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ページの作成:「'''荒船山'''（あらふねやま）は、群馬県甘楽郡下仁田町と長野県佐久市に跨る標高1,423 mの山である。妙義荒船佐久高原国…」
'''荒船山'''（あらふねやま）は、群馬県甘楽郡下仁田町と長野県佐久市に跨る標高1,423 mの山である。妙義荒船佐久高原国定公園に属している。日本二百名山のひとつ。
== 概説 ==
周囲の険しい山々の中に平坦な頂上部をもつ山がそびえ、荒波を進む軍艦を思わせることから、その名が付けられたといわれている<ref name="arafune">[https://www.shimonita-geopark.jp/modelcourse/data/arafune.pdf 荒船山]、下仁田町自然史館、2022年9月25日閲覧。</ref>。
荒船山は妙義山とともに第三紀にできた本宿カルデラの一部である。地学用語でいうところの溶岩台地ではなく、浸食によって固い部分が残ったもので、こうした差別浸食でできた地形のことをメサという。
登山道は長野県佐久市、群馬県南牧村、下仁田町からのルートがあるが、このうち[[内山峠 (群馬県・長野県)|内山峠]]登山道は下仁田ジオパークのモデルコースになっている<ref name="Arafune2019">[https://www.shimonita-geopark.jp/shizenshikan/data/bulletin04/Sekiya%20et%20al(2019)%20Reconnaissance%20investigation%20of%20ruins%20distribution,%20vegetation%20and%20terrain%20on%20the%20top%20of%20Mt.Arafune.pdf 関谷友彦、磯田喜義、中村由克「荒船山山頂の表層地形・植生および遺跡分布調査予察」]、下仁田町自然史館研究報告 第4号（2019年3月）、2022年9月25日閲覧。</ref>。
* 内山峠登山口
** 鋏岩修験道場跡<ref name="arafune" />
** 一杯水<ref name="arafune" />
** 艫岩 - 崖下まで高さ約120 mの絶壁になっている<ref name="tozan04" />。
* 相沢口（相沢登山口）
** 胸突き八丁 - 胸突き八丁と呼ばれる周辺は不規則で急な階段が続く<ref name="tozan04">[https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/55264.pdf 荒船山安全登山マップ]、群馬県富岡警察署、2022年9月25日閲覧。</ref>。
* 荒船不動登山口<ref name="Arafune2019" />
荒船山の北端にある艫岩は荒船山を船に見立てたとき船尾にあたる。頂上部は笹原が続き、緩やかな道が最高地点の経塚山（京塚山とも書く 標高1,422 m）へ続いている。
艫岩は垂直に切り立った岸壁で、崖下をのぞき込むなどした際に誤って転落する事故が絶えない<ref>{{Cite news |url=https://www.sankei.com/article/20191117-EOWMZFBYYJKG7MQU2O2HM2KNOQ/ |title=荒船山岩壁で転落死 男性の遺体を収容 |newspaper=産経ニュース |publisher=産業経済新聞社 |date=2019-11-17 |accessdate=2024-04-13 }}</ref>。漫画家の[[臼井儀人]]が2009年に命を落としたのもこの場所である<ref>{{Cite news |url=https://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20090920-545887.html |title=「しんちゃん」作者、荒船山で滑落死か？ |newspaper=日刊スポーツ |publisher=日刊スポーツNEWS |date=2009-09-20 |accessdate=2024-04-13 }}</ref>。
