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ページの作成:「'''坂上田村麻呂伝説'''（さかのうえのたむらまろでんせつ）は、平安時代の征夷大将軍としても高名な大納言の坂上田村麻呂…」
'''坂上田村麻呂伝説'''（さかのうえのたむらまろでんせつ）は、平安時代の征夷大将軍としても高名な大納言の坂上田村麻呂に関する伝説。主に鬼神討征など文芸的な伝説・創作の『討征譚』、地名や記念物および寺社建立にまつわる言い伝えの『寺社縁起譚』の2系統に分類され、その両方が交錯する『英雄譚』が日本各地に残されている。征夷大将軍や鎮守府将軍として功績を残したことから、足跡を辿るように東北地方に特に多く分布する<ref>高橋, 1986, pages=214-216</ref>。
== 概要 ==
平安時代中期、坂上田村麻呂と[[藤原利仁]]は史実をかけ離れて[[説話]]や[[軍記物語]]、寺社の縁起などに頻繁に登場すると同時に、その人物像も次第に史実から解離して伝説化が進んだことで[[田村語り]]が萌芽して成長し始めた{{Sfn|阿部|2004|page=65}}。
京都での最も早い伝説化は、[[元亨]]2年（[[1322年]]）に[[臨済宗]]の[[僧]]・[[虎関師錬]]がまとめた『[[元亨釈書]]』巻9「清水寺延鎮伝」に「奥州の逆賊[[高丸 (鬼)|高丸]]が[[駿河国]]の[[清見関]]を目指して攻め上がり、[[坂上田村丸|坂将軍田村]]の出陣を聞いた高丸は奥州へと退いた」と、[[清水寺]]の創建縁起から続けた物語が加えられ、『[[群書類従]]』所収の[[藤原明衡]]撰の『清水寺縁起』では登場していなかった高丸が登場したことで脚色が加えられ、史実から遊離して説話化が進んだ{{Sfn|高橋|1986|pages=207-211}}{{Sfn|阿部|2004|pages=66-68}}。
東北地方における田村麻呂の事蹟や田村語りは、[[鎌倉時代]]末期の[[正安]]2年（1300年）頃成立、編纂者は幕府中枢の複数の者と見られている『[[吾妻鏡]]』に武具の奉納の言い伝えや達谷窟における賊の討伐と寺院の建立が残されている。[[文治]]5年（[[1189年]]）9月21日の条では、[[源頼朝]]が[[胆沢郡]][[鎮守府 (古代)|鎮守府]]に鎮座する[[鎮守府八幡宮]]に参詣した事が記されている。田村麻呂が東夷の為に下向した時に勧進され、田村麻呂の弓箭や鞭などが宝蔵に納められていると創建の由来を記している。これは[[平安京]]に[[岩清水八幡宮]]が勧進される以前に、田村麻呂により鎌倉方が崇敬する八幡神が胆沢郡の鎮守府に勧進されていた事に驚いて記述した。同年9月28日の条では、頼朝が鎌倉へと帰還する途中、[[平泉]]達谷窟を通ったときの記述に「[[坂上田村丸|田村麻呂利仁等の将軍]]、綸命を奏じて夷を征するの時、賊主[[悪路王]]並びに[[赤頭]]等、塞を構ふるの岩屋なり」とあり、岩屋から[[外ヶ浜]]まで10日あまりで至り、坂上将軍は[[鞍馬寺]]を模して多聞天を安置、[[西光寺]]と号して水田を寄付したと続けている。『吾妻鏡』で田村麻呂利仁と続けて書かれていることが、のちの田村麻呂と利仁の融合へと影響した{{Sfn|阿倍|2004|pages=73-74}}{{Sfn|阿倍|2004|pages=78-79}}{{Sfn|内藤|2007|pages=226-227}}。
=== 文芸作品 ===
生前から[[毘沙門天]]の化身と評価されていたことから、田村麻呂の事績や伝説は早くから[[文芸作品]]となって、[[室町時代]]初期の京都では[[勢州]][[鈴鹿]]の悪魔を討つ[[能]]『[[田村 (能)|田村]]』や、中期から後期にかけて[[鈴鹿御前]]と夫婦となり[[近江国]]の[[高丸 (鬼)|高丸]]や鈴鹿山の[[大嶽丸|大だけ丸]]を討つ[[お伽草子]]『[[鈴鹿の草子]]（[[田村の草子]]）』が語られ、[[江戸時代]]の東北地方では『田村の草子』を底本にした[[奥浄瑠璃]]『[[田村三代記]]』が作られ、人々に伝えられた。
全国各地の寺社や霊地の縁起に取り入れられたのは、これら田村語りのスケールの壮大さが可能にした{{Sfn|阿倍|2004|pages=120-121}}。
=== 主人公 ===
{{See also|坂上田村丸}}
歴史上の人物である坂上田村麻呂がモデルとされ、物語や伝説によっては[[出羽]]や北東北で活躍した鎮守府将軍・藤原利仁と融合されていることもある{{Sfn|高橋|1986|page=204}}{{Sfn|阿部|2004|page=9}}。
『鈴鹿の草子（田村の草子）』では坂上田村丸俊宗 / 坂上田村麻呂俊宗、『田村三代記』では坂上田村丸利仁 / 坂上田村麻呂利仁とされる。通称は田村丸、田村丸利仁、田村丸将軍など。
== 史実性の議論 ==
岩手県、[[宮城県]]、[[福島県]]を中心に多数分布する。大方は、田村麻呂が観音など特定の神仏の加護で[[蝦夷]]征討や[[鬼]]退治を果たし、感謝してその寺社を建立したというものである。伝承は田村麻呂が行ったと思われない地（[[青森県]]など）にも分布するが、[[京都市]]の[[清水寺]]を除いて、ほとんどすべてが後世の付託と考えられる。その他、田村麻呂が見つけた温泉、田村麻呂が休んだ石など様々に付会した物や地が多い。
坂上田村麻呂伝説について[[高橋崇]]は、討征譚や縁起譚の他に[[口承|口誦]]伝説も多く、征討のさいに腰をかけて休んだ石や、矢をかけた矢掛松、[[坂上田村麻呂奥州誕生説|奥州誕生説]]を説いて産湯に使用した泉など「だれの場合にもつきものの採るに足らぬ[[俗説]]も多い」とし、伝説がどのようにして作られ、いかなる方法で流布したかなども考慮しなくてはいけないとしている。また後世の東北地方で田村麻呂を称え、思募していることについて、田村麻呂本人にとってはあずかり知らないことであるが、後世の人々が伝説を受け入れたのは確かであるとしている{{Sfn|高橋|1986|pages=209-211}}{{Sfn|高橋|1986|pages=214-216}}。
== 討征譚 ==
東北地方では『田村三代記』が間接的に地元の伝説や寺社縁起譚として取り入れられた場合があり、一般的に地元の鬼神退治譚もしくは鬼神退治の後日譚（残党の退治譚）といった内容となる{{Sfn|阿部|2004|pages=116-120}}。
東北地方の他に伝説や縁起譚を持つ寺社は[[関東地方]]、[[中部地方]]、[[近畿地方]]、[[中国地方]]にまで及ぶ。各地の縁起は田村語りを基本にしつつ、その地方の歴史的、地理的な役割が反映されている{{Sfn|阿部|2004|pages=120-121}}。
=== 東北地方 ===
==== 青森県 ====
[[青森ねぶた]]は昭和末期までは田村麻呂の蝦夷征伐が起源と言われていた。もちろん史実の上では現在の盛岡市までしか北上していないことになっているが、青森市内には蝦夷征伐が行われたこと伝える史跡が複数残っており、いずれかの人物が来た可能性は高い。[[文室綿麻呂]]は811年に蝦夷大征伐を行っておりその大半が田村麻呂没後である。この前年、[[薬子の変]]にあたり誤認逮捕されていた綿麻呂が田村麻呂によって解放されたことから、綿麻呂自身がみずからの戦功を田村麻呂に捧げたとも考えることができる{{要出典|date=2016年1月}}。
==== 岩手県 ====
{{See also|大武丸}}
[[気仙郡]]の猪川観音（[[長谷寺 (大船渡市)|長谷寺]]）、小友観音（[[常膳寺]]）、矢作観音（[[観音寺 (陸前高田市)|観音寺]]）の[[気仙三観音]]の勧進由来では、大嶽丸の残党と目される三鬼の残党の退治譚が記される{{Sfn|阿部|2004|pages=116-120}}。
[[一関市]]と南町、千代田町、台町及び真柴の一部の地域は[[鬼死骸]]と呼ばれている<ref>{{Cite web|title=「鬼死骸村」訪ねるツアー 村が実在した岩手県一関市で開催|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211013/k10013305471000.html|website=NHKニュース|accessdate=2021-10-13|last=日本放送協会}}</ref>。
