]はスギの重要な病害である。溝腐病は致命的ではないものの、病変部に著しい変形をもたらすために、木材としての価値を著しく落とす。''Cercospora sequoiae''が関与しない溝腐病も報告されており、非赤枯性溝腐病と呼ばれる。原因菌は''Phellinus punctatus''であり、千葉県特産の山武杉が特に感受性の強いことで知られている<sup>''(要出典、2012年1月)''</sup>
  
 
=== カミキリムシ ===
 
=== カミキリムシ ===
スギには何種類かのカミキリムシがつき、特にその幼虫が木材を食べることで知られている。その中でも特に2種、スギカミキリ(''Semanotus japonicus'')とスギノアカネトラカミキリ(''Anaglyptus subfasciatus'')は著しい材質低下をもたらし林業的に害虫と知られていることから、生態や対策が特に研究されている<ref>柴田 叡弌 (2002) スギカミキリのスギ樹幹利用様式(<特集>穿孔性昆虫の樹幹利用様式). 日本生態学会誌52(1), pp. 59 - 62. {{doi|10.18960/seitai.52.1_59}}</ref><ref>伊藤賢介 (2002) スギカミキリに対するスギの抵抗性反応(<特集>穿孔性昆虫の樹幹利用様式) . 日本生態学会誌52(1), pp. 63 - 68. {{doi|10.18960/seitai.52.1_63}}</ref><ref>斎藤諦 (1960) “とびくされ”に開係のある3種のカミキリムシ. 日本林学会誌42(12), pp. 454 - 457. {{doi| 10.11519/jjfs1953.42.12_454}}</ref>
+
スギには何種類かのカミキリムシがつき、特にその幼虫が木材を食べることで知られている。その中でも特に2種、スギカミキリ(''Semanotus japonicus'')とスギノアカネトラカミキリ(''Anaglyptus subfasciatus'')は著しい材質低下をもたらし林業的に害虫と知られていることから、生態や対策が特に研究されている<ref>柴田 叡弌 (2002) スギカミキリのスギ樹幹利用様式(<特集>穿孔性昆虫の樹幹利用様式). 日本生態学会誌52(1), pp. 59 - 62. doi:10.18960/seitai.52.1_59</ref><ref>伊藤賢介 (2002) スギカミキリに対するスギの抵抗性反応(<特集>穿孔性昆虫の樹幹利用様式) . 日本生態学会誌52(1), pp. 63 - 68. doi:10.18960/seitai.52.1_63</ref><ref>斎藤諦 (1960) “とびくされ”に開係のある3種のカミキリムシ. 日本林学会誌42(12), pp. 454 - 457. doi: 10.11519/jjfs1953.42.12_454</ref>
  
スギノアカネトラカミキリはスギでは尾根筋に生える個体が被害を受けやすく、逆にヒノキでは谷筋に生えるものが被害を受けるという<ref>長島啓子・土田遼太・岡本宏之・高田研一・田中和博 (2014) 三重県大台町におけるスギノアカネトラカミキリ被害と立地環境および成長との関係―立地環境に基づく林業適地の抽出にむけて―. 日本森林学会誌96(6), pp. 308 - 314. {{doi|10.4005/jjfs.96.308}}</ref>
+
スギノアカネトラカミキリはスギでは尾根筋に生える個体が被害を受けやすく、逆にヒノキでは谷筋に生えるものが被害を受けるという<ref>長島啓子・土田遼太・岡本宏之・高田研一・田中和博 (2014) 三重県大台町におけるスギノアカネトラカミキリ被害と立地環境および成長との関係―立地環境に基づく林業適地の抽出にむけて―. 日本森林学会誌96(6), pp. 308 - 314. doi:10.4005/jjfs.96.308</ref>
  
 
== 人間との関係 ==
 
== 人間との関係 ==
87行目: 78行目:
  
 
=== スギ人工林と分収林 ===
 
=== スギ人工林と分収林 ===
{{main|分収林}}
 
 
日本における[[人工林]]は、スギとヒノキの2樹種だけで造営面積全体の約65%を占めており、スギが450万[[ヘクタール]] (ha) で最も多く、造林面積の40%を占め、県別では秋田県が1位である{{sfn|田中潔|2011|p=108}}。トドマツとカラマツが人工林の主力樹種の北海道でも、[[道南]]の[[渡島半島]]では「道南スギ」が広く植栽され主力樹種となっている<ref>{{Cite web|url=https://www.woodplaza.or.jp/information/dounansugi.pdf|title=道南スギの利用促進に向けた検討会報告書|accessdate=2022年6月16日|publisher=北海道林業・木材産業対策協議会}}</ref>。日本の[[林業]]を支えてきた樹種であり、ヒノキよりもスギのほうが山地の中腹以下で湿った場所が生育に適し、生長量も多く経済的に有利であるなど、その他さまざまな理由でスギ人工林が増えていった{{sfn|田中潔|2011|p=108}}。スギは春に大量の花粉を生産して風に乗せて飛散することから{{sfn|田中潔|2011|p=108}}、日本で起こる[[花粉症]]の原因植物の筆頭に挙げられている。スギの人工林では、よい材を育てるために、過密林を避けて成木の間引きが行われ、これを「間伐林」という{{sfn|田中潔|2011|p=109}}。
 
