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'''怪物退治'''(かいふつたいし)とは、神話・伝承において英雄や女性が怪物を退治する物語である<ref>[https://www.weblio.jp/content/%E6%80%AA%E7%89%A9%E9%80%80%E6%B2%BB 怪物退治]、物語用語辞典、weblio辞書(最終閲覧日:22-09-23)</ref>
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'''怪物退治'''(かいぶつたいじ)とは、神話・伝承において英雄や女性が怪物を退治する物語である<ref>[https://www.weblio.jp/content/%E6%80%AA%E7%89%A9%E9%80%80%E6%B2%BB 怪物退治]、物語用語辞典、weblio辞書(最終閲覧日:22-09-23)</ref>。英雄には人間だけでなく動物も含む。また知恵を用いて相手を負かすような物語も含む(叡智型)。
  
 
== 分類 ==
 
== 分類 ==
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本wikiにおける分類は大きく分けて、「[[炎黄闘争]]型」と「偽[[炎黄闘争]]型」に分ける。「[[炎黄闘争]]型」は[[黄帝]]と[[炎帝神農|炎帝]]の争いから派生したと思われる物語群、「偽[[炎黄闘争]]型」は「[[炎黄闘争]]型」に似せて、スケープゴートを「怪物」として倒したと思われる物語群である。その意味については[[顓頊]]の「私的考察」を参照されたい。
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=== 1.炎黄闘争型 ===
 
=== 1.炎黄闘争型 ===
 
# 英雄が巨人を倒す型
 
# 英雄が巨人を倒す型
 
# 英雄が兄弟、舅、父親あるいは同じ人間(神)等、ある程度対等な相手を倒す型
 
# 英雄が兄弟、舅、父親あるいは同じ人間(神)等、ある程度対等な相手を倒す型
 
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# 助け手となる女性が化生しない型
==== 亜型 ====
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# 岩戸型のエピソードを伴う型
# 英雄が悲劇的な死を遂げる場合
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# 英雄の妻が結果的に自主的に逃げ出すエピソードが付加されている型
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# 英雄と妻の仲が結果的に破綻するエピソードが付加されている型:羿型
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# 英雄が悲劇的な死を遂げる型
  
 
=== 2.偽炎黄闘争型 ===
 
=== 2.偽炎黄闘争型 ===
 
# 英雄が巨人以外の怪物(男性)を倒す型
 
# 英雄が巨人以外の怪物(男性)を倒す型
# 英雄が巨人以外の怪物(女性)を倒す型  
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## [[猿神退治]]
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## 竜(龍)退治:治水を暗示するもの:[[顓頊]]型
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# 英雄が巨人以外の怪物(女性)を倒す型
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## 親殺し型
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## 男・女神殺し型
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# 女性が怪物(男性)を倒す型
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# 女性が怪物(女性)を倒す型
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## [[女・女神殺し型]]
  
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=== 3.中間型 ===
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1と2の中間の型
  
クシナダヒメがその後どうなったのかは原文では明記されていない。櫛に変えられる場面を最後にクシナダヒメは登場せず元の姿に戻った描写もないが、
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==== 英雄亜型 ====
* せっかく命を救われたのに、クシナダヒメ本人が櫛のままだったとは考えにくいこと<ref group="注">櫛になったままでは、個人としてのクシナダヒメの存在は失われたまま戻ってこない。アシナヅチ・テナヅチからすると肝心の娘がいなくなってしまったのでは本末転倒である。</ref>。
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# 英雄が悲劇的な死を遂げる場合
* スサノオがクシナダヒメと暮らすために須賀宮を建て、その際に「八雲立つ 出雲八重垣 '''妻籠みに''' 八重垣つくる その八重垣を」<ref group="注">これは日本最古の和歌とされる。</ref>と詠んでいること。
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# [[呪的逃走]]
* 後に「其の櫛名田比売を以て、久美度(くみど)に起して」とスサノオがクシナダヒメと寝所を共にしたことを仄めかす記述があること。
 
これらのことから、櫛に変えられていたクシナダヒメはヤマタノオロチ退治後に元の美しい娘の姿に戻してもらい、約束通りスサノオの妻になったことが伺える。
 
 
 
== 名 ==
 
=== 表記 ===
 
『[[古事記]]』では'''櫛名田比売'''、『[[日本書紀]]』では'''奇稲田姫'''(くしいなだひめ)、'''稲田媛'''(いなだひめ)、'''眞髪觸奇稲田媛'''(まかみふるくしいなだひめ)、『[[出雲国風土記]]』では'''久志伊奈太美等与麻奴良比売命'''(くしいなだみとよまぬらひめ)と表記する。
 
