「船乗りの柱」の碑文は [_]ernunnos となっており、いつかの時点で名前の最初の文字が欠落している。しかし、この名前を "Cernunnos" と復元するのに問題点はない。というのは、名前の下に枝角を持った神の絵があるからで、ガリア語の carnon, cernon は「枝角」、「角」を意味している(Delmarre, 1987 pp. 106 - 107)。同様に、古いアイルランド語では cern は「角」、 "bumb, boss" を意味し、ウェールズ語やブレトン語の類似単語 carn とも語源的に関連している。これらは原インド・ヨーロッパ語の *krno- からきたものである。ラテン語の cornu 、ゲルマン語の *hurnaz (英語の "horn" の元)も同じ語源である(Nussbaum 1986; Porkorny 1959 pp.574 - 576)。 Carnutes、Carni、Carnonacae といった部族名、進軍ラッパの carnyx にも同一のガリア語の語源が見いだされる。そこでこの神名素の原ケルト語形は *Kerno-on-os ないし *Karno-on-os と再構成できる。どちらも「角のある男性的な(霊)」という意味である。 -on- という部分は非常に多いわけではないがしばしば神名素に現れる。例えば、マポノス(Map-on-os)、[[エポナ]](Ep-on-a)、マトロナエ(Matr-on-a)、シローナ(Sir-on-a)のように。
受け入れられている[[ケルト語派|ケルト語]]の[[音韻規則]]に従えば、この原ケルト神名素の 受け入れられているケルト語の音韻規則に従えば、この原ケルト神名素の Romano-British 形は *Cernonos か *Carnonos であったと思われる。いずれもガリ語の Cernunnos と極めて似ている。
== 図像 ==
ケルヌンノスの描かれ方はケルト圏を通じ極めて一貫している。もっともわかりやすい特徴は[[シカ|牡鹿]]の角であり、通常長髪で髭をたくわえた成人男性の姿で、ケルトで高貴のしるしである豪華な装飾を施された首輪、[[トルク (装身具)|トルク]]を身に付けている。硬貨で一杯の財布を持つのと同様に、しばしば他のトルクを腕や角にぶら下げているものもある。通常、足を組んで座る姿で描かれ、その姿勢は[[瞑想]]しているとも[[シャーマニズム|シャーマン]]の[[呪術]]を行なう姿ともいわれているが、実際はケルト人が狩猟のときにしゃがむという事実を反映しているに過ぎないのかもしれない。ケルヌンノスの描かれ方はケルト圏を通じ極めて一貫している。もっともわかりやすい特徴は牡鹿の角であり、通常長髪で髭をたくわえた成人男性の姿で、ケルトで高貴のしるしである豪華な装飾を施された首輪、トルクを身に付けている。硬貨で一杯の財布を持つのと同様に、しばしば他のトルクを腕や角にぶら下げているものもある。通常、足を組んで座る姿で描かれ、その姿勢は瞑想しているともシャーマンの呪術を行なう姿ともいわれているが、実際はケルト人が狩猟のときにしゃがむという事実を反映しているに過ぎないのかもしれない。
ケルヌンノスはほとんど常に動物、特に牡鹿と共に描かれる。しばしばこの神特有の動物であり第一の眷属と考えられる牡羊の角をもった蛇と共に描かれるが、蛇自体も神であったかもしれない。また、これらほど頻繁ではないもののケルヌンノスはほとんど常に動物、特に牡鹿と共に描かれる。しばしばこの神特有の動物であり第一の眷属と考えられる牡羊の角をもった'''蛇'''と共に描かれるが、蛇自体も神であったかもしれない。また、これらほど頻繁ではないものの[[ウシ|牡牛]]<sup>1</sup>、[[イヌ|犬]]や[[ラット|ドブネズミ]]などの獣が傍らに描かれることもある。動物と共に描かれることが多いことから、研究者はケルヌンノスを「百獣の神」ないし「野生の神」と呼ぶことがある。特に牡鹿と共に描かれ、これが主要な獲物であったことから「狩猟の神」と呼ばれることもある。興味深いことに「船乗りの柱」はケルヌンノスを水夫や貿易と結びつけるが、古代にはドゥロコルトルムという[[レミ族]]の[[城市]]だった[[フランス]]、[[シャンパーニュ地方]]の[[マルヌ県]]から出土したケルヌンノスの硬貨入れや、[[トレウェリ族]]の居住地内にあった[[ルクセンブルク]]の などの獣が傍らに描かれることもある。動物と共に描かれることが多いことから、研究者はケルヌンノスを「百獣の神」ないし「野生の神」と呼ぶことがある。特に牡鹿と共に描かれ、これが主要な獲物であったことから「狩猟の神」と呼ばれることもある。興味深いことに「船乗りの柱」はケルヌンノスを水夫や貿易と結びつけるが、古代にはドゥロコルトルムというレミ族の城市だったフランス、シャンパーニュ地方のマルヌ県から出土したケルヌンノスの硬貨入れや、トレウェリ族の居住地内にあったルクセンブルクの Niedercorn-Turbelslach から出土した硬貨を吐き出す鹿などから彼と物質的な豊かさとの関連が伺える。また、この神は森に住む鹿の繁殖力の象徴であったかもしれない。
# [[ランス (マルヌ県)|ランス]]で見られる例。
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