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元は火を神格化した存在だったと考えられており、ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』に登場するローゲ(元の神話におけるロキのポジションに当たる神)はその点が強調されている<ref>『西洋神名事典』225頁。</ref>。 | 元は火を神格化した存在だったと考えられており、ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』に登場するローゲ(元の神話におけるロキのポジションに当たる神)はその点が強調されている<ref>『西洋神名事典』225頁。</ref>。 | ||
− | なお、巨人の王ウートガルザ・ロキおよびその宮殿で相まみえるロギとは、三者同時に登場する神話が残っているので別人のようだが混同されることもあったらしく、サクソ・グラマティクスの『デンマーク人の事績』にはロキのように地下に縛られ幽閉されているウートガルザ・ロキの話がある<ref>『北欧神話』(デイヴィッドソン)212頁。</ref> | + | なお、巨人の王ウートガルザ・ロキおよびその宮殿で相まみえるロギとは、三者同時に登場する神話が残っているので別人のようだが混同されることもあったらしく、サクソ・グラマティクスの『デンマーク人の事績』にはロキのように地下に縛られ幽閉されているウートガルザ・ロキの話がある<ref>『北欧神話』(デイヴィッドソン)212頁。</ref>。(Wikipediaより) |
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+ | == シフの髪を切った話 == | ||
+ | 『スノッリのエッダ』(13世紀)第2部『詩語法』より。 | ||
+ | === 導入 === | ||
+ | トールの妻シヴ(シフ)はふさふさした長い金髪を持っており、夫とともにそれを自慢していた。ロキはシヴが眠っている間に彼女の髪を切って丸坊主にしてしまった。目が覚めたシヴはそれを嘆き、夫のトールは激怒した。 | ||
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+ | === 流譚 part1 === | ||
+ | トールの怒りを恐れたロキは、小人(dvergr)に、魔法の金髪を作って貰って「物」で賠償することを申し出た。トールが了解したので、ロキはドヴァリンという小人の息子達を訪問した<ref>『「詩語法」訳注』41頁にみられる表記。『エッダ 古代北欧歌謡集』61頁、訳注120。</ref><ref>小人の名前は『世界の神話8 北欧の神話』178頁記載のまま。シヴの魔法の髪を作ったのは、イーヴァルディ(古ノルド語:Ívaldi)という小人だったとされる。</ref>。彼らは有名な細工師だったのだろう。彼らからのプレゼントは以下の通りである。 | ||
+ | {| class="wikitable" | ||
+ | |+ イーヴァルディの息子達の細工物 | ||
+ | ! 名前 !! プレゼント先 !! 性質 | ||
+ | |- | ||
+ | ! 金髪のかつら | ||
+ | | シヴ || 頭から自動で生える魔法のかつら | ||
+ | |- | ||
+ | ! スキーズブラズニル(古ノルド語: Skíðblaðnir):魔法の帆船 | ||
+ | | フレイ || 布のように折りたたむことができる魔法の自走船 | ||
+ | |- | ||
+ | ! グングニル(古ノルド語: Gungnir):魔法の槍 | ||
+ | | オーディン || 勝利をもたらす魔法の槍 | ||
+ | |} | ||
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+ | === 流譚 part2 === | ||
+ | 帰途でロキは、鍛冶の名人エイトリ(シンドリ)の弟ブロックと出会う。自分の成功に気を良くしたロキは、イーヴァルディの息子達のプレゼントを自慢する。そして「エイトリにこれに負けない物が作れたならば、自分の頭をやろう。」と命を賭けた賭けをしてしまう。ロキはアブに化けて、自分が負けないよう、エイトリの鍛冶細工中に助手をしていたブロックの仕事を妨害をする。 | ||
+ | {| class="wikitable" | ||
+ | |+ エイトリとブロック(シンドリとブロック)の細工物 | ||
+ | ! 名前 !! プレゼント先 !! 性質 | ||
+ | |- | ||
+ | ! グリンブルスティ(古ノルド語: Gullinbursti):金のたてがみの猪 | ||
+ | | フレイ || どんな馬よりも速く走る | ||
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+ | ! ドラウプニル(古ノルド語: Draupnir):魔法の腕輪 | ||
+ | | オーディン || 9日毎に自動で9つに増える黄金の腕輪 | ||
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+ | ! ミョルニル(古ノルド語: Mjǫllnir):魔法の槌 | ||
+ | | トール || 自在に扱える魔法の槌 | ||
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+ | === 結末 === | ||
+ | 神々は、エイトリとブロックの細工物を勝利とした。ロキは頭を要求されて逃げ出すが、トールに捕まって連れ戻される。ロキはブロックに | ||
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+ | 「頭はやるが首を傷つけてはならない。首をやるとは言っていない。」 | ||
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+ | と言ったため、ブロックは頭を切り落とすことができない。ブロックは | ||
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+ | 「お前の口を縫い合わせて、口をきけなくしてやりたい。」 | ||
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+ | と延べ実行するが、ロキの頭を手に入れることはできなかった。ロキはブロックがいなくなると、縫い合わせたひもをかみ切ってしまった。 | ||
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+ | === 分類と解説 === | ||
+ | [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=170 ロキと小人] | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
+ | === シフの髪を切った話 === | ||
+ | Wikipediaにまとまった話が載っていないようです。「世界の神話8 北欧の神話」に記載されているので、★★☆☆☆:レベル2の神話とする。ややマイナーな物語なのか? | ||
+ | |||
* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%AD ロキ] | * Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%AD ロキ] | ||
− | * | + | * Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3 イーヴァルディ] |
+ | * Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%BA%E3%83%8B%E3%83%AB スキーズブラズニル] | ||
+ | * Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%8B%E3%83%AB グングニル] | ||
+ | * Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3 グリンブルスティ] | ||
+ | * Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%97%E3%83%8B%E3%83%AB ドラウプニル] | ||
+ | * Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A7%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%83%AB ミョルニル] | ||
+ | * 「世界の神話8 北欧の神話」 山室静編 筑摩書房 175-184p | ||
+ | * 「妖精の誕生 フェアリー神話学」 トマス・カイトリー著 市場泰男訳 社会思想社・教養文庫 86-88p | ||
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+ | == 注釈 == | ||
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+ | == 脚注 == | ||
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+ | {{デフォルトソート:ろき}} | ||
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− | [[Category: | + | [[Category:神]] |
− | [[Category: | + | [[Category:英雄流譚]] |
+ | [[Category:魔法のアイテム]] |
2022年2月23日 (水) 16:36時点における最新版
ロキ(古ノルド語:Loki)は、北欧神話に登場する悪戯好きの神。その名は「閉ざす者」、「終わらせる者」の意[1]。神々の敵であるヨトゥンの血を引いている。巨人の血を引きながらもオーディンの義兄弟となってアースガルズに住み、オーディンやトールと共に旅に出ることもあった。変身術を得意とし、男神であるが時に女性にも変化する[注釈 1]。自身が変身するだけでなく、他者に呪文をかけて強制的に変身させたこともある。[注釈 2] 美しい顔を持っているが、邪悪な気質で気が変わりやすい。狡猾さでは誰にも引けを取らず、よく嘘をつく[2]。「空中や海上を走れる靴」[3](「陸も海も走れる靴」[4]または「空飛ぶ靴」[5]とも)を持っている。
元は火を神格化した存在だったと考えられており、ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』に登場するローゲ(元の神話におけるロキのポジションに当たる神)はその点が強調されている[6]。
なお、巨人の王ウートガルザ・ロキおよびその宮殿で相まみえるロギとは、三者同時に登場する神話が残っているので別人のようだが混同されることもあったらしく、サクソ・グラマティクスの『デンマーク人の事績』にはロキのように地下に縛られ幽閉されているウートガルザ・ロキの話がある[7]。(Wikipediaより)
シフの髪を切った話[編集]
『スノッリのエッダ』(13世紀)第2部『詩語法』より。
導入[編集]
トールの妻シヴ(シフ)はふさふさした長い金髪を持っており、夫とともにそれを自慢していた。ロキはシヴが眠っている間に彼女の髪を切って丸坊主にしてしまった。目が覚めたシヴはそれを嘆き、夫のトールは激怒した。
流譚 part1[編集]
トールの怒りを恐れたロキは、小人(dvergr)に、魔法の金髪を作って貰って「物」で賠償することを申し出た。トールが了解したので、ロキはドヴァリンという小人の息子達を訪問した[8][9]。彼らは有名な細工師だったのだろう。彼らからのプレゼントは以下の通りである。
名前 | プレゼント先 | 性質 |
---|---|---|
金髪のかつら | シヴ | 頭から自動で生える魔法のかつら |
スキーズブラズニル(古ノルド語: Skíðblaðnir):魔法の帆船 | フレイ | 布のように折りたたむことができる魔法の自走船 |
グングニル(古ノルド語: Gungnir):魔法の槍 | オーディン | 勝利をもたらす魔法の槍 |
流譚 part2[編集]
帰途でロキは、鍛冶の名人エイトリ(シンドリ)の弟ブロックと出会う。自分の成功に気を良くしたロキは、イーヴァルディの息子達のプレゼントを自慢する。そして「エイトリにこれに負けない物が作れたならば、自分の頭をやろう。」と命を賭けた賭けをしてしまう。ロキはアブに化けて、自分が負けないよう、エイトリの鍛冶細工中に助手をしていたブロックの仕事を妨害をする。
名前 | プレゼント先 | 性質 |
---|---|---|
グリンブルスティ(古ノルド語: Gullinbursti):金のたてがみの猪 | フレイ | どんな馬よりも速く走る |
ドラウプニル(古ノルド語: Draupnir):魔法の腕輪 | オーディン | 9日毎に自動で9つに増える黄金の腕輪 |
ミョルニル(古ノルド語: Mjǫllnir):魔法の槌 | トール | 自在に扱える魔法の槌 |
結末[編集]
神々は、エイトリとブロックの細工物を勝利とした。ロキは頭を要求されて逃げ出すが、トールに捕まって連れ戻される。ロキはブロックに
「頭はやるが首を傷つけてはならない。首をやるとは言っていない。」
と言ったため、ブロックは頭を切り落とすことができない。ブロックは
「お前の口を縫い合わせて、口をきけなくしてやりたい。」
と延べ実行するが、ロキの頭を手に入れることはできなかった。ロキはブロックがいなくなると、縫い合わせたひもをかみ切ってしまった。
分類と解説[編集]
参考文献[編集]
シフの髪を切った話[編集]
Wikipediaにまとまった話が載っていないようです。「世界の神話8 北欧の神話」に記載されているので、★★☆☆☆:レベル2の神話とする。ややマイナーな物語なのか?
- Wikipedia:ロキ
- Wikipedia:イーヴァルディ
- Wikipedia:スキーズブラズニル
- Wikipedia:グングニル
- Wikipedia:グリンブルスティ
- Wikipedia:ドラウプニル
- Wikipedia:ミョルニル
- 「世界の神話8 北欧の神話」 山室静編 筑摩書房 175-184p
- 「妖精の誕生 フェアリー神話学」 トマス・カイトリー著 市場泰男訳 社会思想社・教養文庫 86-88p