麓には世界遺産で史跡の[[荒船・東谷風穴蚕種貯蔵所跡]]（荒船風穴）がある<ref name="arafune" />。
== ギャラリー ==
<gallery widths="114" heights="89.3">
登山口の荒船不動.jpg|登山口の荒船不動
艫岩展望台.jpg|艫岩展望台
艫岩からの内山峠方面の眺め.jpg|艫岩からの内山峠方面
艫岩からの浅間山２.jpg|艫岩からの[[浅間山]]
艫岩からの北アルプス.jpg|艫岩から北アルプス
荒船山最高峰の経塚山.jpg|荒船山最高峰の経塚山
信州街道から艫岩を見上げる.jpg|信州街道からの艫岩
内山牧場からの荒船山４.jpg|内山牧場からの荒船山
蓼科山からの荒船山.jpg|[[蓼科山]]からの荒船山
相馬岳から見た金洞山（鷹戻し）２.jpg|[[妙義山]]（相馬岳）からの金洞山（手前）と荒船山（奥）
稲含山からの荒船山.jpg|[[稲含山]]からの荒船山
立岩から見た浅間山（中央奥）と荒船山（右手前）.jpg|[[立岩]]から浅間山（中央奥）と荒船山（右手前）
</gallery>
=== 荒船山の艫岩から北アルプスと浅間山周辺の眺め ===
{{wide image|荒船山から浅間山方面（名前入り）.jpg|1500px}}
== 伝承と信仰 ==
* 南総里見八犬伝
: [[曲亭馬琴]]の[[伝奇小説]]である[[南総里見八犬伝]]に荒芽山という山が登場するが、地理的描写から荒船山に比定される。作中、この荒芽山には音音の庵があり、巨田助友が襲撃を仕掛け、五犬士（犬塚、犬川、犬飼、犬田、犬山）の会同と離散の舞台となった。そして彼らは再会までに約5年の歳月をかけることになる。
* 荒船信仰
: [[群馬県]]、[[長野県]]には、'''荒船山'''の名を冠した[[社寺]]等がいくつもある。中でも「荒船山出世不動尊」は特に有名だ。[[川中島]]合戦のとき[[武田信玄]]が、戦場にあった[[空海]]作と言われる[[不動尊]]を[[信濃国|信州]]側の荒船山麓に遷した。これが「荒船山出世不動尊」であり、長野、群馬、埼玉の人々が中心となり、広く信仰し、「荒船講」を結成し、荒船山や関係社寺など信仰をしている<ref>『佐久市志民俗編上』全1706頁中285頁、発行者長野県佐久市、1990年2月20日発行。</ref>。
* 荒船山の十四郎
: [[江戸時代]]、荒船山に十四郎という「ニセ金作り」が住んでいた。ある年の[[大晦日]]の夜、[[佐久地方]]の貧しい家々に真新しい[[銭]]が投げ込まれた。この話が[[役人]]の耳に入り、十四郎は捕まり、[[処刑]]された。村人は十四郎の死を悲しみ冥福を祈った。十四郎のニセ金は見分けがつかぬまま[[明治]]まで使用されたという<ref>『佐久特集千曲川とその支流』全87頁中83頁、佐久市観光課発行、1976年4月20日。</ref>。
* 荒船山の亀松
: 荒船山麓の内山には[[明治時代]]の[[修身]]の[[教科書]]にものった「孝子亀松」の実話がある。[[天明]]8年（[[1788年]]）当時11歳の亀松（かめまつ）少年は、父親を襲う[[オオカミ]]に対し、[[鎌]]一本で立ち向かい、オオカミの口に鎌を突き立て、父の危急を救った。この話は[[江戸]]にも聞こえ、[[江戸幕府|幕府]]から呼び出され、褒美を貰ったというものである<ref>佐久市志編纂委員会編纂『佐久市志 民俗編 下』佐久市志刊行会、1990年、1119ページ。</ref>。
== 参考文献 ==
* 降旗和夫編『長野県 地学のガイド―長野県の地質とそのおいたち』コロナ社、ISBN 9784339075427
== 関連項目 ==
* [[意岐萩神]]
== 外部リンク ==
* [http://www2.ueda.ne.jp/~moa/arahune.html 荒船山と兜岩層] - 長野県理化学会地学部会
* [http://www.shimonita-geopark.jp/geosite/geo04.html たび重なる火山活動「本宿陥没」と「妙義火山」] - 下仁田ジオパーク
* [http://www.sakucci.or.jp/saku_city/mount/arahune/index.html 荒船山の登山道など] - 佐久商工会議所
