== 行動 ==
川や沼の中に住む。ただし例外に地行浜(現在、福岡ドームが建っている辺り)の酒飲み河童は、海に住む。泳ぎが得意。'''川や沼の中に住む'''。ただし例外に地行浜(現在、福岡ドームが建っている辺り)の酒飲み河童は、海に住む。泳ぎが得意。
河童にまつわる民話や伝承には、「悪戯好きだがひどい悪さはしない」とか「土木工事を手伝った<ref group="*">合羽橋など、地名の由来となっている例もある。</ref>」とか、「河童を助けた人間に魚を贈った」「河童の妙薬の製法を教えた」といった友好、義理堅さを伝えるものも多く伝わる。一方で、水辺を通りかかったり泳いだりしている人を水中に引き込み、おぼれさせたり、'''尻子玉'''/'''尻小玉'''(しりこだま)を抜いて殺したりするといった悪事を働く描写も多い。
'''相撲が大好き'''で、よく子供を相撲に誘い、相撲に負けた子供の尻子玉を抜くという伝承もある。河童は人間の大人よりも力が強いが、「仏前に供えた飯を食べた後に闘えば子供でも負けない」と言われている。また相撲をとる前にお辞儀をすると河童もお辞儀を返し、それにより頭の皿の水がこぼれてしまうため、力が出せなくなるともいう。河童が相撲を好むのは、相撲が元々、水神に奉げる行事だったためとも言われる<ref>吉川豊, ドキドキ! 妖怪めぐり, 2000, 理論社, isbn:978-4-65-201534-6, 22頁</ref>。
好物は'''キュウリ、魚、果物'''。これにちなみ、キュウリを巻いた寿司のことを「カッパ巻き」と呼ぶ。キュウリを好むのは、河童が水神の零落した姿であり、キュウリは初なりの野菜として水神信仰の供え物に欠かせなかったことに由来するといわれる<ref>河童の世界, 231–237頁</ref>。麦飯も好物とのこと<ref name="nagano">「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」 115p</ref>。
鉄、鹿の角、猿、金属を嫌う。河童は水に12時間潜っていられるが、猿は24時間潜れたので闘うと猿に負けるという民話もある。シダの葉で頭をなでると人間に化けることができるとされる。鉄、鹿の角、猿、'''金属'''を嫌う<ref>鉄や金属を嫌うのは、蛇系の神でも同様と思う。</ref>。仏様にあげたご飯も嫌うとのこと<ref name="nagano" />。河童は水に12時間潜っていられるが、猿は24時間潜れたので闘うと猿に負けるという民話もある。シダの葉で頭をなでると人間に化けることができるとされる。
== 起源 ==
河童の由来は大まかに西日本と東日本に分けられ、西日本では河伯信仰に連なる大陸からの渡来とされるが、東日本では安倍晴明の式神、役小角の護法童子、飛騨の匠(左甚五郎とも)が仕事を手伝わせるために作った人形が変じたものとされる。両腕が体内で繋がっている(腕を抜くと反対側の腕も抜けたという話がある)のは人形であったからともされる。大陸渡来の河童は猿猴と呼ばれ、その性質も中国の猴(中国ではニホンザルなど在来種より大きな猿を猴と表記する)に類似する。河童の由来は大まかに西日本と東日本に分けられ、西日本では河伯信仰に連なる大陸からの渡来とされるが、東日本では安倍晴明の式神、役小角の護法童子、飛騨の匠(左甚五郎とも)が仕事を手伝わせるために作った'''人形'''を川に捨てたところ、河童に変じたとされる話がある<ref>「川に捨てられた人形」とは人身御供の形代を思わせるが、それが川の神(河童)と別のものから神と一体化する、というのではなく、'''直接川の神に変じる'''、という考え方は興味深いと思う。死者が直接'''神'''に変じる「'''御霊信仰'''」は柳田國男の得意とするところでもある。(新訂 妖怪談義、柳田國男、角川ソフィア文庫、2013年、110-111p)</ref>。両腕が体内で繋がっている(腕を抜くと反対側の腕も抜けたという話がある)のは人形であったからともされる。大陸渡来の河童は猿猴と呼ばれ、その性質も中国の猴(中国ではニホンザルなど在来種より大きな猿を猴と表記する)に類似する。
河神<ref group="*">『日本書紀』には「時天皇夢有神 誨之曰 武臟人大部強頸|強頸 河內人茨田連衫子 衫子 此云 於河伯 必獲塞 則覓二人而得之 因以禱於河神」の「河伯、河神」(仁徳天皇11年条〈西暦換算:323年条〉)や、「於吉備中國川島河派 有大虯令苦人」の虯令(みづち)(仁徳天皇67年条〈西暦換算:379年条〉)など河神の記述がある。</ref>が秋に山神となるように、河童も一部地域では冬になると山童(やまわろ)になるといわれる。大分県では、秋に河童が山に入ってセコとなり、和歌山県では、ケシャンボになる。いずれも山童、即ち山の神の使いである。また、河童は龍などと同じ水神ともいわれる。山の精霊とも言われる座敷童子などと同様に、河童も一部の子供にしか見えなかったという談がある。
