「古琴」の版間の差分

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'''古琴'''(こきん、クーチン、gǔqín)は、中国の古い伝統楽器。'''七弦琴'''(しちげんきん)、'''瑶琴'''(ようきん)とも呼ぶ。3000年の歴史がある撥弦楽器で、八音の「糸」に属し、7本の弦を持つ。箏などと違い、琴柱(ことじ)はなく'''徽'''(き)と呼ばれる印が13あり、これに従い、左指で弦を押さえて右指で弾く。古琴演奏技は、2003年、ユネスコの無形文化遺産保護条約に基づく「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に掲載され、2009年9月に無形文化遺産として正式登録された<ref>http://www.unesco.org/culture/ich/en/RL/guqin-and-its-music-00061 , Intangible Heritage: Guqin and its music, UNESCO</ref>。
 
'''古琴'''(こきん、クーチン、gǔqín)は、中国の古い伝統楽器。'''七弦琴'''(しちげんきん)、'''瑶琴'''(ようきん)とも呼ぶ。3000年の歴史がある撥弦楽器で、八音の「糸」に属し、7本の弦を持つ。箏などと違い、琴柱(ことじ)はなく'''徽'''(き)と呼ばれる印が13あり、これに従い、左指で弦を押さえて右指で弾く。古琴演奏技は、2003年、ユネスコの無形文化遺産保護条約に基づく「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に掲載され、2009年9月に無形文化遺産として正式登録された<ref>http://www.unesco.org/culture/ich/en/RL/guqin-and-its-music-00061 , Intangible Heritage: Guqin and its music, UNESCO</ref>。
  
古琴は中国の文人が嗜むべきとされた“[[琴棋書画]]”の一番目である。[[孔子]]、[[諸葛亮|諸葛孔明]]、[[竹林の七賢]]の[[嵆康]]、[[陶淵明]]、[[白居易]]など、歴史上著名な多くの文人によって演奏された。日本でも[[菅原道真]]、[[重明親王]]が学んだことが知られる。「君子左琴」「右書左琴」「伯牙絶弦」「知音」など、琴にまつわる故事成語も多い。
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古琴は中国の文人が嗜むべきとされた“琴棋書画”の一番目である。孔子、諸葛孔明、竹林の七賢の嵆康、陶淵明、白居易など、歴史上著名な多くの文人によって演奏された。日本でも菅原道真、重明親王が学んだことが知られる。「君子左琴」「右書左琴」「伯牙絶弦」「知音」など、琴にまつわる故事成語も多い。
 
 
[[ボイジャー計画|宇宙探査機ボイジャー]]に積載された[[ボイジャーのゴールデンレコード|ゴールデンレコード]]には[[管平湖]]による古琴の演奏が収められている。
 
  
 
== 構造 ==
 
== 構造 ==
古琴の胴体は全長130cm前後で、伝統的に[[アオギリ]]製とされるが<ref name="cidian"/>、それ以外の木材も使われ、雲杉([[トウヒ属]])製も人気が高い<ref>{{citation|和書|url=http://www.nfgqw.com/qsview.asp?id=32|title=梧桐、泡桐、杉木哪種作琴材最好|publisher=南風琴社|date=2010-09-29}}</ref>。7本の弦を有し、演奏者から見て遠い方から順に第1弦、第2弦、…、第7弦と数える。[[調弦]]方法にはさまざまなものがあるが、もっとも基本的な正調では第1弦から順に C D F G A c d であり、[[開放弦]]で[[五音音階]]を奏でることができる<ref name="cidian">{{cite book|和書|title=中国音楽詞典|publisher=人民音楽出版社|year=1985|pages=305-306}}</ref>。右手の小指以外の4本の指を使って弾く。複数の弦を同時に弾くこともあり、音程としては八度・五度などが使われる。
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古琴の胴体は全長130cm前後で、伝統的にアオギリ製とされるが<ref name="cidian"/>、それ以外の木材も使われ、雲杉(トウヒ属)製も人気が高い<ref>http://www.nfgqw.com/qsview.asp?id=32., 梧桐、泡桐、杉木哪種作琴材最好, 南風琴社, 2010-09-29</ref>。7本の弦を有し、演奏者から見て遠い方から順に第1弦、第2弦、…、第7弦と数える。調弦方法にはさまざまなものがあるが、もっとも基本的な正調では第1弦から順に C D F G A c d であり、開放弦で五音音階を奏でることができる<ref name="cidian">中国音楽詞典, 人民音楽出版社, 1985, p305-306</ref>。右手の小指以外の4本の指を使って弾く。複数の弦を同時に弾くこともあり、音程としては八度・五度などが使われる。
[[File:Zheng diao.ogg|thumb|right|散音]]
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ギターのフレットや琴柱のようなものは存在しない。左手も小指以外の4本の指を使うが、左指の使い方には散・泛・按の3通りがある<ref name="cidian"/>。
[[File:Fanyin.ogg|thumb|right|泛音]]
 
