=== カリストー ===
[[カリストー]](Kallistō)はアルカディアの[[ニュンペー|ニュムペー]]であるが、純潔を誓い、アルテミスに従っていた。[[ゼウス]]は姿を変えて[[カリストー]]に近づき、彼女を愛した。こうして二人のあいだにアルカディアの祖となる[[アルカス]]ができるが、アルテミスはこれを怒り、彼女を雌熊に変えた(一説では、ヘーラーが、またゼウス自身が、雌熊に変えた)。カリストーはアルテミスによって殺されたとも、息子アルカスがそれと知らず、熊と思い彼女を殺したともされるができるが、アルテミスはこれを怒り、彼女を雌'''熊'''に変えた(一説では、ヘーラーが、またゼウス自身が、雌熊に変えた)。カリストーはアルテミスによって殺されたとも、息子アルカスがそれと知らず、熊と思い彼女を殺したともされる<ref>高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.101。</ref>。
[[ゼウス]]はカリストーを憐れんで天に上げ、[[おおぐま座]]にしたとされる。息子アルカスは[[こぐま座]]となった(なお、[[うしかい座]]もアルカスの姿であるとされる)。しかしこのカリストーは、本来は「アルテミス・カリステー」(Artemis Kallistē, もっとも美しいアルテミス)であり、アルテミス自身のことであったと考えられる<ref name="T2"></ref>。
=== アクタイオーン ===
[[アクタイオーン]]({{lang|grc-latn|Aktaiōn}})は、アポローンの子(Aktaiōn)は、アポローンの子[[アリスタイオス]]と、[[カドモス]]の娘[[アウトノエー]]とのあいだに生まれた子で、猟師であった。彼は、[[キタイローン]]山中で50頭の犬を連れて猟をしていたが、たまたまアルテミスが泉で水浴している姿を垣間見、女神の裸身を見た。アルテミスは怒り、アクタイオーンをとのあいだに生まれた子で、猟師であった。彼は、キタイローン山中で50頭の犬を連れて猟をしていたが、たまたまアルテミスが泉で水浴している姿を垣間見、女神の裸身を見た。アルテミスは怒り、アクタイオーンを[[シカ|鹿]]に変え、その連れていた50頭の犬に襲わせた。犬たちによってアクタイオーンは引き裂かれて死んだ<ref>高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.14。</ref>。
=== オーリーオーン ===
[[オーリーオーン]]({{lang|grc-latn|Ōrīōn}})は、(Ōrīōn)は、[[ポセイドーン]]の息子である。彼は陸でも海でも歩くことができ、そして非常な豪腕の持ち主で、太い棍棒を使って野山の獣を狩る、ギリシア一番の猟師であった。
狩猟の女神であるアルテミスとギリシア随一の狩人であるオーリーオーンは次第に仲良くなっていき、神々の間でも二人は、やがて結婚するだろうと噂されるようになっていった。しかし、アルテミスの双子の弟(兄)であるアポローンは、乱暴なオーリーオーンが嫌いだったことと純潔を司る処女神である彼女に恋愛が許されないことから、二人の関係を快く思わなかった。だが、アルテミスはアポローンの思惑を気にかけなかった。
アルテミスは矢を放ち、オーリーオーンは矢に射られて死んだ。女神がオーリーオーンの死を知ったのは、翌日にオーリーオーンの遺骸が浜辺に打ち上げられてからだった。アルテミスは後に神となるほどの腕前の医師[[アスクレーピオス]]を訪ね、オーリーオーンの復活を依頼したが、冥府の王[[ハーデース]]がそれに異を唱えた。
アルテミスは父であり神々の長であるゼウスに訴えるが、ゼウスも死者の復活を認めることはできず、代わりに、オーリーオーンを天にあげ、[[星座アルテミスは父であり神々の長であるゼウスに訴えるが、ゼウスも死者の復活を認めることはできず、代わりに、オーリーオーンを天にあげ、星座]]とすることでアルテミスを慰めた。なお、[[さそり座]]は、アポローンが謀ってオーリーオーンを襲わせ、彼が海に入る原因となった[[サソリ]]であるとされた。そのため[[オリオン座]]は今も、さそり座が昇ってくるとそれから逃げて西に沈んでいくという。することでアルテミスを慰めた。なお、さそり座は、アポローンが謀ってオーリーオーンを襲わせ、彼が海に入る原因となったサソリであるとされた。そのためオリオン座は今も、さそり座が昇ってくるとそれから逃げて西に沈んでいくという。
== その他 ==
* 気の強さを表すエピソードの多いアルテミスであるが、[[トロイア戦争]]で自らが支援したトロイアが滅亡した際には父であるゼウスに泣きつくという一面を見せている。またアルテミスは勢力のない女神で、アルテミス自身の弓でヘーラーに殴打され、泣きながら逃走する小娘として描かれている気の強さを表すエピソードの多いアルテミスであるが、トロイア戦争で自らが支援したトロイアが滅亡した際には父であるゼウスに泣きつくという一面を見せている。またアルテミスは勢力のない女神で、アルテミス自身の弓でヘーラーに殴打され、泣きながら逃走する小娘として描かれている<ref name="T"></ref><ref>[[ホメーロス]]『[[イーリアス]]』、21巻470行。ホメーロス『イーリアス』、21巻470行。</ref>。* [[ギガントマキアー]]においては[[ギガース|ギガンテス]]の一人グラティオーンを倒している。においてはギガンテスの一人グラティオーンを倒している。
* 弓と[[箙]]で武装した「アポロウーサ」(女破壊者)あるいは「イーオケアイラ」(矢を射かける者)という添名を持つ<ref name="F">フェリックス・ギラン『ギリシア神話』青土社 p.97。</ref>。
* エペソスにおけるアルテミス崇拝は、[[マルセイユ]]を経て[[ローマ]]に伝わり、女神は[[ローマ神話]]の[[ディアーナ]]と同一視された。