「夸父」の版間の差分

提供: Bellis Wiki3
ナビゲーションに移動 検索に移動
 
(同じ利用者による、間の5版が非表示)
5行目: 5行目:
 
成都載天(せいとさいてん)という山に棲み、二匹の[[ヘビ|蛇]]を耳飾りにし、二匹の蛇を手に持っていたという<ref>『山海経』海外北経「夸父国在聶耳東,其為人大,右手操青蛇,左手操黄蛇。鄧林在其東,二樹木。」<br>和訳:夸父国は聶耳の東にあり、その人となり大きくて、右手に青い蛇をもち左手に黄色い蛇をもつ。鄧林はその東にあり、二本の樹木(の大きな林)。</ref>。
 
成都載天(せいとさいてん)という山に棲み、二匹の[[ヘビ|蛇]]を耳飾りにし、二匹の蛇を手に持っていたという<ref>『山海経』海外北経「夸父国在聶耳東,其為人大,右手操青蛇,左手操黄蛇。鄧林在其東,二樹木。」<br>和訳:夸父国は聶耳の東にあり、その人となり大きくて、右手に青い蛇をもち左手に黄色い蛇をもつ。鄧林はその東にあり、二本の樹木(の大きな林)。</ref>。
  
ある話では、夸父は太陽を追いかけて原野を走り、太陽が沈む谷まで追い詰めることが出来た。しかし、夸父は喉が渇いていたので黄河と渭水の水をすべて飲み干した。それでも渇きが癒やされなかったので、さらに北にある大澤(だいたく)という千里四方もある湖に行こうとしたが、その途中で死んでしまったという<ref>『山海経』海外北経「夸父與日逐走,入日。渇,欲得飲,飲於河、渭,河、渭不足,北飲大澤。未至,道渇而死。棄其杖,化為鄧林。」<br>和訳:夸父は太陽とかけくらべして入日を追った。口が渇いて水がほしくなり、河水(黄河の古称)と渭水で飲んだが、河水と渭水ではなお足らず、北の大澤で飲もうとして、到着せぬさきに道で渇いて死んでしまった。その杖を棄てると、(杖は)化して'''鄧林'''となった。</ref>。また、これとは別に応竜に殺された夸父がいたともいわれる<ref>『山海経』大荒北経「応龍已殺蚩尤,又殺夸父,乃去南方処之,故南方多雨。」</ref>。
+
ある話では、夸父は太陽を追いかけて原野を走り、太陽が沈む谷まで追い詰めることが出来た。しかし、夸父は喉が渇いていたので黄河と渭水の水をすべて飲み干した。それでも渇きが癒やされなかったので、さらに北にある大澤(だいたく)という千里四方もある湖に行こうとしたが、その途中で死んでしまったという<ref>『山海経』海外北経「夸父與日逐走,入日。渇,欲得飲,飲於河、渭,河、渭不足,北飲大澤。未至,道渇而死。棄其杖,化為鄧林。」<br>和訳:夸父は太陽とかけくらべして入日を追った。口が渇いて水がほしくなり、河水(黄河の古称)と渭水で飲んだが、河水と渭水ではなお足らず、北の大澤で飲もうとして、到着せぬさきに道で渇いて死んでしまった。その杖を棄てると、(杖は)化して'''鄧林'''となった。</ref>。また、これとは別に応竜に殺された夸父がいたともいわれる<ref>『山海経』大荒北経「応龍已殺[[蚩尤]],又殺夸父,乃去南方処之,故南方多雨。」</ref>。
  
 +
[[黄帝]]と[[蚩尤]]との戦いでは、夸父は[[蚩尤]]に味方し殺された、と言われている。
 +
 +
== 私的解説 ==
 +
夸父とは'''干ばつを神格化'''したものではないだろうか。夸父が身につけている'''蛇'''とは、その毒でかみつく者を焼くようだ、と考えられていた'''毒蛇'''ではなかろうか。
 +
 +
そして、もしかしたら[[ミャオ族]]の敵対者が、彼らの父神であるアペ・コペンを'''悪神としてそしりねたみ陥れるため、悪意を持って作り上げた巨人'''ではないかと推測する。これは、人をそしりねたむような「鬼の陰気」を崇めて用いる'''鬼神信仰'''の産物かと考える。
 +
 +
== 関連項目 ==
 +
* [[蚩尤]]
  
