'''虫送り'''(むしおくり)は、日本の伝統行事のひとつ。農村において、農作物につく害虫を駆除・駆逐し、その年の豊作を祈願する呪術的行事である<ref name="Britannica-虫送り">https://kotobank.jp/word/虫送り-140433, 虫送り, 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』, コトバンク, 2017-12-18</ref>。'''虫追い'''(むしおい)など、西日本では'''実盛送り'''(さねもりおくり)または'''実盛祭'''(さねもりまつり)など数多くの別名がある。
== 概要 ==
虫による害は、不幸な死をとげてしまった人の怨霊と考える御霊信仰]]<ref name="Britannica-御霊信仰">https://kotobank.jp/word/御霊信仰-66557, 御霊信仰, 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』, コトバンク, 2017-12-18 </ref>に関係した<ref name="Britannica-虫送り" />、「'''害のあるものを外に追い出す'''」呪いの一つである。神社で行われる紙の形代<ref group="私注">虫神の依り代となるといえようか。</ref>に穢れを移す<ref name="Britannica-形代">https://kotobank.jp/word/%E5%BD%A2%E4%BB%A3-44940, 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』, コトバンク, 2017-12-18 </ref>風習との共通性が見られる。
春から夏にかけての頃(おもに初夏)、夜間[[たいまつ]]を焚いて行う。また、[[藁人形]]を作って[[悪霊]]にかたどり、害虫をくくりつけて、[[鉦]]や[[太鼓]]を叩きながら行列して村境に行き、川などに流すことが行われる地域もある。地域によっては[[七夕]]行事と関連をもって行われる。
かつては全国各地に数多く見られたが、[[農薬]]が普及するに連れて害虫の脅威が低減したことに加え、[[過疎化]]、[[少子高齢化]]、[[米価]]の下落などによる[[農業]]の衰退と、その結果としての担い手不足も大きく影響し、次第に行わない地域が多くなっていった<ref name="Daido2017" />。火事の危険などを理由に取り止めた地域もある。現在行われているものも、原形を留めるものは少ないといわれている<ref name="Daido2017" />。農業と地域社会に深く関わる伝統行事であるため、その保存には農業および地域社会の活性化と維持が不可欠で、大きな課題となっている<ref name="Daido2017" />。
==実盛について==
『[[平家物語]]』でも知られる[[平安時代]]末期の[[平氏]][[武将]]・[[斎藤実盛]](斎藤別当実盛)は、[[篠原の戦い]]のさなか、乗っていた馬が田の稲株につまずいて倒れたところを[[源氏]]方の敵兵に付け込まれ、討ち取られてしまったため、その恨みゆえに稲虫(稲につく害虫)と化して稲を食い荒らすようになったという[[伝承|言い伝え]]が古くから存在した<ref>{{Cite book |和書 |author=山田野理夫|authorlink=山田野理夫 |title=怪談の世界 |date=1978 |publisher=[[時事通信社]] |page=99 }}</ref><ref name="Daido2017">{{Wayback |url=http://www.dydo-matsuri.com/archive/2017/kaneko/ |title=次代へ送る太鼓囃子 〜鹿子原の虫送り踊り〜 |work=[[ダイドーグループ 日本の祭り|ダイドードリンコスペシャル 日本の祭り]](公式ウェブサイト) |publisher=[[ダイドードリンコ]] |date=20180526185908|accessdate=2018-05-26 }}ダイドードリンコスペシャル 日本の祭り</ref>。そのため、稲虫(特に[[ウンカ]])は「実盛虫(さねもりむし)」(''cf.'' [[wikt:さねもりむし|wikt]]) とも呼ばれ、主として[[西日本]]では、実盛の[[霊魂|霊]]を鎮めて稲虫を退散させるという由来を伝え<ref name="Daido2017" />、この種の「虫送り」を指して、'''実盛送り'''(さねもりおくり)または'''実盛祭'''(さねもりまつり)と呼んでいる<ref>『角川俳句大歳時記』「夏」</ref><ref name="大辞泉-実盛送り">{{Cite web|和書|url=https://kotobank.jp/word/実盛送り-511554 |title=実盛送り |work=『デジタル[[大辞泉]]』 |publisher=コトバンク |accessdate=2017-12-18 }}</ref>。また、砕けた表現として'''実盛さん'''('''さねもりさん''')<ref name="長野市-犬石" />とも呼ばれる。
この実盛という語は、田植えの行事「サノボリ」(早のぼり)が転訛という説もある<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.hokkaido-np.co.jp/article/700846 |title=<卓上四季>虫送り:北海道新聞 どうしん電子版 |access-date=2022-07-02 |website=北海道新聞 どうしん電子版 |language=ja}}</ref>。
== 季語 ==
[[日本語]]「'''虫送'''/'''虫送り'''(むしおくり)<ref>[[weblio]]季語・季題辞典「虫送」「虫送り」</ref>」は、[[夏]]の[[季語]](晩夏の季語)である<ref name="Kigosai-虫送り">{{Cite web|和書|url=http://kigosai.sub.jp/kigo500f/367.html |title=虫送り |work=きごさい歳時記(公式ウェブサイト) |publisher=季語と歳時記の会 |accessdate=2018-05-27 }}</ref>。分類は行事<ref>weblio季語・季題辞典「虫追い」</ref><ref group="*">季語の分類では「人が行う事柄」を「行事」「人事」「生活」などという語で表す。[[歳時記]]等によって名称が異なる。</ref>。
虫送/虫送りの子季語<ref group="*">同様の事象を表す複数の季語があるとき、その中で最も重要な季語とそれ以外の季語の関係を親と子に譬えて「親季語」「子季語」という。なお、子季語を「傍題」ともいうが、本来、傍題は「季題」の対義語であって「季語」とは対義関係にない。</ref>としては、'''虫流し'''(むしながし。虫送の別名)<ref>weblio季語・季題辞典「虫流し」</ref>、'''実盛送り'''(さねもりおくり。虫送の行事。虫送の近畿・中国・四国・九州での呼称)<ref>weblio季語・季題辞典「実盛送り」</ref>、'''田虫送り'''(たむしおくり。[[田]]における虫送)、'''稲虫送'''/'''稲虫送り'''(いなむしおくり。虫送の別名)<ref>weblio季語・季題辞典「稲虫送」</ref>、'''虫追'''/'''虫追い'''(むしおい。虫送の別名)<ref group="*">weblio季語・季題辞典は、「虫追い」を夏の季語としながら「虫追」を秋の季語としていて、混乱しているようにもとれる。</ref>、'''[[虫供養]]'''(むしくよう。耕作するなかで殺した虫の霊を慰める[[供養]])<ref>weblio季語・季題辞典「虫供養」</ref>、'''実盛祭'''(さねもりまつり。実盛送りの別名)<ref>weblio季語・季題辞典「実盛祭」</ref>がある<ref name="Kigosai-虫送り" />。
また、'''秋の虫送り'''は、[[秋]]の季語(仲秋の季語)である<ref name="Kigosai-秋の虫送り">{{Cite web|和書|url=http://kigosai.sub.jp/kigo500e/098.html |title=秋の虫送り |work=きごさい歳時記(公式ウェブサイト) |publisher=季語と歳時記の会 |accessdate=2018-05-27 }}</ref>。分類は行事<ref>weblio季語・季題辞典「秋の虫送り」</ref>。
関連季語として、'''田畑虫送'''(たはたむしおくり。秋の季語。分類は行事。[[田畑]]における虫送)<ref>weblio季語・季題辞典「田畑虫送」</ref>、'''稲虫'''(いなむし。秋の季語。分類は動物。稲を食害する虫)、'''実盛虫'''(さねもりむし。秋の季語。分類は動物。[[斎藤実盛]]の[[怨霊]]が[[害虫]]と化したものと信じられた、稲を食害する虫。現代科学的解釈では[[ウンカ]]に属する淡黄色または黄白色の[[昆虫]]を指す)<ref>weblio季語・季題辞典「実盛虫」</ref>がある。
{{Quotation|
* 例句1 : {{Ruby|猶|なほ}}も{{Ruby|田|た}}に {{Ruby|[[ホタル|蛍]]|ほたる}}はのこせ {{Ruby|虫|むし}}おくり 也有([[横井也有]])『垤集』〔[[江戸時代|江戸]]中期〕
* 例句2 : {{Ruby|[[松明]]|たいまつ}}の{{Ruby|火|ひ}}に {{Ruby|一天|いつてん}}{{Ruby|暗|くら}}し {{Ruby|虫送|むしおくり}} 祐昌『発句題叢』
* 例句3 : {{Ruby|火|ひ}}や{{Ruby|[[鉦]]|かね}}や {{Ruby|[[遠里小野]]|とほさとをの}}の {{Ruby|虫送|むしおくり}} 子規([[正岡子規]])『俳句稿』秋の部〔[[1898年]]([[明治]]31年)の作〕<ref name="松山子規館">{{Cite web|和書|url=http://www.haiku-matsuyama.jp/joto/384/ |title=火や鉦や遠里小野の虫送 |work=公式ウェブサイト |publisher=[[松山市立子規記念博物館]] |accessdate=2018-06-01 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.iyokannet.jp/ginkou/spot/detail/kuhi_id/322 |title=火や鉦や遠里小野の虫送 正岡子規 - 愛媛の句碑めぐり575 |work=吟行ナビえひめ(公式ウェブサイト) |publisher= |accessdate=2018-06-01 }}</ref>
:::* [[愛媛県]][[松山市]]平井町1520の{{Ruby|千福寺|せんぷくじ}}に句碑がある。
* 例句4 : {{Ruby|[[狩野川]]|かのがわ}}に {{Ruby|沿|そ}}うてのぼるや {{Ruby|虫送|むしおくり}} 虚子([[高浜虚子]])〔明治後期~[[昭和]]前期〕}}
== 歴史 ==
=== 年表 ===
<!--※組み込むべき内容:過疎化・少子高齢化と担い手の減少。文化の伝承のほか、地域おこしなどにも関わる虫送り行事の復活。-->
==== 先史時代 ====
* [[縄文時代]](※時代区分については諸説あり。最も早い説で前期、遅い説で末期) - [[稲作]]([[陸稲]]栽培)の日本伝来。[[日本列島]]においてまだ少数派であった稲作の担い手は、稲を害する虫に悩まされたであろう<ref name="JCPA-ウンカ">{{Wayback |url=http://www.jcpa.or.jp/labo/column/control/08/ |title=ウンカをめぐって |work=公式ウェブサイト |publisher=農薬工業会 |date=20200927194014|accessdate=2018-05-31 }} 農薬工業会</ref>が、当時の大多数の[[日本人]]にとって“稲虫”の害はまだ他人事であったと思われる。
* [[弥生時代]]早期(旧来の縄文時代末期) - 日本列島における稲作の本格的普及。このとき以来、稲作の担い手と収穫を当てにする[[共同体]]にとって、稲を害する虫の存在は常に付きまとう大きな脅威となった<ref name="JCPA-ウンカ" />。
==== 古代 ====
* [[大宝 (日本)|大宝]]元年[[8月 (旧暦)|8月]]([[701年]]9月頃<ref group="*">[[和暦]]の大宝元年8月1日と8月29日(同月最終日)は、[[西暦]]([[ユリウス暦]])では701年9月7日と10月5日。</ref>、[[飛鳥時代]]末期) - [[三河国]](現在の[[愛知県]]東部地域)を始めとする17か国に[[蝗害]]あり/『[[続日本紀]]』巻2 大宝元年8月辛酉条に基づく。以後、数年おきに蝗害の記録あり。
* [[天平]]21年/[[天平感宝]]元年/[[天平勝宝]]元年([[749年]]、[[奈良時代]]中期) - [[下総国]](現在の[[千葉県]]北部・[[茨城県]]西部地域等)に蝗害あり/『[[続日本紀]]』に基づく。
* [[弘仁]]3年([[812年]]、[[平安時代]]初期) - [[薩摩国]](現在の[[鹿児島県]]西部地域)に蝗害あり/[[ウンカ]]による。『[[日本後紀]]』巻22 弘仁3年条に基づく。
* [[寿永]]2年[[6月1日 (旧暦)|6月1日]]({{small|西暦換算}}:[[1183年]][[6月22日]]、平安時代末期) - [[篠原の戦い]]で[[平氏]][[武将]]・'''[[斎藤実盛]]'''(斎藤別当実盛)'''が戦死'''/その最期を伝える逸話が、後世、主として[[西日本]]で稲虫を追い払う[[呪術]]的[[神事]]と強く結びつくこととなる。
==== 中世 ====
* [[16世紀]]の初め頃<ref name="JCPA-ウンカ" />([[戦国時代 (日本)|戦国時代]]中期) - '''各地の[[農村]]で虫送りが行われ始める'''<ref name="JCPA-ウンカ" />。
* [[天文 (元号)|天文]]9年([[1540年]]、戦国時代末期) - [[天文の飢饉]]が発生/前年に発生した[[大雨]]・[[洪水]]・[[蝗害]]により、この年の年明け以降、[[近畿地方]]を中心とした各地が[[飢饉]]に見舞われ、時疫([[伝染病|流行り病]])が追い打ちをかけた。しかし世は戦国の只中で、[[朝廷 (日本)|朝廷]]([[大和朝廷]])・[[幕府]]([[室町幕府]])・[[戦国大名]]([[細川政権 (戦国時代)|細川政権]])による政治的・経済的救済は皆無も同然であった。
==== 近世 ====
* [[江戸時代]]全般 - '''広く日本各地の農村で虫送りが行われていた'''<ref name="JCPA-ウンカ" />。
* [[寛文]]元年([[1661年]]、江戸時代初頭) - [[小豆島]]の伝法川流域で虫送りが始まる/[[香川県]][[小豆郡]][[土庄町]]肥土山の自治会の史料による。
* 寛文10年([[1670年]]) - [[筑前国]](現在の[[福岡県]]北西部地域)にて、[[鯨油]]を使った稲虫の注油駆除法が考案される<ref name="JCPA-ウンカ" />。