==== 宮城県 ====
[[白石市]]斎川の[[田村神社 (白石市)|古将堂]]の勧進由来では、田村将軍が東征の際に、[[悪路王]]や[[赤頭]]という荒土や[[丹砂]]を塗って化けた妖魁を[[鈴鹿御前]]の援助で討伐したので、この地に2人を祭祀したとある{{Sfn|阿部|2004|pages=116-120}}。
[[色麻町]]の[[磯良神社 (色麻町)|磯良神社]]では、田村将軍が東征の際に東右衛門という[[水練]]の達者な武士が従軍し、激流の川を恐れず先導役を務めた報償として「[[河童|川童]]」の姓と土地を与えた<ref>{{Cite web|title=おかっぱ様（磯良神社）|url=http://cms.town.shikama.miyagi.jp/|website=色麻町役場|accessdate=2021-03-03|language=ja|last=色麻町役場}}</ref>。
[[大崎市]]（旧[[鳴子町]]）の[[鬼首温泉]]は田村将軍に首を撥ねられた蝦夷の大将である大竹丸（おおたけまる）に由来する。
==== 秋田県 ====
秋田県[[三種町]]と[[能代市]]にまたがる[[房住山]]では、鬼面と呼ばれる阿計徒丸、阿計留丸、阿計志丸の[[長面三兄弟]]が住み、眷属を指揮して良民を苦しめるも、坂上田村麻呂将軍に倒された。将軍が房住山で鬼の慰霊法要をしていると、東の山上から日高山（房住山の南約7.5kmにある、現在地形図で赤倉山とされる[[五城目町]]の山。）の麓の洞穴に逃れ生き延びた阿計徒丸が目を覚まして「身の丈1丈3尺5寸ある大長丸（おおたけまる）と申す」と叫んだ{{Sfn|阿部|2004|pages=116-120}}{{Sfn|藤沢|2018|pages=311-314}}。
==== 山形県 ====
山形県では『奥羽観蹟聞老志』「長谷堂城の項目」や、[[長井市]]の[[総宮神社 (長井市)|總宮神社]]などに田村麻呂による建立としている寺社は確認出来るものの、田村語りに関連した伝承は皆無に等しい。[[阿部幹男]]は、阿玉桜（[[伊佐沢の久保桜]]）は、かつて山形県でも田村語りが語られていた痕跡ではないかとしている{{Sfn|阿部|2004|pages=116-120}}。
==== 福島県 ====
[[郡山市]][[田村町]]の[[田村神社 (郡山市)|田村神社]]では『鎮守山縁起』に取り込まれている。[[田村郡]]では[[大滝根山]]が、[[白河市]]付近では国見山が鬼神や大武丸の住みかとして設定された{{Sfn|阿部|2004|pages=116-120}}。
=== 関東地方 ===
関東地方では、[[茨城県]][[鹿嶋市]][[鹿島神宮]]、[[那珂市]]上宮寺、[[城里町]][[桂村 (茨城県)|桂地区]]下野達谷窟、[[栃木県]][[矢板市]][[木幡神社 (矢板市)|木幡神社]]、将軍塚、[[那須烏山市]]の[[星宮神社 (那須烏山市)|星宮神社]]、[[大田原市]][[那須神社]]、[[群馬県]][[三国峠 (群馬県・新潟県)|三国峠]]田村神社、[[埼玉県]][[東松山市]][[正方寺 (東松山市)|正方寺]]などが挙げられる{{Sfn|阿部|2004|pages=120-121}}。
==== 埼玉県 ====
{{See also|風洞の字名}}
東松山市では、大同元年に田村将軍が正法寺の岩殿観音に祈願して毒竜を退治し、[[弁天沼]]に首を埋めたという話が残る。
同様の話は[[児玉郡]][[美里町 (埼玉県)|美里町]]でも田村麻呂による[[大蛇]]退治として語られ、その際に美里町小茂田・沼上・十条・阿那志・古郡の５か所に、赤城大明神の神霊を、赤城山に向かって（北向きに）祀った、北向大明神とか北向神社と称される神社を建立。
=== 中部地方 ===
中部地方では、[[山梨県]][[富士吉田市]][[冨士山下宮小室浅間神社]]、[[長野県]][[安曇野]][[有明山 (安曇野市・松川村)|有明山]]、[[長野市]][[松代町 (長野市)|松代町]][[松代町西条|西条]][[清水寺 (長野市松代町西条)|清水寺]]、[[若穂]][[保科]][[清水寺 (長野市若穂保科)|清水寺]]、[[諏訪市]][[諏訪大社]]、[[静岡県]][[浜松市]][[岩水寺]]や[[有玉神社]]が挙げられる{{Sfn|阿部|2004|pages=120-121}}。
==== 長野県 ====
長野県の安曇野をはじめ[[松本盆地]]一帯には田村麻呂が[[魏石鬼八面大王]]を妻の[[紅葉伝説|紅葉鬼神]]ともども征伐したという伝説が広く残されている。これは『[[信府統記]]』「第十七」の記述に基づく伝承であるが、『[[仁科濫觴記]]』に見える[[田村守宮]]を大将とする仁科の軍による八面鬼士大王を首領とする盗賊団の征伐を元に産まれた伝説であると考えられている。
=== 近畿地方 ===
近畿地方では、[[三重県]][[亀山市]][[片山神社 (亀山市)|片山神社]]、[[滋賀県]][[甲賀市]][[田村神社 (甲賀市)|田村神社]]などが挙げられる{{Sfn|阿部|2004|pages=120-121}}。
[[鈴鹿山脈]]は古来より交通の要所であり盗賊が横行したことから鬼や賊の伝承が残されている。田村麻呂が鈴鹿御前や鈴鹿山の鬼神・[[大嶽丸]]を討伐した話として『鈴鹿の草子（田村の草子）』、奥浄瑠璃『田村三代記』を通じて坂上田村麻呂伝説が広く知られている。[[鈴鹿峠]]を滋賀県側へ下ったところに坂上田村麻呂公を主祭神とする田村神社が鎮座する。
==== 三重県 ====
{{See also|金平鹿|藤原千方の四鬼}}
[[熊野]]の周辺では[[鬼ヶ城]]伝説を中心に泊観音（清水寺）、[[大馬神社]]などの縁起に坂上田村麻呂伝説が残されている{{Refnest|group=注|慶応義塾大学図書館蔵・榎本千賀氏翻刻『熊野志』第四十二「南紀熊野木ノ本浦鬼城物語」}}{{Sfn|桐村|2012|pages=7-11}}。
熊野近くの[[南牟婁郡]][[御浜町]][[尾呂志村|尾呂志]]でも、鬼ヶ城で鬼の首魁や手下を討伐した田村将軍が四鬼の窟に棲む鬼を征伐したという伝承が伝わっている{{Refnest|group=注|『御浜町史』}}{{Sfn|桐村|2012|pages=89-93}}。
==== 滋賀県 ====
甲賀市には、鈴鹿山の悪鬼を平定した田村麻呂が残っていた矢を放って「この矢の功徳で万民の災いを防ごう。矢の落ちたところに自分を祀れ」と言われ、矢の落ちたところに本殿を建てたとされている田村神社や、鈴鹿山の山賊討伐の報恩のために堂宇を建立して[[毘沙門天]]を祀ったという[[櫟野寺]]がある。[[東近江市]]には十一面観世音菩薩の石像を安置して鬼神討伐の祈願をした[[北向岩屋十一面観音]]、討伐した[[大嶽丸]]を手厚く埋葬したという首塚の残る[[善勝寺 (東近江市)|善勝寺]]がある。
=== 中国地方 ===
中国地方では、[[岡山県]][[倉敷市]][[児島地域|児島]][[由加神社本宮|由加神社]]などが挙げられる{{Sfn|阿部|2004|pages=120-121}}。
==== 岡山県 ====
岡山県倉敷市児島由加にある[[由加山]]には、この山を根城とした[[阿久良王]]{{Refnest|group=注|阿久羅王、阿黒羅王とも}}という妖鬼を退治にきた伝説が残る。[[本荘|通生の浦]]へ船でやってきた田村麻呂は[[本荘八幡宮|神宮寺八幡院]]で7日7夜に渡って鬼退治の祈願をしたという{{Sfn|立石|2006|pages=132-133}}。
[[岡山市]][[南区 (岡山市)|南区]]および[[玉野市]]の[[金甲山]]は、田村麻呂が由加山の鬼退治に向かう際に、戦勝を祈願して神の峰に金の甲{{Refnest|group=注|甲は[[鎧]]のこと}}を山頂付近に埋めたという伝承が名前の由来とされる{{Sfn|薬師寺|2003|page=190}}。ふもとの円通寺の竜王様に戦勝御礼として金の甲を奉納したという。
== 縁起譚 ==
[[File:Sakanouetamuramaroseitannochi.jpg|thumb|200px|right|福島県郡山市田村町徳定に建つ「伝 征夷大将軍 坂上田村麻呂公 生誕の地」碑]]
