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、 2022年10月31日 (月) 16:25
'''大山津見神'''(おおやまつみのかみ)は、[[日本神話]]に登場する[[神 (神道)|神]]。
== 神名 ==
『[[古事記]]』では'''大山津見神'''、『[[日本書紀]]』では'''大山祇神'''、他に'''大山積神'''、'''大山罪神'''とも表記される。
別名 和多志大神、酒解神。
1972年8月調査では、神社本庁傘下の神社1万318社のうち、85%が「大山祇神」、9%が「大山津見神」、5%が「大山積神」と表記する<ref>『大三島宮』大山祇神社発行</ref>。
神名の名義は後述。/
== 神話での記述 ==
『[[古事記]]』では、[[神産み]]において[[伊邪那岐命]]と[[伊邪那美命]]との間に生まれた。その後、草と野の神である[[鹿屋野比売神]](野椎神)との間に以下の四対八柱の神を生んでいる。
* [[天之狭土神・国之狭土神]]
* [[天之狭霧神・国之狭霧神]]
* [[天之闇戸神・国之闇戸神]]
* [[大戸惑子神・大戸惑女神]]
『日本書紀』では、イザナギが[[カグツチ|軻遇突智]]を斬った際に生まれたとしている。
天之狭霧神の娘の[[遠津待根神]]は、[[大国主神]]の8世孫の[[天日腹大科度美神]]との間に[[遠津山岬多良斯神]]を産んでいる。
オオヤマツミ自身についての記述はあまりなく、オオヤマツミの子と名乗る神が何度か登場する。
[[ヤマタノオロチ退治|八俣遠呂智退治]]において、[[須佐之男命]](すさのを)の妻となる[[櫛名田比売]](くしなだひめ)の父母、[[アシナヅチ・テナヅチ|足名椎・手名椎]](あしなづち・てなづち)はオオヤマツミの子と名乗っている。
その後、スサノオの系譜において、オホヤマツミ神の娘である[[神大市比売神]](かむおほいちひめ)との間に[[大年神]]と[[宇迦之御魂神]](うかのみたま)をもうけていると記している。また、クシナダヒメとの間の子、[[八島士奴美神]](やしまじぬみ)は、オオヤマツミの娘の[[木花知流比売]](このはなちるひめ)と結婚し、[[布波能母遅久奴須奴神]](ふはのもぢくぬすぬ)を生んでいる。フハノモヂクヌスヌの子孫が[[大国主|大国主神]]である。と
[[天孫降臨]]の後、[[邇邇芸命]]はオオヤマツミの娘である[[木花之佐久夜毘売]]と出逢い、オオヤマツミはコノハナノサクヤビメとその姉の[[石長比売]]を差し出した。ニニギが容姿が醜いイワナガヒメだけを送り返すと、オオヤマツミはそれを怒り、「イワナガヒメを添えたのは、天孫が岩のように永遠でいられるようにと誓約を立てたからで、イワナガヒメを送り返したことで天孫の寿命は短くなるだろう」と告げた。
== 解説 ==
神名の「ツ」は「の」、「ミ」は神霊の意なので、「オオヤマツミ」は「大いなる[[山の神]]」という意味となる。
ユネスコの[[ユネスコ記憶遺産|記憶遺産]]に登録された[[山本作兵衛]]が描いた[[筑豊]]の[[炭鉱]]画の中でも、オオヤマツミに関する記述がある。
==オオヤマツミを祀る神社 ==
[[File:端島神社.JPG|thumb|軍艦島の端島神社はオオヤマツミを祀る]]
全国の[[大山祇神社 (曖昧さ回避)|大山祇神社]](山積神社/大山積神社/大山津見神社含む)の他、[[三島神社]](三嶋神社)や山神社(山神神社)の多くでも主祭神として祀られている。
1973年1月大三島大社講([[大山祇神社]])発行の『大三島宮』によると、その数はそれぞれ897社、402社、3075社である(次項以降の神社数を含め、『大三島宮』(大山祇神社発行)に記載されている、1972年8月の神社本庁調査に基づく<ref group="注釈">境内社等を含む。神社本庁傘下の神社のみ</ref>)。なお、三島神社や山神社を称していても、主祭神が大山祇神でない神社は除外されている。
=== [[大山祇神社 (曖昧さ回避)|大山祇神社]] ===
全国に897社ほど。総本社は[[大山祇神社]]([[愛媛県]][[今治市]][[大三島]])である。三島神社とほぼ同一の信仰を持つ神社もあれば、明治時代に鉱山開発を目的に勧請された神社もある。高知県113社、群馬県79社、福岡県75社、福島県60社、長崎県53社などに多い。大山積神社、山積神社、山住神社と書く神社もある。