* [[享保]]17年夏([[1732年]]夏、江戸時代前期) - [[享保の大飢饉]]が発生/[[梅雨]]入りから2か月も続く長雨による深刻な[[冷夏]]と稲虫([[ウンカ]])の大発生で[[西日本]]全域が大[[凶作]]に見舞われる。とりわけ[[瀬戸内]]の被害は甚大であった。稲虫の大発生については前年の[[暖冬]]も影響している。稲虫の大きく関わる飢饉としては日本史上最大のものとなった。
** これ以来、[[江戸幕府]]は、稲虫が大発生した地域の[[代官]]に対して鯨油による注油駆除法を、幕府[[お墨付き]]の唯一の害虫駆除法として布達するようになった<ref name="JCPA-ウンカ" />。
* [[慶応]]4年[[5月26日 (旧暦)|5月26日]]([[1868年]][[7月15日]]、[[幕末]]) - 鹿子原の虫送り踊([[島根県]][[邑智郡]][[邑南町]]矢上鹿子原の虫送り)の虫送り当日の献上物の記載あり。
==== 明治・大正時代 ====
* [[明治維新]]以降 - 稲虫の注油駆除法で用いられる油が、[[鯨油]]から[[石油]]に置き換わる<ref name="JCPA-ウンカ" />。
* [[1898年]](明治31年) - [[正岡子規]]が句集『俳句稿』を刊行。その「秋の部」に虫送りの一句「火や鉦や遠里小野の虫送」あり。
==== 昭和時代 ====
* [[第二次世界大戦]][[終戦]]後間もなく - 有機合成[[殺虫剤]]である[[DDT]]や[[BHC]]が登場し<ref name="JCPA-ウンカ" />、稲虫の注油駆除法は約280年もの長きに亘る役割を終えた<ref name="JCPA-ウンカ" />。
* 昭和30年代([[1955年|1955]]~[[1964年|64年]]) - [[滋賀県]]下で[[プロパンガス]]が普及し、従来の自家[[燃料]]としての[[ナタネ|菜種]]殻の需要が無くなる。菜種栽培の急速な衰退は虫送りに欠かせない[[松明]]の材としての菜種殻の調達が困難になったことを意味し、これを機に儀式そのものが一気に廃れていった。
* [[1964年]](昭和39年) - [[#横江の虫送り|横江の虫送り]]([[石川県]][[白山市]]横江町の虫送り)が、白山市指定[[無形民俗文化財]]となる。最も早期の例。
* [[1967年]](昭和42年)[[5月30日]] - [[#鹿子原の虫送り踊|鹿子原の虫送り踊]]([[島根県]][[邑智郡]][[邑南町]]矢上鹿子原の虫送り)が、島根県指定[[無形民俗文化財]]となる。早期の一例。
* [[1973年]](昭和48年) - [[青森県]][[五所川原町]](現・[[五所川原市]]内)にて「[[#奥津軽虫と火まつり|奥津軽虫と火まつり]]」の誕生/地元の青年会議所が地域の虫送りに[[火祭り]]の要素を取り入れたことで成立した。
==== 平成時代 ====
* [[1991年]](平成3年)[[2月2日]] - [[#祖父江の虫送り|祖父江の虫送り]]([[愛知県]][[稲沢市]][[祖父江町]]の虫送り)が、国の[[選択無形民俗文化財]]に選択される。
* [[2010年]](平成22年)7月 - 廃れていた[[#中山虫送り|中山虫送り]]([[香川県]][[小豆郡]][[小豆島町]]中山の虫送り)が、[[松竹]][[映画]]『[[八日目の蝉#映画|八日目の蝉]]』の撮影用に再現される。
* [[2011年]](平成23年)7月 - 中山虫送りの復活。
== 指定文化財等 ==
: ※丸括弧内の数字は、指定または選択された年。指定の早いものを先に記載する。数字の無いものは指定された年を確認できないもので、最後に記載する。
* 国の[[重要無形民俗文化財]] - 該当なし。
* 国の[[選択無形民俗文化財]] - [[#祖父江の虫送り|祖父江の虫送り]] (1991)。
* [[都道府県]]指定重要無形民俗文化財 - ([[福島県]][[三島町]]の)[[#虫送り (三島町)|虫送り]]。
* 都道府県選択無形民俗文化財 - 該当なし、もしくは未確認。
* 都道府県指定無形民俗文化財 - [[#鹿子原の虫送り踊|鹿子原の虫送り踊]] (1967)。[[#矢田の虫送り行事|尾張の虫送り行事(矢田)]] (1984)。[[#祖父江の虫送り|尾張の虫送り行事(祖父江)]] (1984)。[[#北浦地方のサバー送り|北浦地方のサバー送り]] (2009)。[[#相内の虫送り|相内の虫送り]] (2011)。
* [[市町村]]指定重要無形民俗文化財 - [[#高橋の虫送り|高橋の虫送り]]。
* 市町村選択無形民俗文化財 - [[#犬石の虫送り行事|犬石の虫送り行事]] (1983)。[[#先達の虫送り|先達の虫送り]] (2010)。[[#東横田の虫送り行事|東横田の虫送り行事]] (2016)。
* 市町村指定無形民俗文化財 - [[#横江の虫送り|横江の虫送り]] (1964)。[[#肥土山の虫送り|肥土山の虫送り]] (1970)。[[#中山虫送り|中山虫送り]] (1970)。[[#木境大物忌神社の虫除け祭り|木境大物忌神社の虫除け祭り]] (1992)。[[#野田の虫送り|野田の虫送り]] (1998)。[[#南山田の虫送り|南山田の虫送り]] (2005)。([[福井県]][[鯖江市]]の)[[#虫送り (鯖江市)|虫おくり]] (2006)。[[#善願の虫送り|善願の虫送り]] (2015)。([[岐阜県]][[美濃市]]の)[[#虫送り (美濃市)|虫送り]]。[[#山田町虫送り|山田町虫送り]]。[[#奥津軽虫と火まつり|奥津軽虫と火まつり]]。[[#日吉の御鍬祭り|日吉の御鍬祭り]]。([[愛媛県]][[西予市]][[城川町]]の)[[#実盛送り (西予市)|実盛送り]]。
== 各地の虫送り ==
関連する[[神社]]側の名称としては、[[神事]]を分類するに当たっての「'''虫送祭'''(むしおくりさい)」がある<ref name="広島県神社庁-神事区分">{{Cite web|和書|url=http://www.hiroshima-jinjacho.jp/shinjikubun/ |title=広島のまつり【神事区分】 |work=公式ウェブサイト |publisher=広島県神社庁 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>が、神事としての固有名称は神社ごとにあり、「虫送祭」「'''蝗除祭'''(こうじょさい)」「除蝗祭(じょこうさい)」「除蝗祈願祭(じょこうきがんさい)」「除虫祭(じょちゅうさい)」などがこれに当たる。一方で、「'''虫送り'''」「虫追い」「いもち送り」などは、神社の正式な神事名とは別に担い手たる農村の人々に親しまれてきた俗称である。また、行政府や保存会の定めた名称もあり、こういったものは、管理・告知・宣伝等の必要に応じて地域名を冠したり(例:[[#相内の虫送り|相内の虫送り]]、[[#中山虫送り|中山虫送り]]、[[#矢田の虫送り行事|尾張の虫送り行事(矢田)]])、独自の命名がなされたりすることがある(例:[[#奥津軽虫と火まつり|奥津軽虫と火まつり]])。
* ここでは、存続している(あるいは廃絶した)虫送りを、地方別・[[都道府県]]別(※基準は[[全国地方公共団体コード]])で列記する<!--※ウィキペディアは百科事典であって観光ガイドや役所の保存リストではありませんので、消滅したものも情報に信頼性のあるものは「消滅したもの」としてなるべくなら記載して下さい。-->。なお、学術調査が全国規模で行われた記録は無く、保存状態の全容は掴めない<ref name="服部(1978)">{{Cite journal|和書|author=服部旦 |date=1978-03 |url=http://id.nii.ac.jp/1114/00003596/ |title=滋賀県竜王町岡屋の「虫送り」行事について:調査報告並びにその機能的研究,及び日本民俗学の一傾向に関する若干の反省 (附)古文書「岡屋地区氏子総代相伝文書」(仮称)紹介・解説 |journal=大妻女子大学文学部紀要 |issue=10 |pages=1-65,図巻頭1枚 |naid=110000128187 |ISSN=03020304 |publisher=大妻女子大学}}</ref>。
* [[近代]]や[[近世]]以前にまで時代を遡れるものは、当時の慣習地名(○国〈形骸化した[[令制国]]〉△郡□村など)や行政地名(○州△藩[[地方知行|知行]]□村、○県△郡□村など)をなるべく併記する。
=== 東北地方 ===
:* 参考資料 - {{small|(外部リンク)}}{{Cite web|和書|author=文化庁 文化財部 伝統文化課 |date=2014-03-31 |url=https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/minzoku/mukei_kiroku/pdf/aomori_mushiokuri.pdf |title=青森県南部地方の虫送り ─調査報告書─ |format=PDF |work=公式ウェブサイト |publisher=[[文化庁]] |accessdate=2018-05-29 |ref=ACA-20140331 }}
;{{Anchors|青森県}}[[青森県]]の虫送り
* 虫送り
::: [[青森県]][[五所川原市]]域では、漆川、飯詰、鶴ケ岡、高瀬、金山、前田野目などといった集落でもかつては虫送りを行っていたが、衰退したり何らかの事由で失伝したりしたという<ref name="陸奥新報-20150601" />。なお、後述する「奥津軽虫と火まつり」は農村部の各集落から市街地に集めて大規模化した虫送り行事に別の祭事([[火祭り]])を加えて新たに創出した祭事([[神事]])であり催事([[イベント]])であって、従来の虫送り行事を引き継ぎながら異なる点も多い。
:* {{Anchors|相内の虫送り}}相内の虫送り({{small|あいうちのむしおくり}})<ref name="ACA-CHO-241103">{{Cite web|和書|url=https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/241103 |title=相内の虫送り |work=文化遺産オンライン(公式ウェブサイト) |publisher=[[文化庁]] |accessdate=2018-05-29 }}</ref><ref name="五所川原市-相内の虫送り">{{Cite web|和書|url=http://www.city.goshogawara.lg.jp/kyouiku/bunka/aiuchimushiokuri.html |title=相内の虫送り |work=公式ウェブサイト |publisher=五所川原市 |accessdate=2018-05-27 }}</ref>
::: 青森県[[五所川原市]]相内<ref group="*">五所川原市相内({{googlemap|五所川原市相内}})</ref>(旧・[[北津軽郡]]相内村。[[江戸時代]]における[[陸奥国]][[津軽郡 (陸奥国)|津軽郡]]相内村、[[幕藩体制]]下の[[弘前藩]][[地方知行|知行]]相内村)に伝わる。青森県指定[[無形民俗文化財]]([[2011年]]〈平成23年〉[[4月6日]]指定)<ref name="ACA-CHO-241103" />。約450年の歴史があり({{small|2010年代時点}})、[[津軽]]一円で行われている虫送りの原型とされる<ref name="津軽navi-相内">{{Cite web|和書|url=http://www.tsugarunavi.jp/web/spot_detail.html?id=00002570 |title=相内の虫送り |work=公式ウェブサイト |publisher=青森県津軽地域観光情報サイト 津軽ナビ |accessdate=2018-05-29 }}</ref>。新暦6月第2土曜日([[田植え]]次第で変更の可能性あり)に執り行われる<ref name="陸奥新報-20150601">{{Cite news |newspaper=[[陸奥新報]] |author=小山隆秀 |date=2015-06-01 |url=http://www.mutusinpou.co.jp/%E6%B4%A5%E8%BB%BD%E3%81%AE%E8%A1%97%E3%81%A8%E9%A2%A8%E6%99%AF/2015/06/36611.html |title=にぎわう相内の虫送り=27 |publisher=陸奥新報社 |accessdate=2018-05-29 }}</ref>。地域を練り歩く際は「跳ねろじゃ跳ねろ」「いつもこんだらどうすべな(意:いつもこんなに良くてどうしようか)」などと唱えながら廻る<ref name="ACA-CHO-241103" />。
:* {{Anchors|奥津軽虫と火まつり}}奥津軽虫と火まつり({{small|おくつがる むしとひまつり}})<ref name="五所川原市-虫送り">{{Cite web|和書|url=http://www.city.goshogawara.lg.jp/kyouiku/bunka/mushiokuri.html |title=虫おくり |work=公式ウェブサイト |publisher=五所川原市 |accessdate=2018-05-27 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.go-kankou.jp/category/奥津軽虫と火まつり/ |title=奥津軽虫と火まつりト |work=観光ガイド ごしょがわら |publisher=一般社団法人 五所川原市観光協会 |accessdate=2018-05-27 }}</ref><ref name="弘経-20140623">{{Cite news |newspaper=弘前経済新聞 |author= |date=2014-06-23 |url=https://hirosaki.keizai.biz/headline/65/ |title=青森の奇祭「虫と火まつり」開催-虫を火で送り、豊作を祈る |publisher=[[みんなの経済新聞ネットワーク]] |accessdate=2018-05-27 }}</ref>
::: 青森県[[五所川原市]](旧・[[北津軽郡]]五所川原村界隈。江戸時代における[[陸奥国]][[津軽郡 (陸奥国)|津軽郡]]の喰川村・平井村・柏原村界隈、幕藩体制下の[[弘前藩]][[地方知行|知行]]喰川村・平井村・柏原村界隈)に伝わる。五所川原市指定[[無形民俗文化財]]。[[1964年]](昭和39年)、[[常陸宮正仁親王]]と旧[[弘前藩]][[津軽氏#津軽氏一族|津軽家]]出身の津軽華子([[正仁親王妃華子|華子妃]])が、結婚の報告のために五所川原を訪れた際、各集落ごとに実施されていた虫送りを中心市街地に集めて盛大に執り行ったことをきっかけに、虫送りは市の祭りとして実施されるようになった<ref name="陸奥新報-20140619">{{Cite news |newspaper=陸奥新報 |date=2014-06-19 |url= |title=豊穣の祈り 五所川原の虫送り |publisher=陸奥新報社 |accessdate=2018-05-29 }}</ref>。さらに[[1973年]](昭和48年)、五所川原青年会議所が地域の虫送りに[[火祭り]]の要素を取り入れたことで現在の「奥津軽虫と火まつり」が誕生した<ref name="陸奥新報-20140619" />。
