シュメールの宗教では、クルは地下深くにある暗く寂しい洞窟として考えられていた<ref>Choksi, 2014</ref>。そこでの生活は「地上での生活の影のようなもの」として想定されていた<ref>Choksi, 2014</ref>。 クルはイナンナの姉である女神エレシュキガルが支配していた<ref>Black, Green, 1992, page77</ref><ref>Choksi, 2014</ref>。イナンナは出発する前に、彼女の大臣兼召使いのニンシュブルに、3日経っても戻ってこない場合は、エンリル、ナンナ、アン、エンキの神々に救出を懇願するように指示した<ref>Kramer, 1961, pages86–87</ref><ref>Penglase, 1994, page17</ref>。冥界の掟では、任命された使者を除いて、そこに入った者は決して外に出ることができない<ref>Kramer, 1961, pages86–87</ref>。イナンナは、ターバン、かつら、ラピスラズリのネックレス、胸にビーズ、パラドレス(淑女の衣装)、マスカラ、胸飾り、金の指輪を身につけ、ラピスラズリの物差しを持って訪問した<ref>Kramer, 1961, page88</ref><ref>Wolkstein, Kramer, 1983, page56</ref>。それぞれの衣服は、彼女の持つパワフルなメーを表現している<ref>Wolkstein, Kramer, 1983, page157</ref>。
イナンナは冥界の門を叩いて、入れてくれるように要求した<ref>Kramer, 1961, page90</ref><ref>Wolkstein, Kramer, 1983, pages54–55</ref><ref>Penglase, 1994, page17</ref>。門番のネティが「なぜ来たのか」と問うと<ref>Black, Green, 1992, page77</ref><ref>Kramer, 1961, page90</ref><ref>Wolkstein, Kramer, 1983, page55</ref>、イナンナは「姉エレシュキガルの夫」グガランナの葬儀に参列したいのだと答える<ref>Kramer, 1961, page91</ref><ref>Wolkstein, Kramer, 1983, pages56–57</ref>。ネティはこのことをエレシュキガルに報告し、エレシュキガルはこう告げた。「冥界の7つの門に閂をかけよ。そして、1つ1つゲートを開けて、イナンナを入れなさい。彼女が入ったら、王家の衣を脱がせるように<ref>Wolkstein, Kramer, 1983, page57</ref>。」おそらく、イナンナの衣服が葬儀にふさわしくないことと、イナンナの高慢な振る舞いを見て、エレシュキガルが不審に思ったのだろう<ref>Kilmer, 1971, pages299–309</ref>。エレシュキガルの指示に従い、ネティはイナンナに冥界の第一門に入ってよいが、ラピスラズリの物差しを渡さなければならないと告げた。。エレシュキガルの指示に従い、ネティはイナンナに冥界の第一門に入ってよいが、ラピスラズリの物差しを渡さなければならないと告げた。イナンナがその理由を尋ねると、"地下世界の常識だ "と言われた。