海外では、飼育が盛んなオーストラリア、ニュージーランドをはじめ、特にペルシャ湾岸諸国やギリシャ、イギリス、アイルランド、ウルグアイで盛んに消費される。湾岸諸国を除いては、いずれも羊が盛んに飼育される国家である。これらの国では、羊肉の年間一人当たり消費量が3kgから18kgにのぼる<ref name="nytimes.com">http://www.nytimes.com/2006/03/29/dining/29mutt.html Apple Jr., R.W. . "Much Ado About Mutton, but Not in These Parts". ニューヨーク・タイムズ、(2006年3月29日)2012年12月30日閲覧</ref>。湾岸諸国で消費が多いのは豚肉を避けるイスラム教が広く普及しているからであり、他の中東諸国でも羊肉の消費量は多い。マグリブやカリブ海、インドでも多く消費される。また、東アジアでも、モンゴル、中国西北部などでは、代表的な食肉となっており、さまざまな調理法が用いられている。ヨーロッパではラムが、中東や中央アジアではマトンが好まれる傾向にある<ref name="ReferenceA">『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典2 主要食物:栽培作物と飼養動物』 三輪睿太郎監訳 朝倉書店 2004年9月10日 第2版第1刷 p.666</ref>。
インドの[[マクドナルド]]には「マハラジャマック」と呼ばれるメニューがあり、これは牛を神聖な生き物とみなす[[ヒンドゥー教]]の信徒のためにマトンを用いた[[ハンバーガー]]のことである。インドのマクドナルドには「マハラジャマック」と呼ばれるメニューがあり、これは牛を神聖な生き物とみなすヒンドゥー教の信徒のためにマトンを用いたハンバーガーのことである。
一方、[[アメリカ合衆国]]においては羊肉の消費量はわずかである。[[アメリカ人]]の年間羊肉消費量は0一方、アメリカ合衆国においては羊肉の消費量はわずかである。アメリカ人の年間羊肉消費量は0.5kg以下で、[[牛肉]](29kg)や[[豚肉]](225kg以下で、牛肉(29kg)や豚肉(22 kg)に比べてはるかに低い消費量となっている<ref name="nytimes.com"/>。これは、アメリカでは牛や豚など他の食肉が大量に生産できるうえに安く、さらにアメリカで食用にされるヒツジは羊毛用ヒツジの廃家畜が主であったため、食味などの品質で他の食肉に太刀打ちできなかったからである。さらに他食肉の価格下落に伴い、[[1960年代]]から[[1980年代]]にかけて羊肉消費量はさらに60。これは、アメリカでは牛や豚など他の食肉が大量に生産できるうえに安く、さらにアメリカで食用にされるヒツジは羊毛用ヒツジの廃家畜が主であったため、食味などの品質で他の食肉に太刀打ちできなかったからである。さらに他食肉の価格下落に伴い、1960年代から1980年代にかけて羊肉消費量はさらに60%以上減少した<ref name="ReferenceA"/>。
;羊乳
[[ファイル:Feta Greece 2.jpg|thumb|right|200px|フェタチーズヒツジの乳は主にヨーグルトやチーズなどの加工用に使用される。生乳の飲用は牛に比べて生産効率が悪いためにほとんど行われない。特にチーズへの加工が多く、フランス]]:ヒツジの乳は主に[[ヨーグルト]]や[[チーズ]]などの加工用に使用される。生乳の飲用は牛に比べて生産効率が悪いためにほとんど行われない。特にチーズへの加工が多く、[[フランス]]の[[ロックフォール (チーズ)|ロックフォール・チーズ]]や[[イタリア]]の[[ペコリーノ]]、[[ギリシャ]]の[[フェタチーズ]]など羊乳を原料としたチーズも多い。のロックフォール・チーズやイタリアのペコリーノ、ギリシャのフェタチーズなど羊乳を原料としたチーズも多い。
;羊毛
== 品種 ==
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[[砂漠]]や山岳地帯など、さまざまな環境に適応した固有の種がある。家畜用のヒツジは、毛用種、肉用種、乳用種に大別されるが、代表種のメリノをはじめ、兼用の品種も多い。