差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
922 バイト追加 、 2024年11月26日 (火) 17:30
[[File:Gold_scythian_belt_title_from_Mingachevir,_Azerbaijan.jpeg|thumb|350px|金のスキタイ・ベルトのタイトル 図1.金のスキタイ・ホルダーのタイトル アゼルバイジャン、ミンゲチェヴィル(古代スキタイ王国)、紀元前7世紀。]]
ハリカルナッソスのヘロドトスによれば、スキタイ人は7つの神と女神からなるパンテオン(ヘプタッド、神殿)を崇拝しており、彼はこれを古典的な古代ギリシャの神々と同じように解釈している。彼は8つの神々を3つのランクに分け、スキタイのパンテオンは典型的なインド・イラン系の構造であると述べている<ref>Macaulay (1904:314). Cf. also Rolle (1980:128–129); Hort (1827:188–190).</ref><ref>Cunliffe, 2019, p265–290</ref>。
== 概要 ==
スキタイの「アレース」、すなわちハリカルナッソスのヘロドトスがギリシャ神話のアレースと同一視したスキタイの軍神は、第3ランクに属し、イランの神ウルスラグナ(Verethragna、Vərᵊraγn)に対応している。おそらくタビティーの子孫であった可能性がある。スキタイやサルマタイの「アレース」は、三面が垂直で四面が傾斜したブラシ材で作られた高い正方形の祭壇の上部に上向きに向けられたアキナケススキタイの「アレース」、すなわちハリカルナッソスのヘロドトスがギリシャ神話のアレースと同一視したスキタイの軍神は、第3ランクに属し、イランの神[[ウルスラグナ]](Verethragna、Vərᵊraγn)に対応している。おそらくタビティーの子孫であった可能性がある。スキタイやサルマタイの「アレース」は、三面が垂直で四面が傾斜したブラシ材で作られた高い正方形の祭壇の上部に上向きに向けられたアキナケス<ref>スキタイ起源の短剣</ref>で表現されていた。 スキタイの「アレース」は血の生け贄を捧げられていた。短剣の形で表現されていたことは、彼が軍事的な機能を有していたことの証拠である<ref>Raevskiy, 1993, [https://archive.org/details/ScythianMythology/page/n19/mode/2up 20]</ref>。スキタイの「アレース」も王権を司る神であり、その信仰に馬や囚人の血・'''右腕'''を用いるのは、同様の力を持つこの神への馬の速さと人の強さを象徴的に捧げるものであった<ref>Campbell, 1969, [https://books.google.com/books?id=Z-l5DwAAQBAJ&pg=PA204#v=onepage&q&f=false 204]</ref>。
スキタイの祭壇「アレース」の四角い形は、四辺の「中世界」、すなわち空域を表し、その上部に置かれた剣は、宇宙の垂直構造を表し、宇宙、中央、神々の区域を結ぶ世界軸を表す。したがって、スキタイの宇宙論において「アレース」は、最も概念的に宇宙のモデルであり、特にその中央区域、空域を表しているのである<ref>Raevskiy, 1993, [https://archive.org/details/ScythianMythology/page/n19/mode/2up 20]-[https://archive.org/details/ScythianMythology/page/n19/mode/2up 21]</ref><ref group="私注">中国神話で四角は陰陽の'''陰'''を示す。</ref>。スキタイの「アレース」の祭壇となった塚の高さや、「アレース」に捧げられた囚人の右腕を空に投げる習慣は、スキタイの「アレース」が空中の神であることを示す証拠である<ref>Campbell, 1969, [https://books.google.com/books?id=Z-l5DwAAQBAJ&pg=PA73#v=onepage&q&f=false 73]</ref>。つまり、生け贄とされた右腕を空に投げる習慣は、スキタイの「アレース」が空と風の神(ヴァータとヴァイウ)、特に風神ヴァイウがVərᵊϑγnaの最初の化身でfārnā/xᵛarənahの特別な担い手であったことから、関連性を持っていたことを示しているのである。このことは、ギリシャの作家サモサタのルキアノスの著作にも記されており、スキタイ人が'''風と剣を神として崇拝していたこと'''を記録している。スキタイの「アレース」が、命を与える風と死をもたらす剣の両方の神であるという二面性に言及している。この神の二面性は、彼を表すために用いられるアキナケスがファルスの形をしており、命を与える器官の形をした凶器であることにも現れている<ref>Campbell, 1969, [https://books.google.com/books?id=Z-l5DwAAQBAJ&pg=PA204#v=onepage&q&f=false 204]</ref><ref>Raevskiy, 1993, [https://archive.org/details/ScythianMythology/page/n19/mode/2up 20]-[https://archive.org/details/ScythianMythology/page/n19/mode/2up 21]</ref>。
== 私的解説 ==
スキタイのアレースは風神としての性質を持ち、'''[[黄帝型神]]'''の性質もかなりあるのだが、[[人身御供]]を求める点、[[蚩尤]]と同様金属で作られた武器が象徴とされる点では'''[[祝融型神]]'''であるといえる。
 
ナルト叙事詩に関していえば、ワステュルジ(Uastyrdzhi)もスキタイの「Arēs」と関連性のある神と考える。
イラン神話のダエーワのうち、サルワとも関連するのではないだろうか。ガリア神話のエススとも類似するように思う。人身御供の右腕を切り落とすのは、「木を切る」行為を模しているのではないだろうか。ガリア神話の[[エスス]]とも類似するように思う。人身御供の右腕を切り落とすのは、「人をバラバラにする」行為を模しているのではないだろうか。
メソポアミア神話のエンリルも風の神である。メソポアミア神話のエンリル、エジプト神話のセトも風の神である。
また、個人的にはヒッタイト(ルウィ)神話のTiwazも関連するように思う。
 
 
図1のベルト・ホルダーは渦巻き模様のついた馬を2匹の[[狼]]が襲っている意匠である。[[狼]]がトーテムとされている点も[[祝融型神]]と考える。それが[[黄帝]]のトーテムでもある馬を襲っている図は興味深い。馬にも狼にも渦巻き紋(雷紋)がついているところは、どちらも雷神であったことを示しているように思う。果敢に2頭の狼と戦う馬は、彼らの主神であるパパイオスの化身なのだろうか。
== 参考文献 ==
== 関連項目 ==
* [[エスス]]
* [[ウルスラグナ]]
* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=138 風の神のおよめさん]:ネネツ族の風の神の物語
{{DEFAULTSORT:あれすすきたい}}
[[Category:スキタイ神話]]
[[Category:黄帝型神]]
[[Category:軍神]]
[[Category:風神]]
[[Category:人身御供]]
[[Category:馬]]
[[Category:狼]]
[[Category:王権神授]]
[[Category:陽]]

案内メニュー