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2024年12月22日 (日) 12:27時点における最新版
伊豆能売(いづのめ)は、日本神話に登場する女神である。
神話での記述[編集]
『古事記』にのみ登場し、『日本書紀』には登場しない。『古事記』でも出自や事跡についての記述が一切ない。神話中では「伊豆能売」とだけ書かれていて、「神」「命」などの神号はつけられていない。
概要[編集]
神産みにおいて伊邪那岐命が黄泉から帰って来た際、黄泉の穢れから禍津日神二柱(大禍津日神、八十禍津日神)が生まれた。その禍津日神がもたらす禍(災厄)を直すために、直毘神二柱(神直毘神、大直毘神)と伊豆能売が生まれたとしている。
『延喜式神名帳』には伊豆能売を祀ったと思われる出雲国出雲郡の「神魂伊豆之賣神社」が記載されており、同社は伊努神社に合祀されたとされているが、同社の祭神に伊豆能売の名はない。『延喜式神名帳』以外にこの神社について記載した史料はなく、伊豆能売を祀る神社は現存しないことになる[私注 1]。
しかし、伊豆能売の名を冠しない式内社は現存しており、三重県津市の元伊勢伝承地の一つである「加良比乃神社」は倭姫命が天照大御神を奉戴して「片樋宮」を建立した跡地に「御倉板舉神」と「伊豆能賣神」を祭祀したのが起源とされている。
神社[編集]
- 伊多波刀神社:愛知県春日井市にある神社。
菅田比売神社[編集]
奈良県大和郡山市筒井町(筒井城跡地)に鎮座する神社。添下郡の式内社で、菅田神社と対をなす神社と考えられている。元は、「篠田社(信田宮)」と称し、現在地の500m程北方の筒井小学校東側の北篠田と呼ばれる地に鎮座していたと伝わる。
現在の祭神は伊豆能賣神である[1]。しかし、延喜式神明帳には、「菅田比賣神社二座」と記されている[2]。また、特選神名牒、及び神祇志料では、菅田比賣神・天久斯麻比止都命(天目一箇神)を祭神と記し[3]、大和志料でも、伊豆能賣神は疑わしいとしている。伊豆能賣神は、伊邪那岐が黄泉の国から戻って禊をしたときに生まれた神で、伊豆は『厳』で斎清める神。しかし、社名からも菅田比賣神を祀っていたことは明らかである。
菅田神社[編集]
昔、美しい女神が天理市二階堂の「菅田池」から現れ、大和郡山市八条町の神楽田の所でしばらく休んでから、そこから西の方へ行って鎮座しました。すると、そこが一夜にして鬱蒼(うっそう)とした松林になったので、誰云うとなく、その土地を「一夜松」と呼び、今「一夜松天神」「八条天神社」とも呼ばれる現在の菅田神社が鎮座する[4]。『佐保川其西方を流れ、菅田池畔にのぞむ、堀河百首[注釈 1]に「をとめ子がすがたの池のはちす葉は心よげにも花さきにけり」と、以って景勝の地たるを知るべし』と、明治神社誌料に記されている。
祭神は、菅田比古命。菅田比古命の祖で鍛冶の神とされる天目一箇神の説[5]もあるが、平群郡(明治時代の八条村は平群郡及び、生駒郡の管轄で、昭和28年に郡山町に編入される)の神社明細帳には、菅田比古命が記されている[6]。菅田比古命は、菅田氏の祖で『新撰姓氏録』に「菅田首天久斯麻比止都命之後也」と記されている。
なお、兵庫県小野市の菅田神社(式内社)と、滋賀県近江八幡市の菅田神社(式内社)の祭神は、天目一箇神である。
天目一箇神は『播磨国風土記』の託賀郡(多可郡)の条に天目一命の名で登場する。土地の女神・道主日女命(みちぬしひめのみこと)が父のわからない子を産んだが、子に盟酒(うけいざけ)をつぐ相手を諸神から選ばせたところ、天目一命についだことから天目一命が子の父であるとわかったというもので、この神話は農耕民と製銅者集団の融合を表していると考えられている。天目一箇神を祀る天目一神社(兵庫県西脇市大木町(旧多可郡日野村大木)現在のものは再興)では製鉄の神として信仰されていた。
私的考察[編集]
伊豆能売は伊邪那岐命が黄泉から帰還した後に、「穢れ(災厄)を祓うために」生まれた女神である。
参考文献[編集]
- Wikipedia:伊豆能売(最終閲覧日:22-10-03)
- Wikipedia:菅田神社 (大和郡山市)(最終閲覧日:24-12-13)
- Wikipedia:菅田比売神社(最終閲覧日:24-12-13)
関連項目[編集]
- 道臣命:伊豆能売の機能を男性に移すための神でもあり、日置氏らが作り出した神ではないだろうか。
- 阿字神社:本来の祭神は伊豆能売か?
- 天甕津日女命:伊豆能売と同じ女神か。
- 御倉板舉神:北斗女神か。こちらが魂で、伊豆能売が実態といえようか。
- 天照大御神
- 弥加宜神社:丹後で天目一箇神を祀る神社。蛇頭松姫大神と関連する。
注釈[編集]
- ↑ 平安時代後期の歌集で、長治2年(1105)ごろの成立か。
私的注釈[編集]
- ↑ 「主祭神」と限定しなければ、伊豆能売を祀る神社はいくつか存在する。
- ↑ https://meta01.library.pref.nara.jp/opac/repository/repo/65/?lang=0&mode=0&opkey=R166362381017073&idx=41, 添下郡 神社明細帳 108ページ, 2024-4-26
- ↑ https://dl.ndl.go.jp/pid/1273537/1/44, 延喜式神明帳, 2024-4-26
- ↑ 「式内社の研究 第2巻」でも同様の祭神が記されている
- ↑ 社頭掲示板より
- ↑ https://dl.ndl.go.jp/pid/815494/1/11, 神祇資料, 2024-4-24
- ↑ https://meta01.library.pref.nara.jp/opac/repository/repo/69/, 平群郡 神社明細帳, 2024-4-23