坂上田村麻呂の建立とされる寺社や奉納したとされる寺社伝説はゆかりの深い東北の岩手県、宮城県、福島県を中心に残されている。また彼が通過したと考えられる[[茨城県]]、[[長野県]]、[[山梨県]]、[[静岡県]]、[[愛知県]]、[[三重県]]、[[滋賀県]]にも残されている。しかし、田村麻呂が直接行ったとは考えられない[[山形県]]、[[秋田県]]、[[青森県]]さらに[[西日本]]の[[和歌山県]]や[[岡山県]]にも伝説が残る。特に多くの伝説が残されているのは福島県[[田村地方]]であり、生誕伝説から地名伝説そして寺社伝説に至るまで約80種類（うち30種類は寺社伝説）を数える。次に多いのが宮城県で約40種類（うち25種類は寺社伝説）の伝説が残されている。
=== 寺社建立伝説 ===
坂上田村麻呂が建立したという由緒をもつ寺社は宮城県の観音寺を中心に全国に100以上を数える。
==== 平泉雑記 ====
{{See also|奥州七観音}}
[[江戸時代]]の[[安永 (元号)|安永]]年間（[[1772年]] - [[1781年]]）に[[相原友直]]が[[仙台藩]]の風土を記した『[[平泉雑記]]』に「田村将軍建立堂社」の1節が設けられ、『[[封内名跡志]]』を参考に若干の例を加えた次の21例を挙げている{{Sfn|高橋|1986|pages=211-212}}。
{| class="wikitable" width="100%"
|-
! 堂社
! 現在名
! 所在地
! 備考
|-
| style="width:5em" |[[鎮守府八幡宮]]
| style="width:4em" |[[鎮守府八幡宮]]
| style="width:5em" |岩手県奥州市
| style="width:7em" |武具を奉納
|-
| style="width:5em" |[[達谷窟毘沙門堂]]
| style="width:4em" |[[達谷西光寺]]
| style="width:5em" |岩手県平泉町
| style="width:7em" |[[毘沙門堂]]を建立
|-
| style="width:5em" |[[斗藏観音]]
| style="width:4em" |安狐山[[斗蔵寺]]
| style="width:5em" |宮城県角田市
| style="width:7em" |
|-
| style="width:5em" |白山社
| style="width:4em" |白山神社{{どこ|date=2011年12月}}
| style="width:5em" |岩手県奥州市
| style="width:8em" |
|-
| style="width:5em" |[[悪玉観音]]
| style="width:4em" |[[満谷山円福寺]]
| style="width:5em" |宮城県仙台市
| style="width:8em" |悪玉姫が田村麻呂の子を産む
|-
| style="width:5em" |[[松嶋五大堂]]
| style="width:4em" |[[松島五大堂]]
| style="width:5em" |宮城県仙台市
| style="width:8em" |毘沙門堂を建立
|-
| style="width:5em" |[[富山観音]]
| style="width:4em" |[[富春山大仰寺]]
| style="width:5em" |宮城県仙台市
| style="width:8em" |[[奥州三観音]]
|-
| style="width:5em" |[[鹽竈社]]
| style="width:4em" |[[塩竈神社]]
| style="width:5em" |宮城県塩竈市
| style="width:8em" |
|-
| style="width:5em" |[[箟獄観音]]
| style="width:4em" |無夷山[[箟峯寺]]
| style="width:5em" |宮城県涌谷町
| style="width:8em" |奥州三観音、[[奥州七観音|六ヶ寺]]
|-
| style="width:5em" |[[和淵神社]]
| style="width:4em" |[[和淵神社]]
| style="width:5em" |宮城県石巻市
| style="width:8em" |
|-
| style="width:5em" |[[牧山観音]]
| style="width:4em" |[[両峰山梅渓寺]]
| style="width:5em" |宮城県石巻市
| style="width:8em" |奥州三観音、六ヶ寺
|-
| style="width:5em" |[[大武観音]]
| style="width:4em" |大嶽山[[興福寺 (登米市)|興福寺]]
| style="width:5em" |宮城県登米市
| style="width:8em" | 六ヶ寺
|-
| style="width:5em" |[[八幡宮]]
| style="width:4em" |[[屯岡八幡宮]]
| style="width:5em" |宮城県栗原市
| style="width:8em" |軍団駐屯地、[[源頼義]]が勧請とも
|-
| style="width:5em" |清水観音
| style="width:4em" |[[清水寺 (栗原市)|音羽山清水寺]]
| style="width:5em" |宮城県栗原市
| style="width:8em" |
|-
| style="width:5em" |[[小迫観音]]
| style="width:4em" |[[楽峰山勝大寺]]
| style="width:5em" |宮城県栗原市
| style="width:8em" | 六ヶ寺
|-
| style="width:5em" |[[長谷観音]]
| style="width:4em" |[[遮那山長谷寺]]
| style="width:5em" |宮城県登米市
| style="width:8em" | 六ヶ寺
|-
| style="width:5em" |[[鱒淵観音]]
| style="width:4em" |竹峰山[[華足寺]]
| style="width:5em" |宮城県登米市
| style="width:5em" | 六ヶ寺
|-
| style="width:5em" |[[矢作観音]]
| style="width:4em" |[[長谷山観音寺]]
| style="width:5em" |岩手県陸前高田市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[小友観音]]
| style="width:4em" |鶏頭山[[常膳寺]]
| style="width:5em" |岩手県陸前高田市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[猪川観音]]
| style="width:4em" |[[龍福山長谷寺]]
| style="width:5em" |岩手県大船渡市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[五葉山神社]]
| style="width:4em" |[[五葉山神社]]
| style="width:5em" |岩手県大船渡市
| style="width:5em" |[[807年|大同二年]]建立
|}
[[鎮守府八幡宮]]、[[達谷窟毘沙門堂]]は『[[吾妻鏡|東鏡]]』に詳細であるとする。21例のうち神社が6例、寺院が観音を本尊とする13例と最も多く、東北全体ではさらに多くなると予想している。『平泉雑記』では、田村麻呂建立の観音は「大同2年」が多く、悉く信用が不足していると述べている{{Sfn|高橋|1986|pages=211-212}}。
=== 記念物 ===
田村麻呂は蝦夷や賊の征討に際して各地の寺社を参拝し武具を奉納したと言われている。その内、以下の寺社は現存している奉納物が田村麻呂に由来していると伝えられている。<div style="text-align:right;float:right">
[[画像:Yajiri-asaka.jpg|thumb|300px|none|伝田村麻呂奉納の鏃『[[安積国造神社]]所蔵』]]
</div>
{| class="wikitable" width="100%"
|-
! 寺社名