;{{Anchors|秋田県}}[[秋田県]]の虫送り
* {{Anchors|木境大物忌神社の虫除け祭り}}木境大物忌神社の虫除け祭り({{small|きざかいおおものいみじんじゃのむしよけまつり}})<ref name="秋田遺図-木境虫除祭">{{Cite web|和書|author=秋田県教育庁 生涯学習課文化財保護室 |url=http://common3.pref.akita.lg.jp/heritage-map/ruins/detail.html?ruins_id=5576 |title=木境大物忌神社の虫除け祭り |work=秋田県遺跡地図情報(公式ウェブサイト) |publisher=秋田県教育庁 |accessdate=2018-05-28 }}</ref><ref name="秋田商工会-木境虫除祭">{{Cite web|和書|url=http://sotsuken.core-akita.ac.jp/furusato/search/3_festival/50_kizakaioomonoimizinjamushiyokesai.html |title=木境大物忌神社の虫除け祭り |work=秋田ふるさと検定対策(公式ウェブサイト) |publisher=秋田商工会議所 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>
::: [[秋田県]][[由利本荘市]]八森城址(矢島城城址)内一円<ref name="秋田商工会-木境虫除祭" /><ref group="*">由利本荘市八森城跡({{googlemap|由利本荘市八森城跡}})</ref>に伝わる<ref name="秋田遺図-木境虫除祭" />。秋田県指定[[無形民俗文化財]]([[1992年]]〈平成4年〉[[4月10日]]、県記録選択)<ref name="秋田遺図-木境虫除祭" />で、指定名称は「木境大物忌神社の虫除け祭り」<ref name="秋田遺図-木境虫除祭" />、[[通称]]は「虫除け祭り」。関連社は[[木境大物忌神社]]で、春季大祭として毎年の新暦[[7月8日]]に執り行われる<ref name="由利本荘市-木境虫除祭">{{Cite web|和書|url=https://www.city.yurihonjo.lg.jp/yashima/kinenkan/musiyoke01.htm |title=木境大物忌神社の虫除け祭り |work=公式ウェブサイト |publisher=由利本荘市 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>。
;{{Anchors|山形県}}[[山形県]]の虫送り
* 蝗除祭({{small|こうじょさい}}、俗称:虫送り)
::: [[山形県]][[鶴岡市]]三瀬<ref group="*">鶴岡市三瀬({{googlemap|鶴岡市三瀬}})</ref>に伝わる。関連社は[[気比神社 (鶴岡市三瀬)|気比神社]]。現在は新暦[[6月12日]]に行われる。<ref name="気比神社">{{Cite web|和書|url=https://kihijinja.sanze.jp/ritual/ |title=年中行事 |work=公式ウェブサイト |publisher=気比神社(鶴岡市三瀬の、気比神社) |accessdate=2018-05-28 }}</ref>
;{{Anchors|福島県}}[[福島県]]の虫送り
* 虫送り
::: [[会津]]地方では、[[福島県]][[大沼郡]][[会津美里町]]高田(※後述)と、[[会津盆地]]の西部山間部にある大沼郡[[三島町]](※後述)・[[金山町 (福島県)|金山町]]・[[昭和村 (福島県)|昭和村]]に伝わる<ref name="妖怪Db">{{Cite web|和書|url=http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/C0730018-000.shtml |title=ムシオクリ 虫送り |work=怪異・妖怪伝承データベース(公式ウェブサイト) |publisher=[[国際日本文化研究センター]] |accessdate=2018-06-01 }}</ref>。
:* {{Anchors|高橋の虫送り}}高橋の虫送り
::: [[福島県]]大沼郡[[会津美里町]]高田<ref group="*">大沼郡会津美里町高田({{googlemap|大沼郡会津美里町高田}})</ref>(江戸時代における[[陸奥国]]大沼郡高田村、[[幕藩体制]]下の陸奥[[会津藩]][[地方知行|知行]]高田村)に<ref name="Misatono-20110720">{{Cite web|和書|date=2011-07-20 |url=http://misatono.jp/blog/14750 |title=7月19日(火)高橋の虫送りが行われました! |work=Masatono(公式ブログ) |publisher=会津美里町観光協会 |accessdate=2018-06-01 }}</ref><ref name="美里町-高橋の虫送り">{{Cite web|和書|author=会津美里町役場 商工観光課 観光係 |date=2016-02-24 |url=http://www.town.aizumisato.fukushima.jp/s023/event/090/a09.html |title=高橋の虫送り |work=公式ウェブサイト |publisher=会津美里町役場 |accessdate=2018-06-01 }}</ref><ref name="福島民報-20150811">{{Cite news |newspaper=[[福島民報]] |author=[[黛まどか]] |date=2015-08-11 |url=http://www.minpo.jp/pub/topics/MayuzumiMadoka/2015/08/post_30.html |title=高橋の虫送り 会津美里町 自然への畏敬の念 |publisher=福島民報社 |accessdate=2018-06-01 }}</ref><ref name="Heyoka-高橋の虫送り">{{Cite web|和書|date= |url=http://kaichama.blog.fc2.com/blog-entry-163.html |title=高橋の虫送り |work=フクシマ・会津発 うらかいちゃ見聞録(個人ブログ) |publisher=ヘヨカ(個人) |accessdate=2018-06-01 }}</ref>、江戸時代より伝わる<ref name="福島民報-20150811" />。会津美里町指定[[重要無形民俗文化財]]<ref name="Misatono-20110720" />。行事は、最も害虫が繁殖する[[土用]]入りの前日ということで<ref name="Misatono-20110720" />、現在は新暦7月19日に行われる<ref name="福島民報-20150811" />。宮川を挟んで東側の尾岐窪、西側の冑<sup>かぶと</sup>・小山・仁王で、地域ごとに個性があって上に人が乗れるほど大きな[[茅|萱]]<sup>かや</sup>製の[[虫籠]]を作り、大人や子供達が行列を作って宮川に架かる高橋まで虫籠を送り継ぎ<ref name="福島民報-20150811" />、ここで東西の寺院住職の[[虫供養]]が行われた後<ref name="Heyoka-高橋の虫送り" />、川に流す<ref name="福島民報-20150811" />。
:* {{Anchors|虫送り (三島町)}}虫送り
::: 福島県大沼郡[[三島町]]の西方・名入・大石田(江戸時代における[[陸奥国]]大沼郡の西方村・名入村・大石田村、幕藩体制下の[[陸奥国|奥州]][[天領|御料]][[会津藩]][[預地]]西方村・名入村・大石田村)に伝わる<ref name="Kitemina-虫送り">{{Cite web|和書|author= |date= |url=http://fukuori.com/kitemina/event/675/ |title=虫送り(年中行事) |work=うつくしま福島遺産周遊ぶらりねっと浜中会津来て見なサイト(福島県内の観光協会等の集まりの公式ウェブサイト) |publisher= |accessdate=2018-06-01 }}</ref>。福島県指定[[重要無形民俗文化財]]<ref name="Kitemina-虫送り" />。当地域では、実際に害虫をとって袋に詰めて送り出す<ref name="妖怪Db" />。
=== 関東地方 ===
;{{Anchors|埼玉県}}[[埼玉県]]の虫送り
* {{Anchors|門平の虫送り}}門平の虫送り - [[埼玉県]][[秩父郡]][[皆野町]]門平に伝わる。<ref name="皆野町観協">{{Cite web|和書|url=http://www.minano.gr.jp/event/ |title=春のまつり・イベント |work=みんなのみなの(公式ウェブサイト) |publisher=皆野町観光協会 |accessdate=2018-05-25 }}</ref>
* {{Anchors|立沢の虫送り}}立沢の虫送り - 埼玉県秩父郡皆野町立沢に伝わる。<ref name="皆野町観協" />
;{{Anchors|千葉県}}[[千葉県]]の虫送り
* {{Anchors|野田の虫送り}}野田の虫送り - [[千葉県]][[袖ケ浦市]]野田<ref group="*">袖ケ浦市野田({{googlemap|袖ケ浦市野田}})</ref>に伝わる。袖ケ浦市指定[[無形民俗文化財]]([[1998年]]〈平成10年〉7月指定)。<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.city.sodegaura.lg.jp/site/kyouiku/bunkazaihogo.html |title=袖ケ浦市の指定文化財 |work=公式ウェブサイト |publisher=袖ケ浦市 |accessdate=2018-05-27 }}</ref>
;{{Anchors|神奈川県}}[[神奈川県]]の虫送り
* {{Anchors|川和の虫送り}}川和の虫送り({{small|かわわのむしおくり}})
::: [[神奈川県]][[横浜市]][[都筑区]][[川和町]]<ref group="*">横浜市都筑区川和町({{googlemap|横浜市都筑区川和町}})</ref>(旧・[[都筑郡]]川和村。江戸時代における[[武蔵国]]都筑郡川和村、[[幕藩体制]]下の小机領〈[[寺社領|寺領]]〉[[武蔵国|武州]]川和村)に伝わっていたが、廃絶された。新暦時代には[[7月25日]]に行われていた。往時は[[屋台]]が出るほどの賑わいを見せていた。[[戦後]]([[第二次世界大戦]]後)は途絶えていたが、地域文化伝承のために復活することが([[1999年]]〈平成11年〉7月18日日曜日、[[2000年]]〈平成12年〉7月23日日曜日など<ref name="Kawando-his">{{Cite web|和書|url=http://kawand.web.fc2.com/history_1.html |title=かわんど歴史年表 |work=公式ウェブサイト |publisher=[[神奈川県立川和高等学校|川和高校]]OB吹奏楽団 かわんど |accessdate=2018-06-01 }}</ref>)数回あった。しかし、火事の危険性を問題視されるなどして行われなくなった。''cf.'' 「[[川和町#川和の虫送り]]」
* {{Anchors|南山田の虫送り}}南山田の虫送り
::: 神奈川県横浜市都筑区南山田(旧・[[都筑郡]][[中川村 (神奈川県都筑郡)|中川村]]山田。江戸時代における[[武蔵国]]都筑郡山田村、[[幕藩体制]]下の[[天領|御料]]もしくは[[旗本]][[所領|領]][[武蔵国|武州]]山田村)に、江戸時代より伝わる<ref name="TN都筑-20160728">{{Cite news |newspaper=神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙 タウンニュース 都筑区版 |date=2016-07-28 |url=https://www.townnews.co.jp/0104/2016/07/28/342041.html |title=夏の夜巡る「虫送り」 |publisher=[[タウンニュース社]] |accessdate=2018-06-01 }}</ref>。横浜市指定[[無形民俗文化財]]<ref name="YCBE-20100401">{{Cite web|和書|author=横浜市教育委員会 事務局 教育政策推進室 |date=2010-04-01 |url=http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/topics/171014-03.html |title=横浜市文化財指定の答申 |work=公式ウェブサイト |publisher=[[横浜市教育委員会]] |accessdate=2018-06-01 }}</ref>([[2005年]]〈平成17年〉指定<ref name="TN都筑-20160728" />)。[[戦後]]([[第二次世界大戦]]後)は途絶えていたが、[[1976年]](昭和51年)に復活した<ref name="YCBE-20100401" />。新暦時代の現在は7月の[[土用]]入り後の最初の土曜日に行われている<ref name="YCBE-20100401" />。視点は[[氏神]]である山田神社<ref name="YCBE-20100401" />。獅子頭、独自の[[囃子]]「虫送りの曲」、空き缶に火を灯した[[松明]]、囃子連による[[ひょっとこ]]踊と[[獅子舞]]など、多くの独自性が見られる<ref name="YCBE-20100401" />。地域は宅地化されて往時の農村風景を失っているが、保存会(虫送り行事保存会)と町内会を主催とし<ref name="TN都筑-20160728" />、地域の夏の恒例行事として伝承されている<ref name="YCBE-20100401" />。松明の数を、200本であった[[2015年]](平成27年)に対して翌[[2016年]](平成28年)は250本に増やすなどしている<ref name="TN都筑-20160728" />。
=== 中部地方・東海地方・北陸地方 ===
;{{Anchors|新潟県}}[[新潟県]]の虫送り
* {{Anchors|善願の虫送り}}善願の虫送り({{small|ぜんがのむしおくり}})<ref name="ACA-CHO-214414">{{Cite web|和書|url=https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/214414 |title=善願の虫送り |work=文化遺産オンライン(公式ウェブサイト) |publisher=文化庁 |accessdate=2018-05-27 }}</ref>
