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美術史家のルドルフ・ウィットカウアー(Rudolf Wittkower)<ref>ドイツの美術史家。1901-1971。</ref>によれば、ロック鳥の概念は、インドの太陽鳥ガルーダ<ref>Wittkower noted the identification of the roc and Garuda made in Kalipadra Mitra, "The bird and serpent myth", ''The Quarterly Journal of the Mythic Society'' (Bangalore) '''16''' 1925–26:189.</ref>と神話の大蛇ナーガとの戦いの物語に起源を持つという。ガルーダがワニと戦っている象を倒すという神話は、『''マハーバーラタ''』(I.1353)と『''ラーマーヤナ''』(III.39)という二つのサンスクリット叙事詩に登場している。
伝説の起源は不明だが、8世紀初期にアラブ人が書いたものによると実在する鳥類がもとになった可能性があり、マルコ・ポーロの口述とされる『東方見聞録』にはマダガスカルにいたと記述されることから、同島に17世紀ごろまで生息していたゾウのように巨大な地上性の鳥であったエピオルニスを始め、近世までに絶滅してしまった大型の鳥類などが誇張されたとも考えられる。また、ユーラシア大陸南西部やアフリカ大陸北部の山地に生息する[[ヒゲワシ]]がそのモデルであるともされる<ref name="saito">斉藤ヒロコ , 伝説の翼 #32ロック鳥 roc , 2014-08 , 文一総合出版 , BIRDER , 28 , 8 , page65</ref>。
ロック鳥の伝説は、イスラム世界やアジアでは広く伝わっていた。
のちの時代、マルコ・ポーロの『東方見聞録』のマダガスカルに関する記述の中に、現地人がルク(ruc)と呼ぶ大きな鳥が登場する<ref>『完訳 東方見聞録 2』(2000)、322頁</ref>。彼はこれを[[グリフォン]]であるとし<ref>Le_Devisement_du_monde_(français_moderne)/Livre_3/Chapitre_40, Marco Polo, Le Devisement du monde, 3巻40章 , D’un très grand oiseau nommé ruc.</ref><ref>Le_Devisement_du_monde_-_Livre_3_-_33_à_42, Marco Polo, Le Devisement du monde(français moderne), 3巻33章, D’un grand oyseau, appellé Ruc.</ref><ref>Milione/186|author=Marco Polo, |Milione , 86章, DDell'isola di Madegascar</ref><ref>The_Travels_of_Marco_Polo/Book_3/Chapter_33, Marco Polo, The Travels of Marco Polo , 3巻33章, Concerning the Island of Madeigascar</ref>、その羽は元のハーンに届けられたという。また巨大な羽のかけらが中国から来た商人によってスペインにも持ち込まれている。その住処をマダガスカルで探そうとしたところ、ロック鳥の羽としてもたらされたものに形が非常によく似たラフィアヤシ(Raffia palm|Raffia palm)の巨大な葉があったという。また、アラブの旅行家イブン=バットゥータの旅行記]ref>تحفة النظار في غرائب الأمصار وعجائب الأسفار, ابن بطوطة</ref>にもその記述がある。
一番新しいものでは、[[16世紀]]に[[インド洋]]を訪れた[[イギリス]]人旅行者が目撃したという報告もある。<!-- [[アメリカ先住民族]]の伝説に登場する[[サンダーバード (伝説の生物)|サンダーバード]]もロック鳥と関係があるとの説もある。こちらは今日に至っても目撃例がある。 -->
ロック鳥は、アラブ人のいう[[フェニックス]]とほとんど同じものである。また[[ペルシャ]]の伝説に登場する巨鳥、[[シームルグ]]とも近縁のものである。シームルグは、[[フェルドウスィー]]の叙事詩『[[シャー・ナーメ|王書]]<ref>{{Cite wikisource|title=شاهنامه|author=آخر تغيير|wslanguage=ar}}</ref>』の中では英雄[[ザール (シャー・ナーメ)|ザール]]の養父であり、彼の子の[[ロスタム]]を援助したりしている。
古代イランまでさかのぼると、万物の種を生むという神話上の木から熟した果実を振り落としたという不死鳥、アムルゼス(amrzs)の伝説を見つけることができる。インドには、鳥の王であり、[[ヴィシュヌ|ヴィシュヌ神]]が乗る[[ガルダ]]の伝説がある。[[パーレビ王朝]]時代のこのインドの伝説の翻訳では、ガルダがシームルグに置き換えられている。
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