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368 バイト追加 、 2022年12月20日 (火) 22:24
エロースは本来は始原的な神でありながら、次第にその地位が低下して「恋情を起こさせる弓矢」を用いて、どちらかといえば悪さをするような少年神へと変化した神と思われ、経緯が興味深い神といえる。エロースがプシュケーを[[人身御供|生贄]]に求めているように、本来は[[人身御供|生贄]]、特に「'''花嫁としての生贄'''」を求める上位の神だったことが窺える。日本神話には、[[高御産巣日神]]という始原神が[[天若日子]]という神に特殊な弓矢を与えて地上を平定させようとした、というエピソードがあるが、個人的には本来のエロースの姿が[[高御産巣日神]]であり、時代を経てその神としての地位が低下したものが[[天若日子]]であって、この2神がエロースの姿の全てを網羅しているように思う。弓矢が登場する神話は、[[羿]]神話のように「相手が神霊であっても、人に禍をもたらすものを倒すもの」と、[[ニムロド]]のように天に対して反逆の意を示すものに「天の側から天罰を与えるためのもの」の2種類が大きく分けて存在するように思うが、エロースの矢も「天から放たれる矢」に分類されるように思う。日本神話では、[[高御産巣日神]]が「木の神」でもあり、そこから作られた弓矢には特別な霊性が宿るとされたのであろう。エロースも同様に本来は「木の神」でもあり、彼の弓矢はエロースの霊性を顕現するためのものだったのが、時代が下るにつれて、エロースの権威が低下したので、縁むすび的な恋愛や性愛に関する弓矢に性質が特化されるようになったものと思われる。
そのためか、アフロディーテ、アルテミスの神話、ディオニューシアカを見ても、エロースの矢は「人々の恋愛成就のため」の矢というよりは、通常では起きえないような異質な恋情を引き起こし、関係者の立場を悪くするような、一種の「天罰」としての性質が強いように思う。また、「エロースの矢」は、それに当たっても人は死ぬことはないが、そのために起きた恋情には「欲望」が強く伴っており、射られたものは恋愛に誠実さを示すのではなく、自らの欲望をかなえることを優先するようである。そのためか、アフロディーテ、アルテミスの神話、ディオニューシアカを見ても、エロースの矢は「人々の恋愛成就のため」の矢というよりは、通常では起きえないような異質な恋情を引き起こし、関係者の立場を悪くするような、一種の「天罰」としての性質が強いように思う。また、「エロースの矢」は、それに当たっても人は死ぬことはないが、そのために起きた恋情には「欲望」が強く伴っており、射られたものは恋愛に誠実さを示すのではなく、自らの欲望をかなえることを優先するようである。このように、「エロースの矢」には、標的とされた人間の運命を変えてしまうような、いわば「トリックスター」的な面があるように思う。子音構成からいっても、エロースは北欧神話のロキと関連する神なのではないだろうか。 特にディオニューソスが関連するものは、
== 参考文献 ==

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