! 所在地
! 奉納物
! 備考
|-
| style="width:5em" |[[鎮守府八幡宮]]
| style="width:4em" |岩手県奥州市
| style="width:5em" |宝剣、鏑矢
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[安積国造神社]]
| style="width:4em" |福島県郡山市
| style="width:5em" |やじり
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[鹿島神社（矢田）]]
| style="width:4em" |福島県いわき市
| style="width:5em" |やじり
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[素鵞神社]]
| style="width:4em" |茨城県常陸大宮市
| style="width:5em" |剣1振
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[清水寺 (長野市若穂保科)|清水寺]]
| style="width:4em" |長野県長野市
| style="width:5em" |兜の鍬形
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[椎ケ脇神社]]
| style="width:4em" |静岡県浜松市
| style="width:5em" |[[鬼神丸]]
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[鞍馬寺]]
| style="width:4em" |京都府京都市
| style="width:5em" |[[黒漆剣]]
| style="width:5em" |重要文化財
|-
| style="width:5em" |[[地主神社]]
| style="width:4em" |京都府京都市
| style="width:5em" |大刀1振
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[清水寺 (加東市)]]
| style="width:4em" |兵庫県加東市
| style="width:5em" |[[騒速|騒速、副剣2振]]
| style="width:5em" |重要文化財
|}
=== 開湯伝説 ===
{| class="wikitable" width="100%"
|-
! 温泉名
! 所在地
! 備考
|-
| style="width:5em" |[[大沢温泉 (岩手県)|大沢温泉]]
| style="width:4em" |岩手県花巻市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[志戸平温泉]]
| style="width:4em" |岩手県花巻市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[台温泉]]
| style="width:4em" |岩手県花巻市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[藤七温泉]]
| style="width:4em" |岩手県八幡平市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[岳温泉]]
| style="width:4em" |福島県二本松市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[男鹿温泉郷]]
| style="width:4em" |秋田県男鹿市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[梨木温泉]]
| style="width:4em" |群馬県桐生市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[四万温泉]]
| style="width:4em" |群馬県吾妻郡中之条町
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[中房温泉]]
| style="width:4em" |長野県安曇野市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[蓼科温泉]]
| style="width:4em" |長野県茅野市
| style="width:5em" |
|}
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注"}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}
== 参考文献 ==
* 「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 33 岡山県』角川書店 1989年
* {{Cite book|和書|author=阿部幹男|authorlink=阿部幹男|title=東北の田村語り|publisher=三弥井書店|series=三弥井民俗選書|date=2004-1|isbn=4838290632|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=大塚徳郎|authorlink=大塚徳郎|title=坂上田村麻呂伝説|publisher=宝文堂|date=1980|isbn=|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=桐村栄一郎|authorlink=桐村栄一郎|title=熊野鬼伝説-坂上田村麻呂 英雄譚の誕生|publisher=三弥井書店|date=2012-1|isbn=978-4-8382-3221-5|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=高橋崇|authorlink=高橋崇|title=坂上田村麻呂|edition=新稿版|publisher=吉川弘文館|series=人物叢書|date=1986|isbn=4-642-05045-0|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=立石憲利|authorlink=立石憲利|year=2006-10|title=おかやま伝説紀行|publisher=吉備人出版|isbn=9784860691448|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=内藤正敏|authorlink=内藤正敏|title=鬼と修験のフォークロア|publisher=法政大学出版局|series=民俗の発見|date=2007-3|isbn=978-4-588-27042-0|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=藤沢衛彦|authorlink=藤沢衛彦|title=日本の伝説 東北・北海道|publisher=河出書房新社|date=2018-12|isbn=978-4-309-70073-1|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=薬師寺慎一|authorlink=薬師寺慎一|title=祭祀から見た古代吉備|publisher=吉備人出版|date=2003-11|isbn=9784860690540|ref=harv}}
== 関連項目 ==
* [[伊邪那岐命]] - 冥界訪問譚がある。
== 外部リンク ==
* {{Wayback|url=http://www2u.biglobe.ne.jp/~nemoto-s/tamurarekisi_densetunoti.htm |title=福島県の田村麻呂伝説一覧 |date=20160307033056}}
* [http://chinjufu.jp/annai/houmotu.htm 鎭守府八幡宮の伝田村麻呂奉納の剣と鏑矢]