[[File:PL clip.ogg|thumb|right|按音]]
 
[[ギター]]の[[フレット]]や琴柱のようなものは存在しない。左手も小指以外の4本の指を使うが、左指の使い方には散・泛・按の3通りがある<ref name="cidian"/>。
 
 
* 散 - 左指を使わない(開放弦)
 
* 散 - 左指を使わない(開放弦)
* 泛 - 左指で軽く弦に触れて倍音を出す([[フラジオレット]])
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* 泛 - 左指で軽く弦に触れて倍音を出す(フラジオレット)
* 按 - 左指で弦を押さえて音の高さを変える。弾きながら指を動かして音高を変化させる技法([[ポルタメント]])が多用される。
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* 按 - 左指で弦を押さえて音の高さを変える。弾きながら指を動かして音高を変化させる技法(ポルタメント)が多用される。
[[File:Zhang Ziqian.jpg|thumb|古琴を弾いている[[張子謙]]]]
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左指で押さえる場所を示す13個のしるしを「徽」と呼び、演奏者から見て右から左へ第一徽・第二徽……と呼ぶ。徽は開放弦に対する弦長比が単純な分数になるように定められており(純正律を参照)、徽同士の間隔は一定しない。開放弦が C の場合、徽と音の関係は以下のようになる<ref>中国音楽詞典, 人民音楽出版社, 1985, p307</ref>。
左指で押さえる場所を示す13個のしるしを「徽」と呼び、演奏者から見て右から左へ第一徽・第二徽……と呼ぶ。徽は開放弦に対する弦長比が単純な[[分数]]になるように定められており([[純正律]]を参照)、徽同士の間隔は一定しない。開放弦が C の場合、徽と音の関係は以下のようになる<ref>{{cite book|和書|title=中国音楽詞典|publisher=人民音楽出版社|year=1985|pages=307}}</ref>。
 
 
 
 
 
  
 
== 歴史 ==
 
== 歴史 ==
 
[[File:Songhuizong8.jpg|thumb|150px|right|[[宋徽宗]]の『聴琴図』]]
 
 
古琴の発明は、[[伏羲]]、[[神農]]、[[黄帝]]、[[堯]]、[[舜]]など、様々の伝説的な人物と関係づけられている。<ref name="中国音楽史略">
 
古琴の発明は、[[伏羲]]、[[神農]]、[[黄帝]]、[[堯]]、[[舜]]など、様々の伝説的な人物と関係づけられている。<ref name="中国音楽史略">
 
{{cite book
 
{{cite book
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</ref>。[[楊宗稷]]『琴学叢書』(1911-1931、全43巻)は琴の理論や琴曲32曲を含む総合的な書物である。
 
</ref>。[[楊宗稷]]『琴学叢書』(1911-1931、全43巻)は琴の理論や琴曲32曲を含む総合的な書物である。
 
元々の名称は単に「琴」であったが、後に「[[胡琴]]」や「[[洋琴]]」など、琴の字の頭に別の名をつけた弦楽器と区別するために、200年以上前から「七弦琴」と呼ばれるようになった。「古琴」の呼称が用いられるようになったのは20世紀後半からである。
 