== 脚注 ==
{{DEFAULTSORT:あらふねやま}}
[[Category:日本神話]]
[[Category:山]]
[[Category:民族他]]
== 概説 ==
周囲の険しい山々の中に平坦な頂上部をもつ山がそびえ、荒波を進む軍艦を思わせることから、その名が付けられたといわれている<ref name="arafune">[https://www.shimonita-geopark.jp/modelcourse/data/arafune.pdf 荒船山]、下仁田町自然史館、2022年9月25日閲覧。</ref>。
荒船山は妙義山とともに第三紀にできた本宿カルデラの一部である。地学用語でいうところの溶岩台地ではなく、浸食によって固い部分が残ったもので、こうした差別浸食でできた地形のことをメサという。
登山道は長野県佐久市、群馬県南牧村、下仁田町からのルートがあるが、このうち[[内山峠 (群馬県・長野県)|内山峠]]登山道は下仁田ジオパークのモデルコースになっている<ref name="Arafune2019">[https://www.shimonita-geopark.jp/shizenshikan/data/bulletin04/Sekiya%20et%20al(2019)%20Reconnaissance%20investigation%20of%20ruins%20distribution,%20vegetation%20and%20terrain%20on%20the%20top%20of%20Mt.Arafune.pdf 関谷友彦、磯田喜義、中村由克「荒船山山頂の表層地形・植生および遺跡分布調査予察」]、下仁田町自然史館研究報告 第4号（2019年3月）、2022年9月25日閲覧。</ref>。
* 内山峠登山口
** 鋏岩修験道場跡<ref name="arafune" />
** 一杯水<ref name="arafune" />
** 艫岩 - 崖下まで高さ約120 mの絶壁になっている<ref name="tozan04" />。
* 相沢口（相沢登山口）
** 胸突き八丁 - 胸突き八丁と呼ばれる周辺は不規則で急な階段が続く<ref name="tozan04">[https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/55264.pdf 荒船山安全登山マップ]、群馬県富岡警察署、2022年9月25日閲覧。</ref>。
* 荒船不動登山口<ref name="Arafune2019" />
荒船山の北端にある艫岩は荒船山を船に見立てたとき船尾にあたる。頂上部は笹原が続き、緩やかな道が最高地点の経塚山（京塚山とも書く 標高1,422 m）へ続いている。
艫岩は垂直に切り立った岸壁で、崖下をのぞき込むなどした際に誤って転落する事故が絶えない<ref>{{Cite news |url=https://www.sankei.com/article/20191117-EOWMZFBYYJKG7MQU2O2HM2KNOQ/ |title=荒船山岩壁で転落死 男性の遺体を収容 |newspaper=産経ニュース |publisher=産業経済新聞社 |date=2019-11-17 |accessdate=2024-04-13 }}</ref>。漫画家の[[臼井儀人]]が2009年に命を落としたのもこの場所である<ref>{{Cite news |url=https://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20090920-545887.html |title=「しんちゃん」作者、荒船山で滑落死か？ |newspaper=日刊スポーツ |publisher=日刊スポーツNEWS |date=2009-09-20 |accessdate=2024-04-13 }}</ref>。
麓には世界遺産で史跡の[[荒船・東谷風穴蚕種貯蔵所跡]]（荒船風穴）がある<ref name="arafune" />。
== ギャラリー ==
<gallery widths="114" heights="89.3">
登山口の荒船不動.jpg|登山口の荒船不動