 
== 参考文献 ==
 
== 参考文献 ==
Wikipedia:蚩尤(最終閲覧日:22-08-23)
+
* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%B8%E7%88%B6 夸父](最終閲覧日:24-11-13)
* {{Cite book |和書 |author=草野巧 |title=幻想動物事典 |publisher=[[新紀元社]] |series=ファンタジー事典シリーズ |date=1997-05 |page=141 |isbn=978-4-88317-283-2 |ref= }}
+
* 草野巧, 幻想動物事典, 新紀元社, ファンタジー事典シリーズ, 1997-05, p141, isbn:978-4-88317-283-2
  
 
== 参照 ==
 
== 参照 ==
  
{{DEFAULTSORT:しゆう}}
+
{{DEFAULTSORT:こほ}}
 
[[Category:中国神話]]
 
[[Category:中国神話]]
 
[[Category:祝融型神]]
 
[[Category:祝融型神]]
 
[[Category:巨人]]
 
[[Category:巨人]]
 
[[Category:植物神]]
 
[[Category:植物神]]
 +
[[Category:毒蛇]]
 
[[Category:黒]]
 
[[Category:黒]]

2024年11月13日 (水) 17:14時点における最新版

夸父(こほ)は、中国神話に登場する巨人族。

北方の地に棲んでいたとされる。

成都載天(せいとさいてん)という山に棲み、二匹のを耳飾りにし、二匹の蛇を手に持っていたという[1]

ある話では、夸父は太陽を追いかけて原野を走り、太陽が沈む谷まで追い詰めることが出来た。しかし、夸父は喉が渇いていたので黄河と渭水の水をすべて飲み干した。それでも渇きが癒やされなかったので、さらに北にある大澤(だいたく)という千里四方もある湖に行こうとしたが、その途中で死んでしまったという[2]。また、これとは別に応竜に殺された夸父がいたともいわれる[3]

黄帝蚩尤との戦いでは、夸父は蚩尤に味方し殺された、と言われている。

私的解説[編集]

夸父とは干ばつを神格化したものではないだろうか。夸父が身につけているとは、その毒でかみつく者を焼くようだ、と考えられていた毒蛇ではなかろうか。

そして、もしかしたらミャオ族の敵対者が、彼らの父神であるアペ・コペンを悪神としてそしりねたみ陥れるため、悪意を持って作り上げた巨人ではないかと推測する。これは、人をそしりねたむような「鬼の陰気」を崇めて用いる鬼神信仰の産物かと考える。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • Wikipedia:夸父(最終閲覧日:24-11-13)
  • 草野巧, 幻想動物事典, 新紀元社, ファンタジー事典シリーズ, 1997-05, p141, isbn:978-4-88317-283-2

参照[編集]

  1. 『山海経』海外北経「夸父国在聶耳東,其為人大,右手操青蛇,左手操黄蛇。鄧林在其東,二樹木。」
    和訳:夸父国は聶耳の東にあり、その人となり大きくて、右手に青い蛇をもち左手に黄色い蛇をもつ。鄧林はその東にあり、二本の樹木(の大きな林)。
  2. 『山海経』海外北経「夸父與日逐走,入日。渇,欲得飲,飲於河、渭,河、渭不足,北飲大澤。未至,道渇而死。棄其杖,化為鄧林。」
    和訳:夸父は太陽とかけくらべして入日を追った。口が渇いて水がほしくなり、河水(黄河の古称)と渭水で飲んだが、河水と渭水ではなお足らず、北の大澤で飲もうとして、到着せぬさきに道で渇いて死んでしまった。その杖を棄てると、(杖は)化して鄧林となった。
  3. 『山海経』大荒北経「応龍已殺蚩尤,又殺夸父,乃去南方処之,故南方多雨。」