この説話の主人公は無名だが、設定はおおむね浦島子伝説と合致する。本土のものと道具立てが異なり、玉匣(たまくしげ)は開けてはならぬ紙包みに置き変わり、<!--白雲でなく-->その包みのなかの白髪が接触することで老化現象がおこる<ref name="kurata"/>。
また、桑の木は、杖から生えてくるまで島には伝来していなかったとするので、神の国か伐られたものと推察できる<ref name="yanagita-okinawa"/>。異話では、竜宮まで戻る道を開ける手段は、(紙包とは別に与えられた)桑の木の杖を海に投じることであった<ref><ref>水野, 1975, p176-178: "桑の木の呪杖"</ref>。
同系の話の分布としては、宮古島などにも伝わっている<ref>柳田, 1971, p50</ref>。柳田國男は、「竜宮」と南の島々のニルヤ(ニライカナイ)は同源だとみている<ref>柳田, 1971, p46</ref>。
『遺老説伝』にはまた、竜宮譚ではないが類似する第42話、善縄大屋子(よしなわうふやこ)の話が所収される。主人公は、出現した女性の言われるままに大亀を家に運ぶが咬まれて大怪我を負い、埋葬される。しかし実際は死して死なざる存在となったという展開である<ref name="taira"/><ref>柳田, 1971, p71。p71</ref>。
== ゆかりの神社仏閣 ==