::: [[新潟県]][[五泉市]]赤海地区<ref group="*">五泉市赤海({{googlemap|五泉市赤海}})</ref>に伝わる<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.city.gosen.lg.jp/organization/21/7/1/1/1877.html |title=善願の虫送り |work=ずっと五泉。(公式ウェブサイト) |publisher=五泉市 |accessdate=2018-05-27 }}</ref>。五泉市指定[[無形民俗文化財]]([[2015年]]〈平成27年〉[[7月23日]]指定)<ref name="ACA-CHO-214414" />。
* {{Anchors|下田の虫送り}}下田の虫送り({{small|しただのむしおくり}})
::: 新潟県[[三条市]]旧[[下田村 (新潟県)|下田]]地区(旧・[[南蒲原郡]][[下田村 (新潟県)|下田村]])<ref group="*">三条市下田({{googlemap|三条市下田}})</ref>に伝わる。
::* 個別の例:飯田の虫送り - 三条市飯田(旧・南蒲原郡下田村飯田)。
::* 個別の例:荒沢の虫送り - 三条市荒沢(旧・南蒲原郡下田村荒沢)。
;{{Anchors|富山県}}[[富山県]]の虫送り
* {{Anchors|床鍋の虫送り}}床鍋の虫送り({{small|とこなべのむしおくり}}、別名:虫送り 大松明火祭り)
::: [[富山県]][[氷見市]]床鍋<ref group="*">氷見市床鍋({{googlemap|氷見市床鍋}})</ref>([[1896年]]〈明治29年〉以前の[[氷見郡]][[速川村]]床鍋、[[1889年]]〈明治22年〉以前の[[射水郡]]床鍋村。江戸時代における[[越中国]]射水郡床鍋村、[[幕藩体制]]下の[[加賀藩]][[地方知行|知行]]越中床鍋村)に伝わる<ref name="北國新聞-20170604">{{Cite news |newspaper=[[北國新聞]] |date=2017-06-04 |url=http://www.hokkoku.co.jp/subpage/T20170604203.htm |title=豊作願い虫送り 氷見・床鍋、たいまつ引き回し |work=公式ウェブサイト |publisher=北國新聞社 |accessdate=2018-06-01 }}</ref>。約130年前({{small|2017年}}時点)に始まり、一時途絶えたが、[[1990年]](平成2年)に復活した<ref name="北國新聞-20170604" />。現在は新暦6月中旬に行われる<ref name="TAVC-20100410">{{Cite web|和書|date=2010-04-10 |url=http://www4.tkc.pref.toyama.jp/eizou/topics_detail.phtml?Record_ID=978b46018357c324dd97434f9b9532c6 |title=No.3-048 床鍋の虫送り - とやまの祭り |work=公式ウェブサイト |publisher=富山県映像センター |accessdate=2018-06-01 }}</ref>。[[幣帛]]を立てて<ref name="TAVC-20100410" />[[竹]]と[[藁]]を主材に作られた直径約1メートル・長さ約8メートルの円筒形の大[[松明]]に村外れで火を点けた後<ref name="北國新聞-20170604" /><ref name="TAVC-20100410" />、山道や[[畦]]道を曳き廻し<ref name="北國新聞-20170604" />、[[鉦]]や[[太鼓]]を打ち鳴らしながら「泥虫<sup>どろむし</sup>ほーい、泥虫ほい」の[[囃子]]文句と共に練り歩き<ref name="北國新聞-20170604" />、最後に大松明を(現在は[[1992年]]〈平成4年〉に[[廃校]]した旧床鍋小学校跡のグラウンドに<ref name="TAVC-20100410" />)立て、一気に燃え上がる炎で稲虫を追い払う<ref name="北國新聞-20170604" />。[[2004年]](平成16年)に富山県教育委員会主催で選定された「とやまの祭り百選」の選定物件の一つ(選定名称:床鍋の虫送り)<ref>{{Cite web|和書|url=http://j100s.com/toyamanomatsuri.html |title=とやまの祭り百選 |publisher=日本百選 都道府県別データベース |accessdate=2018-06-01 }}</ref>。
* 除蝗祭({{small|じょこうさい}})
::: [[富山県]][[南砺市]]利賀村百瀬(旧・[[礪波郡]][[利賀村]]百瀬)<ref group="*">南砺市利賀村百瀬({{googlemap|南砺市利賀村百瀬}})</ref>に伝わる。<ref name="">{{Cite web|和書|author= |date=2013-06-24 |url=https://www.iju-join.jp/chiikiokoshi/blog/4209/16374 |title=除蝗祭 |work=地域おこし協力隊(公式ウェブサイト) |publisher=地域おこし協力隊クラウドファディング |accessdate=2018-05-28 }}</ref>
;{{Anchors|石川県}}[[石川県]]の虫送り
* {{Anchors|横江の虫送り}}横江の虫送り
::: [[石川県]][[白山市]]横江町<ref group="*">白山市横江町({{googlemap|白山市横江町}})</ref>(旧・[[石川郡 (石川県)|石川郡]]横江村。江戸時代における[[加賀国]]石川郡横江村、[[幕藩体制]]下の[[加賀藩]][[地方知行|知行]][[加賀国|加州]]横江村)に、江戸時代より伝わる<ref name="白山市-横江の虫送り">{{Cite web|和書|author= |date= |url=http://www.city.hakusan.ishikawa.jp/kyouiku/bunkazaihogo/contents_list/bunkazaitoppu/shibunkazaisetsumei/shishiteimukeiminzokubunkazai/yokoenomushiokuri.html |title=横江の虫送り |work=公式ウェブサイト |publisher=白山市 |accessdate=2018-05-27 }}</ref>。白山市指定[[無形民俗文化財]]([[1964年]]〈昭和39年〉[[11月1日]]指定)<ref name="白山市-横江の虫送り" />。起源については、[[加賀国|加州]][[郡代|郡代(郡奉行)]]に願い出たという江戸時代の史料等が残っている程度で、いつごろ始められたかなどは不明<ref name="白山市-横江の虫送り" />。[[新暦]]時代において以前は毎年[[7月21日]]の夜に行われてきたが、現在7月の[[海の日]]の前日に行われている<ref name="白山市-横江の虫送り" />。起点であるなど、関連社として宇佐八幡神社(横江町1に所在)[http://www.ishikawa-jinjacho.or.jp/shrine/j0184/]が大きな役割を果たす<ref name="白山市-横江の虫送り" />。横江の虫送りは、伝承の古さと規模の大きさも特徴といえる<ref name="白山市-横江の虫送り" />。
::: なお、日本各地と同様、現・白山市域でも山麓部から平野部まで農村で古くから広く行われていたが、農薬が普及するに連れてほとんどの集落で廃れ、今では極わずかな集落でしか見ることができない<ref name="白山市-横江の虫送り" />。
;{{Anchors|福井県}}[[福井県]]の虫送り
* {{Anchors|虫送り (鯖江市)}}虫おくり - [[福井県]][[鯖江市]]莇生田町<ref group="*">鯖江市莇生田町({{googlemap|鯖江市莇生田町}})</ref>に伝わる。鯖江市指定[[無形民俗文化財]]([[2006年]]〈平成18年〉[[3月31日]]指定)。<ref>{{Cite web|和書|author=鯖江市 教育委員会事務局 文化課 |url=https://www.city.sabae.fukui.jp/kosodate_kyoiku/manabenoyakata/bunkazai/siteitourokubunkazai/bunkazai.html#cmsmukeiminzoku |title=鯖江市内指定・登録文化財一覧 |work=公式ウェブサイト |publisher=鯖江市 |accessdate=2018-05-27 }}</ref>
;{{Anchors|長野県}}[[長野県]]の虫送り
* {{Anchors|犬石の虫送り行事}}犬石の虫送り行事<ref name="長野市-犬石">{{Cite web|和書|url=http://bunkazai-nagano.jp/modules/dbsearch/page1127.html |title=犬石の虫送り行事 |work=長野市文化財データベース(公式ウェブサイト) |publisher=長野市 |accessdate=2018-05-27 }}</ref>({{small|いぬいしのむしおくりぎょうじ}}、別名:虫追い、さねもりさん<ref name="長野市-犬石" />)
:::[[長野県]][[長野市]][[篠ノ井市|篠ノ井]]有旅<sup>うたび</sup>犬石区一円<ref group="*">長野市篠ノ井有旅犬石区({{googlemap|長野市篠ノ井有旅犬石区}})</ref>([[江戸時代]]における[[信濃国]][[更級郡]]有旅村犬石一円、[[幕藩体制]]下の信州[[松代藩]][[地方知行|知行]]有旅村犬石一円)に<ref name="長野市-犬石" /><ref name="62文団-犬石">{{Cite web|和書|url=http://www.82bunka.or.jp/bunkazai/detail.php?no=75&seq=0 |title=犬石の虫送り行事 |work=公式ウェブサイト |publisher=公益財団法人 八十二文化財団 |accessdate=2018-05-27 }}</ref>、江戸時代より伝わる<ref name="62文団-犬石" />。長野市[[選択無形民俗文化財]]([[1983年]]〈昭和58年〉[[3月16日]]指定)<ref name="長野市-犬石" /><ref name="62文団-犬石" />。[[麦藁]]で作った[[樽]]形の[[神輿]]<!--※樽神輿とは違うもよう。-->を担ぐ素朴な虫送り行事の典型<ref name="長野市-犬石" /><ref name="62文団-犬石" />。今では毎年の新暦[[7月31日]]の夜に行われている<ref name="62文団-犬石" />。虫送りの際は「菜ア虫送れ、乞食虫送れ」と大声で唱えながら地域を廻る<ref name="長野市-犬石" />。
* {{Anchors|東横田の虫送り行事}}東横田の虫送り行事({{small|ひがしよこたのむしおくりぎょうじ}})
::: 長野県長野市[[篠ノ井市|篠ノ井]]横田東横田区一円<ref group="*">長野市篠ノ井横田東横田区({{googlemap|長野市篠ノ井横田東横田区}})</ref>(江戸時代における[[信濃国]][[更級郡]]横田村一円、幕藩体制下の信州[[松代藩]][[地方知行|知行]]横田村一円)に<ref name="長野市-東横田">{{Cite web|和書|url=http://bunkazai-nagano.jp/modules/dbsearch/page4769.html |title=東横田の虫送り行事 |work=長野市文化財データベース(公式ウェブサイト) |publisher=長野市 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>、江戸時代より伝わる<ref name="62文団-東横田">{{Cite web|和書|url=https://www.82bunka.or.jp/bunkazai/detail.php?no=6180&seq=0 |title=東横田の虫送り行事 |work=公式ウェブサイト |publisher=公益財団法人 八十二文化財団 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>。長野市[[選択無形民俗文化財]]([[2016年]]〈平成28年〉[[3月8日]]指定)<ref name="長野市-東横田" /><ref name="62文団-東横田" />。今では毎年の新暦8月の第1日曜日の朝から夜にかけて地域の子供達が行う地域行事として<ref name="長野市-東横田" /><ref name="62文団-東横田" />存続している。虫送りを地域に触れ歩く際は「なのむしおくれ」と唱えて廻る<ref name="62文団-東横田" />。
* {{Anchors|先達の虫送り}}先達の虫送り({{small|せんだつのむしおくり}})
::: 長野県[[諏訪郡]][[富士見町]]先達<ref group="*">諏訪郡富士見町先達({{googlemap|諏訪郡富士見町先達}})</ref>(江戸時代における[[信濃国]]諏訪郡先達村、幕藩体制下の信州[[諏訪藩]][[地方知行|知行]]先達村)に、江戸時代より伝わる<ref name="62文団-先達">{{Cite web|和書|url=http://www.82bunka.or.jp/bunkazai/detail.php?no=5519&seq=0 |title=先達の虫送り |work=公式ウェブサイト |publisher=公益財団法人 八十二文化財団 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>。富士見町指定[[無形民俗文化財]]([[2010年]]〈平成22年〉[[1月20日]]指定)<ref name="62文団-先達" />。虫送りの際は「送れ 送れ 稲虫送れ」と大声で囃子唄を唄いながら地域を廻る<ref name="62文団-先達" />。
* ''cf.'' {{Anchors|日吉の御鍬祭り}}日吉の御鍬祭り({{small|ひよしのおくわまつり}})
::: 長野県[[下伊那郡]][[阿南町]]和合日吉<ref group="*">下伊那郡阿南町和合日吉({{googlemap|下伊那郡阿南町和合日吉}})</ref>に、江戸時代前期より伝わる<ref name="62文団-日吉">{{Cite web|和書|url=http://www.82bunka.or.jp/bunkazai/legend/detail/04/post-72.php |title=日吉の御鍬祭り |work=公式ウェブサイト |publisher=公益財団法人 八十二文化財団 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>。五穀豊穣と虫送りの性格の強い祭り。江戸時代前期の[[寛保]]2年([[1742年]])に始められたとされる。長野県指定[[無形民俗文化財]]<ref name="62文団-日吉" />。古くは旧暦[[3月14日 (旧暦)|3月14日]]に行われていたが、現在は新暦[[4月29日]]に行われる<ref name="62文団-日吉" />。
;{{Anchors|岐阜県}}[[岐阜県]]の虫送り
