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『『源平盛衰記』『諏方大明神画詞』等によると、[[源平盛衰記]]』『諏方大明神画詞』等によると、天照大神に遣わされた諏訪明神と[[住吉三神天照大御神|住吉明神]]は[[神功皇后天照大神]]のに遣わされた諏訪明神と住吉明神は神功皇后の'''[[三韓征伐]]'''に協力した<ref>太田亮『諏訪神社誌 第1巻』、官幣大社諏訪神社附属諏訪明神講社、1926年、160-164頁。</ref>。諏訪明神が[[坂上田村麻呂]]による'''[[蝦夷征討]]'''（[[安倍高丸]]追討）に参加したという伝承も、『画詞』のほか『神道集』や『信重解状』等に見られ、諏訪社の御射山祭または[[流鏑馬]]の由来として語られている<ref>福田晃、二本松康宏、徳田和夫編『諏訪信仰の中世―神話・伝承・歴史』三弥井書店、2015年、124-128頁。</ref><ref>『神道集』貴志正造編訳、平凡社〈東洋文庫 94〉、1978年、58-67頁。</ref><ref>太田亮『諏訪神社誌 第1巻』、官幣大社諏訪神社附属諏訪明神講社、1926年、164-166頁。</ref><ref>寺田鎮子、鷲尾徹太 『諏訪明神―カミ信仰の原像』 岩田書店、2010年、84-85頁。</ref>。
更に、[[治承・寿永の乱|源平合戦]]の際に大祝がどちらに味方するか考えていたところ、諏訪明神が夢で手にしていた[[梶]]の葉の[[軍配]]を白旗（[[源氏]]）のある方向へと振り下ろしたため、諏訪の武士集団が[[源頼朝]]に加勢したという伝承もあり、諏訪上社・下社の大祝家が用いる「更に、源平合戦の際に大祝がどちらに味方するか考えていたところ、諏訪明神が夢で手にしていた'''梶の葉の軍配'''を白旗（源氏）のある方向へと振り下ろしたため、諏訪の武士集団が源頼朝に加勢したという伝承もあり、諏訪上社・下社の大祝家が用いる「'''[[梶の葉]]'''」の[[家紋]]の起源譚となっている。この内乱に功を立てた諏訪武士団は頼朝から取り立てられるようになり、諏訪明神も[[鎌倉幕府]]や武家衆から篤く崇敬された」の家紋の起源譚となっている。この内乱に功を立てた諏訪武士団は頼朝から取り立てられるようになり、諏訪明神も鎌倉幕府や武家衆から篤く崇敬された<ref>寺田鎮子、鷲尾徹太 『諏訪明神―カミ信仰の原像』 岩田書店、2010年、106-108頁。</ref>。
[[元寇]]の際には[[神風]]を起こしたとする伝承、または鎌倉後期に起こった[[安藤氏の乱]]の際には龍に乗って反乱を鎮定した伝承もある元寇の際には神風を起こしたとする伝承、または鎌倉後期に起こった安藤氏の乱の際には龍に乗って反乱を鎮定した伝承もある<ref>伊藤富雄「諏訪神社の龍蛇信仰」『古諏訪の祭祀と氏族』 古部族研究会編、人間社、2017年、192-198頁。</ref>。
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これに対して『異本阿蘇氏系図』と『神氏系図（大祝家本）』は、[[科野国造]]家（[[金刺氏]]）出身の'''神子'''（くまこ）<ref>「熊子」「熊古」とも表記される。</ref>、または'''乙頴'''（おとえい）が初代大祝で、用明天皇2年（587年）に社壇を設けたとし、大祝家本『神氏系図』では有員が神子の子孫とされている<ref>諏訪市史編纂委員会 編『諏訪市史 上巻 (原始・古代・中世)』1995年、711-712頁。</ref><ref>金井典美「諏訪信仰の性格とその変遷―諏訪信仰通史―」『諏訪信仰の発生と展開』古代部族研究会編、人間社、2018年、38-47頁。</ref>が、以上の2系図は創作が多分に含まれ、'''古代の歴史的事実を明らかにする力は持たない'''偽書であると証明されている<ref>間枝遼太郎「大祝本『神氏系図』・『阿蘇家略系譜』再考―再構成される諏訪の伝承―」『国語国文研究』161号（北海道大学国文学会、2023年8月）</ref>。