* [http://www001.upp.so-net.ne.jp/densetutanbo/tamuramaro/tamuindex.htm 田村麻呂伝説の旅]
== 参照 ==
{{DEFAULTSORT:さかのうえのたむらまろてんせつ}}
[[Category:日本神話]]
[[Category:黄帝型神]]
== 概要 ==
平安時代中期、坂上田村麻呂と[[藤原利仁]]は史実をかけ離れて[[説話]]や[[軍記物語]]、寺社の縁起などに頻繁に登場すると同時に、その人物像も次第に史実から解離して伝説化が進んだことで[[田村語り]]が萌芽して成長し始めた{{Sfn|阿部|2004|page=65}}。
京都での最も早い伝説化は、[[元亨]]2年（[[1322年]]）に[[臨済宗]]の[[僧]]・[[虎関師錬]]がまとめた『[[元亨釈書]]』巻9「清水寺延鎮伝」に「奥州の逆賊[[高丸 (鬼)|高丸]]が[[駿河国]]の[[清見関]]を目指して攻め上がり、[[坂上田村丸|坂将軍田村]]の出陣を聞いた高丸は奥州へと退いた」と、[[清水寺]]の創建縁起から続けた物語が加えられ、『[[群書類従]]』所収の[[藤原明衡]]撰の『清水寺縁起』では登場していなかった高丸が登場したことで脚色が加えられ、史実から遊離して説話化が進んだ{{Sfn|高橋|1986|pages=207-211}}{{Sfn|阿部|2004|pages=66-68}}。
東北地方における田村麻呂の事蹟や田村語りは、[[鎌倉時代]]末期の[[正安]]2年（1300年）頃成立、編纂者は幕府中枢の複数の者と見られている『[[吾妻鏡]]』に武具の奉納の言い伝えや達谷窟における賊の討伐と寺院の建立が残されている。[[文治]]5年（[[1189年]]）9月21日の条では、[[源頼朝]]が[[胆沢郡]][[鎮守府 (古代)|鎮守府]]に鎮座する[[鎮守府八幡宮]]に参詣した事が記されている。田村麻呂が東夷の為に下向した時に勧進され、田村麻呂の弓箭や鞭などが宝蔵に納められていると創建の由来を記している。これは[[平安京]]に[[岩清水八幡宮]]が勧進される以前に、田村麻呂により鎌倉方が崇敬する八幡神が胆沢郡の鎮守府に勧進されていた事に驚いて記述した。同年9月28日の条では、頼朝が鎌倉へと帰還する途中、[[平泉]]達谷窟を通ったときの記述に「[[坂上田村丸|田村麻呂利仁等の将軍]]、綸命を奏じて夷を征するの時、賊主[[悪路王]]並びに[[赤頭]]等、塞を構ふるの岩屋なり」とあり、岩屋から[[外ヶ浜]]まで10日あまりで至り、坂上将軍は[[鞍馬寺]]を模して多聞天を安置、[[西光寺]]と号して水田を寄付したと続けている。『吾妻鏡』で田村麻呂利仁と続けて書かれていることが、のちの田村麻呂と利仁の融合へと影響した{{Sfn|阿倍|2004|pages=73-74}}{{Sfn|阿倍|2004|pages=78-79}}{{Sfn|内藤|2007|pages=226-227}}。
=== 文芸作品 ===
生前から[[毘沙門天]]の化身と評価されていたことから、田村麻呂の事績や伝説は早くから[[文芸作品]]となって、[[室町時代]]初期の京都では[[勢州]][[鈴鹿]]の悪魔を討つ[[能]]『[[田村 (能)|田村]]』や、中期から後期にかけて[[鈴鹿御前]]と夫婦となり[[近江国]]の[[高丸 (鬼)|高丸]]や鈴鹿山の[[大嶽丸|大だけ丸]]を討つ[[お伽草子]]『[[鈴鹿の草子]]（[[田村の草子]]）』が語られ、[[江戸時代]]の東北地方では『田村の草子』を底本にした[[奥浄瑠璃]]『[[田村三代記]]』が作られ、人々に伝えられた。
全国各地の寺社や霊地の縁起に取り入れられたのは、これら田村語りのスケールの壮大さが可能にした{{Sfn|阿倍|2004|pages=120-121}}。
=== 主人公 ===
{{See also|坂上田村丸}}
歴史上の人物である坂上田村麻呂がモデルとされ、物語や伝説によっては[[出羽]]や北東北で活躍した鎮守府将軍・藤原利仁と融合されていることもある{{Sfn|高橋|1986|page=204}}{{Sfn|阿部|2004|page=9}}。
『鈴鹿の草子（田村の草子）』では坂上田村丸俊宗 / 坂上田村麻呂俊宗、『田村三代記』では坂上田村丸利仁 / 坂上田村麻呂利仁とされる。通称は田村丸、田村丸利仁、田村丸将軍など。
== 史実性の議論 ==
岩手県、[[宮城県]]、[[福島県]]を中心に多数分布する。大方は、田村麻呂が観音など特定の神仏の加護で[[蝦夷]]征討や[[鬼]]退治を果たし、感謝してその寺社を建立したというものである。伝承は田村麻呂が行ったと思われない地（[[青森県]]など）にも分布するが、[[京都市]]の[[清水寺]]を除いて、ほとんどすべてが後世の付託と考えられる。その他、田村麻呂が見つけた温泉、田村麻呂が休んだ石など様々に付会した物や地が多い。
坂上田村麻呂伝説について[[高橋崇]]は、討征譚や縁起譚の他に[[口承|口誦]]伝説も多く、征討のさいに腰をかけて休んだ石や、矢をかけた矢掛松、[[坂上田村麻呂奥州誕生説|奥州誕生説]]を説いて産湯に使用した泉など「だれの場合にもつきものの採るに足らぬ[[俗説]]も多い」とし、伝説がどのようにして作られ、いかなる方法で流布したかなども考慮しなくてはいけないとしている。また後世の東北地方で田村麻呂を称え、思募していることについて、田村麻呂本人にとってはあずかり知らないことであるが、後世の人々が伝説を受け入れたのは確かであるとしている{{Sfn|高橋|1986|pages=209-211}}{{Sfn|高橋|1986|pages=214-216}}。
== 討征譚 ==
東北地方では『田村三代記』が間接的に地元の伝説や寺社縁起譚として取り入れられた場合があり、一般的に地元の鬼神退治譚もしくは鬼神退治の後日譚（残党の退治譚）といった内容となる{{Sfn|阿部|2004|pages=116-120}}。
東北地方の他に伝説や縁起譚を持つ寺社は[[関東地方]]、[[中部地方]]、[[近畿地方]]、[[中国地方]]にまで及ぶ。各地の縁起は田村語りを基本にしつつ、その地方の歴史的、地理的な役割が反映されている{{Sfn|阿部|2004|pages=120-121}}。
=== 東北地方 ===
==== 青森県 ====
[[青森ねぶた]]は昭和末期までは田村麻呂の蝦夷征伐が起源と言われていた。もちろん史実の上では現在の盛岡市までしか北上していないことになっているが、青森市内には蝦夷征伐が行われたこと伝える史跡が複数残っており、いずれかの人物が来た可能性は高い。[[文室綿麻呂]]は811年に蝦夷大征伐を行っておりその大半が田村麻呂没後である。この前年、[[薬子の変]]にあたり誤認逮捕されていた綿麻呂が田村麻呂によって解放されたことから、綿麻呂自身がみずからの戦功を田村麻呂に捧げたとも考えることができる{{要出典|date=2016年1月}}。
==== 岩手県 ====
{{See also|大武丸}}
[[気仙郡]]の猪川観音（[[長谷寺 (大船渡市)|長谷寺]]）、小友観音（[[常膳寺]]）、矢作観音（[[観音寺 (陸前高田市)|観音寺]]）の[[気仙三観音]]の勧進由来では、大嶽丸の残党と目される三鬼の残党の退治譚が記される{{Sfn|阿部|2004|pages=116-120}}。
[[一関市]]と南町、千代田町、台町及び真柴の一部の地域は[[鬼死骸]]と呼ばれている<ref>{{Cite web|title=「鬼死骸村」訪ねるツアー 村が実在した岩手県一関市で開催|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211013/k10013305471000.html|website=NHKニュース|accessdate=2021-10-13|last=日本放送協会}}</ref>。
==== 宮城県 ====
[[白石市]]斎川の[[田村神社 (白石市)|古将堂]]の勧進由来では、田村将軍が東征の際に、[[悪路王]]や[[赤頭]]という荒土や[[丹砂]]を塗って化けた妖魁を[[鈴鹿御前]]の援助で討伐したので、この地に2人を祭祀したとある{{Sfn|阿部|2004|pages=116-120}}。
