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ネクベトは上エジプトの守護神であった。ネクベトと下エジプトの[[ウアジェト]]は、しばしば「二人の女」として一緒に登場する。各統治者の称号のひとつがネブティ(''Nebty'')であり、それは「二人の女性」の[s/he]の象形文字で始まっていた...<ref name="Wilkinson"/>。
 
ネクベトは上エジプトの守護神であった。ネクベトと下エジプトの[[ウアジェト]]は、しばしば「二人の女」として一緒に登場する。各統治者の称号のひとつがネブティ(''Nebty'')であり、それは「二人の女性」の[s/he]の象形文字で始まっていた...<ref name="Wilkinson"/>。
  
美術では、ネクベトはハゲタカとして描かれていた。
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美術では、ネクベトはハゲタカとして描かれていた。アラン・ガーディナーは、ネクベトの図像に使われた種をシロエリハゲワシであると特定した。
  
  

2022年12月9日 (金) 12:55時点における版

ハゲワシの姿のネクベト。

ネクベト(Nekhbet、nɛkˌbɛt[1])はエジプト神話に登場するエジプト先王朝時代の地方女神で、ネクヘブという都市の守護神である(彼女の名前はネクヘブ(of Nekheb)の意)。最終的には上エジプトの守護神となり、古代エジプトが統一された際には、全エジプトの守護神のうちの一柱となった[2]

神話

エジプトで最も古い神殿のひとつがネクヘブ(エル・カブとも呼ばれる)のネクベトの神殿である。ネクヘブはエジプト先王朝時代(紀元前3200〜3100年頃)の終わりから、おそらくエジプト初期王朝時代(紀元前3100〜2686年頃)においても、上エジプトの宗教的・政治的首都ネケンの付属都市であったと考えられている[2]。ネケン遺跡の最初の定住は、ナカダ1期または後期バダリアン文化である。最盛期の紀元前3400年頃、ネケンには少なくとも5千人、場合によっては1万人もの住民がいたという。

ネクベトは上エジプトの守護神であった。ネクベトと下エジプトのウアジェトは、しばしば「二人の女」として一緒に登場する。各統治者の称号のひとつがネブティ(Nebty)であり、それは「二人の女性」の[s/he]の象形文字で始まっていた...[2]

美術では、ネクベトはハゲタカとして描かれていた。アラン・ガーディナーは、ネクベトの図像に使われた種をシロエリハゲワシであると特定した。


In art, Nekhbet was depicted as a vulture. Alan Gardiner identified the species that was used in divine iconography as a griffon vulture. Arielle P. Kozloff, however, argues that the vultures in New Kingdom art, with their blue-tipped beaks and loose skin, better resemble the lappet-faced vulture.[3]

In New Kingdom times, the vulture appeared alongside the uraeus on the headdresses with which kings were buried. The uraeus and vulture are traditionally interpreted as Wadjet and Nekhbet, but Edna R. Russmann has suggested that in this context they represent Isis and Nephthys, two major funerary goddesses, instead.[4]

Nekhbet usually was depicted hovering, with her wings spread above the royal image, clutching a shen symbol (representing eternal encircling protection), frequently in her claws.[2]

Further reading

  • Hans Bonnet: Nechbet. In: Lexikon der ägyptischen Religionsgeschichte. Nikol, Hamburg 2000, ISBN 3-937872-08-6, S. 507f.
  • Wolfgang Helck, Eberhard Otto: Nechbet. In: Kleines Lexikon der Ägyptologie. Harrassowitz, Wiesbaden 1999, ISBN 3-447-04027-0, S. 199.
  • Alexandra von Lieven: Grundriss des Laufes der Sterne – Das sogenannte Nutbuch. The Carsten Niebuhr Institute of Ancient Eastern Studies (u. a.), Kopenhagen 2007, ISBN 978-87-635-0406-5.
  • Alexandra von Lieven: Der Himmel über Esna – Eine Fallstudie zur religiösen Astronomie in Ägypten am Beispiel der kosmologischen Decken- und Architravinschriften im Tempel von Esna. Harrassowitz, Wiesbaden 2000, ISBN 3-447-04324-5.
  • Marcelle Werbrouck, Fouilles de El Kab II. 1940, S. 46ff.


概要

上エジプトの守護神であり下エジプトを守護するウアジェトと共にファラオの守護者、王権の象徴とされた。この時、ウアジェトが太陽、ネクベトが月を象徴した。

女性あるいは、上エジプトの白い王冠を被ったハゲワシの姿で描かれる[5]。ファラオの守護者として描かれる場合は、翼をファラオの上に広げ、ファラオの環または、髪を掴んだ姿でも表現される。

ネクベト崇拝の中心都市は、ネケブ(現在のエル=カブ)であった[6]。ネケブは、ホルスの崇拝の中心であったネケン(Nekhen)とナイル川を挟んで対岸にありエジプト先史時代において2つの都市は、上エジプトの首都として機能していた。ネクベトの重要性は、ホルスの隆盛とともに高まることとなった[6]

神話

ネクベトは、ラーの右眼あるいは、ラーの娘と呼ばれた。またネクベトは、アビドスの腹ばいの犬[7]もしくは狼[8]の姿をした神ケンティ・アメンティウの妻ともみなされた[9]

古代エジプトにおいて貧しい人々の死体は、砂漠に投げ入れられハゲワシの餌となっていたことがネクベトを葬祭の神であるケンティ・アメンティウに結びつけたと考えられる[9]

ケンティ・アメンティウがオシリスと習合されるとネクベトもオシリスにも結びつくこととなった。オシリス信仰においてネクベトは、オシリスの豊穣の面と結び付けられ、ナイル川の神ハピの妻とみなされた。このことからネクベトは、母なる女神、出産の神と考えられ、ハトホルとも同一視された[5]。またテーベのハゲワシ姿の女神であるムトと混同されることもあった[10]。さらにテフネトとも同一視された。

参考文献

  • アーサー・コッテル, 左近司祥子他訳, 1993, 世界神話辞典, 柏書房, isbn:4-7601-0922-6
  • ヴェロニカ・イオンズ, 酒井傳六訳, 1991, エジプト神話(新装版), 青土社, isbn:4-7917-5145-0

参照

  1. 2012, Nekhbet, Dictionary.com, Random House
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 Wilkinson, Richard H. (2003). The Complete Gods and Goddesses of Ancient Egypt. Thames & Hudson. pp. 213–214
  3. Bailleul-LeSuer, Rozenn (ed), Between Heaven and Earth: Birds in Ancient Egypt. The Oriental Institute of the University of Chicago. pp. 61–62, 138
  4. Robins, Gay, Review of The Animal World of the Pharaohs and Choice Cuts: Meat Production in Ancient Egypt. Journal of the American Oriental Society, vol. 119, no. 1, (January–March 1999)
  5. 5.0 5.1 イオンズ, p168
  6. 6.0 6.1 イオンズ, p166
  7. コッテル, p41
  8. イオンズ, p261
  9. 9.0 9.1 イオンズ, p167
  10. イオンズ, pp189-190