日本における[[人工林]]は、スギとヒノキの2樹種だけで造営面積全体の約65%を占めており、スギが450万[[ヘクタール]] (ha) で最も多く、造林面積の40%を占め、県別では秋田県が1位である{{sfn|田中潔|2011|p=108}}。トドマツとカラマツが人工林の主力樹種の北海道でも、[[道南]]の[[渡島半島]]では「道南スギ」が広く植栽され主力樹種となっている<ref>{{Cite web|url=https://www.woodplaza.or.jp/information/dounansugi.pdf|title=道南スギの利用促進に向けた検討会報告書|accessdate=2022年6月16日|publisher=北海道林業・木材産業対策協議会}}</ref>。日本の[[林業]]を支えてきた樹種であり、ヒノキよりもスギのほうが山地の中腹以下で湿った場所が生育に適し、生長量も多く経済的に有利であるなど、その他さまざまな理由でスギ人工林が増えていった{{sfn|田中潔|2011|p=108}}。スギは春に大量の花粉を生産して風に乗せて飛散することから{{sfn|田中潔|2011|p=108}}、日本で起こる[[花粉症]]の原因植物の筆頭に挙げられている。スギの人工林では、よい材を育てるために、過密林を避けて成木の間引きが行われ、これを「間伐林」という{{sfn|田中潔|2011|p=109}}。
  

2022年11月29日 (火) 00:22時点における最新版

スギ(学名: Cryptomeria japonica)は、ヒノキ科スギ亜科スギ属で常緑針葉樹である。主に本州以南の山地に生え、広く植林されている。

名前と分類[編集]

スギの名の由来は、真直ぐの木「直木」から来ていると言われる(大和本草)。本居宣長は古事記伝神代七之巻にて、スギは傍らにはびこらず上へ進み上る木として「進木(ススギ)」が語源としており、「直木(スグキ)」は誤りであるとしている。漢字の「杉」は、日本ではスギのことを指すが、中国ではコウヨウザンのことを指す。中国では日本の杉の仲間を「柳杉」と呼ぶ。他にも「椙」の字の表記がある。「椙」はいわゆる国字であり、日本でしか通じない。太平洋側に産するものを「オモテスギ」、日本海側に産するものを「ウラスギ」と呼んで区別することがある[1]

本種は単型であり、本種のみでスギ属 (Cryptomeria属) を形成する。科はヒノキ科に属する。ヒノキ科は中生代に登場した起源の古い植物群で、現在は日本のスギの他、アメリカ大陸のセコイア Sequoia sempervirens、中国のメタセコイア Metasequoia glyptostroboides、コウヨウザン Cunninghamia lanceolata などが遺存的に分布している。

代表的な針葉樹として分類的にスギに近縁ではないものまでスギと名付けられることがしばしば見られる。たとえばレバノンスギ (Cedrus libani)、ヒマラヤスギ (C. deodara)はスギの名前がついているもののヒノキ科ではなくマツ科に属する。また、バラ目のアズキナシをカタスギと呼ぶこともある[2]

分布[編集]

本州(青森県)から、四国、九州の屋久島まで分布し、主に山地に自生する[3][4]。また北海道各地にも広く造林されていて、植林の北限は日本海沿岸の羽幌にある[5]。古くから植林されており、日本の造林面積としては最も広い樹種である[6]。沢沿いなど比較的水分と栄養分に富む環境を好む傾向があり、植林の際にも谷間はスギ、中腹はヒノキサワラ、尾根筋はマツと植え分けられる。

堆積物中の花粉化石の調査結果によれば、日本列島は氷期にマツ類が卓越した時期を除けば、おおむねスギ林が分布していたことが判明している。特に気候が温暖化し始めた1万年前頃から伊豆半島周辺域や日本海側でスギ林が繁茂し始め、2000年 - 1500年前にはスギ花粉の出現率は70%を超えるほどの繁栄期を迎えていた[7]

中国浙江省の天目山に分布するヤナギスギCryptomeria fortunei が日本のスギと同種であるという研究もある[8]。スギの変種の一つカワイスギCryptomeria japonica var. sinensisともされる[9][10]

第二次世界大戦以前には台湾と朝鮮半島で植林されていたが、戦後はアゾレス諸島、レユニオン島、インド、ネパールで植林が続けられており、主に木材や防風林として利用されている[11][12]

形態[編集]

常緑針葉樹の高木[13]。最大樹高は60 (m) 近くに達する[14]。典型的には明瞭な主幹を持ち樹形は円錐形、ただし株立ちするものもある。樹形はふつう細長く直立し、高さ50 mに達するものもあるが、生育条件などによっては幹が太くなる。屋久島の縄文杉は樹高25.3 m、胸高周囲16.4 mに達し、推定樹齢は2000 - 7200年とされている[15]

