「ディアーナ」の版間の差分

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== 概要 ==
 
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古くから[[月|月神]][[ルーナ]](ギリシア神話では[[セレーネー]]に相当)と同一視されていたが、元は[[木|樹木]]の[[神]]であったとされ、[[農民]]に信仰されたために特に[[人間]]に対する多産の神となった。アリキアでは[[森林|森]]の神[[ヒッポリュトス (神話)|ウィルビウス]]と共に祭られており、その[[神官]]職はその森の木の[[枝]]を折り取った[[奴隷]]が神官と決闘し、その神官を倒した奴隷に代々受け継がれていた。
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古くから月神[[ルーナ]](ギリシア神話では[[セレーネー]]に相当)と同一視されていたが、元は樹木の神であったとされ、農民に信仰されたために特に人間に対する多産の神となった。アリキアでは森の神[[ヒッポリュトス (神話)|ウィルビウス]]と共に祭られており、その神官職はその森の木の枝を折り取った奴隷が神官と決闘し、その神官を倒した奴隷に代々受け継がれていた<ref group="私注">元は「樹木神の妻」あるいは「母」とされていたのではないだろうか。</ref>。
  
また、比較的古くからギリシア神話の処女神アルテミスと同一視されており、セレーネー、[[ヘカテー]]とも同一視されるようになった。ヘカテーと同じく[[トリウィア]]がディアーナの形容語である。またアリキアで祭られていたディアーナは[[タウリス]]で祭られていた[[人身御供]]を求めるアルテミスと同一視され、ウィルビウスは[[アスクレーピオス]]に蘇らされた[[ヒッポリュトス (神話)|ヒッポリュトス]]がその名を変えたものと解釈されていた。
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また、比較的古くからギリシア神話の処女神[[アルテミス]]と同一視されており、[[セレーネー]]、[[ヘカテー]]とも同一視されるようになった。[[ヘカテー]]と同じくトリウィアがディアーナの形容語である。またアリキアで祭られていたディアーナは[[タウリス]]で祭られていた[[人身御供]]を求める[[アルテミス]]と同一視され、[[ウィルビウス]]は[[アスクレーピオス]]に蘇らされた[[ヒッポリュトス (神話)|ヒッポリュトス]]がその名を変えたものと解釈されていた<ref group="私注">ディアーナの夫は植物神であると共に馬神とも見なされていたことが示唆される。</ref>。
  
 
[[ウェルギリウス]]による『[[アエネーイス]]』の中では、ディアーナは三つの顔の名を持ち、天ではルーナ、地上ではディアーナ、地下では[[プロセルピナ]]であるとされている<ref>杉本正俊 訳 『アエネーイス』 [[新評論]] 2013年。</ref>。また[[:en:Michael Drayton|マイケル・ドレイトン]]の詩歌『The Man in the Moone』では、三つの姿のディアーナを賛美する記述があり、天国では月光を司る[[ポイベー]]、地上では貞節を司るディアーナ、地獄では魔術を司るヘカテーとして天国・地上・地獄という三つの世界を支配するとしている<ref>[http://www.poetrynook.com/poem/man-moone Poem: The Man in the Moone by Michael Drayton]</ref>。
 
[[ウェルギリウス]]による『[[アエネーイス]]』の中では、ディアーナは三つの顔の名を持ち、天ではルーナ、地上ではディアーナ、地下では[[プロセルピナ]]であるとされている<ref>杉本正俊 訳 『アエネーイス』 [[新評論]] 2013年。</ref>。また[[:en:Michael Drayton|マイケル・ドレイトン]]の詩歌『The Man in the Moone』では、三つの姿のディアーナを賛美する記述があり、天国では月光を司る[[ポイベー]]、地上では貞節を司るディアーナ、地獄では魔術を司るヘカテーとして天国・地上・地獄という三つの世界を支配するとしている<ref>[http://www.poetrynook.com/poem/man-moone Poem: The Man in the Moone by Michael Drayton]</ref>。

2022年11月18日 (金) 08:48時点における版

ディアーナ(ラテン語:Diāna)あるいはディーアーナDīāna)は、ローマ神話に登場する、狩猟、貞節と月の女神。ユーピテルラートーナの娘で、アポロの妹とする説がある。新月の銀の弓を手にする処女の姿が特徴。

日本語では長母音記号を省略してディアナとも呼ぶ。英語読みダイアナDiana)でも知られる。ギリシア神話ではアルテミスに相当する。南イタリアのカプアとローマ付近のネミ湖湖畔のアリキアを中心に崇拝されていた。

概要

古くから月神ルーナ(ギリシア神話ではセレーネーに相当)と同一視されていたが、元は樹木の神であったとされ、農民に信仰されたために特に人間に対する多産の神となった。アリキアでは森の神ウィルビウスと共に祭られており、その神官職はその森の木の枝を折り取った奴隷が神官と決闘し、その神官を倒した奴隷に代々受け継がれていた[私注 1]

また、比較的古くからギリシア神話の処女神アルテミスと同一視されており、セレーネーヘカテーとも同一視されるようになった。ヘカテーと同じくトリウィアがディアーナの形容語である。またアリキアで祭られていたディアーナはタウリスで祭られていた人身御供を求めるアルテミスと同一視され、ウィルビウスアスクレーピオスに蘇らされたヒッポリュトスがその名を変えたものと解釈されていた[私注 2]

ウェルギリウスによる『アエネーイス』の中では、ディアーナは三つの顔の名を持ち、天ではルーナ、地上ではディアーナ、地下ではプロセルピナであるとされている[1]。またマイケル・ドレイトンの詩歌『The Man in the Moone』では、三つの姿のディアーナを賛美する記述があり、天国では月光を司るポイベー、地上では貞節を司るディアーナ、地獄では魔術を司るヘカテーとして天国・地上・地獄という三つの世界を支配するとしている[2]

ディアーナの神話は他のローマ神話の神と同じく、ほとんどがアルテミスのものであり、独自の神話は無い。

異教信仰

10世紀キリスト教の法規書では魔女達の女神はディアーナとヘロディアスであると書かれている[3]中世ヨーロッパの各地で、夜間に異教の女神であるディアーナに導かれて野獣に乗って騎行する女たちの話が伝えられていた。

1889年チャールズ・ゴッドフリー・リーランドが発表した『アラディア、あるいは魔女の福音』ではディアーナが原初の月の女神として登場しており、光の神ルシファー(悪魔のルシファーとは別である)との間に生まれた娘・アラディアを地上に遣わし、受難する抑圧された者達に、迫害する者に対して魔女術によって対抗する事を教えたとされている[3]

出典

関連項目

テンプレート:Commonscat


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  1. 杉本正俊 訳 『アエネーイス』 新評論 2013年。
  2. Poem: The Man in the Moone by Michael Drayton
  3. 3.0 3.1 楠瀬啓 『実践 悪魔学入門』 二見書房、306,307頁。