[[色麻町]]の[[磯良神社 (色麻町)|磯良神社]]では、田村将軍が東征の際に東右衛門という[[水練]]の達者な武士が従軍し、激流の川を恐れず先導役を務めた報償として「[[河童|川童]]」の姓と土地を与えた<ref>{{Cite web|title=おかっぱ様（磯良神社）|url=http://cms.town.shikama.miyagi.jp/|website=色麻町役場|accessdate=2021-03-03|language=ja|last=色麻町役場}}</ref>。
[[大崎市]]（旧[[鳴子町]]）の[[鬼首温泉]]は田村将軍に首を撥ねられた蝦夷の大将である大竹丸（おおたけまる）に由来する。
==== 秋田県 ====
秋田県[[三種町]]と[[能代市]]にまたがる[[房住山]]では、鬼面と呼ばれる阿計徒丸、阿計留丸、阿計志丸の[[長面三兄弟]]が住み、眷属を指揮して良民を苦しめるも、坂上田村麻呂将軍に倒された。将軍が房住山で鬼の慰霊法要をしていると、東の山上から日高山（房住山の南約7.5kmにある、現在地形図で赤倉山とされる[[五城目町]]の山。）の麓の洞穴に逃れ生き延びた阿計徒丸が目を覚まして「身の丈1丈3尺5寸ある大長丸（おおたけまる）と申す」と叫んだ{{Sfn|阿部|2004|pages=116-120}}{{Sfn|藤沢|2018|pages=311-314}}。
==== 山形県 ====
山形県では『奥羽観蹟聞老志』「長谷堂城の項目」や、[[長井市]]の[[総宮神社 (長井市)|總宮神社]]などに田村麻呂による建立としている寺社は確認出来るものの、田村語りに関連した伝承は皆無に等しい。[[阿部幹男]]は、阿玉桜（[[伊佐沢の久保桜]]）は、かつて山形県でも田村語りが語られていた痕跡ではないかとしている{{Sfn|阿部|2004|pages=116-120}}。
==== 福島県 ====
[[郡山市]][[田村町]]の[[田村神社 (郡山市)|田村神社]]では『鎮守山縁起』に取り込まれている。[[田村郡]]では[[大滝根山]]が、[[白河市]]付近では国見山が鬼神や大武丸の住みかとして設定された{{Sfn|阿部|2004|pages=116-120}}。
=== 関東地方 ===
関東地方では、[[茨城県]][[鹿嶋市]][[鹿島神宮]]、[[那珂市]]上宮寺、[[城里町]][[桂村 (茨城県)|桂地区]]下野達谷窟、[[栃木県]][[矢板市]][[木幡神社 (矢板市)|木幡神社]]、将軍塚、[[那須烏山市]]の[[星宮神社 (那須烏山市)|星宮神社]]、[[大田原市]][[那須神社]]、[[群馬県]][[三国峠 (群馬県・新潟県)|三国峠]]田村神社、[[埼玉県]][[東松山市]][[正方寺 (東松山市)|正方寺]]などが挙げられる{{Sfn|阿部|2004|pages=120-121}}。
==== 埼玉県 ====
{{See also|風洞の字名}}
東松山市では、大同元年に田村将軍が正法寺の岩殿観音に祈願して毒竜を退治し、[[弁天沼]]に首を埋めたという話が残る。
同様の話は[[児玉郡]][[美里町 (埼玉県)|美里町]]でも田村麻呂による[[大蛇]]退治として語られ、その際に美里町小茂田・沼上・十条・阿那志・古郡の５か所に、赤城大明神の神霊を、赤城山に向かって（北向きに）祀った、北向大明神とか北向神社と称される神社を建立。
=== 中部地方 ===
中部地方では、[[山梨県]][[富士吉田市]][[冨士山下宮小室浅間神社]]、[[長野県]][[安曇野]][[有明山 (安曇野市・松川村)|有明山]]、[[長野市]][[松代町 (長野市)|松代町]][[松代町西条|西条]][[清水寺 (長野市松代町西条)|清水寺]]、[[若穂]][[保科]][[清水寺 (長野市若穂保科)|清水寺]]、[[諏訪市]][[諏訪大社]]、[[静岡県]][[浜松市]][[岩水寺]]や[[有玉神社]]が挙げられる{{Sfn|阿部|2004|pages=120-121}}。
==== 長野県 ====
長野県の安曇野をはじめ[[松本盆地]]一帯には田村麻呂が[[魏石鬼八面大王]]を妻の[[紅葉伝説|紅葉鬼神]]ともども征伐したという伝説が広く残されている。これは『[[信府統記]]』「第十七」の記述に基づく伝承であるが、『[[仁科濫觴記]]』に見える[[田村守宮]]を大将とする仁科の軍による八面鬼士大王を首領とする盗賊団の征伐を元に産まれた伝説であると考えられている。
=== 近畿地方 ===
近畿地方では、[[三重県]][[亀山市]][[片山神社 (亀山市)|片山神社]]、[[滋賀県]][[甲賀市]][[田村神社 (甲賀市)|田村神社]]などが挙げられる{{Sfn|阿部|2004|pages=120-121}}。
[[鈴鹿山脈]]は古来より交通の要所であり盗賊が横行したことから鬼や賊の伝承が残されている。田村麻呂が鈴鹿御前や鈴鹿山の鬼神・[[大嶽丸]]を討伐した話として『鈴鹿の草子（田村の草子）』、奥浄瑠璃『田村三代記』を通じて坂上田村麻呂伝説が広く知られている。[[鈴鹿峠]]を滋賀県側へ下ったところに坂上田村麻呂公を主祭神とする田村神社が鎮座する。
==== 三重県 ====
{{See also|金平鹿|藤原千方の四鬼}}
[[熊野]]の周辺では[[鬼ヶ城]]伝説を中心に泊観音（清水寺）、[[大馬神社]]などの縁起に坂上田村麻呂伝説が残されている{{Refnest|group=注|慶応義塾大学図書館蔵・榎本千賀氏翻刻『熊野志』第四十二「南紀熊野木ノ本浦鬼城物語」}}{{Sfn|桐村|2012|pages=7-11}}。
熊野近くの[[南牟婁郡]][[御浜町]][[尾呂志村|尾呂志]]でも、鬼ヶ城で鬼の首魁や手下を討伐した田村将軍が四鬼の窟に棲む鬼を征伐したという伝承が伝わっている{{Refnest|group=注|『御浜町史』}}{{Sfn|桐村|2012|pages=89-93}}。
==== 滋賀県 ====
甲賀市には、鈴鹿山の悪鬼を平定した田村麻呂が残っていた矢を放って「この矢の功徳で万民の災いを防ごう。矢の落ちたところに自分を祀れ」と言われ、矢の落ちたところに本殿を建てたとされている田村神社や、鈴鹿山の山賊討伐の報恩のために堂宇を建立して[[毘沙門天]]を祀ったという[[櫟野寺]]がある。[[東近江市]]には十一面観世音菩薩の石像を安置して鬼神討伐の祈願をした[[北向岩屋十一面観音]]、討伐した[[大嶽丸]]を手厚く埋葬したという首塚の残る[[善勝寺 (東近江市)|善勝寺]]がある。
=== 中国地方 ===
中国地方では、[[岡山県]][[倉敷市]][[児島地域|児島]][[由加神社本宮|由加神社]]などが挙げられる{{Sfn|阿部|2004|pages=120-121}}。
==== 岡山県 ====
岡山県倉敷市児島由加にある[[由加山]]には、この山を根城とした[[阿久良王]]{{Refnest|group=注|阿久羅王、阿黒羅王とも}}という妖鬼を退治にきた伝説が残る。[[本荘|通生の浦]]へ船でやってきた田村麻呂は[[本荘八幡宮|神宮寺八幡院]]で7日7夜に渡って鬼退治の祈願をしたという{{Sfn|立石|2006|pages=132-133}}。
[[岡山市]][[南区 (岡山市)|南区]]および[[玉野市]]の[[金甲山]]は、田村麻呂が由加山の鬼退治に向かう際に、戦勝を祈願して神の峰に金の甲{{Refnest|group=注|甲は[[鎧]]のこと}}を山頂付近に埋めたという伝承が名前の由来とされる{{Sfn|薬師寺|2003|page=190}}。ふもとの円通寺の竜王様に戦勝御礼として金の甲を奉納したという。
== 縁起譚 ==
[[File:Sakanouetamuramaroseitannochi.jpg|thumb|200px|right|福島県郡山市田村町徳定に建つ「伝 征夷大将軍 坂上田村麻呂公 生誕の地」碑]]
坂上田村麻呂の建立とされる寺社や奉納したとされる寺社伝説はゆかりの深い東北の岩手県、宮城県、福島県を中心に残されている。また彼が通過したと考えられる[[茨城県]]、[[長野県]]、[[山梨県]]、[[静岡県]]、[[愛知県]]、[[三重県]]、[[滋賀県]]にも残されている。しかし、田村麻呂が直接行ったとは考えられない[[山形県]]、[[秋田県]]、[[青森県]]さらに[[西日本]]の[[和歌山県]]や[[岡山県]]にも伝説が残る。特に多くの伝説が残されているのは福島県[[田村地方]]であり、生誕伝説から地名伝説そして寺社伝説に至るまで約80種類（うち30種類は寺社伝説）を数える。次に多いのが宮城県で約40種類（うち25種類は寺社伝説）の伝説が残されている。
