「エロース」を編集中
ナビゲーションに移動
検索に移動
この編集を取り消せます。 下記の差分を確認して、本当に取り消していいか検証してください。よろしければ変更を保存して取り消しを完了してください。
最新版 | 編集中の文章 | ||
1行目: | 1行目: | ||
− | + | '''エロース'''('''Ἔρως''',Erōs)は、ギリシア神話に登場する恋心と性愛を司る神である。ギリシア語で性的な愛や情熱を意味する動詞「ἔραμαι」が普通名詞形に変化、神格化された概念である。[日本語では長母音を省略して'''エロス'''とも呼ぶ。 | |
− | |||
− | |||
− | |||
− | '''エロース'''('''Ἔρως''' | ||
− | |||
− | |||
== 概説 == | == 概説 == | ||
18行目: | 12行目: | ||
古代においては、若い男性の姿で描かれていたが、西欧文化では、近世以降、背中に翼のある愛らしい少年の姿で描かれることが多く、手には弓と矢を持つ(この姿の絵は、本来のエロースではなく、アモールあるいはクピードーと混同された絵である)。黄金で出来た矢に射られた者は激しい愛情にとりつかれ、鉛で出来た矢に射られた者は恋を嫌悪するようになる。 | 古代においては、若い男性の姿で描かれていたが、西欧文化では、近世以降、背中に翼のある愛らしい少年の姿で描かれることが多く、手には弓と矢を持つ(この姿の絵は、本来のエロースではなく、アモールあるいはクピードーと混同された絵である)。黄金で出来た矢に射られた者は激しい愛情にとりつかれ、鉛で出来た矢に射られた者は恋を嫌悪するようになる。 | ||
− | エロースはこの矢で人や神々を撃って遊んでいた。ある時、[[アポローン]]にそれを嘲られ、復讐としてアポローンを金の矢で、たまたまアポローンの前に居た[[ダプネー]]を鉛の矢で撃った。アポローンはダプネーへの恋慕のため、彼女を追い回すようになったが、ダプネーはこれを嫌って逃れた。しかし、いよいよアポローンに追いつめられて逃げ場がなくなったとき、彼女は父に頼んでその身を[[ゲッケイジュ|月桂樹]]に変えた(ダプネー daphne | + | エロースはこの矢で人や神々を撃って遊んでいた。ある時、[[アポローン]]にそれを嘲られ、復讐としてアポローンを金の矢で、たまたまアポローンの前に居た[[ダプネー]]を鉛の矢で撃った。アポローンはダプネーへの恋慕のため、彼女を追い回すようになったが、ダプネーはこれを嫌って逃れた。しかし、いよいよアポローンに追いつめられて逃げ場がなくなったとき、彼女は父に頼んでその身を[[ゲッケイジュ|月桂樹]]に変えた(ダプネー daphne とはギリシア語で、月桂樹という意味の普通名詞である)。このエピソードが示す[[アレゴリー|寓意]]は、強い[[理性]]に凝り固まった者は[[恋愛]]と言う物を蔑みがちだが、自らの激しい恋慕の前にはその理性も瓦解すると言う事である。 |
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | + | == 「愛と心の物語」 == | |
− | + | [[File:L'Amour et Psyché (Picot).jpg|thumb|250px|left|[[フランソワ=エドゥアール・ピコ]]の1817年の絵画『アモルとプシュケ(愛と心)』。]] | |
− | == | + | ヘレニズム時代になると、甘美な物語が語られるようになる。それが『愛と心の物語』である。地上の人間界で、王の末娘[[プシューケー]]が絶世の[[美人|美女]]として噂になっていた。母アプロディーテーは美の女神としての誇りからこれを嫉妬し憎み、この娘が子孫を残さぬよう鉛の矢で撃つようにエロースに命じた。 |
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
だがエロースはプシューケーの寝顔の美しさに惑って撃ち損ない、ついには誤って金の矢で自身の足を傷つけてしまう。その時眼前に居たプシューケーに恋をしてしまうが、エロースは恥じて身を隠し、だが恋心は抑えられず、魔神に化けてプシューケーの両親の前に現れ、彼女を[[生贄]]として捧げるよう命じた。 | だがエロースはプシューケーの寝顔の美しさに惑って撃ち損ない、ついには誤って金の矢で自身の足を傷つけてしまう。その時眼前に居たプシューケーに恋をしてしまうが、エロースは恥じて身を隠し、だが恋心は抑えられず、魔神に化けてプシューケーの両親の前に現れ、彼女を[[生贄]]として捧げるよう命じた。 | ||
− | + | 晴れてプシューケーと同居したエロースだが、神であることを知られては[[タブー|禁忌]]に触れるため、暗闇でしかプシューケーに会おうとしなかった。姉たちに唆されたプシューケーが灯りをエロースに当てると、エロースは逃げ去ってしまった。 | |
− | エロースの端正な顔と美しい姿を見てプシューケーも恋に陥り、人間でありながら姑アプロディーテーの出す難題を解くため[[冥界]] | + | エロースの端正な顔と美しい姿を見てプシューケーも恋に陥り、人間でありながら姑アプロディーテーの出す難題を解くため[[冥界]]に行ったりなどして、ついにエロースと再会する。この話は、[[アプレイウス]]が『黄金の驢馬』のなかに記した挿入譚で、「愛と心」の関係を象徴的に神話にしたものである。プシューケーとはギリシア語で、「心・魂」の意味である。 |
プシューケーとの間にはウォルプタース(ラテン語で「喜び」、「悦楽」の意。古典ギリシア語ではヘードネー)と言う名の女神が生まれた。 | プシューケーとの間にはウォルプタース(ラテン語で「喜び」、「悦楽」の意。古典ギリシア語ではヘードネー)と言う名の女神が生まれた。 | ||
− | == | + | == 参考書籍 == |
− | [[ | + | * [[ヘシオドス]]『神統記』[[廣川洋一]]訳、[[岩波文庫]](1984年) |
− | + | * [[アプレイウス]]『愛と心の物語』[[呉茂一]]・[[国原吉之助]]訳注、[[岩波書店]](2013年、『黄金の驢馬』の作中話として挿入されている)。 | |
− | + | * 呉茂一『ギリシア神話 上巻』、[[新潮社]](1956年) | |
− | + | * [[高津春繁]]『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店(1960年) | |
− | + | * [[松村一男]]監修『知っておきたい 世界と日本の神々』、[[西東社]](2007年) | |
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | * | ||
− | * | ||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
− | |||
− | |||
* [[アプロディーテー]] | * [[アプロディーテー]] | ||
* [[カーマ (ヒンドゥー教)]] - エロースと同じく、矢で射たものに恋情を引き起こす愛の神。 | * [[カーマ (ヒンドゥー教)]] - エロースと同じく、矢で射たものに恋情を引き起こす愛の神。 | ||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
== 参照 == | == 参照 == | ||
142行目: | 46行目: | ||
[[Category:松明]] | [[Category:松明]] | ||
[[Category:類星神]] | [[Category:類星神]] | ||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− |