人間に身近で、印象的な角を持つ大型家畜である牛は、世界各地で信仰対象や動物に関連する様々な民俗・文化のテーマになってきた。
[[古代エジプト]]人は古代エジプト人は[[オシリス]]、[[ハトホル]]信仰を通して雄牛(ハピ、ギリシャ名ではアピス)を聖牛として崇め、[[エジプト初期王朝時代|第一王朝]]時代(紀元前2900年ごろ)には「ハピの走り」と呼ばれる行事が行われていた信仰を通して雄牛(ハピ、ギリシャ名ではアピス)を聖牛として崇め、第一王朝時代(紀元前2900年ごろ)には「ハピの走り」と呼ばれる行事が行われていた<ref name="Fagan">ブライアン・フェイガン『人類と家畜の世界史』東郷えりか訳 河出書房新社 2016年、ISBN 9784309253398 pp.120-125.</ref>。創造神[[プタハ]]の化身としてアピス牛信仰は古代エジプトに根を下ろし、[[ラムセス2世]]の時代にはアピス牛のための地下墳墓[[セラペウム]]が建設されたの化身としてアピス牛信仰は古代エジプトに根を下ろし、ラムセス2世の時代にはアピス牛のための地下墳墓セラペウムが建設された<ref name="Fagan"/>。聖牛の特徴とされる全身が黒く、額に白い菱形の模様を持つウシが生まれると生涯神殿で手厚い世話を受け、死んだ時には国中が喪に服した。一方、普通のウシは食肉や労働力として利用されていたことが壁画などから分かっている。
主にインドで信仰されている[[ヒンドゥー教]]では牛(特に[[コブウシ]])を神聖視している([[スイギュウ]]はそうではない)。このためインドは牛の飼育頭数は多いものの、牛肉食を忌避する国民が多い。インドでは従来も州により、牛肉の扱いを規制していた。2017年5月26日にはインド連邦政府が、食肉処理を目的とした家畜市場における牛の売買を禁止する法令を出した。これに対して、[[ムスリム|イスラム教徒]]や[[世俗主義]]者から「食事の選択権に対する侵害」として反対運動や訴訟が起き<ref>{{Cite news|url=https://www.sankei.com/article/20170530-E73SSIK34RO5HARHJ6NWQQ5LKU/|title=インド政府、「牛の幸福のため」牛肉規制 家畜市場での肉牛売買禁止、一部の州やイスラム教徒は反発|work=|publisher=[[産経新聞]]ニュース|date=2017年5月30日}}</ref>、インド最高裁判所は7月11日に法令差し止めを決めた<ref>{{Cite news|url=https://www.sankei.com/article/20170711-GMXZBG6PGJPHTBSFA2RYF273SE/|title=牛売買禁止令を差し止め インド最高裁 モディ政権に打撃|work=|publisher=[[産経新聞]]ニュース|date=2017年7月11日}}</ref>。インドでは牛肉を売ったり、食べたりしたと思われた人が殺害される事件も起きている<ref>{{Cite news|url=https://www.sankei.com/article/20170706-3OWBECV5DJNXBN3ZPO2QD6EZ4Q/|title=インドで「牛肉殺人」多発 モディ首相「誰も牛の名のもとに人を殺してはならない」|work=|publisher=[[産経新聞]]ニュース|date=2017年7月6日}}</ref>。