また大王杉は樹高24.7 m、胸高周囲11.1 m、推定樹齢3000年とされている[15]

樹皮は赤褐色で、成長した幹の樹皮は縦に長く裂け、帯状に剥げやすい[16][17]。若枝は褐色で無毛である[18]

雌雄同株。3月から4月に開花する[19]。雄花は長さ5(mm) くらいの楕円形で前年の枝先に密生する[20]。雌花はほぼ球形で鱗片が密着し表面に小さな棘が出る。果期は10月[21]。雄花の冬芽は楕円形の裸芽で、枝先に多数つく[22]。雌花の冬芽は球形で多数の鱗片に包まれ、1個ずつつく<ef>鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文, 2014, p245</ref>。

葉は基部が枝に密着してらせんを描いてつき、葉身は先端が尖った鎌状の針形で[23]、枝全体としては一面に上向きの針を並べたようになる。表日本(太平洋側)に分布する個体群と裏日本(日本海側)に分布する針葉をはじめとする各部の形態が違うことはしばしば指摘され[24]、分布地からそれぞれオモテスギ(表杉)、ウラスギ(裏杉)などと呼ばれる。ウラスギについては植物学者の中井猛之進 (1882 - 1952) が名付けたアシウスギ(芦生杉)という名前もよく使われる。これは京都大学の芦生研究林で標本を採取したことに由来する。両者は別種ではないが変種程度の差があるとされ、中井はアシウスギに対し Cryptomeria japonica (L.fil.) D.Don var. radicans Nakai と変種名を与えている。

針葉の形状以外では樹形、樹冠の形状、葉横断面の形状[25]、花粉重量[26]など様々な違い[27]が指摘されている。また、後述のように生態面の違いも指摘されている。両者に現れる様々な形態の違いは日本海側の多雪環境に適応したものと解釈されることが多い。

深根性であり、根を深くまで伸ばす[28]。根系直径10mmの引き抜き抵抗力は、スギ、ヒノキと広葉樹(ナラ類)は100kgf程度、アカマツはその半分、カラマツは4割程度であり、スギは土砂災害に強い森林づくりに好ましい[29]。しかし、植林するスギやヒノキの苗は挿し木によるクローン栽培が多く、(要出典、挿し木は地中深くに伸びる直根が出てこないため(種から生産する実生苗には直根がある)、台風や大雨などによって簡単に倒れやすい、2016年3月)。20世紀末頃からスギ山林の土砂崩れが多く聞かれるようになったことで、スギは根が浅いとの風説が語られるようになったが、これは戦後復興期から高度成長期にかけての木材供給不足時代に、元来崩れやすい急斜面や岩層上の表土が薄い箇所にまで植林を行ったことが原因であるともいわれる。

生態[編集]

スギは常緑樹であるが、一般に葉の色は常に緑ではなく冬季には葉の色が赤褐色に変化し[30]、春には緑に戻るということを繰り返す。これはロドキサンチンという色素によるものだとされており、光合成機能が低下する低温条件下で太陽光による障害(光阻害)を防ぐ効果があると見られている[31]。このような低温条件下での光阻害とその対応が種の分布を決める一因となっているとして、高山帯に分布するマツ科やツツジ科を中心に研究が進んでいるという[32][33]。なお、スギの針葉の変色については冬でも変化せず緑色を保つものや、黄白色に変色するものなども知られる。緑色のままのものや黄白色に変化するという形質は赤褐色に変化するものに対して劣性形質であるとされる[34]

スギの根は菌類と共生し菌根(mycorrhiza)を形成している。スギが形成する菌根は草本植物や熱帯の樹木に多いといわれるアーバスキュラー菌根(arbuscular mycorrhiza, AM)と呼ばれるもので、温帯域で繁栄しているマツ科針葉樹やブナ科広葉樹が形成する外生菌根(ectomycorrhiza)とは異なるものである。同一個体における菌根菌への感染率は季節を通じて常に一定ではなく変動があるという[35]。マツ科針葉樹ではしばしばアレロパシー(他感作用)を持ちほかの植物の生育を阻害しているする報告がしばしばある[36][37]が、スギでは特に知られていない。ただし、スギが混交するブナ科森林では外生菌根を形成する菌根菌の種類が減少するという報告がある[38]

スギが植えられた場所はカルシウムなどの塩基が蓄積し土壌は塩基性に傾くという[39]

スギは雪に強いのも生態的な特徴の一つになっている。特に多雪環境で進化したウラスギの系統はブナFagus crenata)と並び日本のの樹木では最も多雪環境に対応したものの一つとされる[40]。更新は種子によるものの他に枝が接地したところから発根し個体を増やす取り木的な伏条更新を取ることで知られ、特にウラスギ系統は伏条更新の報告が多い[41][42]。これも多雪環境に対する適応とみられる。その反面冬季の低温と乾燥に対し日本海側のスギは太平洋側のものよりも弱いことが指摘されている[43]。多雪に適応するが乾燥や低温に弱く分布が限られるという事例はほかの植物であってもユキツバキ(Camellia rusticana)とヤブツバキC. japonica)の関係[44]、ブナ属とコナラ属の関係[45]などでもしばしば指摘される。

