彼は神々の長であり<ref>Homeric Hymns.</ref>、他の神々に役割を与える全能の父として尊敬されていた<ref>Hesiod, ''Theogony''.</ref>。"彼の実子でない神々も彼を父と呼び、すべての神々が彼の前で立ち上がる "とされていた<ref>Burkert, ''Greek Religion''.</ref><ref>See, e.g., Homer, ''Il.'', I.503 & 533.</ref>。パウサニアスは「ゼウスが天の王であることは、すべての人に共通する表現である」と述べている<ref>Pausanias, [https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Paus.+2.24.4&fromdoc=Perseus%3Atext%3A1999.01.0160 2.24.4].</ref>。ゼウスのシンボルは、雷鳴、鷲、雄牛、樫である。インド・ヨーロッパ語族の伝統を受け継ぐだけでなく、古典的な「雲を集める者」(ギリシャ語:Νεφεληγερέτα, Nephelēgereta)は、笏など古代近東の文化に由来する図像的特徴も持っている<ref>nefelhgere/ta^, Νεφεληγερέτα.</ref>。ゼウスは、立っている姿、右手に雷鳴を掲げて前進している姿、座って威厳を保っている姿の3つのポーズで描かれることが多い。ギリシャでは、'''左利きの人は不吉'''だと信じられていたため、雷は神の右手だけが持つことが非常に重要だった。
== 概要 ==
ゼウスはローマ神話では[[ユーピテル]](ジュピター)にあたる。オリュムポスの神々の家族および人類の両方の守護神・支配神であり、神々と人間たちの父と考えられた。
ゼウスは天空神として、全宇宙や雲・雨・雪・雷などの気象を支配していた。[[キュクロープス]]の作った雷霆(ケラウノス)を主な武器とする。その威力はオリュンポス最強と謳われるほど強大なもので、この雷霆をゼウスが使えば世界を一撃で熔解させ、全宇宙を焼き尽くすことができる<ref name="名前なし-1">ヘーシオドス 『神統記』 広川洋一訳、岩波文庫、1984。</ref>。[[テューポーン]]と戦う際には、万物を切り刻む魔法の刃である[[アダマント|アダマス]]の鎌も武器としていた。雷霆の一撃をも防ぎ、更に敵を石化させる[[アイギス]]の肩当て(胸当てや楯という説も)を主な防具とするが、この防具はよく娘の[[アテーナー]]に貸し出される。この他にも、「恐怖」という甲冑を[[ギガントマキアー]]において着用している。
「光輝」と呼ばれる天界の輝きを纏った鎧に山羊革の胸当てをつけ、聖獣は[[鷲]]、聖木は[[オーク]]。主要な神殿は、オークの木のささやきによって神託を下したエーペイロスの聖地[[ドードーナ]]、および4年ごとに彼の栄誉を祝福してオリンピック大祭が開かれたオリュンピアにあった。
== 名前 ==