古典的な目撃談や河童伝承のもとになる、なんらかの未確認動物が実在したのではないかという主張もある。この視点における河童は、人間や猿に似た哺乳類様の生物、両生類や爬虫類型の巨大な蛙のような生物と想定されており、どの種類も背丈は30センチメートルから150センチメートル程度であり、成人した人間を超えることはない。
昭和頃の目撃例による爬虫類型の河童には皿や甲羅がない例が多く、[[宇宙人]]の典型的外形となった[[グレイ (宇宙人)|グレイ]]と似る。このため、目撃者がグレイと誤認したのではないかとする例が『[[新耳袋]]』に掲載されている。[[アメリカ合衆国]]で目撃された[[ドーバーデーモン]]や蛙男、[[チュパカブラ]]、また[[アクア説]]の渚原人との類似が主張されることもある。昭和頃の目撃例による爬虫類型の河童には皿や甲羅がない例が多く、宇宙人の典型的外形となったグレイと似る。このため、目撃者がグレイと誤認したのではないかとする例が『新耳袋』に掲載されている。アメリカ合衆国で目撃されたドーバーデーモンや蛙男、チュパカブラ、またアクア説の渚原人との類似が主張されることもある。
人間の尻小玉を抜いたり、牛馬を狂わせたりするといった行動については、未確認生物としての河童にはあまり結び付けられていない。[[茨城県]][[牛久市]]では河童の目撃情報があり、警察が駆けつけると[[水銀]]を含んだ河童の足跡のような痕跡が残っていたとされる。人間の尻小玉を抜いたり、牛馬を狂わせたりするといった行動については、未確認生物としての河童にはあまり結び付けられていない。茨城県牛久市では河童の目撃情報があり、警察が駆けつけると水銀を含んだ河童の足跡のような痕跡が残っていたとされる。
=== 正体についての仮説 ===
河童の正体は、[[水死]]体や、その人を水死させたものの想像であると推定されることが多い。水死体は、皮膚は緑色をしており、(川底との摩耗のために)頭髪がすり減っており、肛門が拡大していることもある。これらの点は「体色が緑」「頭部が[[ハゲ]](皿がある)」「尻子玉を抜かれた」といった河童の特徴に合致する。水死体は体がガスで膨張していることもあり、これが河童の甲羅に見誤られた可能性もある。また、[[スッポン]]の姿に似ていることから、スッポンを見間違えた可能性も指摘されている。河童の正体は、水死体や、その人を水死させたものの想像であると推定されることが多い。水死体は、皮膚は緑色をしており、(川底との摩耗のために)頭髪がすり減っており、肛門が拡大していることもある。これらの点は「体色が緑」「頭部がハゲ(皿がある)」「尻子玉を抜かれた」といった河童の特徴に合致する。水死体は体がガスで膨張していることもあり、これが河童の甲羅に見誤られた可能性もある。また、スッポンの姿に似ていることから、スッポンを見間違えた可能性も指摘されている。
また、水死体が浮かぶような川や湖沼・池は、特に子供には[[水難事故]]の危険が高いため、「そこでは河童が出るので近づくな」と子供たちに警告するために、河童という妖怪が伝承され続けてきた、という推定もある。また、水死体が浮かぶような川や湖沼・池は、特に子供には水難事故の危険が高いため、「そこでは河童が出るので近づくな」と子供たちに警告するために、河童という妖怪が伝承され続けてきた、という推定もある。
== 河童にまつわる施設・地名 ==
=== 寺社 ===
* [[曹源寺 (台東区)|曹源寺]]([[東京都]][[台東区]])曹源寺(東京都台東区)- 「'''かっぱ寺'''」として知られる。河童大明神が祭られるほか、河童の池、合羽川太郎の墓と伝わる石碑などがある。* [[雲八幡宮]]の「[[阿吽|あ・うん]]の河童」([[大分県]][[中津市]]) 雲八幡宮の「阿吽の河童」(大分県中津市) - [[狛犬]]ならぬ狛河童。狛犬ならぬ狛河童。
=== 地名 ===
* [[カッパ淵]](岩手県[[遠野市]]) カッパ淵(岩手県遠野市) - 河童伝承がある。上記の「捕獲許可証」も参照。河童伝承がある。* [[合羽橋]](東京都台東区)合羽橋(東京都台東区)- 由来には諸説あるが、河童をマスコットとする。* [[合羽坂]](東京都[[新宿区]])合羽坂(東京都新宿区)- 付近にあった蓮池の[[カワウソ]]を河童と思い違えたことに由来するとされる。付近にあった蓮池のカワウソを河童と思い違えたことに由来するとされる。
== 河童にまつわる言葉 ==
[[ファイル:YoshitoshiKappaControl.jpg|サムネイル|河童に屁をくらわす。[[月岡芳年]]作]]
; 河童の川流れ
: 河童は泳ぎが得意であることから、物事に長けている人でも失敗することがあるという意。
;河童の木登り
:苦手なこと、不得意なことをする例え。
; 屁の河童: 河童はいつも水の中にいるため、[[屁]]をしてもあまり勢いがないことから、「取るに足りないこと」を「河童の屁」と呼ぶようになり、後に語順が現在の様に変わった(「木っ端の火」から来たという説もある)。河童はいつも水の中にいるため、屁をしてもあまり勢いがないことから、「取るに足りないこと」を「河童の屁」と呼ぶようになり、後に語順が現在の様に変わった(「木っ端の火」から来たという説もある)。