元々の名称は単に「琴」であったが、後に「[[胡琴]]」や「[[洋琴]]」など、琴の字の頭に別の名をつけた弦楽器と区別するために、200年以上前から「七弦琴」と呼ばれるようになった。「古琴」の呼称が用いられるようになったのは20世紀後半からである。
 
===現代===
 
戦争が原因で、[[清]]末から古琴家の人数が少なくなった 。1937年に[[上海]]の今虞琴社が行った調査によると、全中国の古琴家はただ112人<ref name="史學網">{{Cite web |url= http://www.zgyysxw.com/templates/zgyy/second.aspx?nodeid=53&page=ContentPage&contentid=271&contentpagenum=1|title=从今虞琴社的创立和早期活动透视中国近代古琴文化的转型|accessdate=2014-07-12|work= |publisher=中國音樂史學網|date=2010-07-27}}</ref>。1950年代から1960年代、[[査阜西]]は古琴家を取材し、『存見古琴曲譜輯覧』<ref name="存见古琴曲谱辑览">
 
{{cite book
 
|author = 査阜西
 
|date = 2007-03-01
 
|title = 存见古琴曲谱辑览
 
|publisher = 中国音乐家协会
 
|location = 北京
 
|isbn = 9787503931765
 
|language = zh-hans
 
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</ref>と『琴曲集成』<ref name="琴曲集成">
 
{{cite book
 
|author = 中国艺术研究院音乐研究所和北京古琴研究会编; 査阜西、呉釗整理
 
|date = 2010-06-21
 
|title = 琴曲集成
 
|publisher = 中华书局
 
|location = 北京
 
|isbn = 9787101073836
 
|language = zh-hant
 
}}
 
</ref>を編纂し、これにより古琴の再興が始まった<ref name="触摸琴史">
 
{{cite book
 
|author = 林晨
 
|year=2012|month=2|title = 触摸琴史
 
|publisher = 文化艺术出版社
 
|location = 北京
 
|isbn = 9787503951763
 
|language = zh-hans
 
}}
 
</ref>。そして、古琴は次第に現代の教育体系に至った。[[管平湖]]・査阜西・[[呉景略]]・顧梅羹・[[張子謙]]・衛仲楽などは[[北京]]・上海で古琴の研究と伝授が始まった。<ref name="现代琴人传">
 
{{cite book
 
|author = 凌瑞蘭
 
|year=2009|month=5|title = 现代琴人传
 
|publisher = 上海音乐学院出版社
 
|location = 上海
 
|isbn = 9787806924372
 
|language = zh-hans
 
}}
 
</ref>
 
 
1977年、[[ボイジャーのゴールデンレコード]]には管平湖を演奏した『流水』が収められた。
 
2003年11月7日、「古琴芸術」は[[ユネスコ]]の無形文化遺産保護条約に基づく「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に掲載され<ref>{{cite web |url=http://www.unesco.org/culture/ich/index.php?lg=zh&pg=11&inscription=2&type=2 |title=UNESCO Culture Sector - Intangible Heritage - 2003 Convention |accessdate=2013-05-04 |publisher=UNESCO |date=2004-07-15 |archive-url=https://web.archive.org/web/20131205221339/http://www.unesco.org/culture/ich/index.php?lg=zh&pg=11&inscription=2&type=2 |archive-date=2013-12-05 |dead-url=no }}</ref>、2006年5月20日中国最初の「国家級非物質文化遺産」として正式登録された<ref name="国务院关于公布第一批国家级非物质文化遗产名录的通知">
 
{{cite web|url =http://www.ihchina.cn/inc/detail.jsp?info_id=203|accessdate =2013-06-23|title =国务院关于公布第一批国家级非物质文化遗产名录的通知|author =国务院|publisher =国务院|language =zh-hans|deadurl =yes|archiveurl =https://web.archive.org/web/20131103172006/http://www.ihchina.cn/inc/detail.jsp?info_id=203|archivedate =2013-11-03}}</ref>。
 