* {{Anchors|虫送り (美濃市)}}虫送り
::: [[岐阜県]][[美濃市]]で存続している虫送りは、美濃市指定[[無形民俗文化財]]になっている<ref name="美濃市-上野">{{Cite web|和書|author=美濃市 総合政策課 |date=2017-07-25 |url=http://www.city.mino.gifu.jp/pages/33266 |title=2017年7月16日 上野地区で虫送りが行われました |work=公式ウェブサイト |publisher=美濃市 |accessdate=2018-05-28 }}</ref><ref name="美濃市-御手洗">{{Cite web|和書|author=美濃市 総合政策課 |date=2017-07-26 |url=http://www.city.mino.gifu.jp/pages/33266 |title=2017年7月21日 御手洗地区で虫送りが行われました |work=公式ウェブサイト |publisher=美濃市 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>。行政府の定める公式名称や総称は確認できない。
::* 虫送り - 美濃市上野地区<ref group="*">美濃市上野({{googlemap|美濃市上野}})</ref>に伝わる。美濃市指定[[無形民俗文化財]]。<ref name="美濃市-上野" />
::* 虫送り - 美濃市御手洗地区<ref group="*">美濃市御手洗({{googlemap|美濃市御手洗}})</ref>に伝わる。美濃市指定無形民俗文化財。<ref name="美濃市-御手洗" />
;{{Anchors|愛知県}}[[愛知県]]の虫送り
[[ファイル:Doll Sanemori.jpg|サムネイル|実盛人形(愛知県稲沢市)国立民族学博物館所蔵]]
* {{Anchors|尾張の虫送り行事}}尾張の虫送り行事({{small|おわりのむしおくりぎょうじ}})<ref name="BNA-矢田">{{Cite web|和書|url=https://www.pref.aichi.jp/kyoiku/bunka/bunkazainavi/minzoku/mukeiminzoku/kensitei/0840.html |title=尾張の虫送り行事(矢田)【おわりのむしおくりぎょうじ(やた)】 |work=文化財ナビ愛知(公式ウェブサイト) |publisher=愛知県 |accessdate=2018-05-28 }}</ref><ref name="常滑市-20160825">{{Cite web|和書|author=常滑市教育委員会 生涯学習スポーツ課 |date=2016-08-25 |url=http://www.city.tokoname.aichi.jp/shisei/guide/1001313/1001315.html |title=尾張の虫送り行事 |work=公式ウェブサイト |publisher=常滑市 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>
::: 行政府の定義するところでは、[[尾張]]で存続している虫送りの総称。[[常滑市]]矢田と[[稲沢市]]祖父江町に残っており、[[1984年]](昭和59年)に「尾張の虫送り行事」の名称で愛知県指定[[無形民俗文化財]]に指定されている<ref name="BNA-矢田" />。加えて後者は[[1991年]](平成3年)に国の[[選択無形民俗文化財]]に選択されている。
:* {{Anchors|矢田の虫送り行事}}矢田の虫送り行事({{small|やたのむしおくりぎょうじ}})
::: [[愛知県]][[常滑市]]矢田(旧・[[知多郡]][[矢田村 (愛知県)|矢田村]])<ref group="*">常滑市矢田({{googlemap|常滑市矢田}})</ref>に伝わる<ref name="BNA-矢田" />。愛知県指定[[無形民俗文化財]]で、指定名称は「尾張の虫送り行事(矢田)」<ref name="BNA-矢田" />。矢田における虫送り行事は、実盛人形とフウフの鳥を奉じる「おんか送り(うんか送り)」と松明行列を行う「虫送り」という2つの行事で構成される<ref name="BNA-矢田" />。前者は田植え後間もない6月下旬に、後者は7月初旬に行われる<ref name="BNA-矢田" />。関連社は八幡神社<ref name="BNA-矢田" />。
* {{Anchors|祖父江の虫送り}}祖父江の虫送り({{small|そぶえのむしおくり}})<ref name="ACA-CHO-161121">{{Cite web|和書|url=https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/161121 |title=祖父江の虫送り |work=文化遺産オンライン(公式ウェブサイト) |publisher=文化庁 |accessdate=2018-05-27 }}</ref>
::: 愛知県[[稲沢市]]祖父江町(旧・[[中島郡 (愛知県)|中島郡]][[祖父江町]])<ref group="*">稲沢市祖父江町({{googlemap|稲沢市祖父江町}})</ref>に伝わる<ref name="ACA-CHO-161121" />。愛知県指定[[無形民俗文化財]]([[1984年]]〈昭和59年〉指定)、国の[[選択無形民俗文化財]]([[1991年]]〈平成3年〉[[2月2日]]選択)<ref name="ACA-CHO-161121" />。
* {{Anchors|虫送り (虫鹿神社)|虫鹿神社の虫送り}}虫送り
::: 愛知県[[犬山市]]城東地区<ref group="*">犬山市城東地区({{googlemap|犬山市城東地区}})</ref>に伝わる<ref name="MLIT中部-犬山市pdf">{{Cite web|和書|url=https://www.cbr.mlit.go.jp/kensei/pdf/machisammit_dai3_inuyama_siryou.pdf |title=犬山市 |format=PDF |page=11/16 |work=公式ウェブサイト |publisher=[[国土交通省]]中部地方整備局 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>。当地域には五穀豊穣と虫を封じる神社として有名な[[虫鹿神社]]があり<ref name="MLIT中部-犬山市pdf" />、係る行事はこの社と関連する。
* {{Anchors|蝗除祭 (犬山市)}}蝗除祭({{small|こうじょさい}})
::: 愛知県[[犬山市]]五郎丸<ref group="*">犬山市五郎丸({{googlemap|犬山市五郎丸}})</ref>に伝わる<ref name="犬山市-H29祭">{{Cite web|和書|date=2017 |url=http://www.city.inuyama.aichi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/231/29.pdf |title=平成29年度 犬山の伝統行事・地元のお祭り紹介 |format=PDF |work=公式ウェブサイト |publisher=犬山市 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>。疫病祓いと虫送りを行う<ref name="犬山市-H29祭" />。関連社は五郎丸神明社<ref name="犬山市-H29祭" />。藁細工人形に提灯を付けて町内を巡行する<ref name="犬山市-H29祭" />。
;{{Anchors|三重県}}[[三重県]]の虫送り
* {{Anchors|虫送り (四日市市)}}虫送り - [[三重県]][[四日市市]][[富田 (四日市市)|富田]](旧・[[朝明郡]]富田村)<ref group="*">四日市市富田({{googlemap|四日市市富田}})</ref>に伝わる。
* {{Anchors|除虫祭 (四日市市)}}除虫祭({{small|じょちゅうさい}}) - 三重県四日市市の[[八王子町 (四日市市)|八王子町]]と[[小林町 (四日市市)|小林町]](旧・[[三重郡]]八王子村など<!--※「小林町」は過去に遡れず、曖昧な表現“など”で誤魔化してしまっています。判る方おられませんか。-->)に伝わる。<ref>{{Cite web|和書|url=http://kanko-yokkaichi.com/festival/616/ |title=虫送り |work=公式ウェブサイト |publisher=四日市市観光協会 |accessdate=2018-05-25 }}</ref>
=== 近畿地方 ===
;{{Anchors|滋賀県}}[[滋賀県]]の虫送り
* {{Anchors|いもち送り (近江八幡市)}}いもち送り
::: [[滋賀県]][[近江八幡市]]北部の2集落(島町と北津田町)<ref group="*">近江八幡市島町({{googlemap|近江八幡市島町}})</ref><ref group="*">近江八幡市北津田町({{googlemap|近江八幡市北津田町}})</ref>(旧・[[蒲生郡]]の島村と北津田村。[[江戸時代]]における[[近江国]]蒲生郡島村と北津田村。[[幕藩体制]]下の[[近江国|江州]][[郡山藩]][[地方知行|知行]]島村と江州[[天領|御料]][[彦根藩]][[預地]]北津田村)に伝わる<ref name="滋賀報知-20170617">{{Cite news |newspaper=[[滋賀報知新聞]] |date=2017-06-17 |url=http://shigahochi.co.jp/info.php?type=article&id=A0023967 |title=伝統のいもち送り |publisher=滋賀報知新聞社 |accessdate=2018-05-28 }}</ref><ref name="毎日-20160619">{{Cite news |newspaper=[[毎日新聞]] |date=2016-06-19 |url=https://mainichi.jp/articles/20160619/ddl/k25/040/294000c |title= いもち送り たいまつの炎、虫追い払う 近江八幡/滋賀 |publisher=[[毎日新聞社]] |accessdate=2018-05-28 }}</ref>。当地域では害虫を「いもち」とも呼ぶ<ref name="毎日-20160619" />。当地域では[[1965年]](昭和40年)頃に途絶えたが、[[1980年]](昭和55年)、地元・[[大嶋神社奥津嶋神社|大嶋奥津嶋神社]]の深井武臣[[宮司]]の声掛けを機に<ref name="毎日-20160619" />、地域の伝統行事を継承しようとの機運の高まりと共に復活した<ref name="毎日-20160619" /><ref name="朝日-20170611">{{Cite news |newspaper=[[朝日新聞デジタル]] |author=阿部治樹 |date=2017-06-11 |url=https://www.asahi.com/articles/ASK6B4RHBK6BPTJB002.html |title=滋賀)たいまつで害虫払い |publisher=[[朝日新聞社]] |accessdate=2018-05-28 }}</ref>。地域の水田を歩いて巡る際は「いもち送れー、いもち送れー」と唱えて廻る<ref name="滋賀報知-20170617" /><ref name="毎日-20160619" />。
* {{Anchors|虫送り (竜王町)}}虫送り
::: 滋賀県[[蒲生郡]][[竜王町]]の6集落(岡屋<ref group="*">竜王町岡屋({{googlemap|竜王町岡屋}})</ref>、小口<sup>おぐち</sup>、薬師、山之上、田中、綾戸。{{small|※全て[[大字]]}})で存続、11集落(鏡、山面<sup>やまづら</sup>、西川、須恵<sup>すえ</sup>、橋本、弓削<sup>ゆげ</sup>、信濃、庄、川上、林、駕輿丁<sup>かよちょう</sup>。{{small|※全て大字}})で廃絶<ref name="服部(1978)" /><ref group="*">服部(1978) が示す、竜王町で存続させている集落と廃絶した集落のリストは、同資料内で一部に食い違っている箇所がある。本項には最初に示されているリストを反映させた。</ref>。地域性から「竜王町の虫送り」と呼んで差し支えないと思えるが、固有の公式名称は無い。滋賀県下ではどこも同じで、[[プロパンガス]]が普及することで従来の自家[[燃料]]としての[[ナタネ|菜種]]殻の需要が無くなったがゆえに菜種[[栽培]]が急速に衰退した昭和30年代([[1955年|1955]]~[[1964年|64年]])に、虫送りに欠かせない[[松明]]の材としての菜種殻の調達が困難になったことを機に、儀式そのものが急激に衰退したという<ref name="服部(1978)" />。<ref name="竜王町-祭-春">{{Cite web|和書|author= |date= |url=http://www.town.ryuoh.shiga.jp/kanko/shiki/kanko_shiki.html |title=四季の祭り・行事 春 |work=公式ウェブサイト |publisher=竜王町 |accessdate=2018-05-25 }}</ref><ref name="BVB-虫おくり">{{Cite web|和書|date=2015-09-02 |url=https://www.biwako-visitors.jp/event/detail/12360 |title=虫おくり |work=公式ウェブサイト |publisher=公益社団法人 びわこビジターズビューロー |accessdate=2018-05-25 }}</ref>
* {{Anchors|蝗除祭 (野洲市)}}蝗除祭({{small|こうじょさい}}、俗称:いもち送り)<ref name="KPS-201504">{{Cite web|和書|author=渡部圭一([[滋賀県立琵琶湖博物館]] 学芸技師) |date=2015-04 |url=https://www.kokuyo-shiga.co.jp/yoshinet/pdf/yoshinet_vol21_1504.pdf |title=近江の「虫送り」から学ぶもの - Vol.21 |format=PDF |work=ヨシでびわ湖を守るネットワーク通信[https://www.kokuyo-shiga.co.jp/yoshinet/](公式ウェブサイト) |publisher=株式会社[[コクヨ工業滋賀]] |accessdate=2018-05-28 }}</ref>
