イナンナ/イシュタルの最も一般的なシンボルは八芒星であった<ref>Black, Green, 1992, pp156, 169–170</ref>が、正確な点の数は時々異なる<ref>Liungman, 2004, page228</ref>。また、六芒星も頻繁に登場するが、その象徴的な意味は不明である<ref>Black, Green, 1992, page170</ref><ref group="私注">アルコルか北極星ではないだろうか。</ref>。'''八芒星はもともと天と一般的な関連性を持っていた'''ようだが<ref>Black, Green, 1992, pages169–170</ref>、古バビロニア時代(前1830頃 - 前1531頃)には、特に金星と関連付けられるようになり、イシュタルはそれと同一視されるようになった<ref>Black, Green, 1992, pages169–170</ref>。この時期から、イシュタルの星は通常、円盤の中に収められるようになった<ref>Black, Green, 1992, page170</ref>。後のバビロニア時代には、イシュタルの神殿で働く奴隷に八芒星の印章が押されることもあったという<ref>Black, Green, 1992, page170</ref><ref>Nemet-Nejat, 1998, pages193–194</ref>。境界石や円筒印章には、シン(シュメール語でナンナ)の象徴である三日月やシャマシュ(シュメール語でウトゥ)の象徴である虹色の太陽円盤と一緒に八芒星が描かれることもある<ref>Liungman, 2004, page228</ref>。
イナンナの楔形文字の表意文字は、葦の鉤状のねじれた結び目で、豊饒と豊穣の象徴である倉の門柱を表している<ref>Jacobsen, 1976</ref>。このロゼットはイナンナのもう一つの重要なシンボルであり、イナンナとイシュタルの習合後にもイシュタルのシンボルとして使われ続けている<ref>Black, Green, 1992, page156</ref>。新アッシリア時代(紀元前911〜609年)には、ロゼットは八芒星に取って代わり、イシュタルの主要なシンボルとなった可能性がある<ref>Black, Green, 1992, pages156–157</ref>。アッシュール市のイシュタル神殿は、多数のロゼッタで飾られていた。アッシュール市のイシュタル神殿は、多数のロゼットで飾られていた<ref>Black, Green, 1992, page156</ref>。
イナンナ/イシュタルはライオンと関連しており<ref>Black, Green, 1992, page118</ref><ref>Collins, 1994, pages113–114</ref>、シュメール時代、古代メソポタミア人はライオンを権力の象徴とみなしていた<ref>Black, Green, 1992, page118</ref>。ニップルのイナンナ神殿から出土した緑泥石製の鉢には、大蛇と戦う大きなネコが描かれており<ref>Collins, 1994, pages113–114</ref>、鉢に刻まれた楔形文字には「イナンナと蛇」とあり、ネコが女神を表していると考えられていることが示されている<ref>Collins, 1994, pages113–114</ref><ref group="私注">これは古代エジプトの「太陽の猫」とアペプのようなものだろうか。</ref>。アッカド時代には、イシュタルはライオンを属性とする重武装の女神として描かれることが多かった<ref>Black, Green, 1992, pp119</ref>。