土壌の表層があるような個所では実生の定着が悪く、秋までにほとんど死滅してしまうという[46]。特に屋久島や積雪地の個体群では実生の生存には倒木の存在が重要であることがしばしば指摘され[47][48]、実生で更新する場合はいわゆる倒木更新(nurse log)・切株更新を採る樹種であると見られている。

人工的には挿し木で増やすことも比較的容易とされておりスギの林業が盛んな地域は苗木生産の方法として実生によるものが盛んな地域と挿し木が盛んな地域に二分される。さし穂の発根率や生存率は品種によって異なる[49][50]。発根困難種でも薬剤処理によってある程度改善されるという[51][52]。また、挿し床や挿し穂切り口付近の加温で発根率が向上するという報告がある[53][54]。 挿し木苗と実生苗では特に初期の成長に差が出ることがしばしば指摘されており、実生苗の方が成長が良いというものが多い。成長の差から積雪地では挿し木苗が不利であるとするものもある[55]。挿し木林業が盛んなところは九州や千葉県など比較的雪の少ない所に多い。

耐塩性については品種、及び樹齢によって異なるとされる[56]

スギの葉を好んで食べる昆虫はあまり知られていないが、スギドクガ(Calliteara argentata)の幼虫が時に大発生し被害が大きい場合は成木でも枯死に至ることがあるという[57]。スギドクガは新葉より旧葉を好んで食べるという[58]シカやウサギなどもスギの葉を食べ、特に苗木に関しては問題になる。クマやシカが樹皮をはいでしまうことがある。

スギは長寿の樹木である。寿命について屋久島に存在する縄文杉が樹齢7200年という説がしばしばいわれるが[59]、縄文杉は中心部分が腐って消失しており年輪による測定ができないために推定値に留まる。

スギは風媒花で、3 - 4月の開花期は大量の花粉を飛散させる[60]。スギ花粉が長距離を飛ぶために遠くの産地のものを植えることは天然林の遺伝子汚染を引き起こしやすいとされる[61]

人工林においては過密に植えられた後、十分な間伐をせずに放置されたものも多い。理由としては商業用の需要の低下や材木としての搬出が困難な場合等による価値の低下によるコストの増加等が上げられる。この場合、密に広がった樹冠で光が遮られ、林床にはほとんどの植物が生存できなくなる。このような森林は遠目には緑に覆われているものの、実態は生物多様性に乏しいことから「緑の砂漠」などと呼ばれたりする。密に植えられているため他の樹種が容易に侵入できず、そのままの状態となりやすい(ただし竹は侵入する)。

赤枯病と溝腐病[編集]

赤枯病とそれに引き続いて発生する溝腐病はスギの重要な病害である。溝腐病は致命的ではないものの、病変部に著しい変形をもたらすために、木材としての価値を著しく落とす。Cercospora sequoiaeが関与しない溝腐病も報告されており、非赤枯性溝腐病と呼ばれる。原因菌はPhellinus punctatusであり、千葉県特産の山武杉が特に感受性の強いことで知られている(要出典、2012年1月)

カミキリムシ[編集]

スギには何種類かのカミキリムシがつき、特にその幼虫が木材を食べることで知られている。その中でも特に2種、スギカミキリ(Semanotus japonicus)とスギノアカネトラカミキリ(Anaglyptus subfasciatus)は著しい材質低下をもたらし林業的に害虫と知られていることから、生態や対策が特に研究されている[62][63][64]

スギノアカネトラカミキリはスギでは尾根筋に生える個体が被害を受けやすく、逆にヒノキでは谷筋に生えるものが被害を受けるという[65]

人間との関係[編集]

スギは本州各地における造林地ではヒノキChamaecyparis obtusaヒノキ科ヒノキ属)、アカマツPinus densiflora マツ科マツ属)、カラマツLarix kaempferi マツ科カラマツ属)と並んで主要な林業用の針葉樹であり、その中でも全国的に最も植えられている最重要の樹種である。造林の主な目的はその幹から製材される木材である。材が比較的軟らかく加工性に富むこと、幹が通直で歩留まりが良いこと、一定の腐朽に対する耐性があることなど様々な利点を持つ。また生態的にも温帯の気候になじみやすく、成長速度も比較的速いことも利点である。ただし、道南を除く北海道においては林業における主要な樹種はカラマツ、トドマツ(マツ科モミ属)、アカエゾマツ(マツ科トウヒ属)といったマツ科針葉樹や各種の落葉広葉樹となる。

象徴[編集]