::: [[滋賀県]][[野洲市]]大篠原<ref group="*">野洲市大篠原({{googlemap|野洲市大篠原}})</ref>(江戸時代における[[近江国]][[野洲郡]]大篠原村、[[幕藩体制]]下の江州[[仁正寺藩|西大路藩]][[地方知行|知行]]大篠原村)に伝わる<ref name="KPS-201504" />。「蝗除祭」は[[大笹原神社]]での正式名称、「いもち送り」は住民による通称<ref name="KPS-201504" />。担い手の高齢化などを理由に中断されていたが、[[2000年]](平成12年)頃<ref group="*">2015年4月に記された資料で「15年ほど前」と言及していることを論拠に換算。</ref>、夏休み中の子供会の行事として規模のやや縮小した形で復活した<ref name="KPS-201504" />。
;{{Anchors|京都府}}[[京都府]]の虫送り
* {{Anchors|虫送り (京都市左京区)}}虫送り
::: [[京都府]][[京都市]][[左京区]]の4地域(百井<sup>ももい</sup>、花脊<sup>はなせ</sup>、広河原<sup>ひろがわら</sup>、[[久多]]<sup>くた</sup>)で存続する<ref name="左京区-虫送り">{{Cite web|和書|author=京都市左京区役所 地域力推進室 |date=2013-03-18 |url=http://www.city.kyoto.lg.jp/sakyo/page/0000012173.html |title=森京都 伝統行事 虫送り(百井,花脊,広河原,久多) |work=公式ウェブサイト |publisher=京都市左京区 |accessdate=2018-05-28 }}</ref><ref group="*">京都市左京区久多({{googlemap|京都市左京区久多}})</ref><ref name="朝日-20170802">{{Cite news |newspaper=[[朝日新聞デジタル]] |author=福野聡子 |date=2017-08-02 |url=https://www.asahi.com/articles/ASK7T3CTMK7TPTFS001.html |title=(京の隠れ里に住んで)山里の夏、松明で「虫送り」 |publisher=[[朝日新聞社]] |accessdate=2018-05-28 }}</ref>。地域を巡る際は「泥虫 出てけ、刺し虫 出てけ」「すっとすっとすっとせい」などと唱えながら田の畦道をねり歩く<ref name="朝日-20170802" /><ref name="左京区-虫送り" />。
::* 個別の例:久多の虫送り - 左京区[[久多]]<ref group="*">京都市左京区久多({{googlemap|京都市左京区久多}})</ref>(旧・[[愛宕郡]]久多村。江戸時代における[[山城国]]愛宕郡の久多4か村、幕藩体制下の[[山城国|城州]][[旗本]]領久多4か村)に伝わる。関連社は志古淵神社([[思古渕社]])<ref name="朝日-20170802" />。
;{{Anchors|奈良県}}[[奈良県]]の虫送り
* {{Anchors|山田町虫送り|山田町の虫送り|山田の虫送り}}虫送り<ref name="天理市-山田町虫送り">{{Cite web|和書|author=天理市役所 広報課 |date=2014-06 |url=http://www.city.tenri.nara.jp/photonews/26_6gatu/1403047879619.html |title=豊作を願う「虫送り」 |work=公式ウェブサイト |publisher=天理市 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20180527201411/http://www.city.tenri.nara.jp/photonews/26_6gatu/1403047879619.html|archivedate=2018-05-27 |accessdate=2021-05-12}}</ref><ref name="JTA-山田町虫送り">{{Cite web|和書|url=http://www.nihon-kankou.or.jp/nara/292044/detail/29204ba2212005507 |title=虫送り(山田町) |work=全国観るなび(公式ウェブサイト) |publisher=公益社団法人 [[日本観光振興協会]] (JTA) |accessdate=2018-05-27 }}</ref>(総称としての別名:山田町虫送り、山田町の虫送り<ref name="南銀-山田の虫送り">{{Cite web|和書|url=http://www.nantokanko.jp/midokoro/1390.html |title=山田町の虫送り |work=ええ古都なら(公式ウェブサイト) |publisher=[[南都銀行]] 公務・地域活力創造部 |accessdate=2018-05-27 }}</ref>、山田の虫送り)
::: [[奈良県]][[天理市]][[山田町 (天理市)|山田町]](旧・[[山辺郡]]の上山田村・中山田村・下山田村)<ref group="*">天理市山田町({{googlemap|天理市山田町}})</ref>に伝わる<ref name="天理市-山田町虫送り" /><ref name="JTA-山田町虫送り" />。天理市指定[[無形民俗文化財]]<ref name="天理市-山田町虫送り" /><ref name="JTA-山田町虫送り" />([[2000年]]〈平成12年〉指定<ref name="南銀-山田の虫送り" />)。山田町の3地域(上山田、中山田、下山田)でそれぞれに行われる<ref name="天理観協-年中行事">{{Cite web|和書|url=http://kanko-tenri.jp/dentou_gyouzi/mushiokuri.html |title=虫送り(山田町) |work=年中行事(公式ウェブサイト) |publisher=天理市観光協会 |accessdate=2018-05-27 }}</ref><ref>{{Cite news |newspaper=[[毎日新聞]] |date=2017-06-28 |url=https://mainichi.jp/articles/20170628/ddl/k29/070/476000c |title= やまと・民俗への招待 田植えの後に虫送り/奈良 |publisher=[[毎日新聞社]] |accessdate=2018-05-27 }}</ref>。
=== 中国地方 ===
;{{Anchors|島根県}}[[島根県]]の虫送り
* {{Anchors|鹿子原の虫送り踊|鹿子原の虫送り踊り}}[[鹿子原の虫送り踊]]({{small|かねこばらのむしおくりおどり}})<ref name="島根県-無形財">{{Cite web|和書|author=島根県教育庁文化財課 |url=http://www.pref.shimane.lg.jp/life/bunka/bunkazai/shimane/mukeiminnzoku.html |title=無形民俗文化財 |work=公式ウェブサイト |publisher=島根県 |accessdate=2018-05-25 }}</ref>
::: [[島根県]][[邑智郡]][[邑南町]]矢上<sup>やかみ</sup>鹿子原<ref group="*">邑南町鹿子原({{googlemap|邑南町鹿子原}})</ref>([[江戸時代]]における[[石見国]]邑智郡矢上村鹿子原、[[幕藩体制]]下の石見[[浜田藩]][[地方知行|知行]]矢上村鹿子原)に伝わる。島根県指定[[無形民俗文化財]]([[1967年]]〈昭和42年〉[[5月30日]]指定<ref name="島根県-無形財" />)<ref>{{Cite web|和書|date=2017-07-20 |url=http://www.polaculture.or.jp/promotion/thickbox/parson_data32_08.html?sc=_map |title=第32回 伝統文化ポーラ賞 地域賞 |publisher=ポーラ伝統文化振興財団 |accessdate=2018-05-26}}</ref>。[[太平洋戦争]]中も中止することなく続けられた<ref name="Daido2017" />。古形を残す虫送り行事として全国でも数少ないものの一つ<ref name="石見観振協">{{Cite web|和書|url=http://www.all-iwami.com/modules/guide/index.php?action=SpotView&spot_id=317 |title=鹿子原の虫送り踊り |work=なつかしの国石見(公式ウェブサイト) |publisher=石見観光振興協議会 |accessdate=2018-05-25 }}</ref><ref name="Daido2017" /><ref name="Sankei-20170721">{{Cite news |newspaper=産経ニュース |date=2017-07-21 |url=https://www.sankei.com/article/20170721-DVXK7UVXMBOB7DMHUZWY3FCMZA/ |title=島根・邑南町で「虫送り踊り」花笠の男衆「実盛」で害虫退散 |publisher=[[産業経済新聞社]] |accessdate=2018-05-26 }}</ref>で、[[斎藤実盛]]由来の虫送りである実盛送りに、[[安芸国]]芸北地方(現・広島県芸北地方)より習い伝えられた[[太鼓踊]]が附随するという全国でもほとんど例が無い希少性でも高く評価されている<ref name="Daido2017" />。[[1937年]](昭和12年)に編纂された『邑智郡誌』(森脇太一編)によれば、[[慶応]]4年[[5月26日 (旧暦)|5月26日]]({{small|[[新暦]]換算}}:[[1868年]][[7月15日]])に行われた虫送り当日の献上物の記載があり、少なくともこの頃には行われていたことが分かっている<ref name="Daido2017" />。保存会は[[1963年]](昭和38年)に結成された<ref name="Daido2017" />。虫送り踊が[[奉納]]される[[諏訪神社]]は、[[平安時代]]中期にあたる[[承和 (日本)|承和]]2年([[835年]])、荒地を[[開拓]]するために[[信濃国]]の[[諏訪大社]]から[[農業神]]を[[分霊]]した社で、健御名方神([[タケミナカタ|タケミナカタノカミ]])と[[八坂刀売神]](ヤサカトメノカミ)という[[夫婦神]]を[[祭神]]とする<ref name="Daido2017" />。
;{{Anchors|広島県}}[[広島県]]の虫送り
* {{Anchors|虫送り (福山市)}}虫送り
::: [[広島県]][[福山市]][[神村町]]<ref group="*">福山市神村町({{googlemap|福山市神村町}})</ref>に伝わる。この虫送りには、はね踊({{small|はねおどり}})が附随する。関連社は神村八幡神社。現在は新暦6月最終土曜日に行われる。<ref name="広島県神社庁-祭-6月">{{Cite web|和書|url=http://www.hiroshima-jinjacho.jp/month06/ |title=広島のまつり【6月】 |work=公式ウェブサイト |publisher=広島県神社庁 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>。現在は新暦6月中に行われる<ref name="広島県神社庁-祭-6月" />
* {{Anchors|風祈祷}}風祈祷({{small|かぜきとう}})
::: 広島県福山市[[駅家町]]服部永谷<ref group="*">福山市駅家町服部永谷({{googlemap|福山市駅家町服部永谷}})</ref>に伝わる。関連社は八幡神社。現在は新暦[[8月1日]]に行われる。<ref name="広島県神社庁-祭-8月">{{Cite web|和書|url=http://www.hiroshima-jinjacho.jp/month08/ |title=広島のまつり【8月】 |work=公式ウェブサイト |publisher=広島県神社庁 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>
* {{Anchors|蝗除祭 (広島県府中市)}}蝗除祭({{small|こうじょさい}})
::: 広島県[[府中市 (広島県)|府中市]]栗柄町<ref group="*">広島県府中市栗柄町({{googlemap|広島県府中市栗柄町}})</ref>に伝わる。関連社は南宮神社。現在は新暦7月第1日曜日に行われる。<ref name="広島県神社庁-祭-7月">{{Cite web|和書|url=http://www.hiroshima-jinjacho.jp/month07/ |title=広島のまつり【7月】 |work=公式ウェブサイト |publisher=広島県神社庁 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>
* {{Anchors|蟲送り神事 (三次市)}}蟲送り神事({{small|むしおくりしんじ}})
::: 広島県[[三次市]]君田町西入君<ref group="*">三次市君田町西入君({{googlemap|三次市君田町西入君}})</ref>に伝わる。関連社は聖神社。現在は新暦7月第1日曜日に行われる。
* {{Anchors|虫送り (北広島町)}}虫送り
::: 広島県[[山県郡]][[北広島町]]新庄<ref group="*">北広島町新庄({{googlemap|北広島町新庄}})</ref>に伝わる。この虫送りに附随する南条踊({{small|なんじょうおどり}}、南条おどり)は「南条おどり」の名称で広島県指定[[無形民俗文化財]]となっている([[1953年]]〈昭和28年〉[[10月20日]]指定)<ref name="北広島町-文化財">{{Cite web|和書|url=http://kitahiro-bunka.jp/bunkazai-03.html |title=無形民俗文化財 |work=北広島町の文化財(公式ウェブサイト) |publisher=北広島町 |accessdate=2018-05-27 }}</ref><ref name="Britannica-南条踊">{{Cite web|和書|url=https://kotobank.jp/word/%E5%8D%97%E6%9D%A1%E8%B8%8A-108829 |title=南条踊 |work=『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』 |publisher=コトバンク |accessdate=2018-05-27 }}</ref>。関連社は龍山八幡神社<ref name="広島県神社庁-祭-6月" />。現在は新暦6月中に行われる<ref name="広島県神社庁-祭-6月" />。
;{{Anchors|山口県}}[[山口県]]の虫送り