 
 
神として祀るにあたり「くし(櫛・奇)」を読まず敬称を用い、'''稲田姫命'''(いなだひめのみこと)とされることもある。
 
 
 
=== 解釈 ===
 
名前は通常、『日本書紀』の記述のように「奇し稲田(くしいなだ)姫」すなわち霊妙な稲田の女神と解釈される。
 
原文中では「湯津爪櫛(ゆつつまぐし)にその童女(をとめ)を取り成して~」とあり<ref group="注">「取り成す」・・・(別の物に)変える。作り変える。[[変身]]させる。</ref>、クシナダヒメ自身が変身させられて'''櫛になった'''と解釈できることから「'''クシになったヒメ→クシナダヒメ'''」という言葉遊びであるという説もある。さらに、[[櫛]]の字を宛てることからクシナダヒメは櫛を挿した[[巫女]]であると解釈し、ヤマタノオロチを川の神として、元々は川の神に仕える巫女であったとする説もある。
 
 
 
もうひとつは、父母がそれぞれ手摩霊・足摩霊と「手足を撫でる」意味を持つ事から「撫でるように大事に育てられた姫」との解釈もあり、倭撫子([[やまとなでしこ]])の語源とされる。
 
 
 
=== 別名 ===
 
『[[出雲国風土記]]』の飯石郡の項では久志伊奈太美等与麻奴良比売命(くしいなだみとよまぬらひめ)という名前で登場する。また、[[能登国]]の久志伊奈太伎比咩神社([[石川県]][[七尾市]])では久志伊奈太伎比咩(くしいなだきひめ)を祀神としたという記述が[[延喜式神名帳]]にあり、同一神と考えられる。
 
 
 
== なぜ櫛にされたのか ==
 
前述の通り、クシナダヒメはヤマタノオロチ退治の際に櫛に変えられている。
 
 
 
スサノオが単にクシナダヒメの姿を隠そうとしたのであれば、両親とともにクシナダヒメも安全な場所に隠れさせておけば良いはずであり、わざわざ身に着けて戦いの場に連れていくのはむしろ危険であるといえる。
 
 
 
クシナダヒメが櫛にされたその意味については諸説あるが、その例を記述する。
 
 
 
=== 対オロチ用の武器になった説 ===
 
古代人の思想で、女性は生命力の源泉と考えられていた<ref group="注">これは女性が新たな命を生み出す能力を持つことに由来すると考えられ、身体的な性別を指す面が大きい。</ref>。スサノオがクシナダヒメを櫛に変えた理由は、ヤマタノオロチに対抗するために女性そのものを身に着ける<ref group="注">元が女性でも、櫛に変えた時点で身体的には性別のない物体になってしまうが、ここでは「元が女性であれば、たとえ性別のない物体に変わっても本質的には女性のまま」と解釈する。</ref>ことで、女性の有する生命力を得ようとしたためと考えられる。
 
 
 
戦いの場に持っていくのであれば、櫛よりも[[剣]]や[[矛]]など武器の類に変えたら一層有利であったと考えられるのに、スサノオは櫛を選択している。それは女性の有する生命力だけでなく、櫛の持つ呪力も同時に得ようとしたためである<ref group="注">元が女性であるため、直接殺生に関わる武器に変化させるのは不適切だった(仮にクシナダヒメを殺傷能力のある武器に変化させてその武器でオロチに止めをさした場合、クシナダヒメ自身がオロチを殺したことになる)という見方もできる。</ref>。日本では古来、櫛は呪力を持っているとされており、同じ『古事記』において[[イザナギ]]は、妻の[[イザナミ]]が差し向けた追っ手から逃れるために、櫛の歯を後ろに投げ捨てたところ、櫛が[[筍]]に変わり難を逃れている。また、櫛は生命力の横溢する[[竹]]を素材として作られていたため、魔的存在に対する際に極めて有効な働きを為すものと考えられたと思われる<ref>福島秋穂『記紀載録神話に見える櫛の呪力について』7頁</ref>。
 
 
 