===天竺波提国王===
諏訪明神の出自を異国（天竺）に求める中世の説話も存在する。
なお、『陬波私注』では大祝有員が諏訪明神をともなって天竺から日本へやってきて、明神の叔父にあたる「続旦（そくたん）大臣」とされている<ref>福田晃、二本松康宏、徳田和夫編『諏訪信仰の中世―神話・伝承・歴史』三弥井書店、2015年、118-119頁。</ref>。
===蝦蟆神退治===
『上社物忌令』と『陬波私注』には以下の伝承が見られる。
この話については、蛇神としてのタケミナカタと土地神（[[ミシャグジ]]あるいは洩矢神）による神権争奪を意味するという説<ref>金井典美『諏訪信仰史』名著出版、1982年、68頁。</ref><ref>武井正弘, 「[https://doi.org/10.20807/icmrb.9.0_121 祭事を読む-諏訪上社物忌令之事-]」『飯田市美術博物館 研究紀要』 1999年 9巻、137-138頁。</ref>や、陬波大王の悪龍退治の同系異伝もしくは変奏とみる説<ref name="chusei118" />、あるいは諏訪明神と同定される降三世明王<ref>普賢菩薩（諏訪明神の本地仏）と同一視される金剛薩埵の別の姿。</ref>と宇賀神]{<ref>ここでは龍蛇神としての諏訪明神と比定されている。</ref>の三毒退治を表すという説<ref>原正直『龍蛇神：諏訪大明神の中世的展開』人間社、2012年、29-41頁。</ref>などがあげられている。
===諏訪の龍蛇神===
昔から諏訪神社の神体は蛇で、神使も同じく蛇であるといわれている。『諏方大明神画詞』の中で、諏訪明神やその眷属が龍、もしくは蛇の姿を取るという逸話がいくつか採り上げられている<ref>伊藤富雄「諏訪神社の龍蛇信仰」『古諏訪の祭祀と氏族』 古部族研究会編、人間社、2017年、191-201頁。</ref>。『太平記』（巻三十九）にも、蒙古襲来の時に、
上社裏山にある'''[[フネ古墳]]'''（5世紀前半）<ref>http://www.82bunka.or.jp/bunkazai/detail.php?no=3480&seq=. フネ古墳（神宮寺）, 車山高原レア・メモリー, 2018-07-27</ref><ref>http://www.82bunka.or.jp/bunkazai/detail.php?no=3480&seq=, フネ古墳出土品, 公益財団法人 八十二文化財団, 2018-07-27</ref>に発見された[[蛇行剣]]も諏訪の蛇信仰と関係があると思われる<ref>大庭祐輔『[https://books.google.co.jp/books?id=zuiAUVX8IwMC&pg=PA62 竜神信仰: 諏訪神のルーツをさぐる]』論創社、2006年、62-63頁。</ref><ref name="#1">金井典美『諏訪信仰史』名著出版、1982年、74-94頁。</ref>。
===軍神として===『'''梁塵秘抄'''』（平安末期成立）に「関より東の軍神、鹿島、香取、諏訪の宮」とあるように、中世以降になると諏訪社の社家の武士化とともに諏訪明神は軍神として信仰されるようになり、その武功を語る説話が広まった。』（平安末期成立）に「関より東の軍神、鹿島、香取、諏訪の宮」とあるように、'''中世以降'''になると諏訪社の社家の武士化とともに諏訪明神は軍神として信仰されるようになり、その武功を語る説話が広まった。
==考証==