=== 寺社建立伝説 ===
坂上田村麻呂が建立したという由緒をもつ寺社は宮城県の観音寺を中心に全国に100以上を数える。
==== 平泉雑記 ====
{{See also|奥州七観音}}
[[江戸時代]]の[[安永 (元号)|安永]]年間（[[1772年]] - [[1781年]]）に[[相原友直]]が[[仙台藩]]の風土を記した『[[平泉雑記]]』に「田村将軍建立堂社」の1節が設けられ、『[[封内名跡志]]』を参考に若干の例を加えた次の21例を挙げている{{Sfn|高橋|1986|pages=211-212}}。
{| class="wikitable" width="100%"
|-
! 堂社
! 現在名
! 所在地
! 備考
|-
| style="width:5em" |[[鎮守府八幡宮]]
| style="width:4em" |[[鎮守府八幡宮]]
| style="width:5em" |岩手県奥州市
| style="width:7em" |武具を奉納
|-
| style="width:5em" |[[達谷窟毘沙門堂]]
| style="width:4em" |[[達谷西光寺]]
| style="width:5em" |岩手県平泉町
| style="width:7em" |[[毘沙門堂]]を建立
|-
| style="width:5em" |[[斗藏観音]]
| style="width:4em" |安狐山[[斗蔵寺]]
| style="width:5em" |宮城県角田市
| style="width:7em" |
|-
| style="width:5em" |白山社
| style="width:4em" |白山神社{{どこ|date=2011年12月}}
| style="width:5em" |岩手県奥州市
| style="width:8em" |
|-
| style="width:5em" |[[悪玉観音]]
| style="width:4em" |[[満谷山円福寺]]
| style="width:5em" |宮城県仙台市
| style="width:8em" |悪玉姫が田村麻呂の子を産む
|-
| style="width:5em" |[[松嶋五大堂]]
| style="width:4em" |[[松島五大堂]]
| style="width:5em" |宮城県仙台市
| style="width:8em" |毘沙門堂を建立
|-
| style="width:5em" |[[富山観音]]
| style="width:4em" |[[富春山大仰寺]]
| style="width:5em" |宮城県仙台市
| style="width:8em" |[[奥州三観音]]
|-
| style="width:5em" |[[鹽竈社]]
| style="width:4em" |[[塩竈神社]]
| style="width:5em" |宮城県塩竈市
| style="width:8em" |
|-
| style="width:5em" |[[箟獄観音]]
| style="width:4em" |無夷山[[箟峯寺]]
| style="width:5em" |宮城県涌谷町
| style="width:8em" |奥州三観音、[[奥州七観音|六ヶ寺]]
|-
| style="width:5em" |[[和淵神社]]
| style="width:4em" |[[和淵神社]]
| style="width:5em" |宮城県石巻市
| style="width:8em" |
|-
| style="width:5em" |[[牧山観音]]
| style="width:4em" |[[両峰山梅渓寺]]
| style="width:5em" |宮城県石巻市
| style="width:8em" |奥州三観音、六ヶ寺
|-
| style="width:5em" |[[大武観音]]
| style="width:4em" |大嶽山[[興福寺 (登米市)|興福寺]]
| style="width:5em" |宮城県登米市
| style="width:8em" | 六ヶ寺
|-
| style="width:5em" |[[八幡宮]]
| style="width:4em" |[[屯岡八幡宮]]
| style="width:5em" |宮城県栗原市
| style="width:8em" |軍団駐屯地、[[源頼義]]が勧請とも
|-
| style="width:5em" |清水観音
| style="width:4em" |[[清水寺 (栗原市)|音羽山清水寺]]
| style="width:5em" |宮城県栗原市
| style="width:8em" |
|-
| style="width:5em" |[[小迫観音]]
| style="width:4em" |[[楽峰山勝大寺]]
| style="width:5em" |宮城県栗原市
| style="width:8em" | 六ヶ寺
|-
| style="width:5em" |[[長谷観音]]
| style="width:4em" |[[遮那山長谷寺]]
| style="width:5em" |宮城県登米市
| style="width:8em" | 六ヶ寺
|-
| style="width:5em" |[[鱒淵観音]]
| style="width:4em" |竹峰山[[華足寺]]
| style="width:5em" |宮城県登米市
| style="width:5em" | 六ヶ寺
|-
| style="width:5em" |[[矢作観音]]
| style="width:4em" |[[長谷山観音寺]]
| style="width:5em" |岩手県陸前高田市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[小友観音]]
| style="width:4em" |鶏頭山[[常膳寺]]
| style="width:5em" |岩手県陸前高田市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[猪川観音]]
| style="width:4em" |[[龍福山長谷寺]]
| style="width:5em" |岩手県大船渡市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[五葉山神社]]
| style="width:4em" |[[五葉山神社]]
| style="width:5em" |岩手県大船渡市
| style="width:5em" |[[807年|大同二年]]建立
|}
[[鎮守府八幡宮]]、[[達谷窟毘沙門堂]]は『[[吾妻鏡|東鏡]]』に詳細であるとする。21例のうち神社が6例、寺院が観音を本尊とする13例と最も多く、東北全体ではさらに多くなると予想している。『平泉雑記』では、田村麻呂建立の観音は「大同2年」が多く、悉く信用が不足していると述べている{{Sfn|高橋|1986|pages=211-212}}。
=== 記念物 ===
田村麻呂は蝦夷や賊の征討に際して各地の寺社を参拝し武具を奉納したと言われている。その内、以下の寺社は現存している奉納物が田村麻呂に由来していると伝えられている。<div style="text-align:right;float:right">
[[画像:Yajiri-asaka.jpg|thumb|300px|none|伝田村麻呂奉納の鏃『[[安積国造神社]]所蔵』]]
</div>
{| class="wikitable" width="100%"
|-
! 寺社名
! 所在地
! 奉納物
! 備考
|-
| style="width:5em" |[[鎮守府八幡宮]]
| style="width:4em" |岩手県奥州市
| style="width:5em" |宝剣、鏑矢
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[安積国造神社]]
