== 私的解説・ネペレーとホレのおばさん ==
天候神ネペレーと「天候神ネペレーは「'''穀物の実りを左右する女神'''」であって、「'''穀物を実らせない女神'''」である[[イーノー]]との対立は、むしろ「[[うりこひめとあまのじゃく]]」的に、[[イーノー]]の方が「罰を受けるべき(悪い)女神」であるという観点から生じているように思う。なぜなら、[[イーノー]]は本来「穀物を実らせる女神」でなければならないはずなのに、その役割を果たさず、逆に「凶作」をもたらそうとしているからである。女神が「働かないから罰せられなければならない」という労働型の受罰女神の発生思想は[[牛郎織女]]に似る。とは対立する。ネペレーはヘーラーの分身でもある。
ネペレーはおそらくヒッタイト神話の[[イーノーカムルセパ]]は人身御供を求める女神でもあるが、対立するネペレーもその点は同様であるので、そのために責められる、という要素はほとんどない。から発展した女神ではないかと考える。[[カムルセパ]]は「KM+セパ(キュベレー)」と名前を分けることが可能であり、ここからキュベレー→[[エレクラ]]→ヘーラーと繋がっていくように思うので、ネペレーとヘーラーは同語源であり、元は同一の神と思われる。
ネペレーと[[イーノー]]の本来の関係は、ゲルマン神話の[[ホレのおばさん]]と[[コルンムーメ]]の関係に相当すると考える。日本神話では[[豊玉毘売]]と妹の[[玉依姫]]との関係が近いように思うが、日本神話では「海の女神」としての性質が強いのは[[豊玉毘売]]の方である。 注釈にも書いたが、同一の女神の序列としては * [[ヘーラー]]、ネペレー、[[イーノー]]、ヘレー となって、一巡して[[ヘーラー]]系の名前に戻るようになっているように感じる。名前の類似性からいっても、[[ホレのおばさん]]と[[ヘーラー]]は同一の女神といえよう。 天候神としてのネペレーの性質は[[西王母型女神]]であるといえる。しかし、子音から見ると'''女媧(じょか、Nüwa)'''となるので、「NP」の子音を持つ女神としては[[女媧]]に近く[[女媧型女神]]といえる。ネペレーは元は「KM」の子音を持つ「熊トーテム」の女神と思われる。ギリシア神話は熊トーテムの神々を下位に置く傾向が強いので、ネペレーもヘーラーの下位の女神に位置づけられているのではないだろうか。
== 参考文献 ==