* 物語中に何らかの「[[禁忌]]」が含まれ、女主人公がそれを破って罰を受けるという点
等が特徴の物語群である。女主人公には「[[人身御供]]」としての性質が暗喩される。本物語でもプシューケーは[[プロセルピナ]]によって死ぬ。しかし、夫のクピードーによって再生される。クピードーの再生の能力は、によって死ぬ。しかし、夫の[[クピードー]]によって再生される。[[クピードー]]の再生の能力は、[[ユーピテル]]から[[ネクタール]]を授かって得た限定的なもの、というようになっている。[[ネクタール]]は東洋で述べるところのいわゆる「[[不老不死の薬]]」と思われる。東洋では[[西王母]]の持ち物とされるが、西洋では最高神である雷神の持ち物とされているところが興味深い。 物語の前半部分でプシュケーは夫を「何か見えない者」から「見える者」へと変化させる。そのため、本物語は[[炎帝神農|炎帝]]を再生させるタイプの「[[炎帝神農|炎帝]]型」の「[[美女と野獣]]」譚と考える。 夫の[[クピードー]]はアモール(Amor)とも呼ばれる。一方、ヒッタイト神話では月の神のことをアルマ(Arma)と呼ぶ。おそらく、「何か見えない者」から「見える者」へと変化させる女神とは、「月」の満ち欠けあるいは月食を支配する女神、という意味があったのではないだろうか。ヒッタイト神話では「転落した月の神」を天に戻す女神はカムルシュエパ(Kamrušepa)と呼ばれた雲の女神であった。プシュケーも本来は、雲の発生に関係する[[西王母型女神|西王母型]]の天候神だった可能性がある。
プシュケーが蝶の姿を取る点は、蝶が「不老不死の神力を持つ」という日本神話の[[常世神]]を思わせる。[[ネクタール]]は本来、「再生の力を持つ」とされたプシューケーの持ち物ではなかったのだろうか。