 
=== 日本 ===
 
日本には遣唐使の時代に譜とともに大陸から伝来、箏や[[和琴]]など他の[[琴|こと]]と区別して「琴(きん)」または「琴(きん)のこと」と称した。『[[懐風藻]]』には「琴」にまつわる詩が数多く詠まれている。また『[[うつほ物語]]』の清原俊蔭、『[[源氏物語]]』の光源氏など、物語の主人公が携行し奏でる場面が重要な物語要素となっている。[[平安時代]]中期頃まで演奏されていた記録が『[[日本三代実録]]』『[[吏部王記]](りほうおうき)』『[[御堂関白記]]』『御遊抄』『[[枕草子]]』に残るが、奏法が難しくまた音量の小さい楽器であったためか、結局、[[雅楽]]の編成にも加えられることなく一度断絶する。その後[[江戸時代]]に至り、[[東皐心越]]によって再び日本に伝わり、[[熊沢蕃山]]、[[荻生徂徠]]、[[浦上玉堂]]らの[[文人]]たちに愛好されたが、一般に広まることはなく再び衰微した。現代の琴学はオランダ公使の[[ロバート・ファン・ヒューリック|ファン・フーリック]](1910-1967)が[[岸辺成雄]]に教授したことから始まるものである。
 
 
古代の琴で日本に現存する代表的な琴に、唐琴として[[正倉院]]宝物の「金銀平文琴(きんぎんひょうもんのきん)」、[[法隆寺献納宝物]]の「開元琴」([[東京国立博物館]]所蔵、国宝)がある。他に、[[厳島神社]]蔵の伝[[平重衡]]所用の法花([[重要文化財]])、尾張・[[徳川義直]]の老龍吟、紀伊徳川家伝来の北宋琴・冠古(別銘「梅花断」(2019年9月北京大学王風教授による鑑定)、『集古十種』所載)、谷響、幽蘭(寛政年間)、天明三年無銘琴(4張ともに[[国立歴史民俗博物館]]蔵)などがある。
 
 
== 楽譜 ==
 
[[File:Shenqi_Mipu_vol_3_pg_1.jpg|thumb|[[朱権]]『神奇秘譜』の減字譜]]
 
古琴の楽譜には、文字譜と中唐時代に開発された減字譜(げんじふ)がある。文字譜は弧本として、漢代、[[蔡邕]](133-192)が書いた『琴操』に[[孔子]]が作曲したと伝える『[[碣石調幽蘭第五]]』(けっせきちょうゆうらんだいご)([[東京国立博物館]]所蔵、[[国宝]])が現存する。彦根井伊家、徳川田安家には、[[荻生徂徠]]の楽書『幽蘭譜抄』が伝わる。
 
 
減字譜は文字譜の字画を省略して(減らして)開発したのでこの名がある。その例を挙げれば、「挑」→「乚」、「抹」→「木」、「勾」→「勹」、「名」→「夕」などといった具合である。
 
 
減字譜は多数伝わり、[[朱権]]編『[[神奇秘譜]]』明・洪熙乙巳年(1425年)が代表的な琴譜である。減字譜は見た目が非常に変わっており、『[[紅楼夢]]』86回には、林黛玉が読んでいる琴譜を賈宝玉が見て「天書」だと思うシーンがある。
 
 
代表的な琴曲に「広陵散」「陽関三畳」「秋風辞」「酒狂」「昭君引」「大胡笳」「梅花三弄」「平沙落雁」「幽蘭」などがある。
 
 
[[中華人民共和国]]では1960年から琴譜の[[叢書 (漢籍)|叢書]]である『琴曲集成』の出版を開始し、2010年に全30巻・142種の琴譜の出版を完了した<ref>{{citation|和書|url=https://web.archive.org/web/20140715012557/http://culture.people.com.cn/GB/87423/12492267.html|title=横跨一千年 磨砺半世紀 《琴曲集成》出版|publisher=[[人民網]]|date=2010-08-20}}</ref>。
 
 
減字譜は現在のところ[[Unicode]]には未収録であるが、[[追加多言語面]]への追加が提案されている<ref>[https://unicode.org/wg2/docs/n5041-Jianzi.pdf]</ref>。
 
