==== 男性の役割について ====
アメタはハイヌウェレの死の非道さをムルア・サテネに訴えでる存在なので、ムルア・サテネに仕える存在、といえる。アメタはココヤシからハイヌウェレを得る能力を持っているし、死んだハイヌウェレをイモに変化させる能力も有しているので、「特別な能力を持った'''シャーマン(媒介)'''」といえる。神であるムルア・サテネと直接の会話もできる。彼は'''狩人'''でもある。アメタが狩人である、という点は、彼の特殊な地位の起源が狩猟採集の時代にまで遡ることを意味すると考える。人々にとって、何よりも重要なのは食料の供給を安定させることだが、そのために'''狩り'''が重要だからこそ'''狩人'''が部族の中で重要視される。農耕と牧畜が開始されれば、'''狩人'''の立場は、「獣に詳しい人」ということで'''牧人'''に変化するように思う。また彼が動物の生態に詳しい点を重視して、動物を思い通りに操れる'''獣の王'''のように見なすようにもなったかもしれない<ref>また、「狩り」は武力の象徴でもあるので、ハイヌウェレ神話では明確でないが、アメタの立場は人々のリーダーである'''王'''にも発展し得る。神と交流する'''シャーマン'''としての性質は'''神官'''に移行し得る。</ref>。
を祭りで殺した「人々」とは、「'''太陽神トゥワレ'''」の化身であって、一人一人が神官でもあるし、東洋で有名な「'''現人神'''」である、ともいえる。よって一般の人々のことを「<span style="color:orange">'''下位トゥワレ'''</span>」と呼ぶことにする。彼らは一人では完全なトゥワレになれず、集団でこそトゥワレに近い存在になって、トゥワレの役割の一部をこなせる、といえる。「<span style="color:orange">'''下位トゥワレ'''</span>」の役割は、祭祀(葬式や'''踊り''')を状況に応じて行い、トゥワレに生贄を捧げること、である。でも、それだけで何かが起こるわけではない。その点をまず、ハイヌウェレとラビエの神話を比較しながら考察したい<ref>「'''踊り'''」というものが上位の神に働きかける祭祀であり、芸能でもある点には注意したい。何故なら、日本には'''摩多羅'''という須佐之男と同一視された神がいるのだが、この神は「'''芸能の神'''」とされたからである。エジプト神話のベスかよ、って古代エジプトに詳しい人は突っ込んでやって下さい。</ref>。