| style="width:4em" |福島県郡山市
| style="width:5em" |やじり
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[鹿島神社（矢田）]]
| style="width:4em" |福島県いわき市
| style="width:5em" |やじり
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[素鵞神社]]
| style="width:4em" |茨城県常陸大宮市
| style="width:5em" |剣1振
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[清水寺 (長野市若穂保科)|清水寺]]
| style="width:4em" |長野県長野市
| style="width:5em" |兜の鍬形
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[椎ケ脇神社]]
| style="width:4em" |静岡県浜松市
| style="width:5em" |[[鬼神丸]]
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[鞍馬寺]]
| style="width:4em" |京都府京都市
| style="width:5em" |[[黒漆剣]]
| style="width:5em" |重要文化財
|-
| style="width:5em" |[[地主神社]]
| style="width:4em" |京都府京都市
| style="width:5em" |大刀1振
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[清水寺 (加東市)]]
| style="width:4em" |兵庫県加東市
| style="width:5em" |[[騒速|騒速、副剣2振]]
| style="width:5em" |重要文化財
|}
=== 開湯伝説 ===
{| class="wikitable" width="100%"
|-
! 温泉名
! 所在地
! 備考
|-
| style="width:5em" |[[大沢温泉 (岩手県)|大沢温泉]]
| style="width:4em" |岩手県花巻市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[志戸平温泉]]
| style="width:4em" |岩手県花巻市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[台温泉]]
| style="width:4em" |岩手県花巻市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[藤七温泉]]
| style="width:4em" |岩手県八幡平市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[岳温泉]]
| style="width:4em" |福島県二本松市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[男鹿温泉郷]]
| style="width:4em" |秋田県男鹿市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[梨木温泉]]
| style="width:4em" |群馬県桐生市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[四万温泉]]
| style="width:4em" |群馬県吾妻郡中之条町
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[中房温泉]]
| style="width:4em" |長野県安曇野市
| style="width:5em" |
|-
| style="width:5em" |[[蓼科温泉]]
| style="width:4em" |長野県茅野市
| style="width:5em" |
|}
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注"}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}
== 参考文献 ==
* 「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 33 岡山県』角川書店 1989年
* {{Cite book|和書|author=阿部幹男|authorlink=阿部幹男|title=東北の田村語り|publisher=三弥井書店|series=三弥井民俗選書|date=2004-1|isbn=4838290632|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=大塚徳郎|authorlink=大塚徳郎|title=坂上田村麻呂伝説|publisher=宝文堂|date=1980|isbn=|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=桐村栄一郎|authorlink=桐村栄一郎|title=熊野鬼伝説-坂上田村麻呂 英雄譚の誕生|publisher=三弥井書店|date=2012-1|isbn=978-4-8382-3221-5|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=高橋崇|authorlink=高橋崇|title=坂上田村麻呂|edition=新稿版|publisher=吉川弘文館|series=人物叢書|date=1986|isbn=4-642-05045-0|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=立石憲利|authorlink=立石憲利|year=2006-10|title=おかやま伝説紀行|publisher=吉備人出版|isbn=9784860691448|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=内藤正敏|authorlink=内藤正敏|title=鬼と修験のフォークロア|publisher=法政大学出版局|series=民俗の発見|date=2007-3|isbn=978-4-588-27042-0|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=藤沢衛彦|authorlink=藤沢衛彦|title=日本の伝説 東北・北海道|publisher=河出書房新社|date=2018-12|isbn=978-4-309-70073-1|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=薬師寺慎一|authorlink=薬師寺慎一|title=祭祀から見た古代吉備|publisher=吉備人出版|date=2003-11|isbn=9784860690540|ref=harv}}
== 関連項目 ==
* [[伊邪那岐命]] - 冥界訪問譚がある。
== 外部リンク ==
* {{Wayback|url=http://www2u.biglobe.ne.jp/~nemoto-s/tamurarekisi_densetunoti.htm |title=福島県の田村麻呂伝説一覧 |date=20160307033056}}
* [http://chinjufu.jp/annai/houmotu.htm 鎭守府八幡宮の伝田村麻呂奉納の剣と鏑矢]
* [http://www001.upp.so-net.ne.jp/densetutanbo/tamuramaro/tamuindex.htm 田村麻呂伝説の旅]
== 参照 ==
{{DEFAULTSORT:さかのうえのたむらまろてんせつ}}
[[Category:日本神話]]
[[Category:黄帝型神]]
