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2,279 バイト追加 、 2023年1月15日 (日) 19:18
ウルシェムはハッティの神話からヒッタイト神話に取り込まれる際に「地下(冥界)の女神」に移行したとのことだが、その理由は定かではないように思う。ウルシェムとほぼ同じ子音構成である女神はギリシア神話のペルセポネーがいると考える。ペルセポネーはデーメーテールと表裏一体のような女神であり、「地下(冥界)の女神」でもある。彼らは、メソポタミア神話のイナンナとエレシュキガルのように対立した存在ではなく、仲睦まじい母娘として描かれる。また、ペルセポネーが「地下(冥界)の女神」となったのは冥界の神であるハーデースに略奪されたため、とギリシア神話ではその理由は明確になっている。しかし、おそらく、彼女の「地下(冥界)の女神」としての地位はヒッタイトのウルシェムから継承されたものと思われる。
 
 
個人的には、ウルシェムは子音から「兔子(Tùzǐ)」の「t」音「z」音の子音が外れたものに「m」の子音が付加されたものと思う。ただし、女性形で女神である場合、前述したが、「m」の子音があってもなくても「同じ神」とみなされうようである。一方「兔子(Tùzǐ)」の「兔」と「子」の間に「m」音が挿入されたものがティアマトやデーメーテールと考える。本来は女性形の神の場合は太母(太陽女神)であり、男性形の場合は怪物とされるか、人身御供とされる群の神々であったと思われる。西欧を中心とした西方では、女神と男神で名前が似通っていて、語源が同じと思われる神々でも、性別が異なると性質も全く異なったものになることが珍しくないと感じる。
 
 
ウルシェム(viper系)の女神と、ティアマト系の女神は語源的に比較的近く、『水生の蛇用の神(特に「毒蛇(人類に敵対的な神)」』という性質が各地で共通していたため、同一視されたり、ギリシア神話のように組で信仰の対象とされたのではないだろうか。特にギリシアではウルシェム系の女神に「冥界神」としての性質が強く持たされたが、全体としてはティアマトやペルセポネーのように「何らかの原因で殺された太陽女神」が冥界女神へと変化したもので、その部分の神話が説明的になされたり、削除されたりして、彼女達の女神としての群は確立されたのではないだろうか。ちなみにエジプト神話では、イシスが再生の女神、姉妹のネフティスが葬祭の女神とされており、特にネフティス女神の語源は、ティアマト系の女神の最初の「t」音が削除されたものと推察され、古代の地中海周辺では、
 
 
「古い語源は共に「兔子(Tùzǐ)」で一致した太陽女神だが、いったん別系統に分化したものが、「再生の女神」と「冥界女神」とに組で再編されたもの」
 
 
に対する信仰が盛んであったように思う。
== 参考文献 ==

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