艫岩展望台.jpg|艫岩展望台
艫岩からの内山峠方面の眺め.jpg|艫岩からの内山峠方面
艫岩からの浅間山２.jpg|艫岩からの[[浅間山]]
艫岩からの北アルプス.jpg|艫岩から北アルプス
荒船山最高峰の経塚山.jpg|荒船山最高峰の経塚山
信州街道から艫岩を見上げる.jpg|信州街道からの艫岩
内山牧場からの荒船山４.jpg|内山牧場からの荒船山
蓼科山からの荒船山.jpg|[[蓼科山]]からの荒船山
相馬岳から見た金洞山（鷹戻し）２.jpg|[[妙義山]]（相馬岳）からの金洞山（手前）と荒船山（奥）
稲含山からの荒船山.jpg|[[稲含山]]からの荒船山
立岩から見た浅間山（中央奥）と荒船山（右手前）.jpg|[[立岩]]から浅間山（中央奥）と荒船山（右手前）
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=== 荒船山の艫岩から北アルプスと浅間山周辺の眺め ===
{{wide image|荒船山から浅間山方面（名前入り）.jpg|1500px}}
== 伝承と信仰 ==
* 南総里見八犬伝
: [[曲亭馬琴]]の[[伝奇小説]]である[[南総里見八犬伝]]に荒芽山という山が登場するが、地理的描写から荒船山に比定される。作中、この荒芽山には音音の庵があり、巨田助友が襲撃を仕掛け、五犬士（犬塚、犬川、犬飼、犬田、犬山）の会同と離散の舞台となった。そして彼らは再会までに約5年の歳月をかけることになる。
* 荒船信仰
: [[群馬県]]、[[長野県]]には、'''荒船山'''の名を冠した[[社寺]]等がいくつもある。中でも「荒船山出世不動尊」は特に有名だ。[[川中島]]合戦のとき[[武田信玄]]が、戦場にあった[[空海]]作と言われる[[不動尊]]を[[信濃国|信州]]側の荒船山麓に遷した。これが「荒船山出世不動尊」であり、長野、群馬、埼玉の人々が中心となり、広く信仰し、「荒船講」を結成し、荒船山や関係社寺など信仰をしている<ref>『佐久市志民俗編上』全1706頁中285頁、発行者長野県佐久市、1990年2月20日発行。</ref>。
* 荒船山の十四郎
: [[江戸時代]]、荒船山に十四郎という「ニセ金作り」が住んでいた。ある年の[[大晦日]]の夜、[[佐久地方]]の貧しい家々に真新しい[[銭]]が投げ込まれた。この話が[[役人]]の耳に入り、十四郎は捕まり、[[処刑]]された。村人は十四郎の死を悲しみ冥福を祈った。十四郎のニセ金は見分けがつかぬまま[[明治]]まで使用されたという<ref>『佐久特集千曲川とその支流』全87頁中83頁、佐久市観光課発行、1976年4月20日。</ref>。
* 荒船山の亀松
: 荒船山麓の内山には[[明治時代]]の[[修身]]の[[教科書]]にものった「孝子亀松」の実話がある。[[天明]]8年（[[1788年]]）当時11歳の亀松（かめまつ）少年は、父親を襲う[[オオカミ]]に対し、[[鎌]]一本で立ち向かい、オオカミの口に鎌を突き立て、父の危急を救った。この話は[[江戸]]にも聞こえ、[[江戸幕府|幕府]]から呼び出され、褒美を貰ったというものである<ref>佐久市志編纂委員会編纂『佐久市志 民俗編 下』佐久市志刊行会、1990年、1119ページ。</ref>。
== 参考文献 ==
* 降旗和夫編『長野県 地学のガイド―長野県の地質とそのおいたち』コロナ社、ISBN 9784339075427
== 関連項目 ==
* [[意岐萩神]]
== 外部リンク ==
* [http://www2.ueda.ne.jp/~moa/arahune.html 荒船山と兜岩層] - 長野県理化学会地学部会
* [http://www.shimonita-geopark.jp/geosite/geo04.html たび重なる火山活動「本宿陥没」と「妙義火山」] - 下仁田ジオパーク
* [http://www.sakucci.or.jp/saku_city/mount/arahune/index.html 荒船山の登山道など] - 佐久商工会議所
== 脚注 ==
{{DEFAULTSORT:あらふねやま}}
[[Category:日本神話]]
[[Category:山]]
[[Category:民族他]]
