== 概要 ==
地蔵菩薩は、[利天に在って釈迦仏の付属を受け、釈迦の入滅後、5億7600万年後か56億7000万年後に弥勒菩薩が出現するまでの間、現世に仏が不在となってしまうため、その間、六道すべての世界(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)に現れて衆生を救う菩薩であるとされる 地蔵菩薩は、利天に在って釈迦仏の付属を受け、釈迦の入滅後、5億7600万年後か56億7000万年後に弥勒菩薩が出現するまでの間、現世に仏が不在となってしまうため、その間、六道すべての世界(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)に現れて衆生を救う菩薩であるとされる (六道能化〈ろくどうのうげ〉, [https://kotobank.jp/word/%E5%85%AD%E9%81%93%E8%83%BD%E5%8C%96-663436 「ろくどう‐のうげ」 - デジタル大辞泉])。
虚空蔵菩薩と地蔵菩薩が一対で安置される例は京都・広隆寺(講堂)などにあるが、一般的ではない。
== 像容 ==
一般には剃髪した声聞・比丘形(僧侶の姿)で[[白毫]]があり、[[袈裟]]を身にまとう。装身具は身に着けないか、着けていても[[瓔珞]](ネックレス)程度。左手に[[如意宝珠]]、右手に[[錫杖]]を持つ形、または左手に如意宝珠を持ち、右手は与願印(掌をこちらに向け、下へ垂らす)の[[印相]]をとる像が多い(この場合、伝統的に彫像であることが多く画像はまれである)。一般には剃髪した声聞・比丘形(僧侶の姿)で白毫があり、袈裟を身にまとう。装身具は身に着けないか、着けていても瓔珞(ネックレス)程度。左手に如意宝珠、右手に錫杖を持つ形、または左手に如意宝珠を持ち、右手は与願印(掌をこちらに向け、下へ垂らす)の印相をとる像が多い(この場合、伝統的に彫像であることが多く画像はまれである)。
しかし[[密教]]では[[胎蔵曼荼羅]]地蔵院の主尊として、髪を高く結い上げ装身具を身に着けた通常の菩薩形に表され、右手は右胸の前で日輪を持ち、左手は左腰に当てて幢幡を乗せた蓮華を持つ。しかし密教では胎蔵曼荼羅地蔵院の主尊として、髪を高く結い上げ装身具を身に着けた通常の菩薩形に表され、右手は右胸の前で日輪を持ち、左手は左腰に当てて幢幡を乗せた蓮華を持つ。
== 功徳利益 ==
『[[地蔵菩薩本願経]]』には、善男善女のための二十八種利益『地蔵菩薩本願経』には、善男善女のための二十八種利益<ref>『地蔵菩薩本願経』「若未來世有善男子善女人見地藏形像及聞此經乃至……得二十八種利益」</ref>と天龍鬼神のための七種利益<ref>『地蔵菩薩本願経』「若現在未來天龍鬼神聞地藏名禮地藏形或……得七種利益」</ref>が説かれている。
; 二十八種利益
* 人見欽敬(人々が敬意を払って見てくれる)
* 神鬼助持(神霊が助けてくれる)
* 女転男身(女性から男性になれる{{Efn|[[性転換]]や[[性同一性障害]]の治療ではなく、当時の社会での男尊女卑の思想に基づいている。}})女転男身(女性から男性になれる性転換や性同一性障害の治療ではなく、当時の社会での男尊女卑の思想に基づいている。)
* 為王臣女(王や大臣の令嬢になれる)
* 端正相好(端正な容貌に恵まれる)
* 多生天上(天界に生まれ変わる事が多い)
* 或為帝王(あるいは人間界に生まれ変わって帝王になる)
* 宿智命通(過去世{{fontsize|77%|〈宿命、しゅくみょう〉}}を知る智慧を持ち、過去世に通ずる)宿智命通(過去世〈宿命、しゅくみょう〉を知る智慧を持ち、過去世に通ずる)
* 有求皆従(要求があれば皆が従ってくれる)
* 眷属歓楽(眷属が喜んでくれる)
* 諸横消滅(諸々の理不尽な事が消滅していく)諸横消滅(諸々の理不尽な事が消滅していく* 業道永除(地獄などの悪い場所に生まれ変わらせる業道({{fontsize|small|{{lang|sa|karma-patha}}}})が永く除かれる)
* 去処盡通(赴く場所に うまくいく)
* 夜夢安楽(睡眠中に安らかな夢を見る)
== 真言 ==
'''オン カカカ ビサンマエイ ソワカ'''({{IAST|Oṃ (Oṃ ha ha ha vismaye svāhā}})svāhā)
邦訳すれば『[[オーム (聖音)|オーン]]、ha・ha・ha(地蔵菩薩の種子を3回唱える)、希有なる御方よ、[[スヴァーハー]]』となる。邦訳すれば『オーン、ha・ha・ha(地蔵菩薩の種子を3回唱える)、希有なる御方よ、スヴァーハー』となる。
=== 中国における地蔵信仰 ===
[[偽経]]とされる『[[十王#中国|閻羅王授記四衆逆修生七往生浄土経]偽経とされる『閻羅王授記四衆逆修生七往生浄土経]』(預修十王生七経)や『[[十王#日本|地蔵菩薩発心因縁十王経]]』(地蔵十王経)によって、[[道教]]の[[十王|十王思想]]と結びついて、中国においては地蔵菩薩が[[閻魔]]または十王の一尊としての閻魔王と同一の存在であるという信仰が広まった。閻魔王は地蔵菩薩として人々の様子を事細かに見ているため、綿密に死者を裁くことができるとされ、[[太山府君|泰山王]]とともに十王の中心に据えられた。
このため[[中国]]においては'''地藏王菩薩'''と呼ばれ、主に死後の(地獄からの)救済を願って冥界の教主として信仰される。[[日本]]の[[神奈川県]][[横浜市]]中区にも、死者の永眠を祀る[[中華義荘|地藏王廟(中華義荘)]]が華僑によって建立されている。