2020/03/17(火)更新情報

 普通に読書、というよりは「ハウツー本」を読んでいます。「一太郎」のお勉強中です。
まるごと活用! 一太郎2020 基本&作例編」を更新しました。

 神話について。「ハンナハンナ」の項を仕上げました。

 個人的には、ハンナハンナと聖書の「ハンナ」という名前に関連性がないとは思っていません。一般的なヨーロッパの「アン」とか「アンナ」という名前は聖書の「ハンナ」に由来するかもしれませんが、聖書の「ハンナ」はヒッタイトの「ハンナハンナ」に由来するかもしれない、と思います。女神の名前が、広まるにつれて一般的な女性の名前になることはあることだと思います。
 ハンナハンナは、メソポタミアのニンフルサグと同一視されていた、というのが今回の新たな発見です。ニンフルサグは「天の女神」なので、印欧語族的な「地母神」ではありません。ハッティも印欧語族ではないので、ハッティの太母であったハンナハンナも「天の女神」であった可能性があります。でも、ヒッタイトの次の時代のフリギアのキュベレーになると印欧語族色が強くなってきて、キュベレーのことはみな「大地母神」と言います。メソポタミアのニンフルサグに対応する神エンキは、「キ」が「大地」という意味ですので、「地の神」です。ということは、ハンナハンナの配偶神は存在したとすれば、「大地の神」であって、「ニンフルサグーエンキ」「ハンナハンナー大地の王」「ヌトーゲブ」と地理的に連続性があるのではないか、とかそんな風に思ってしまいます。ハッティのテリピヌに相当する神は、メソポタミアではドゥムジ(タンムズ)となりますので、その連続性を考えるとハンナハンナはイナンナ的な性質を持っているともいえます。そして、楔型文字の「NIN TU」という表記は、メソポタミアではニンフルサグの別名であり、ヒッタイトではこれを「ハンナハンナ」と呼んだわけですが、ではメソポタミアの人でなく、ヒッタイトの人でもない人は、これを何と呼んだのだろう? と思うのです。「NIN」とか「N」の子音は「女神」を表すので、トラキア、ギリシャ、ケルト辺りでは、これを末尾にもってきてしまうことが多いように思います。アテーナー、とかアリアドネとか、イスタンとか、エポナとか。ということは「NIN TU」は地域によって「TU N」と呼ばれた可能性があります。こうすると、タニト、ユーノー、デーメーテールが、「NIN TU」群の名前に入ってきて、「同じ女神」ということになります。ユーノーなんかは印欧語族の女神ですが「天の女神」でもあるし「出産の女神」でもある。「NIN TU」という名前から見ると、ニンフルサグ、ハンナハンナ、ユーノー、デーメーテールにはみんな性質にも名前にも連続性がある、ということになるのです。私はこれを偶然とは思いません。
 それから、今回の収穫はハッティの言葉で「アマ」と呼ぶのが「母」を表すらしい、ということもあります。古い時代の非印欧語族の女神が「天の女神」であって、「アマ」と呼ぶのであれば、日本語としては弥生以降の外来語である「天照大神」の「天((アマ)」の語源はどこにあるのか、知りたいと思ってきたのです。彼女もまた「天の母神」ですし、たたら製鉄と、ヒッタイトの製鉄技術との関連性もある。興味は尽きないのです。