[[ミーノータウロス]]が幽閉されているラビュリントスは、名工[[ダイダロス]]によって築かれた脱出不可能と言われる[[迷宮]]であった。しかし、ミーノース王の娘[[アリアドネー]]がテーセウスに恋をしてしまい、彼女はテーセウスを助けるため、彼に赤い麻糸の鞠と短剣をこっそり手渡した。テーセウスはアリアドネーからもらった毬の麻糸の端を入口の扉に結び付け、糸を少しずつ伸ばしながら、他の[[人身御供|生贄]]たちと共に迷宮の奥へと進んでいった。そして一行はついに[[ミーノータウロス]]と遭遇した。皆がその恐ろしい姿を見て震える中、テーセウスはひとり勇敢に[[ミーノータウロス]]と対峙し、[[アリアドネー]]からもらった短剣で見事これを討ち果たした。その後、テーセウスの一行は糸を逆にたどって、無事にラビリントスの外へ脱出する事ができた。テーセウスは[[アリアドネー]]を妻にすると約束し、[[ミーノース]]王の追手から逃れてアテーナイへ戻るために、[[アリアドネー]]と共に急いでクレータ島から出港した<ref group="私注">迷宮へ挑むテーセウスは「異界を旅する」存在ともいえる。[[人身御供]]による「死」も暗示させる。対する[[アリアドネー]]はテーセウスの戦いを助けるだけでなく、彼を'''異界から人間の世界へ再生させる'''。[[アリアドネー]]が'''死したる者を再生させる、と考えられていた女神だった'''ことが伺われる。</ref>。
しかし、彼は帰路の途中、[[ナクソス島]]に寄った際に、アリアドネーと離別してしまった。これは、アリアドネーに一目惚れしたしかし、彼は帰路の途中、ナクソス島に寄った際に、アリアドネーと離別してしまった。これは、アリアドネーに一目惚れした[[ディオニューソス]]([[バックス]]/バッカス)が彼女を/バッカス)が彼女をレームノス島に攫ってしまったために、行方が分からなくなり、止むを得ず船を出港させたとも、テーセウスが[[レームノス島アリアドネー]]に攫ってしまったために、行方が分からなくなり、止むを得ず船を出港させたとも、テーセウスがアリアドネーに飽きたため、彼女を置き去りにしたとも言われている。に飽きたため、彼女を置き去りにしたとも言われている。
テーセウスは生贄の一人としてクレータ島へ向かう時、無事クレータ島から脱出できた場合には喜びを表す印として船に白い帆を掲げて帰還すると父王アイゲウスに約束していた。しかし、テーセウスはこの約束を忘れてしまい、出航時の黒い帆のまま帰還した。これを見たアイゲウスは、テーセウスがミーノータウロスに殺されたものと勘違いし、絶望のあまり海へ身を投げて死んだ。その後、アイゲウスが身を投げた海は、彼の名にちなんでテーセウスは生贄の一人としてクレータ島へ向かう時、無事クレータ島から脱出できた場合には喜びを表す印として船に白い帆を掲げて帰還すると父王アイゲウスに約束していた。しかし、テーセウスはこの約束を忘れてしまい、出航時の黒い帆のまま帰還した。これを見たアイゲウスは、テーセウスが[[エーゲ海ミーノータウロス]]と呼ばれるようになった。に殺されたものと勘違いし、絶望のあまり海へ身を投げて死んだ。その後、アイゲウスが身を投げた海は、彼の名にちなんでエーゲ海と呼ばれるようになった
=== その他の冒険 ===
アイゲウスの後を継いで王になったテーセウスは憐み深い王としてアテーナイを治める一方、[[アマゾーン]]の女王[[アンティオペー]]、あるいは[[ヒッポリュテー]]をさらい妻としたり、[[金羊毛]]皮を捜し求める[[アルゴー船]]探検隊([[アルゴナウタイ]])の冒険に参加したり、盟友[[ペイリトオス]]とともに[[スパルタ]]の王女とともにスパルタの王女[[ヘレネー]]と冥界の女王[[ペルセポネー]]を誘拐しようとしたり、様々な冒険を行った。
冥界へ赴く以前は、アリアドネーの妹[[パイドラー]]を妻とし、幸せに暮らしていた。しかしある時、パイドラーは義理の息子を妻とし、幸せに暮らしていた。しかしある時、[[パイドラー]]は義理の息子[[ヒッポリュトス (神話)|ヒッポリュトス]]を愛してしまう。パイドラーはヒッポリュトスに想いを打ち明けるが、彼はこれを酷く非難する。夫テーセウスへの発覚を恐れたパイドラーは、衣服を裂き「ヒッポリュトスから辱めを受けた」という遺書を残し自殺する。テーセウスは憤慨し、を愛してしまう。パイドラーはヒッポリュトスに想いを打ち明けるが、彼はこれを酷く非難する。夫テーセウスへの発覚を恐れた[[パイドラー]]は、衣服を裂き「[[ヒッポリュトス]]から辱めを受けた」という遺書を残し自殺する。テーセウスは憤慨し、[[ポセイドーン]]に祈り息子ヒッポリュトスを殺害する。その後、真相を知ったテーセウスは、妻と息子の死を深く嘆き悲しんだ。に祈り息子[[ヒッポリュトス]]を殺害する。その後、真相を知ったテーセウスは、妻と息子の死を深く嘆き悲しんだ。
晩年はペルセポネーを略奪するために長く国を留守にした隙を突かれて王位を追われ、晩年は[[スキューロス島ペルセポネー]]の王を略奪するために長く国を留守にした隙を突かれて王位を追われ、スキューロス島の王[[リュコメーデース]]のもとに身を寄せていたが、リュコメーデースはテーセウスに王位を簒奪されるのではないかと恐れ、彼を崖から突き落として殺してしまった。のもとに身を寄せていたが、[[デルポイリュコメーデース]]の神託によって、テーセウスの遺骸はアテーナイに戻され、アテーナイの人々によって手厚く葬られた。はテーセウスに王位を簒奪されるのではないかと恐れ、彼を崖から突き落として殺してしまった。デルポイの神託によって、テーセウスの遺骸はアテーナイに戻され、アテーナイの人々によって手厚く葬られた。
==脚注==
== 関連項目 ==
* [[テセウスの船]]* [[エウリピデス]]『[[ヒッポリュトス (エウリピデス)|ヒッポリュトス]]』* [[ジャン・ラシーヌ]]『[[フェードル]]』-「テゼ」として登場 * [[リヒャルト・シュトラウス]]『[[ナクソス島のアリアドネ]]』* [[インモータルズ -神々の戦い-アリアドネー]]
== 私的注釈 ==