* {{Anchors|北浦地方のサバー送り}}北浦地方のサバー送り<ref name="山口県-北浦saba">{{Cite web|和書|author=山口県教育庁 社会教育・文化財課 |url=http://bunkazai.pref.yamaguchi.lg.jp/bunkazai/detail.asp?mid=110105&pid=ss&svalue=%E3%82%B5%E3%83%90%E3%83%BC&bloop=0&mloop=0&floop=0 |title=北浦地方のサバー送り |work=公式ウェブサイト |publisher=山口県 |accessdate=2018-05-30 }}</ref>(別名:サバー送り<ref name="長門市-saba">{{Cite web|和書|date=2017-07-01 |url=https://www.city.nagato.yamaguchi.jp/wadairoot/wadai/20170701sabahokuri.html |title=伝統のサバー送り |work=公式ウェブサイト |publisher=長門市 |accessdate=2018-05-30 }}</ref><ref name="読売-20160702">{{Cite news |newspaper=[[YOMIURI ONLINE]] |date=2016-07-02 |url=https://web.archive.org/web/20160703114343/http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/culture/tradition/20160702-OYS1T50027.html |title=わら人形運び豊作祈願 長門で「サバー送り」 |work=公式ウェブサイト |publisher=[[読売新聞西部本社]] |accessdate=2018-05-30 }}</ref>)
::: [[山口県]][[長門市]]の深川湾に面した地域(かつての[[大津郡]][[深川町 (山口県)|深川村]]および[[日置町 (山口県)|日置村]]。江戸時代における[[長門国]]大津郡深川村および日置3か村、[[幕藩体制]]下の[[長州藩]][[地方知行|知行]]深川村および日置3か村)を核として今に伝えられる。古来、地元では「サバー送り」と[[通称]]されるが、山口県指定[[無形民俗文化財]]([[2009年]]〈平成21年〉[[4月14日]]指定<ref name="個人AM-20140217">{{Cite web|和書|date=2014-02-17 |url=http://situurakai.seesaa.net/upload/detail/image/E8B5A4E5B48EE7A59EE7A4BEE6A5BDE8B88AE381A8E58C97E6B5A6E59CB0E696B9E381AEE382B5E38390E383BCE98081E3828A.jpg.html |title=赤崎神社楽踊と北浦地方のサバー送り |work=山口県・長門市・今が旬(個人ブログ) |publisher=個人<!--青海島育ちのマッサン--> |accessdate=2018-05-31 }}</ref>)としての指定名称は「北浦地方のサバー送り」である<ref name="山口県-北浦saba" />。北浦地区([[長北地区]])の名を冠してはいるが、行われているのはその一角。現在は新暦7月1日に行われる<ref name="長門市-saba" />。当地域では、[[藁]]を主材として作られた2躯の実盛人形を長門市東深川藤中<sup>ふんじゅう</sup>から下関市[[豊北町]]粟野まで送り継ぐことで稲虫の災禍を追い払う<ref name="山口県-北浦saba" /><ref name="長門市-saba" />。2躯の実盛人形は共に長さ約2[[メートル]]・高さ約1メートルの騎馬武者姿で<ref name="長門市-saba" />、それぞれに「サバーサマ」「サネモリサマ」と呼ばれるが<ref name="長門市-saba" />、前者は[[ウンカ]]である稲虫の化身であり、後者は[[斎藤実盛]]の霊を指すという<ref name="長門市-saba" /><ref name="読売-20160702" />。実盛人形の基となる[[藁人形]]は、東深川藤中にある飯山八幡宮社務所<ref group="*">飯山八幡宮(長門市東深川藤中1832)({{googlemap|飯山八幡宮}})</ref>で、8名の[[氏子]]によって送り継ぎの始まるおよそ1週間前に作成される<ref name="山口県-北浦saba" /><ref name="長門市-saba" />。その藁人形は八幡宮[[宮司]]に引き継がれ<ref name="山口県-北浦saba" />、送り継ぎ開始前々日までに、[[和紙]]に書いた[[顔]]、和紙で作成された[[兜]]、[[羽織]]の代わりとされる和紙、木の[[刀]]が着けられ、騎馬武者姿に仕立てられる<ref name="山口県-北浦saba" />。兜と羽織には[[毛利家]]の印である「一○」が記される<ref name="山口県-北浦saba" />。この後、送り継ぎ開始当日までの2日間、八幡宮で虫除けの神事が行われる<ref name="山口県-北浦saba" />。送り継ぎは先の藤中から中山・江良・上郷の順に二十数か所の集落で行われる<ref name="長門市-saba" />。その後は年によって違うが、人形は送り継いだ地域の住民によって抱えられ、西深川境川を経由した後、日置上長崎<sup>へきかみ ながさこ</sup><ref group="*">長門市日置上長崎({{googlemap|長門市日置上長崎}})</ref>(旧・大津郡[[日置町 (山口県)|日置上村]]長崎)まで運ばれる<ref name="長門市-saba" />(※2010年代現在は経路の多くで[[軽トラック]]が使われる<ref name="読売-20160702" />)。その後は、各自治会や子供会などの手で数週間かけて各地域を送り継ぎ、下関市[[豊北町]]粟野<ref group="*">下関市豊北町粟野({{googlemap|下関市豊北町粟野}})</ref>(かつての[[豊浦郡]][[粟野村 (山口県)|粟野村]]。江戸時代における[[長門国]]豊浦郡粟野2か村、幕藩体制下の[[長府藩|長門府中藩]]知行粟野2か村)まで運ばれる<ref name="山口県-北浦saba" /><ref name="長門市-saba" />。粟野以降の順路は決まっていないものの、最後は、多くの場合は海([[油谷湾]])に流され<ref name="山口県-北浦saba" /><ref name="長門市-saba" />、時には燃やされる<ref name="長門市-saba" />。
* {{Anchors|サバー送り (下関市)}}サバー送り
::: 山口県[[下関市]]一の宮住吉の[[住吉神社 (下関市)|住吉神社]]で[[第二次世界大戦]]の[[終戦]]前後まで行われていたが、その後、途絶えた<ref name="朝日-20171125">{{Cite news |newspaper=[[朝日新聞デジタル]] |author=山田菜の花 |date=2017-11-25 |url=https://www.asahi.com/articles/ASKCH4CY6KCHTZNB00H.html |title=山口)戦後途絶えた「サバー送り」 日本画の掛け軸残る |publisher=[[朝日新聞社]] |accessdate=2018-05-30 }}</ref>。下関の住吉神社のサバー送りについては記録がほとんど残っていない<ref name="朝日-20171125" />。しかし[[2017年]](平成29年)11月下旬、地元出身の[[日本画家]]・石川義春(1893-1969年)の手になるサバー送りの絵図が、1幅の[[掛軸]]という形で地元にある石川の三男の家に保管されていたことが判明した<ref name="朝日-20171125" />。
=== 四国地方 ===
;{{Anchors|徳島県}}[[徳島県]]の虫送り
* {{Anchors|実盛さんの虫送り}}実盛さんの虫送り({{small|さねもりさんのむしおくり}})
::: [[徳島県]][[阿南市]][[長生町]]上荒井<ref group="*">阿南市長生町上荒井({{googlemap|阿南市長生町上荒井}})</ref>(旧・[[那賀郡]][[長生村 (徳島県)|長生村]]上荒井)に伝わる<ref name="阿南市-虫送り">{{Cite web|和書|author=阿南市役所 企画部 秘書広報課 |date=2013-07-25 |url=http://www.city.anan.tokushima.jp/docs/2013072400041/ |title=受け継がれる農村行事「実盛さんの虫送り」 |work=公式ウェブサイト |publisher=阿南市 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>。かつては[[桑野川]]流域で旧暦の[[土用]]の入りに[[新野町]]川又から十五夜にかけて川下の地域へと火送りが行われていた<ref name="阿南市-虫送り" />。[[2003年]](平成15年)、農村文化の継承と地域活性化を期して長生公民館が中心となって半世紀ぶりに復活させた<ref name="阿南市-虫送り" />。
;{{Anchors|香川県}}[[香川県]]の虫送り
* {{Anchors|虫送り (小豆島)}}虫送り
::: [[小豆島]]では、肥土山と中山で存続している(※後述)。かつては一帯を潤す伝法川<sup>でんぽうがわ</sup><ref group="*">{{Cite web|和書|url=https://river.longseller.org/ws/370078.html |title=伝法川水系 |work= |publisher=川の名前を調べる地図 |accessdate=2018-05-29 }}</ref>に沿って、最も標高の高い上流域の中山地区(現・[[小豆島町]]中山)から始まり、翌日に中流域の肥土山地区(現・[[土庄町]]肥土山)、そして最終日には下流域の2集落(黒岩、上庄)へと、日をずらして[[リレー]]方式で順に行い、最終的に海へ虫を送り出していたという<ref name="JA共済総研-201612">{{Cite web|和書|author=平沼浩 |date=2016-12 |url=https://www.jkri.or.jp/PDF/2016/Rep148hiranuma.pdf |title=共済総研レポート 2016.12:地方創生と伝統行事 土地の記憶を行動で共有する (2)「肥土山と中山の虫送り」 |format=PDF |work=公式ウェブサイト |publisher=一般社団法人 JA共済総合研究所 |accessdate=2018-05-29 }}</ref><ref name="Sankei-20170706">{{Cite news |newspaper=[[産経デジタル|産経ニュース]] |author= |date=2017-07-06 |url=https://www.sankei.com/article/20170706-IX56SOL3IRIOPNANAEAENAJPH4/ |title=たいまつ手に炎の列 香川・土庄町で「虫送り」 |publisher=株式会社[[産経デジタル]] |accessdate=2018-05-29 }}</ref>。現在は市街地化した下流域の平野部では行われず、中山の虫送りは肥土山の虫送りの翌日に行われている<ref name="JA共済総研-201612" />。肥土山自治会の史料によれば、伝法川流域における虫送りは、[[江戸時代]]初頭にあたる[[寛文]]元年([[1661年]])に始まっている<ref name="JA共済総研-201612" /><ref group="*">肥土山農村歌舞伎保存会会長の話によれば、この年には[[日本列島]]で稲虫(※この時の[[害虫]]は、[[生物学]]的には[[ワタリバッタ]]と推定される)が大発生し、農作物を食害されることによって全国で100万人近い[[餓死]]者を出していて、伝法川流域の虫送りはこの惨事に大きく関係しているということであるが、裏が取れないので、本文に書き込まず、注釈に留める。 出典:[https://www.bgf.or.jp/blog/machirepo/9 タイマツの火で水田の害虫を海まで誘いだす伝統行事「虫送り」] - B&G財団、2016年7月15日。</ref>。
:* {{Anchors|肥土山の虫送り}}肥土山の虫送り({{small|ひとやまのむしおくり}}、別名:肥土山虫送り<ref name="小豆島旅navi-肥土山虫送り">{{Cite web|和書|date=2017 |url=http://shodoshima.or.jp/?p=1961 |title=肥土山虫送り |work=小豆島旅ナビ(公式ウェブサイト) |publisher=小豆島観光協会 |accessdate=2018-05-29 }}</ref>、稲虫送り<ref name="るるぶ&more-肥土山">{{Cite web|和書|author= |date= |url=https://rurubu.jp/andmore/spot/20002465 |title=虫送り(稲虫送り) |work=るるぶ&more.公式ウェブサイト |publisher=[[JTB]] |accessdate=2018-05-29 }}</ref>)<ref name="JA共済総研-201612" /><ref name="土庄町-肥土山虫送り">{{Cite web|和書|url=http://www.town.tonosho.kagawa.jp/tns/info.php?y=2016&m=7&id=3455 |title=肥土山の虫送り |work=公式ウェブサイト |publisher=土庄町 |accessdate=2018-05-29 }}</ref><ref name="colocal-20150706">{{Cite web|和書|author= |date=2015-07-06 |url=https://colocal.jp/topics/lifestyle/shodoshima/20150706_50721.html |title=小豆島日記 vol.113 - 美しい農村の伝統行事、肥土山の虫送り |work=コロカル |publisher=[[マガジンハウス]] |accessdate=2018-05-29 }}</ref>
::: [[香川県]][[小豆郡]][[土庄町]]肥土山<ref group="*">土庄町肥土山({{googlemap|土庄町肥土山}})</ref>に、350年以上前から伝わる({{small|2010年代時点}})<ref name="今年で何年-小豆島" group="*">寛文元年([[1661年]])に始まったということで、2018年時点では 357年前 ( 2018-1661=357 )。</ref>。「肥土山の虫送り」の名称で土庄町指定[[無形民俗文化財]](1970年〈昭和45年〉指定)<ref name="ShikokuNews-20010625">{{Cite news |newspaper=SHIKOKU NEWS |author=木下亨 |date=2001-06-25 |url=https://www.shikoku-np.co.jp/feature/nokoshitai/gyoji/7/ |title=虫送り(土庄町など) |publisher=[[四国新聞社]] |accessdate=2018-05-29 }}</ref>。地元では「稲虫送り」という<ref name="かがわの農業-虫送り">{{Cite web|和書|author=香川県 農政水産部 土地改良課 |url=http://www.pref.kagawa.lg.jp/tochikai/midori/festa/festa_6.html |title=水土里情報 - 虫送り |work=かがわの農業 農村 整備(公式ウェブサイト) |publisher=香川県 |accessdate=2018-05-29 }}</ref><ref name="るるぶ&more-肥土山" />。[[半夏生]]の日(新暦[[7月1日]]、[[閏年]]は[[7月2日]])に行われる<ref name="ShikokuNews-20010625" />。関連社は肥土山離宮八幡神社。地域を練り歩く際は「稲虫くるなー」などと唱えて廻る<ref name="小豆島旅navi-肥土山虫送り" />。
