やがてザールは、カブールのルーダーベ(Rudaba)姫と結ばれる。ルーダーベが出産する際、臨月となっても胎児は産まれずルーダーベを苦しめた。ザールは、シームルグの羽根の一部を香炉で燃やした。すぐにシームルグが現れ、生まれてくる子が強く賢い人物となる旨を告げ、出産のための助言を与えて、1枚の羽根を置き飛び去った。シームルグの指示により、ルーダーベを酒で酔わせた後に腹部を切開して赤ん坊を取り上げ、腹部は縫合して薬を塗り、シームルグの羽根で傷口を撫でて治癒させた。こうしてロスタムは生まれた。<ref>フェルドウスィー,岡田訳 (1999), フェルドウスィー,岡田訳 (1999)、182-186頁。</ref>。
成長したロスタムが、イランの王子{{仮リンク|イスファンディヤール|en|Esfandiyār}}と戦って傷ついた時、ザールは香炉でシームルグの羽根の一部を燃やした。再びシームルグが現れて、まずロスタムの傷を治療し、やはり負傷していた彼の馬{{仮リンク|ラクシュ|en|Rakhsh}}をも治療した。それから、ロスタムからイスファンディヤールと戦うことになった事情を聞くと、イスファンディヤールと和解を試みるよう、そしてもしイスファンディヤールが和解を受け入れないなら、シームルグが作らせた矢を用いて彼と戦うよう助言した。再びイスファンディヤールと相まみえたロスタムが和解を試みたが、イスファンディヤールはなおも戦おうとするため、ロスタムはシームルグが指示した方法で矢を放った。矢はイスファンディヤールの目に深々と刺さり、これが彼の致命傷となった成長したロスタムが、イランの王子イスファンディヤール(Esfandiyār)と戦って傷ついた時、ザールは香炉でシームルグの羽根の一部を燃やした。再びシームルグが現れて、ロスタムと彼の馬ラクシュ(Rakhsh)を治療した。シームルグは、ロスタムからイスファンディヤールと戦うことになった事情を聞くと、イスファンディヤールと和解を試みるよう、そしてもしイスファンディヤールが和解を受け入れないなら、シームルグが作らせた矢を用いて彼と戦うよう助言した。再びイスファンディヤールと相まみえたロスタムは和解を試みたが、イスファンディヤールが拒否したため、ロスタムはシームルグが指示した方法で矢を放った。矢はイスファンディヤールの目に深々と刺さり、これが彼の致命傷となった<ref>[[#フェルドウスィー,岡田訳 (1999)|フェルドウスィー,岡田訳 (1999)]]、312-323頁。</ref><ref>[[#カーティス,薩摩訳 (2002)|カーティス,薩摩訳 (2002)]]、87-90頁。</ref>。
なお、イスファンディヤールは、イランと隣国[[トルキスタン|トゥーラーン]]との戦争の際、トゥーラーン王のいる「青銅の城」へ攻め込む途中で7つの艱難を攻略している。その艱難の1つはシームルグとの戦いであった<ref>[[#フェルドウスィー,岡田訳 (1999)|フェルドウスィー,岡田訳 (1999)]]、306頁。</ref>が、ここでのシームルグはザールを育てたシームルグとは別の、邪悪な鳥だとされている。イスファンディヤールは策略をもってシームルグを倒し{{refnest|group="注釈"|奥西は訳註において、イスファンディヤールと敵対しているロスタムを守るシームルグは、イスファンディヤールから見れば敵となることから、善と悪の2羽のシームルグがいるとするヘダーヤトの説明に異議を述べている<ref>[[#ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)|ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)]]、320頁(訳註68)。</ref>。}}<ref>[[#ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)|ヘダーヤト,奥西訳註 (1999)]]、313頁。</ref><ref name="カーティスp90-91">[[#カーティス,薩摩訳 (2002)|カーティス,薩摩訳 (2002)]]、90-91頁。</ref>、剣でその体をバラバラにしたところ、飛び散った羽根が山々の間の平野を埋めたという<ref name="カーティスp90-91" />。