各地の神社にはモミAbies firma マツ科)、イチイTaxus cuspidataイチイ科)、クスノキCinnamomum camphora クスノキ科)、イチョウGinkgo biloba イチョウ科)などと並んでしばしばスギの巨木が存在する。場合によっては樹幹に注連縄を巻かれるなど神木として祀られているところもある。また、屋久島の山中には有名な縄文杉のほかいくつかの巨木が知られている。主な巨木については後節を参照のこと。

スギ人工林と分収林[編集]

日本における人工林は、スギとヒノキの2樹種だけで造営面積全体の約65%を占めており、スギが450万ヘクタール (ha) で最も多く、造林面積の40%を占め、県別では秋田県が1位であるテンプレート:Sfn。トドマツとカラマツが人工林の主力樹種の北海道でも、道南渡島半島では「道南スギ」が広く植栽され主力樹種となっている[66]。日本の林業を支えてきた樹種であり、ヒノキよりもスギのほうが山地の中腹以下で湿った場所が生育に適し、生長量も多く経済的に有利であるなど、その他さまざまな理由でスギ人工林が増えていったテンプレート:Sfn。スギは春に大量の花粉を生産して風に乗せて飛散することからテンプレート:Sfn、日本で起こる花粉症の原因植物の筆頭に挙げられている。スギの人工林では、よい材を育てるために、過密林を避けて成木の間引きが行われ、これを「間伐林」というテンプレート:Sfn

分収林は森林の所有と経営形態の一つである。土地の所有者とは別に樹木を育て経営する者を置き、樹木の伐採などで収入があった場合には両者で折半するというものである。古くから奈良県の吉野地方などで知られた手法であり、現地では「借地林業」などと呼ばれている。

戦後、針葉樹人工林を拡大(いわゆる拡大造林)するにあたり、土地所有者自身による植栽と共にこの手法が併用され、国や都道府県が地上権を取得したうえで地拵えから植栽、間伐、収穫まで行うという契約で官行造林・県行造林として税金を投入して全国で広大な造林地が生まれた。スギはこの際にもよく植林された代表的な樹種である。この政策は長期的な木材需要に対応したり、経済的な格差が開いてしまった都市部から山村地域に税金を還流し富の再分配的な意義もあったといわれるが、人件費の高騰や木材価格の下落などで各地の分収林経営は大きな赤字となっており問題になっている。

木材[編集]

まっすぐに伸びた材は、角材や板に加工されて、建築材の他、船舶材、酒樽にもなるテンプレート:Sfn。建築材としては、主に日本家屋の柱材として利用されるほかテンプレート:Sfn構造用合板としてや集成材としても利用される。

割裂性がよく、薪割りのように割ることによって、角材から板材までを作ることができる。古来から重要な木材として重宝され、曲げわっぱなどの曲物などで使用されてきたテンプレート:Sfn。特有の芳香を有し、杉樽に貯蔵することによって日本酒に香りをつけたりすることもあるが、半面でその香りを嫌う用途、例えば飯櫃などには不向きである。

スギには多くの地域品種があり、材質も品種、系統により異なる。建築材料として使用する際の強度の指標となるヤング率の変異幅もカラマツヒノキ等に比較して非常に大きいテンプレート:要出典。またヤング率は品種だけではなく樹齢によっても変化する。

建築用材として使用する際には伐採して製材後に乾燥する必要があるが、心持ち角材の乾燥時に問題となる心材含水率もヒノキ等と比較して高く変異幅も大きい[67]。スギは北海道で生産されるトドマツ同様心材が異常なほど水分を含む「水食い(英:wetwood)」という状態になりやすいといわれる[68]。低含水率材は約50パーセントのものもあるが高含水率材では200パーセントに達するものもある[69]。このことはスギの利用上の問題のひとつとなっている。

葉・樹皮・花[編集]

葉を乾燥して線香に用いることがある。スギの葉から作られる線香は匂いよりも煙の量を重視したものである。日本酒造り酒屋の軒先に吊るされる杉玉は葉を集めて作られ、「酒を造り始めた」ということを周囲に知らせる意味で作られるテンプレート:Sfn。樹皮は外壁や屋根(杉皮葺)に利用する。

子供のおもちゃとして、スギの雄花の未熟なものを弾にして、ごく細い竹で作る杉鉄砲というものがある。細い竹の管と、竹籤に柄をつけたものを用意し、まず管に雄花を詰め、竹籤で押し込む。そのあとにもう一つの雄花を詰め、竹籤で押し込めば、空気圧によって前の雄花が破裂音とともに飛び出すものである。

防災・風致[編集]

屋敷林として防風の効果を期待して植えられることがある[70][71]富山平野砺波平野を含む)[72]北関東[73]の屋敷林にはしばしばスギが用いられる。いわゆるコニファーの一つであり園芸品種も開発されているが、大木になり花粉症のイメージもあることから日本では庭木としては比較的稀。京都の台杉などは小さく仕立てることも可能でしばしば庭木にもちいられる。