; 陸<span style="font-weight:normal">(おか)</span>へ上がった河童
: 「河童は水中では能力を十分発揮できるが、陸に上がると力がなくなる」とされるところから、力のある者が環境が一変するとまったく無力になってしまうことのたとえ。
; カッパ巻き
: 河童が[[キュウリ]]を好むことから[[巻き寿司]]のキュウリ巻きをカッパ巻きと呼ぶ。河童がキュウリを好むことから巻き寿司のキュウリ巻きをカッパ巻きと呼ぶ。
; 河童忌
: 小説家[[芥川龍之介]]の[[忌日]][[7月24日]]。死の直前の代表作『[[河童 (小説)|河童]]』にちなむ。小説家芥川龍之介の忌日7月24日。死の直前の代表作『河童』にちなむ。; [[河童の妙薬]]: 河童が製法を教えたと伝承されている由来を持つ[[民間薬]]・[[家伝薬]]のこと。河童が製法を教えたと伝承されている由来を持つ民間薬・家伝薬のこと。[[雨具]]の[[合羽]](かっぱ)は[[ポルトガル語]]の {{pt|capa}}(カパ)に由来し河童とは無関係である。ただし河童を合羽と書くことはある雨具の合羽(かっぱ)はポルトガル語のcapa(カパ)に由来し河童とは無関係である。ただし河童を合羽と書くことはある<ref>『[[広辞苑]]』『広辞苑』</ref>。
== 河童を題材とした作品等 ==
=== 説話集 ===
* [[柳田國男]]『[[遠野物語]]』柳田國男『遠野物語』(1910)『遠野物語拾遺』(1935) - 55-59(遠野物語)、178(拾遺)
=== その他 ===
* [[色麻町]](宮城県) 色麻町(宮城県) - [[磯良神社 (色麻町)|磯良神社]]では木彫りの河童をご神体としており「おかっぱ様」とも呼ばれる。またマスコットキャラクターに河童が設定されるなど観光資源としても利用されている磯良神社では木彫りの河童をご神体としており「おかっぱ様」とも呼ばれる。またマスコットキャラクターに河童が設定されるなど観光資源としても利用されている<ref>[http://www.town.shikama.miyagi.jp/13,600,78.html かっぱ伝説] - 色麻町役場ホームページ、2016年6月9日閲覧。色麻町役場ホームページ、2016年6月9日閲覧。(リンク切れ:22-04-01)</ref>。 == 河童等が登場する民話等 ==* '''相撲系'''** [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=52 天竜川のカワランベ]:河童の好物が「麦飯」であることや、動物(馬)を水中に引き込む存在であることが語られる。かつては河童が水神の一種であって、なにがしかの捧げ物(食事や動物の生贄)が捧げられていたことが示唆される。(長野県南信)
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
<references group="*"/>
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}
== 参考文献 ==
* {{Cite book Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E7%AB%A5 河童](最終閲覧日:22-04-jp|和書 |author = 01)** 香川雅信 |title = , 河童とはなにか:歴博フォーラム 民俗展示の新構築 |year = , 2014 |chapter = , 河童イメージの変遷 |publisher = , 岩田書院 |editor = [[国立歴史民俗博物館]]、[[常光徹]] |, 国立歴史民俗博物館、常光徹, isbn = :978-4-87-294853-0 |ref = harv }}* 新訂 妖怪談義、柳田国男、角川ソフィア文庫、2013年* 「読んで 遊んで とっぴんぱらり 新長野のむかし話 長野県国語教育学会編」, 2003, p115
== 関連項目 ==
* [[水神]]
== 外部リンク ==
* [http://www.ikedakai.com/kappa.html 各地の河童の話]:「小説家[[隆慶一郎]](脚本家池田一朗)公式サイト」より * [http://kizakura.co.jp/gen/gallery/museum/index.htm 黄桜かっぱミュージアム]:CMキャラクターに使用している黄桜公式ホームページより* [http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/ar/article_view.phtml?id=11192 河童渡来の碑] 八代市公式ホームページ * [https://www.wul.waseda.ac.jp/Libraries/fumi/15/15-10.html 河童の沙悟浄]
== 参照 ==