  
 
== 伝説 ==
 
== 伝説 ==
 
古琴に関する伝説は非常に多い。[[孔子]]が師襄子に琴を習ったときの話([[史記]]孔子世家)、伯牙と鍾子期の「知音」の故事(『[[列子]]』湯問)、[[司馬相如]]の琴と卓文君の話(『史記』司馬相如列伝)、[[蔡文姫]]が切れた弦の種類を聞き分けた話(『[[芸文類聚]]』の引く『蔡琰別伝』)、[[嵆康]]が刑死するときに「広陵散」を演奏した話(『[[世説新語]]』雅量)などが有名である。
 
古琴に関する伝説は非常に多い。[[孔子]]が師襄子に琴を習ったときの話([[史記]]孔子世家)、伯牙と鍾子期の「知音」の故事(『[[列子]]』湯問)、[[司馬相如]]の琴と卓文君の話(『史記』司馬相如列伝)、[[蔡文姫]]が切れた弦の種類を聞き分けた話(『[[芸文類聚]]』の引く『蔡琰別伝』)、[[嵆康]]が刑死するときに「広陵散」を演奏した話(『[[世説新語]]』雅量)などが有名である。
 
== 大衆文化==
 
古琴は中国の映画とテレビのバックグラウンドミュージックによく用いられる楽器で、『秦頌』(李祥霆)<ref name="李祥霆复活中国古琴艺术">{{cite web
 
|url = http://www.china.com.cn/chinese/zhuanti/309289.htm
 
|title = 李祥霆复活中国古琴艺术
 
|author = 北京日报
 
|publisher =
 
|year = 2003
 
|language = zh-hans
 
|archiveurl = https://web.archive.org/web/20130204194545/http://www.china.com.cn/chinese/zhuanti/309289.htm
 
|archivedate = 2013-02-04|
 
accessdate=2013年2月4日|dead-url = no
 
}}</ref>、『[[山水情]]』(龔一)<ref name="龚一古琴独奏音乐会">
 
{{cite web|url =http://www.bj.xinhuanet.com/bjpd-wq/2010-12/27/content_21726816.htm|title =千古绝响——龚一古琴独奏音乐会|author =国家大剧院|publisher =新华网|year =2010|language =zh-hans|deadurl =yes|archiveurl =https://web.archive.org/web/20131103104343/http://www.bj.xinhuanet.com/bjpd-wq/2010-12/27/content_21726816.htm|archivedate =2013-11-03|accessdate=2014-02-04}}
 
</ref>、『[[レッドクリフ]]』(趙家珍)などが有名である。<ref name="金城武弹古琴像搓背">{{cite web
 
|url = http://ent.sina.com.cn/m/c/2008-07-16/10572102776.shtml
 
|title = 中央音乐学院教授:金城武弾古琴像搓背
 
|author = 成都晚报
 
|publisher = 四川新闻网
 
|date= 2008-07-16
 
|language = zh-hans
 
|archive-url = https://web.archive.org/web/20131104073321/http://ent.sina.com.cn/m/c/2008-07-16/10572102776.shtml
 
|archivedate = 2013-11-04
 
|dead-url = no
 
|accessdate=2014-02-04}}</ref>
 
 
しかし、古琴の使い方が間違っている作品も多く、『[[カンフーハッスル]]』に登場する「古琴」は本当の古琴ではなく、それに付随する音楽も[[古筝]]によるものであった<ref name=泠泠>{{cite web
 
|url =http://www.cctv.com/program/dajia/20060602/103110.shtml
 
|accessdate =2019-12-22
 
|title =
 
冷冷七弦一世情:古琴演奏家李祥霆
 
|publisher =央視國際
 
|date=
 
2006-06-02|language = zh-hans}}</ref>。『[[宮廷の諍い女]]』でも古筝による音楽が使われ、さらに出演女優は古琴を逆さに置いて弾いている<ref name="甄嬛傳">{{cite web|url =http://news.sohu.com/20120407/n339990653.shtml|title =专家指《甄嬛传》低级错误 古琴弹出古筝曲(图)|author =崔晓旭、吴晓平|date =2012-04-07|publisher =東南新聞網|accessdate =2014-12-29|archive-url =https://web.archive.org/web/20141229194156/http://news.sohu.com/20120407/n339990653.shtml|archivedate =2014-12-29|dead-url =no}}</ref>。
 