:* {{Anchors|中山虫送り}}中山虫送り(別名:中山の虫送り、稲虫送り)<ref name="JA共済総研-201612" />
::: 香川県小豆郡[[小豆島町]]中山<ref group="*">小豆島町中山({{googlemap|小豆島町中山}})</ref>(江戸時代における[[讃岐国]]小豆郡中山村、幕藩体制下の讃州[[津山藩]][[地方知行|知行]]中山村)に、350年以上前から伝わる({{small|※2010年代時点}})<ref>{{Cite web|和書|author= |date=2018 |url=http://shodoshima.or.jp/?p=3726 |title=中山虫送り |work=小豆島旅ナビ(公式ウェブサイト) |publisher=一般社団法人 小豆島観光協会 |accessdate=2018-05-27 }}</ref><ref name="今年で何年-小豆島" group="*" />。小豆島町指定[[無形民俗文化財]]([[1970年]]〈昭和45年〉指定)<ref name="ShikokuNews-20010625" />。少子高齢化による後継者不足のために[[2005年]](平成17年)以降行われていなかったが、[[松竹]][[映画]]『[[八日目の蝉 (映画)|八日目の蝉]]』の撮影で[[2010年]](平成22年)に再現され、翌[[2011年]](平成23年)にはそれを受けて再開された<ref>[http://www.olive.or.jp/guide/event/2016/06/post-83.html 中山地区虫送り] 小豆島町商工会{{deadlink|date=2018年5月27日}}</ref><ref name="Npnp-中山虫送り">{{Cite web|和書|url=https://shodoshima.npnp.jp/event/612/ |title=中山虫送り |work=小豆島物語(公式ウェブサイト) |publisher=一般社団法人 ニッポニア・ニッポン |accessdate=2018-05-27 }}</ref>。元来は[[半夏生]]([[夏至]]から11日目)の日に、現在では[[新暦]]7月の第1土曜日に行われる行事で、火手(ほて)と呼ばれる[[竹]]製の[[松明]]を携え、[[中山千枚田]]と呼ばれる[[棚田]]の[[畦道]]を歩き、害虫駆除と豊作を願う<ref name="Npnp-中山虫送り" />。
;{{Anchors|愛媛県}}[[愛媛県]]の虫送り
[[ファイル:Sanemoriokuri.jpg|thumb|城川町の実盛送りの行列]]
* {{Anchors|実盛送り (西予市)}}実盛送り
::: [[愛媛県]][[西予市]][[城川町]]の田穂<sup>たお</sup>・魚成<sup>うおなし</sup>地区<ref group="*">西予市城川町({{googlemap|西予市城川町}})</ref>(旧・[[東宇和郡]]の田穂村・魚成村界隈。江戸時代における[[伊予国]][[宇和郡]]田穂村・魚成村界隈、[[幕藩体制]]下の[[伊予国|予州]][[宇和島藩]][[地方知行|知行]]田穂村・魚成村界隈)に伝わる。300年以上の歴史があるという({{small|2010年代時点}})。西予市指定[[無形民俗文化財]]<ref name="いよ観net-実盛送り">{{Cite web|和書|url=https://www.iyokannet.jp/event/6834 |title=実盛送り |work=いよ観ネット(公式ウェブサイト) |publisher=一般社団法人 愛媛県観光物産協会 |accessdate=2018-05-29 }}</ref>。田穂地区は[[農林水産省]]の「[[棚田#「日本の棚田百選」|日本の棚田百選]]」にも選定されている「堂の坂の棚田」を擁し、実盛送りでもここを練り歩く<ref name="SeiyoGeo-堂の坂の棚田">{{Cite web|和書|url=http://seiyo-geo.jp/c/geopoint/%E5%A0%82%E3%81%AE%E5%9D%82%E3%81%AE%E6%A3%9A%E7%94%B0/ |title=棚田百選・堂の坂の棚田 |work=四国西予ジオパーク(公式ウェブサイト) |publisher=四国西予ジオパーク推進協議会 |accessdate=2018-05-29 }}</ref>。当地域の実盛送りは、田穂で木と紙を主材に作られる実盛人形を魚成へ送り継いでゆき<ref name="西予観協-20120624">{{Cite web|和書|author= |date=2012-06-24 |url=http://www.seiyo1400.jp/c/event/2011/05/26/%e9%ad%9a%e6%88%90%e3%83%bb%e5%ae%9f%e7%9b%9b%e9%80%81%e3%82%8a/ |title=魚成・実盛送り |work=せいよ観光物産サイト(公式ウェブサイト) |publisher=西予市観光協会 |accessdate=2018-05-29 }}</ref><ref name="いよ観net-実盛送り" />、最後に道と交わる[[黒瀬川 (曖昧さ回避) |黒瀬川]]<ref group="*">{{Cite web|和書|url=https://river.longseller.org/rc/8808020183.html |title=黒瀬川 |work= |publisher=川の名前を調べる地図 |accessdate=2018-05-29 }}</ref>の川辺に着くと河原に人形を置いて、これが大水で流された年は豊作になるという<ref name="西予観協-20120624" />。
=== 九州地方 ===
;{{Anchors|福岡県}}[[福岡県]]の虫送り
* {{Anchors|虫追い祭り (久留米市)}}虫追い祭り
::: [[福岡県]][[久留米市]]田主丸町田主丸(旧・[[浮羽郡]][[田主丸町]]田主丸)<ref group="*">久留米市田主丸町田主丸({{googlemap|久留米市田主丸町田主丸}})</ref>に伝わる。<ref>{{Cite web|和書|author= |date= |url=http://www.kurume-hotomeki.jp/event/?mode=detail&isSpot=1&id=400000001020 |title=虫追い祭り |work=ほとめきの街 久留米(公式ウェブサイト) |publisher=公益財団法人 久留米観光コンベンション国際交流協会 |accessdate=2018-05-25 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|date=2016-11-21 |url=http://www.tabirai.net/sightseeing/column/0006829.aspx |title=虫追い祭り |work=たびらい(公式ウェブサイト) |publisher=株式会社パム |accessdate=2018-05-25 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.fsg.pref.fukuoka.jp/e_mingei/pdf/62-1.pdf |title=虫追い祭り【むしおいまつり】 |format=PDF |work=公式ウェブサイト |publisher=福岡県立社会教育総合センター[http://www.fsg.pref.fukuoka.jp/center/] |accessdate=2018-05-25 }}</ref>
;{{Anchors|大分県}}[[大分県]]の虫送り
* {{Anchors|小松明火祭り}}[[小松明火祭り]]({{small|こだいひまつり}}、別名:おがた小松明火祭り)
::: [[大分県]][[豊後大野市]]緒方町原尻(原尻の滝および緒方平野一帯。旧・[[大野郡 (大分県)|大野郡]][[緒方町]]原尻一円)<ref group="*">豊後大野市緒方町原尻({{googlemap|豊後大野市緒方町原尻}})</ref>(江戸時代における[[豊後国]]大野郡原尻村界隈、[[幕藩体制]]下の豊州[[岡藩]]原尻村界隈)に、江戸時代より伝わる。
;{{Anchors|宮崎県}}[[宮崎県]]の虫送り
* {{Anchors|虫追い (延岡市)}}虫追い
::: [[宮崎県]][[延岡市]]北川町家田(旧・[[東臼杵郡]][[北川町|北川村]]家田)<ref group="*">延岡市北川町家田({{googlemap|延岡市北川町家田}})</ref>に伝わる。<ref>{{Cite news |newspaper=毎日新聞 |author= |date=2017-08-15 |url=https://mainichi.jp/articles/20170815/ddl/k45/040/243000c |title=たいまつ手に 子供や住民ら40人 延岡・北川町家田で伝統行事/宮崎 publisher=毎日新聞社 |accessdate=2018-05-25 }}</ref>
* {{Anchors|除蝗祈願祭 (宮崎市)}}除蝗祈願祭({{small|じょこうきがんさい}})
::: 宮崎県[[宮崎市]]神宮<ref group="*">宮崎市神宮({{googlemap|宮崎市神宮}})</ref>に伝わる。関連社は[[宮崎神宮]]。新暦2月の祈年祭(きねんさい。五穀豊穣を祈る祭)に附随する虫送り行事として新暦7月に執り行われる。<ref name="宮崎神宮">{{Cite web|和書|url=http://miyazakijingu.jp/modules/piCal/index.php?action=View&event_id=0000000550 |title=除蝗祈願祭 |work=公式ウェブサイト |publisher=宮崎神宮 |accessdate=2018-05-28 }}</ref>
== 地名 ==
[[地名]]としての「'''虫送'''(むしおくり)」は、少なくとも現存するものとしては極めて珍しい。
[[住居表示]]上の地名としては、[[長野県]][[須坂市]]日滝原の[[小字]]「虫送」<ref group="*">須坂市日滝原虫送({{googlemap|須坂市日滝原虫送}})</ref><ref name="筑波大-年報33">{{Cite web|和書|author=市川康夫 |date=2011 |url=http://www.geoenv.tsukuba.ac.jp/~chicho/nenpo/33/07.pdf |title=〈地域研究年報 33〉須坂市日瀧原における出作りと定住化 -明治期以降の動向を中心に- |format=PDF |work=筑波大学人文地理学研究グループ(公式ウェブサイト) |publisher=[[筑波大学]] |accessdate=2018-06-03 }}※出作りの村「虫送」についての解説多し。</ref>が唯一かも知れない例であり、[[交差点]]名の「虫送北」と「虫送南」、[[長電バス]]北相之島線の[[バス停留所|停留所]]名「虫送入口(むしおくりいりぐち)」<ref>{{Cite web|和書|url=https://mb.jorudan.co.jp/os/bus/2040/line/27449.html |title=K北相之島線:市民バス昼割 |work=乗換案内 |publisher=[[ジョルダン (企業)|ジョルダン]] |accessdate=2018-06-03 }}</ref>としても現存する。この地の「虫送」は、[[江戸時代]]において[[信濃国]][[高井郡]]北部(のちの[[上高井郡]])の須坂村や日滝村に近い、周辺一帯の農民が共用する出作りの村の名であった<ref name="筑波大-年報33" />。
'''虫送峠'''(むしおくりとうげ)は、西[[中国山地]]東部の[[広島県]]域に所在する[[峠]]である。現在では[[国道191号]]上に位置する。
== 関連項目 ==
* [[住吉踊り]]
* [[田植え]]終了後にサナボリとなり、虫送りが行われる。九州地方では田植え終了はサノボリという。サナボリ・サノボリが訛り実盛(サネモリ)という。「さ」は民俗学的には田園の神であり、田植え前には、「早降り、さ降り」という田んぼでの神降ろし儀式が行われる。
== 外部リンク ==
* {{Kotobank|虫追い塚|[[世界大百科事典]]}}<!--※暫定記載(本文に組み込んで出典として記すのが理想です)。-->
* {{Kotobank|虫塚|世界大百科事典}}
* {{Kotobank|除蝗録|世界大百科事典 第2版}}
* {{Cite web|和書|author=福岡市総合図書館|authorlink=福岡市総合図書館|date=2013-10-25 |url=https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000139058 |title=虫送りという行事について知りたい。 |work=レファレンス協同データベース(公式ウェブサイト) |publisher=[[国立国会図書館]] |accessdate=2018-05-28 |ref=NDL-20131025 }}
* {{Cite web|和書|author=石川県立図書館|authorlink=石川県立図書館|date=2013-12-04 |url=https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000141475 |title=「虫送り」に関する文献を見たい。石川県および全国のもの。 |work=レファレンス協同データベース(公式ウェブサイト) |publisher=国立国会図書館 |accessdate=2018-05-28 |ref=NDL-20131204 }}
* {{Cite web|和書|author=平沼浩 |date=2016-12 |url=https://www.jkri.or.jp/PDF/2016/Rep148hiranuma.pdf |title=共済総研レポート 2016.12:地方創生と伝統行事 土地の記憶を行動で共有する (2)「肥土山と中山の虫送り」 |format=PDF |work=公式ウェブサイト |publisher=一般社団法人 JA共済総合研究所 |accessdate=2018-05-29 }}
== 脚注 ==
{{デフォルトソート:むしおくり}}
[[Category:日本神話]]
[[Category:中国神話]]
[[Category:疫神]]