農林水産大臣都道府県知事が指定する保安林区域内にもしばしば生える樹種であるが、生態的に沢沿いに植えられることが多いことから防風保安林ではなく水源かん養保安林や土石流被害軽減を狙った土砂流出防備保安林、雪崩被害軽減を狙ったなだれ防止保安林での指定が多い。保安林に指定されたスギ林ではしばしば砂防ダム雪崩防止柵などが設置され伐採も制限される。並木道として用いられることもありスギの並木道は各地に見られる。

スギ花粉症[編集]

広範囲で植栽視されたスギは春先の開花期に雄花に大量の花粉を付ける。雄花からの花粉は風媒されるため開花時期には大量に空気中を漂い花粉症を引き起こす市民を多く出している。このため花粉量の少ないスギ品種の探索と育成はスギの育種の大きな課題の一つになっている。

食用[編集]

スギを直接食べるという食文化は知られていない。また、外生菌根を形成するマツ科針葉樹やブナ科針葉樹と異なりアーバスキュラー菌根を形成するスギだけの純林やそれに近い森林では出現するキノコの種類も少ない。例外的にスギヒラタケPleurocybella porrigens)がスギの切り株などにしばしば発生しスギ林のキノコでは珍しく食用種として知られていたが、2000年代以降本種を食べたことによる死亡例を含む患者が報告されたことから近年は有毒種扱いとなっている。

著名なスギとブランド[編集]

著名なスギ[編集]

テンプレート:Main テンプレート:Columns-list

ブランド[編集]

テンプレート:Div col

飫肥杉
オモテスギ系。宮崎県を代表するブランドである。
天然秋田杉
ウラスギ系。秋田県を代表するブランドである。
北山杉
ウラスギ系。
立山杉
ウラスギ系
吉野杉
オモテスギ系
越後杉
屋久杉
オモテスギ系

テンプレート:Div col end

スギをシンボルとする自治体[編集]

テンプレート:Ul

脚注[編集]

テンプレート:脚注ヘルプ

注釈[編集]

出典[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

テンプレート:Commons&cat テンプレート:Wikispecies

外部リンク[編集]

  • スギ - 岡山理科大学 植物生態研究室(波田研)