  
 
== 参考文献 ==
 
== 参考文献 ==

2024年11月6日 (水) 19:20時点における最新版

唐の名琴『大聖遺音』、故宮

古琴(こきん、クーチン、gǔqín)は、中国の古い伝統楽器。七弦琴(しちげんきん)、瑶琴(ようきん)とも呼ぶ。3000年の歴史がある撥弦楽器で、八音の「糸」に属し、7本の弦を持つ。箏などと違い、琴柱(ことじ)はなく(き)と呼ばれる印が13あり、これに従い、左指で弦を押さえて右指で弾く。古琴演奏技は、2003年、ユネスコの無形文化遺産保護条約に基づく「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に掲載され、2009年9月に無形文化遺産として正式登録された[1]

古琴は中国の文人が嗜むべきとされた“琴棋書画”の一番目である。孔子、諸葛孔明、竹林の七賢の嵆康、陶淵明、白居易など、歴史上著名な多くの文人によって演奏された。日本でも菅原道真、重明親王が学んだことが知られる。「君子左琴」「右書左琴」「伯牙絶弦」「知音」など、琴にまつわる故事成語も多い。

構造[編集]

古琴の胴体は全長130cm前後で、伝統的にアオギリ製とされるが[2]、それ以外の木材も使われ、雲杉(トウヒ属)製も人気が高い[3]。7本の弦を有し、演奏者から見て遠い方から順に第1弦、第2弦、…、第7弦と数える。調弦方法にはさまざまなものがあるが、もっとも基本的な正調では第1弦から順に C D F G A c d であり、開放弦で五音音階を奏でることができる[2]。右手の小指以外の4本の指を使って弾く。複数の弦を同時に弾くこともあり、音程としては八度・五度などが使われる。 ギターのフレットや琴柱のようなものは存在しない。左手も小指以外の4本の指を使うが、左指の使い方には散・泛・按の3通りがある[2]

  • 散 - 左指を使わない(開放弦)
  • 泛 - 左指で軽く弦に触れて倍音を出す(フラジオレット)
  • 按 - 左指で弦を押さえて音の高さを変える。弾きながら指を動かして音高を変化させる技法(ポルタメント)が多用される。

左指で押さえる場所を示す13個のしるしを「徽」と呼び、演奏者から見て右から左へ第一徽・第二徽……と呼ぶ。徽は開放弦に対する弦長比が単純な分数になるように定められており(純正律を参照)、徽同士の間隔は一定しない。開放弦が C の場合、徽と音の関係は以下のようになる[4]

歴史[編集]

古琴の発明は、伏羲神農黄帝など、様々の伝説的な人物と関係づけられている。[5]テンプレート:Rp[6] 琴の最古の文献上の記録は『詩経』である[5]テンプレート:Rp[7]。考古学的には、曾侯乙墓から琴と似た十弦琴が出土している[5]テンプレート:Rp。七弦の琴は郭店一号楚墓から出土した戦国時代の琴と、馬王堆漢墓から出土した前漢の琴があるが、どちらも全長80cmあまりのもので、現在の古琴よりも小さい[8][9]

南北朝以降になると現在と同様の120cmほどの古琴が出現する[10]台湾国立故宮博物院にはの時代に作られた「春雷」という琴を蔵するが、この琴は天下第一の琴と呼ばれた[11]。「九霄環佩」というやはり唐の至徳元載(756年)に作られた琴は、北京の故宮博物院ほかに4面が現存し、いずれもほぼ同じである[12]