総本社である大山祇神社のある愛媛県は三島神社として勧請される例が多く、大山祇神社は18社と限られる。
戦前にはサイパンの[[ロタ島]]、樺太の[[川上村 (樺太)|川上村]]にも大山祇神社が勧請されていた。
=== [[三島神社]] ===
全国に402社ほど。三嶋大明神としての大山祇神を祀る。総本社は[[大山祇神社]]([[愛媛県]][[今治市]][[大三島]])及び[[三嶋大社]]([[静岡県]][[三島市]])である。大山祇神社のある愛媛県が130社で突出しており、同県の神社の約10%を占める。続いて福島県29社、高知県20社、茨城県18社、大分県18社などが続く。
1873年に三嶋大社の主祭神が大山祇神から事代主神に変更されたため(のち大山祇神・事代主神二神同座に再度変更)祭神に混乱が生じている。例えば、三嶋大社のある静岡県には36社の三島神社が存在するが、元々妃神や御子神のみを祀る三島神社が多かったことに加えて、三嶋大社の主祭神変更を受けて一部の神社が同調し、大山祇神を祀る三島神社は13社となっている。また、福岡県も同様で、事代主神を祀る三島神社が多いため大山祇神を祀る三島神社は24社中12社になっている。
=== [[山神社]] ===
全国に3075社ほど。大山祇神社(愛媛県今治市大三島)の分社や、その地方の山神を大山祇神として崇めた神社が含まれる。比較的小規模な神社が多く、ごく小規模な神社や境内社といった形で祀られる例が多い。地域的には、愛知県311社、静岡県257社、長野県204社、大分県191社、徳島県168社、福島県165社、山形県150社、兵庫県145社、岐阜県132社、山梨県131社などとなっている。
=== [[十二神社]] ===
全国に438社ほど(別の神を祀る神社を含む。2007年國學院大學発行『現代・神社の信仰分布』に拠る)。十二様としての大山祇神を祀る。新潟県や群馬県の中山間部を中心に存在する。小規模社が多い。
伊予の大山祇神社や伊豆の三嶋大社を中心とする「大山祇・三島信仰」とは別系統で、本来はこの地域土着の山の神の信仰である。
=== その他 ===
[[大山阿夫利神社]]([[神奈川県]][[伊勢原市]])や[[梅宮大社]]([[京都市]][[右京区]])、[[湯殿山神社]]([[山形県]][[鶴岡市]])などでも主祭神ととされる。そのほか酒造や各地の山岳信仰と結びついたり、[[大山祇神社]]や[[三嶋大社]]の分社の中で三島神社や大山祇神社、山神社以外の名称を名乗る神社が存在し([[一宮神社 (新居浜市)|一宮神社]]、[[稲爪神社]]、[[瀬戸神社]]等)、大山祇神を祀る神社は相当数にのぼる。[[浅間神社]]等でも主祭神として扱われていることがある。
配神や境内外社としてよく祀られる神の1柱でもあり、[[伊勢神宮]][[皇大神宮|内宮]]([[三重県]][[伊勢市]])にも[[大山祇神社 (伊勢市)|大山祇神社]]が勧進されている。上述の『大三島宮』によると、大山祇神を祀る神社は、小規模社や境内社・配神等を含めると全国に1万318社存在する。この数は日本神話の神の中で5番目に多いという。
[[熊本県]][[荒尾市]]の[[三井三池炭鉱]]旧万田坑の構内にある{{文化遺産オンライン|149301|山ノ神祭祀施設}}は、1916年(大正5年)に大山祇神を分祀した[[祠]]だが、[[文化財保護法]]の[[重要文化財]]に指定されており、「[[明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業]]」の構成資産として[[世界遺産]]になっている。また、[[端島 (長崎県)|軍艦島]]の端島神社も[[金刀比羅宮]]とともにオオヤマツミを合祀していた。
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
== 関連項目 ==
* [[山の神]]
* [[日本の神の一覧]]
* [[神産み]]
* [[シオツチノオジ]]
* [[バナナ型神話]]
{{DEFAULTSORT:おおやまつみ}}
[[Category:日本神話]]
[[Category:水神]]
[[Category:酒神]]
[[Category:山神]]
[[Category:海神]]
[[Category:軍神]]