クリュタイムネーストラーは娘の処遇に怒り夫のアガメムノーンを殺す、クリームヒルトは夫の処遇に怒り兄弟のハゲネとグンテルを殺す、グィネヴィアは若い騎士が好きになって夫のアーサーを死に追いやる。グラーニアはグィネヴィアの逆で、愛人の若い騎士と共に死を選ぶ。父系社会において、男性顔負けの強面な「女神」たちなのだけれども、その名前の類似性と、殺された相手の名前の類似性から、元は同じ伝承から発生した女神群と考えられる。イーピゲネイアとハイヌウェレ神話の相関からいえば、ハイヌウェレ神話では「殺される娘神」が「H+M(N)」の女神だったのに、イーピゲネイアでは、これが「母女神」に変更されているだけのこと、と分かる。ニーベルンゲンのクリームヒルトは露骨に殺されはしないけれども、妻としての社会的立場をグンテルに恥をかかされて傷つけられたし、ハゲネに財産を横領されたので、これを「殺されたも同然」と解釈すれば、クリームヒルトは「殺される女神」でもあるし「復讐する女神」でもある、ということになる。グィネヴィアとグラーニアは、男として役にもたたなくなったじいさんの妻でいることは女として死んだも同然、と言い出すとだんだん男性に失礼な女神になりすぎてる気もするけれども、神話的な性格はそのようなものだ。
ということで、この復讐心の強い女性達はかなり起源の古い女神ではないか、と思われるので、イランとインドの神話を探ってみると、イランにはスプンタ・アールマティ、アナーヒターという女神がいて、インドにはカーマデーヌという女神がいる、ということになる。特にアールマティはインド・イラン共通時代にまで遡る女神と考えられ、牧地などを守護する地母神とされている<ref>ゾロアスター教の大女神、p87</ref>。インドのカーマデーヌと併せて考えれば、「'''牧牛女神'''」といえる大女神だったといえる。カーマデーヌには、子供達である家畜が辛い労働を強いられていることを嘆いた、という神話があるので、弱者である下位の女神達を踏みつけにする西王母やアルテミス女神とは異なり、'''弱者の保護と寛容さに努める、とされる女神だった'''ことが分かる。そしてそのひっくり返しとして、卑劣な行いをする者には峻厳さを示すという激しい一面を持っている女神でもあったかもしれないけれども、観念的になりすぎたゾロアスター教の女神や、牛に変換されてしまったインド神話では、激しい一面は削除されてしまい、残されているのはギリシア神話とゲルマン系の神話の中のみ、ということだと思う。牛の女神といえば、アイルランドのグラス・ガヴナン、アウズンブラがいるけれども、みな同起源の女神と考えます。アウズンブラはカーマデーヌではなく、スラビーに近い名なのではないか、と思う。ことが分かる。そしてそのひっくり返しとして、卑劣な行いをする者には峻厳さを示すという激しい一面を持っている女神でもあったかもしれないけれども、観念的になりすぎたゾロアスター教の女神や、牛に変換されてしまったインド神話では、激しい一面は削除されてしまい、残されているのはギリシア神話とゲルマン系の神話の中のみ、ということだと思う。牛の女神といえば、アイルランドのグラス・ガヴナン、アウズンブラがいるけれども、みな同起源の女神と考えます。アウズンブラはカーマデーヌではなく、スラビーに近い名なのではないか、と思う。アイルランドのエスリウもスラビーに近い名と思う。
=== ネイト・エジプト神話 ===