古琴の構造は時代を通じてほとんど変化がない。太宗が9弦琴とそのための曲を作ったが[13]、普及しなかった。

古琴の弦は伝統的には絹糸であるが、現在は主にスチール弦やスチール芯のナイロン弦が用いられる。本来の絹製の弦とは響きが異なるため、近年本来の絹製の弦を使った復元演奏も試みられている[14]

古琴の専門書として、古くは揚雄『琴清英』、蔡邕『琴操』、嵆康『琴賦』などがある。の蒋克謙『琴書大全』(1590、全22巻)には琴に関する古来の多くの論著を集めている。朱権の『神奇秘譜』は最初に印刷された古琴譜である[15]楊宗稷『琴学叢書』(1911-1931、全43巻)は琴の理論や琴曲32曲を含む総合的な書物である。 元々の名称は単に「琴」であったが、後に「胡琴」や「洋琴」など、琴の字の頭に別の名をつけた弦楽器と区別するために、200年以上前から「七弦琴」と呼ばれるようになった。「古琴」の呼称が用いられるようになったのは20世紀後半からである。

伝説[編集]

古琴に関する伝説は非常に多い。孔子が師襄子に琴を習ったときの話(史記孔子世家)、伯牙と鍾子期の「知音」の故事(『列子』湯問)、司馬相如の琴と卓文君の話(『史記』司馬相如列伝)、蔡文姫が切れた弦の種類を聞き分けた話(『芸文類聚』の引く『蔡琰別伝』)、嵆康が刑死するときに「広陵散」を演奏した話(『世説新語』雅量)などが有名である。

参考文献[編集]

  • 山田孝雄『源氏物語之音楽』宝文館 1934年 
  • 三谷陽子『東アジア琴箏の研究』全音楽譜出版社 1980年6月25日 
  • 上原作和『光源氏物語の思想史的変貌 《琴》のゆくへ』有精堂出版、1994年12月20日 ISBN 978-4640310552
  • 岸邊成雄『江戸時代の琴士物語』有隣堂印刷株式会社出版部 1999年9月20日
  • 吉川良和『中国音楽と芸能 非文字文化の探究』(中国学芸叢書)創文社 2003年12月30日 ISBN 978-4423194270
  • 上原作和『光源氏物語學藝史 右書左琴の思想』翰林書房、2006年5月20日 ISBN 978-4877372293
  • 中 純子『詩人と音楽 - 記録された唐代の音』知泉書館 2008年11月15日 ISBN 978-4862850454  
  • 上原作和編『《琴》の文化史 東アジアの音風景』「アジア遊学」126号 勉誠出版、2009年9月30日 ISBN 978-4585104230
  • Tsar Teh-yun (1905-2007) maitre du qin (2 cd-set+54 pages booklet in English/French), AIMP-VDE Gallo, VDE CD 1432/1433, 2014
  • The Heart of Qin in Hong Kong, Director: Mayram Goormathtigh, 52', 2010 documentary, Hong Kong China (Language: Cantonese, Subtitle: Chinese and English)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. http://www.unesco.org/culture/ich/en/RL/guqin-and-its-music-00061 , Intangible Heritage: Guqin and its music, UNESCO
  2. 2.0 2.1 2.2 中国音楽詞典, 人民音楽出版社, 1985, p305-306
  3. http://www.nfgqw.com/qsview.asp?id=32., 梧桐、泡桐、杉木哪種作琴材最好, 南風琴社, 2010-09-29
  4. 中国音楽詞典, 人民音楽出版社, 1985, p307
  5. 5.0 5.1 5.2 テンプレート:Cite book
  6. テンプレート:Cite book
  7. 《詩経》:“琴瑟友之;琴瑟撃鼓,以御田祖”
  8. テンプレート:Citation
  9. テンプレート:Citation
  10. 大通元年(527年)と記された古琴: テンプレート:Citation
  11. テンプレート:Citation
  12. テンプレート:Citation
  13. 『宋史』巻126・楽志一「太宗嘗謂舜作五絃之琴以歌南風、後王因之、復加文武二絃。至道元年、乃増作九絃琴・五絃阮。別造新譜三十七巻。」
  14. テンプレート:Citation
  15. テンプレート:Cite book