== 系譜 ==
プロメーテウスは[[ティーターン]]神族の子であるため、兄弟ともに広義のティーターンに含まれる。系譜については諸説ある。[[ヘーシオドス]]の『[[神統記]]』によるとイーアペトスと[[クリュメネー]]の子で、[[アトラース]]と[[メノイティオス]]の弟であり、[[エピメーテウス]]の兄となっているプロメーテウスはティーターン神族の子であるため、兄弟ともに広義のティーターンに含まれる。系譜については諸説ある。ヘーシオドスの『神統記』によるとイーアペトスとクリュメネーの子で、アトラースとメノイティオスの弟であり、エピメーテウスの兄となっている<ref name="He_507_511"/>。
しかし[[アポロドーロス]]の『[[ビブリオテーケー]]』によると母の名は[[アシアー]]でありしかしアポロドーロスの『ビブリオテーケー』によると母の名はアシアーであり<ref name="Ap_1_2_3"/>、[[アイスキュロス]]の[[ギリシア悲劇|悲劇]]『[[縛られたプロメテウス]]』では女神[[テミス]]である、アイスキュロスの悲劇『縛られたプロメテウス』では女神テミスである<ref>アイスキュロス『縛られたプロメーテウス』210行。</ref>。[[アレクサンドリア]]の詩人{{仮リンク|カルキスのエウポリオーン|en|Euphorion 。アレクサンドリアの詩人カルキスのエウポリオーン(Euphorion of Chalcis|label=エウポリオーン}}は、[[ギガース]]の王[[エウリュメドーン]]が結婚前の[[ヘーラー]]を犯し、プロメーテウスを生んだという異説を伝えているChalcis)は、'''ギガースの王エウリュメドーンが結婚前のヘーラーを犯し、プロメーテウスを生んだという異説を伝えている'''<ref>『イーリアス』14巻295行への古註([[カール・ケレーニイ]]『プロメテウス』p『イーリアス』14巻295行への古註(カール・ケレーニイ『プロメテウス』p.61、99)。</ref>。
妻に関してもクリュメネー<ref name="Od_sc_10_2">『[[オデュッセイア]]』10巻2行への古註。</ref>、[[プロノエー]]<ref>ヘーシオドス断片5(『オデュッセイア』10巻2行への古註)。</ref>、[[ヘーシオネー]]<ref>[[アクーシラーオス]]断片33(『オデュッセイア』10巻2行への古註)。</ref><ref>[[アイスキュロス]]『[[縛られたプロメテウス]]』560。</ref>、あるいは[[パンドーラー]]とも言われる<ref>ヘーシオドス断片3。『名婦列伝』1巻([[ロドスのアポローニオス]]『[[アルゴナウティカ]]』3巻1086行への古註)。</ref>。
== 神話 ==
[[ファイル:Jan Cossiers - Prometeo trayendo el fuego, 1637.jpg|left|180px|thumb|{{仮リンク|ヤン・コシエール|en|Jan Cossiers}}の[[1637年]]の絵画『火を運ぶプロメテウス』。[[プラド美術館]]所蔵。]]
[[ゼウス]]が人間と神を区別しようと考えた際、プロメーテウスはその役割を自分に任せて欲しいと懇願し了承を得た。彼は大きな[[ウシ|牛]]を殺して二つに分け、一方は肉と内臓を食べられない皮で包み{{Refnest|肉と内臓を胃袋で包み皮の上に置いたとも<ref name="S">『ヘシオドス 全作品』126頁。</ref>。|group="注"}}、もう一方は骨の周りに脂身を巻きつけて美味しそうに見せた。そしてゼウスを呼ぶと、どちらかを神々の取り分として選ぶよう求めた。プロメーテウスはゼウスが美味しそうに見える脂身に巻かれた骨を選び、人間の取り分が美味しくて栄養のある肉や内臓になるように計画していた。ゼウスは騙されて脂身に包まれた骨を選んでしまい、怒って人類から火を取り上げた<ref name="G">フェリックス・ギラン『ギリシア神話』[[青土社]]新装版1991年、36頁。</ref>{{Refnest|『神統記』では、ゼウスはプロメーテウスの考えを見抜き、不死の神々にふさわしい腐る事のない骨を選んだことになっている<ref name="S"/>。|group="注"}}。この時から人間は、肉や内臓のように死ねばすぐに腐ってなくなってしまう運命を持つようになった。