テンプレート:リダイレクトの所属カテゴリ

  1. 平野隆久監修 永岡書店編, 1997, p286
  2. アズキナシ (カタスギ) 北海道森林管理局 2021年3月24日閲覧
  3. 辻井達一, 1995, p44
  4. 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文, 2014, p245
  5. 辻井達一, 1995, p47
  6. 平野隆久監修 永岡書店編, 1997, p286
  7. 高原光「日本列島に広がっていたスギ林」『森林の環境100不思議』p69 日本林業技術協会 1992年2月15日刊 , 全国書誌番号:99066256
  8. 和書, 佐橋紀男, 渡辺幹男, 三好彰, 程雷, 殷敏, 1999, 中国の天目山と日本の屋久島・伊豆大島産のスギの遺伝的特性, https://doi.org/10.11334/jibi1954.45.6supplement2_630, 耳鼻と臨床, ISSN:0447-7227, 耳鼻と臨床会, volume45, issue:6Supplement2, pages630-634, doi:10.11334/jibi1954.45.6supplement2_630, CRID:1390282680477923456
  9. スギ Cryptomeria japonica ヒノキ科 Cupressaceae スギ属 三河の植物観察, https://mikawanoyasou.org/data/sugi.htm, mikawanoyasou.org, 2022-03-17
  10. 河合杉はどんな植物?Weblio辞書, https://www.weblio.jp/content/%E6%B2%B3%E5%90%88%E6%9D%89, www.weblio.jp, 2022-03-17
  11. 2016-03-09, https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20160309-00055234, スギ花粉は世界中に舞っていた!, 田中淳夫, 2016-03-12
  12. 2002-05-01, https://www.ffpri.affrc.go.jp/ftbc/research/kakonokouhousi/documents/22.pdf, 林木育種センターだより(2000年1月), page1, 林野庁・林木育種センター, 2016-03-12
  13. 田中潔, 2011, p109
  14. 田中潔, 2011, p108
  15. 15.0 15.1 2015-04-26, http://www.yakusugi-museum.com/data-yakushima-yakusugi/204-kyojyu.html, 屋久杉巨樹・著名木, 屋久杉自然館, 2016-03-12
  16. 平野隆久監修 永岡書店編, 1997, p286
  17. この生態を利用した皮むき間伐は、表皮を剥がすことで樹木中の水分を抜いて1年ほどで枯れさせる山林整備の手法である。
  18. 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文, 2014, p245
  19. 田中潔, 2011, p109
  20. 田中潔, 2011, p109
  21. 田中潔, 2011, p109
  22. 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文, 2014, p245
  23. 平野隆久監修 永岡書店編, 1997, p286
  24. 四手井綱英 (1957) 大阪営林局管内の天然生スギの系統の分布について. 日本林学会誌39(7), pp. 270 - 273. , doi:10.11519/jjfs1953.39.7_270
  25. 高桑進・米澤信道・綱本逸雄・宮本水文 (2010) 日本列島におけるスギの分布状況と針葉の形態変化について. 京都女子大学宗教・文化研究所研究紀要23 hdl:11173/1936
  26. 齋藤秀樹・竹岡政治 (1987) 裏日本系スギ林の生殖器官生産量および花粉と種子生産の関係. 日本生態学会誌37(3), pp. 183 - 185. doi:10.18960/seitai.37.3_183
  27. 遠山富太郎 (1960) オモテスギとウラスギについて. 島根農科大学研究報告8, pp. 141 - 149. naid:120005584288
  28. 苅住昇一『樹木根系図鑑』誠文堂新光社、1979年
  29. 2002-05-01, http://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/seika/gijyutsu/documents/126-1.pdf, 土砂災害に強い森林づくりに向けて, page2, 長野県, 信州大学農学部森林科学科教授 北原曜, 2016-03-12
  30. 田中潔, 2011, p108
  31. 向井譲 (2004) 低温条件下で樹木が受ける光ストレスとその防御機能. 日本林学会誌86(1), pp. 48 - 53. doi:10.11519/jjfs1953.86.1_48
  32. 丸田恵美子・中野隆志 (1999) 中部山岳地域の亜高山帯針葉樹と環境ストレス (<特集>中部山岳地域の高山・亜高山帯における植物群落の現状と将来). 日本生態学会誌49(3), pp. 293 - 300. doi:10.18960/seitai.49.3_293
  33. 宇梶徳史・原登志彦 (2007) Expressed sequence tags (EST)から見た樹木の越冬戦略. 日本生態学会誌57(1), pp. 89 - 99. doi:10.18960/seitai.57.1_89
  34. 大庭喜八郎 (1972) メアサ,キリシマメアサおよびアオスギのミドリスギ劣性遺伝子. 日本林学会誌54(1), pp. 1 - 5. doi:10.11519/jjfs1953.54.1_1
  35. 畑邦彦・木本遼太郎・曽根晃一 (2018) スギ成木および実生におけるアーバスキュラー菌根菌の感染率の季節変化. 日本林学会誌100(1), pp. 3 - 7. doi:10.4005/jjfs.100.3
  36. Il Koo LEE, Masami MONSI. (1963) Ecological Studies on Pinus densiflora Forest 1 -Effects of Plant Substances on the Floristic Composition of the Undergrowth-. The Botanical Society of Japan 76(905), pp. 400 - 413. doi:10.15281/jplantres1887.76.400
  37. 高橋輝昌・鷲辺章宏・浅野義人・小林達明, (1998) 木本類における他感作用. ランドスケープ研究62(5), pp. 525 - 528. doi:10.5632/jila.62.525
  38. 岡部宏秋,(1994) 外生菌根菌の生活様式(共生土壌菌類と植物の生育). 土と微生物24, pp. 15 - 24.doi:10.18946/jssm.44.0_15