クシナダヒメの変身した櫛は、櫛の本来有する呪力にクシナダヒメの持つ女性としての生命力を合わせ持ち、さらに身体の材質まで竹に変化していたとするならば、竹の材質自体が持つ生命力も合わせ持つことになり、魔的存在たるヤマタノオロチに対し、強力な武器の一つになったと考えられる<ref>福島秋穂『記紀載録神話に見える櫛の呪力について』8頁</ref>。
 
 
 
=== 婚姻の暗示とする説 ===
 
日本では求婚する際に相手に櫛を贈る習慣があり、クシナダヒメ自身がこの「櫛」になってスサノオに贈られたとする説。ただし日本でこの習慣があったのは江戸時代のことであり、この説は後付けであるとする解釈もある。
 
 
 
他にも、前述の通り両親のアシナヅチ・テナヅチの名前には「手足を撫でる」意味があるが、クシナダヒメは全身を櫛にされて両親の撫でる手も足もない形状になったことから、姿形だけでなく立場も「アシナヅチ・テナヅチの娘」から「スサノオのもの」に変化した<ref group="注">本来の娘の姿では妻として、櫛の姿では所有物として、いずれにしてもオロチ退治の約束が結ばれた時点でクシナダヒメの所有権は両親からスサノオに移っている。</ref>ことを表しているとする説もある。
 
  
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==== 女性亜型 ====
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物語の主人公が女性の場合は、開拓神話が崩れたものが多いかもしれない、と思う<ref group="私注">何故なら、古い時代の母系社会では開拓神は女神になるからである。</ref>。
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# 開拓神話を伴う型
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# [[呪的逃走]]型
  
 
== 参考文献 ==
 
== 参考文献 ==
 
* [https://www.weblio.jp/content/%E6%80%AA%E7%89%A9%E9%80%80%E6%B2%BB 怪物退治]、物語用語辞典、weblio辞書(最終閲覧日:22-09-23)
 
* [https://www.weblio.jp/content/%E6%80%AA%E7%89%A9%E9%80%80%E6%B2%BB 怪物退治]、物語用語辞典、weblio辞書(最終閲覧日:22-09-23)
 
== 注釈 ==
 
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== 私的解説 ==
 
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2022年9月25日 (日) 01:00時点における最新版

怪物退治(かいぶつたいじ)とは、神話・伝承において英雄や女性が怪物を退治する物語である[1]。英雄には人間だけでなく動物も含む。また知恵を用いて相手を負かすような物語も含む(叡智型)。

分類[編集]

本wikiにおける分類は大きく分けて、「炎黄闘争型」と「偽炎黄闘争型」に分ける。「炎黄闘争型」は黄帝炎帝の争いから派生したと思われる物語群、「偽炎黄闘争型」は「炎黄闘争型」に似せて、スケープゴートを「怪物」として倒したと思われる物語群である。その意味については顓頊の「私的考察」を参照されたい。

1.炎黄闘争型[編集]

  1. 英雄が巨人を倒す型
  2. 英雄が兄弟、舅、父親あるいは同じ人間(神)等、ある程度対等な相手を倒す型
  3. 助け手となる女性が化生しない型
  4. 岩戸型のエピソードを伴う型
  5. 英雄の妻が結果的に自主的に逃げ出すエピソードが付加されている型
  6. 英雄と妻の仲が結果的に破綻するエピソードが付加されている型:羿型
  7. 英雄が悲劇的な死を遂げる型

2.偽炎黄闘争型[編集]

  1. 英雄が巨人以外の怪物(男性)を倒す型
    1. 猿神退治
    2. 竜(龍)退治:治水を暗示するもの:顓頊
  2. 英雄が巨人以外の怪物(女性)を倒す型
    1. 親殺し型
    2. 男・女神殺し型
  3. 女性が怪物(男性)を倒す型
  4. 女性が怪物(女性)を倒す型
    1. 女・女神殺し型

3.中間型[編集]

1と2の中間の型

英雄亜型[編集]

  1. 英雄が悲劇的な死を遂げる場合
  2. 呪的逃走

女性亜型[編集]

物語の主人公が女性の場合は、開拓神話が崩れたものが多いかもしれない、と思う[私注 1]

  1. 開拓神話を伴う型
  2. 呪的逃走

参考文献[編集]

  • 怪物退治、物語用語辞典、weblio辞書(最終閲覧日:22-09-23)

私的解説[編集]

  1. 何故なら、古い時代の母系社会では開拓神は女神になるからである。

参照[編集]

  1. 怪物退治、物語用語辞典、weblio辞書(最終閲覧日:22-09-23)