すなわち、月の女神であるムルア・サテネは「'''イノシシ・ココヤシ・蛇を介し'''」更に'''アメタと結合する'''こと、で人の世界にハイヌウェレとして生まれ出る。しかし、太陽神トゥワレとの結合で、「死んだ月の女神」と「イモ類」に変化してしまう。イモ類は「母なる女神の死体」であり、母女神の死体を食べる人々にも死の運命が訪れる。ムルア・サテネは人々に己の死体を食べさせ、利用させる代わりに、人々の命を奪うのである。しかし、それは「太陽神トゥワレ」の命を奪うことにもつながるはずである。人々は「トゥワレの化身」でもあるからである。
イノシシ(豚)の役割について考察する。イノシシはアメタに狩られ、その死によってココヤシを経由しハイヌウェレへと化生した。「'''イノシシの死'''」がココヤシという新たな植物の発生を可能にしている。ラビエの場合には、'''イノシシの死'''はラビエを月(とイモ類)に化生させることを可能にしている。イノシシはその死と引き換えに自らあるいは他者を食用植物(と月)に化生せしめる'''媒介'''の能力があるとされている。イノシシもアメタと同じくシャーマン的な存在とされている。ハイヌウェレでは死んだハイヌウェレを更にイモに化生させる役割をアメタは負っている。そもそもハイヌウェレはアメタの一部(血)を犠牲にして生まれた者なのだから、アメタの一部も死んでその代わりに娘の死(月への変化)とイモ類を得た、といえる。すなわち、'''イノシシはまたアメタである'''、といえる。アメタは「森の動物の王」であり、だからこそ狩りの獣を人々にもたらすことができるのではないだろうか。また、太陽神トゥワレがラビエを殺して、その結果イモ類が人類にもたらされたのであれば、その姿はアメタがハイヌウェレの死体から人類にイモ類をもたらした姿と重なる。そうすると、といえる。アメタは「森の動物の王」であり、だからこそ狩りの獣を人々にもたらすことができるのではないだろうか。また、太陽神トゥワレがラビエを殺して、その死体からイモ類が人類にもたらされたのであれば、その姿はアメタがハイヌウェレの死体から人類にイモ類をもたらした姿と重なる。そうすると'''アメタはトゥワレでもある'''ことになり、単にハイヌウェレを殺すだけの人々よりも、特別に「'''トゥワレに近い存在'''」といえる。
== その他の神話 ==