  39. 澤田智志・加藤秀正 (1991) スギおよびヒノキ林の林齢と土壌中の塩基の蓄積との関係. 日本土壌肥料学雑誌62(1), pp. 49 - 58. doi:10.20710/dojo.62.1_49
  40. 酒井昭 (1977) 植物の積雪に対する適応. 低温科学生物編34, pp. 47 - 78. hdl:2115/17828
  41. 平英彰, (1994) タテヤマスギの更新形態について. 日本林学会誌76(6), pp. 547 - 552. doi:10.11519/jjfs1953.76.6_547
  42. 川尻秀樹・安江保民・大橋英雄・中川一 (1989) 岐阜県板取村のカブスギ集団の実態. 日本林学会誌71(5), pp. 204 - 208. doi:10.11519/jjfs1953.71.5_204
  43. 武藤惇・堀内孝雄 (1974)スギ種子産地と寒害抵抗性. 日本林学会誌56(6), pp. 210 - 215. doi:10.11519/jjfs1953.56.6_210
  44. 石沢進 (1985) 植物の分布と積雪―新潟県およびその周辺地域について―. 芝草研究14(1), pp. 10 - 23. doi:10.11275/turfgrass1972.14.10
  45. 中静透 (2003) 冷温帯林の背腹性と中間温帯論. 植生史研究11(2), pp. 39 - 43. doi:10.34596/hisbot.11.2_39
  46. 冨沢日出夫・丸山幸平 (1993) 佐渡島のスギ天然林における実生更新の可能性. 日本林学会誌75(5), pp. 460 - 462, テンプレート:Doi
  47. Eizi SUZUKI (1996) The dynamics of old Cryptomeria japonica forest on Yakushima Island. Tropics 6(4), pp. 421 - 428. doi:10.3759/tropics.6.421
  48. 太田敬之・杉田久志・金指達郎・正木隆 (2015) スギ天然生林におけるスギ実生の分布と生存―出現基質間の比較―. 日本森林学会誌.97(1), pp. 10 - 18. doi:10.4005/jjfs.97.10
  49. 榎本善夫 (1949) 挿スギに見られた根及び癒傷組織発達の林業品種による差異に就いて. 東京大学農学部演習林報告37, pp. 11 - 18. hdl:2261/23336
  50. 宮島寛 (1951) スギの挿木に於ける発根と品種との関係に就て. 九州大學農學部學藝雜誌13(1/4) p.277-281. doi:10.15017/21238
  51. 石川広隆・田中郁太郎 (1970) 発根困難なスギ精英樹のさし木に及ぼすインドール酪酸の効果. 日本林学会誌52(3), pp. 99 - 101. doi:10.11519/jjfs1953.52.3_99
  52. 大山浪雄・上中久子 (1970) 発根困難なスギ,ヒノキの精英樹のさし木に対するエクベロン(インドール酪酸)の効果. 日本林学会誌52(12), pp. 374 - 376. doi:10.11519/jjfs1953.52.12_374
  53. 阿部正博・今井元政・島田一美 (1957) 電熱温床によるスギ老令樹さし木試験. 日本林学会誌39(6), pp. 245 - 248. doi:10.11519/jjfs1953.39.6_245
  54. 武田英文 (1971) 伝熱温床による秋田スギさし木試験(会員研究発表講演). 日本林學會北海道支部講演集19, pp. 99 - 102. doi:10.24494/jfshc.19.0_99
  55. 宮下智弘 (2007) 多雪地帯に植栽されたスギ挿し木苗と実生苗の幼齢期における成育特性の比較. 日本森林学会誌89(6), pp. 369 - 373, doi:10.4005/jjfs.89.369
  56. 青木正則・石川春彦 (1971) スギ品種の耐塩性の差異について. 日本林学会誌53(4), pp. 108 - 112. doi:10.11519/jjfs1953.53.4_108
  57. 古野東洲・中井勇・里見武志 (1993)スギドクガに食害されたスギの生育. 日本林学会関西支部論文集2, pp. 193 - 196. doi:10.20660/safskansai.2.0_193
  58. 柴田叡弌・西口陽康 (1980) 大発生時のスギドクガ幼虫密度と被害葉量について. 日本林学会誌60(2), pp. 398 - 401. doi:10.11519/jjfs1953.62.10_398
  59. 辻井達一, 1995, p44
  60. 平野隆久監修 永岡書店編, 1997, p286
  61. 津村義彦(2012)日本の森林樹木の地理的遺伝構造(1)スギ(ヒノキ科スギ属). 森林遺伝育種1(1), pp. 17 - 22 doi:10.32135/fgtb.1.1_17
  62. 柴田 叡弌 (2002) スギカミキリのスギ樹幹利用様式(<特集>穿孔性昆虫の樹幹利用様式). 日本生態学会誌52(1), pp. 59 - 62. doi:10.18960/seitai.52.1_59
  63. 伊藤賢介 (2002) スギカミキリに対するスギの抵抗性反応(<特集>穿孔性昆虫の樹幹利用様式) . 日本生態学会誌52(1), pp. 63 - 68. doi:10.18960/seitai.52.1_63
  64. 斎藤諦 (1960) “とびくされ”に開係のある3種のカミキリムシ. 日本林学会誌42(12), pp. 454 - 457. doi: 10.11519/jjfs1953.42.12_454
  65. 長島啓子・土田遼太・岡本宏之・高田研一・田中和博 (2014) 三重県大台町におけるスギノアカネトラカミキリ被害と立地環境および成長との関係―立地環境に基づく林業適地の抽出にむけて―. 日本森林学会誌96(6), pp. 308 - 314. doi:10.4005/jjfs.96.308
  66. 道南スギの利用促進に向けた検討会報告書.{{{date}}} - via {{{via}}}.
  67. 藤原新二・岩神正朗 (1988)スギおよびヒノキ材の生材含水率. 高知大学学術研究報告37, pp. 169 - 178. テンプレート:Hdl
  68. 中田了五 (2014) 樹木のwetwood 現象と定義, 木材学会誌60(2), pp. 63 - 79. テンプレート:Doi
  69. 中田了五, 藤沢義武, 平川泰彦, 山下香菜: スギの生材含水率の個体内樹高方向での変化. 木材学会誌 44(6):395–402 (1998)
  70. テンプレート:Cite book
  71. 矢澤大二 (1936) 東京近郊に於ける防風林の分布に關する研究 (1). 地理学評論12(1), pp. 47 - 66. テンプレート:Doi
  72. 王聞・深町加津枝 (2020) 砺波平野における典型的な屋敷林の植物相および周囲の水系の利用. 日本緑化工学会誌46(1), pp. 154 - 157. テンプレート:Doi
  73. 不破正仁・藤川昌樹 (2011)栃木県都賀地域における北方系屋敷林の原型とその変容実態 ‐明治期銅版画と現状との比較分析に基づいて‐. 日本建築学会計画系論文集76(666), pp. 1407 - 1414. テンプレート:Doi